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中国勢が次に目を付けたのはトルコ! いまトルコはEV激戦区になっていた


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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もっとも売れているEVはトルコ車の「T10X」

それでは、このトルコ国内で人気のEVをランキング形式で確認していきたいと思います。このグラフは2025年のQ1における主要なBEVの販売台数を示したものです。

グラフ

トップはトルコのEVメーカーToggのミッドサイズSUV「T10X」です。T10Xは全長4599mm、全幅1886mm、全高1676mm、そしてホイールベースが2890mmというミッドサイズSUVセグメントに該当します。52.4kWhと88.5kWhという2種類のバッテリー容量をラインアップし、ロングレンジRWDグレードの場合、欧州WLTCモードで523kmに達します。充電性能は最大180kWに対応しており、SOC80%まで30分以内で充電可能です。

エントリーグレードでも144万トルコリラ、日本円でおよそ553万円からのスタートとプレミアム価格帯ですが、モデルYの倍売れているというヒット具合です。さらに、Toggは2車種目のセダンセグメント「T10F」も発表済みです。

Togg T10Xの室内

またその後には、MINI Countryman、Kia EV3、KGモビリティTorres、BYD ATTO 3、BMW iX1、BYD SEAL U、ボルボEX40、BYDドルフィンと続いていくことから、やはりコストを抑えたコンパクトSUVやコンパクトモデルの需要が高い様子が見て取れます。そして、トップ10のうち3車種がBYD製であるという点も注目するべき動向かと思います。

次に、BEVに限らないすべての自動車の販売台数ランキングを見てみると、トップからルノー・クリオ、トヨタ・カローラ、ルノー・メガーヌセダン、フィアット・エゲアセダン、そしてTogg T10Xとなっています。人気車種トップ4はすべてコンパクトセグメントの車種であり、やはり安価で小型なクルマが人気です。そして、これらの人気の内燃機関車と肩を並べるのがTogg T10Xなのです。

グラフ

また、BYDのPHEVであるSEAL U DM-iの存在も気になります。やはりBEVだと充電インフラへの懸念がつきまとうものの、PHEVはさらに安価、かつ燃費性能で優れていることもあり、順調に販売台数が増加中です。

いずれにしても、このトルコ市場において人気であるコンパクトカーセグメントでEVを投入できるかこそが、さらなるEVシェアの拡大のためには不可欠なわけです。とくにBYDシーガルがどれほどの値段設定で発売されるのか。BYDのトルコ生産工場は2026年中の操業スタートであり、さらに欧州寄りに位置する東ヨーロッパのハンガリーにも車両生産工場を建設中です。このトルコやハンガリーで生産されるであろうシーガルのコスト競争力にはもっとも注目するべきかと感じます。

最後に、このグラフは自動車ブランド別の累計販売台数を示したものです。トップはルノー、その後にトヨタ、フィアット、フォルクスワーゲン、ヒョンデ、プジョーが接戦を演じています。そして、第9位にランクインしてきているのがBYDです。BYDは3月単体で2870台を発売。現地生産工場の稼働がスタートしてから、どれほどの販売台数を達成することができるのか、競合メーカーが戦々恐々するのも無理はないでしょう。

グラフ

いずれにしても、BYDを筆頭として、さらに現地工場を建設するCheryなども含めて、中国勢が2025年シーズンにどれほど販売規模を伸ばしてくるのか。さらに国産メーカーとして急速にプレゼンスを高めてきているToggを含めて、既存の欧州メーカーやトヨタに対する中国勢と現地メーカーという三つ巴の戦いには俄然目が離せません。

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