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2年目を迎えるフォーミュラE 東京E-Prixの見どころ
さて、フォーミュラEに話を戻すと、今シーズンは0-100km/h加速でF1をも凌ぐ速さを備えたマシン「GEN3 EVO」を全車が使用する最初のシーズンとなり、これまで以上に迫力のあるレースが展開されている。
しかし、結果だけで言えばこれが母国レースとなる日産を駆るオリバー・ローランドが、ポルシェに所属する2位のアントニオ・フェリックス・ダ・コスタに対し48ポイントの大差をつけランキング首位を独走中。ここまでの7戦中5回の表彰台フィニッシュと抜群の安定感を見せており、ここ東京でも活躍が期待される。
コースレイアウトは昨年のものを踏襲しているが、大きく変わった点がふたつある。ひとつはターン2からターン3の間にあったジャンピングスポットが改修され、マシンが宙に浮かないよう工事が実施された。東京E-Prixを象徴するフォトジェニックな場所だっただけに少々残念な思いではあるが、競技の安全性向上とマシンへの負荷軽減には必要不可欠な改修なので致し方ない。
もうひとつの変更点は最終シケイン(クランク上のコーナーのこと)の手前にあったシケインが廃止されたことだ。これにより外周路からビッグサイト敷地内へ戻ってきたマシンは、ハイスピードなまま左コーナーのターン16を通過し、少しだけ長くなった直線区間を利用してオーバーテイクを仕掛けてくることが見込まれる。ファイナルラップまで勝負がもつれ込むことの多いフォーミュラEだけに、ここで劇的な逆転劇が起きても決しておかしくない。
さて、土日にそれぞれ決勝が行なわれる今回の東京E-Prixだが、じつは2日間でレース周回数が異なり、土曜日は35周、日曜日は32周で行なわれる。どちらも使用可能なエネルギー量は32.0kWhと変わらないので、周回数の多い土曜日が電費に配慮したスローペースなレースになるかと言えばさにあらず。土曜日の第8戦は600kWの超急速充電「ピットブースト」が実施されるから心配は無用だ。
マシンのエネルギー残量が60%から40%になったタイミングでピットインを行い、約30秒間で3.85kWhの追加エネルギーを充電する。これで3周多いレースを乗り切るのだ。このピットブースト前後のポジション取り次第では、その後のレース展開が大きく変わる可能性があるため、その動向には注目したい。
また、今シーズンはレース中に一定時間マシンの最大出力が300kWから350kWに増大する「アタックモード」の効果が絶大で、狭く追い越しが難しい東京E-Prixのコースであっても、ストレートが多い公道区間で一気にオーバーテイクしていくシーンが両日とも見られそうだ。