従来とは異なるサービスが求められる
しかし、ボディコーティングなども含め、クルマ全般のサービスを提供する拠点になるといった新しい発想が、EV時代になっても整備事業を継続できる道を模索することにならないだろうか。
頻繁に充電に訪れる顧客が増えれば、タイヤ交換を相談するといった商談につながるかもしれない。そのために、普段から充電のついでにタイヤの空気圧点検をサービスするというような、利用者との結びつきが大切になるだろう。
また、EVといえども、補器バッテリーは必要で、それもリチウムイオンバッテリーで対応できる時代となれば別だが、鉛酸バッテリーを使っている間は、数年ごとの定期的な交換が必要になるはずだ。
通信を通じてクルマの様子がメーカーに伝わりやすいのがEVである。空気圧の変化や補器バッテリーの劣化なども、将来的には、情報としてメーカーが把握できるようになっていくだろう。そしてインターネットで、EV利用者へ伝えられるはずだ。
メーカーから、インターネットで空気圧やバッテリーについての情報が入ったとき、充電器のあるなじみの整備拠点で相談し、充電するついでに交換してもらうといった考えも起こるかもしれない。ここは、販売店のサービス工場との競争関係になるだろう。
さらに将来的には、車庫に止まっているEVに出張整備するといったことも考えられる。米国では、テスラが路上で整備や補修をするといった試みを行ってきた。オイルやガソリンといった油脂や危険物を用いない分、あらゆる場所で整備や修理ができるのがEVである。よほどの大ごとでなければ、出張サービスは、EV所有者にとって無駄な時間を省く利便性にもつながるはずだ。
クルマ周辺のサービスや整備などについて、つい、これまでのやり方を基準に考えがちだ。しかし、EVは別物という発想で、より消費者が便利で安価に安心して乗り続けられることを考えると、充電の仕方も保守点検や整備も、新しいやり方が必要になるのだと思う。