2025年4月
TEXT:御堀直嗣
リチウムバッテリーは暑いのも寒いのも苦手! EVの性能はバッテリーの温度管理で大きく変わる!!

冬はEVの一充電走行距離が短くなる 電気自動車(EV)で使われるリチウムイオンバッテリーは、人間が快適に暮らせる温度が適しているといわれる。つまり、極寒や酷暑は苦手だ。EVが寒さや暑さを苦手とするのは、バッテリー特性に負うところが大きいだろう。 とくに寒い冬は、EVの一充電走行距離が短くなるといわれる。理由は、低温になると電圧が低下するからである。走行に必要な電力は、電圧×電流なので、電圧が下がれば電力量が減り、そのぶん走れる距離が短くならざるを得ない。 対応策を理解するとき、背景となるのは、やはり人間と同じような環境で最適な性能を発揮するという、リチウムイオンバッテリーの特性だろう。 人間も、寒さで体が硬くなれば、事前にウォーミングアップをすることで、いつもどおりの活動ができるようになる。リチウムイオンバッテリーの充放電は、正(+)負(-)の電極間をイオンが往復することで行われる。したがって、イオンが移動しやすい温度環境を整えることが大切だ。 かつて、発売当初の市販EVは、バッテリーを空冷していたので、停車中を含め意図的な温度管理をできずにいた。走ったとき、走行風で冷やすという効果しか望めなかったのだ。極寒の地では、気温が下がっただけバッテリーが冷えてしまう。つまり、イオンが電極間を移動しにくくなる。移動が鈍れば、電圧が下がる。 対策は、バッテリー温度を下げ過ぎないことで、空冷に替えて液冷を導入することにより、冷媒を温めれば、バッテリーを温度低下から守ることができる。 とはいえ、空冷ではダメということではない。空冷であることを通じて、廃車後のリチウムイオンバッテリー再利用のため、セル単位に分解しやすいことを視野に入れていた。クルマとして最適なだけでなく、リチウムイオンバッテリーという高価な部品を使い尽くすための視点が、EVでは不可欠なのだ。液冷式となった今日も、EV後の再利用を視野に、バッテリーケースの設計を行う必要がある。 リチウムイオンバッテリーの再利用を重視する理由は、廃車後も、なお70%近い容量を残しているからだ。これを定置型の電気施設などで再利用しない手はない。たとえば太陽光や風力など、再生可能エネルギーによる発電の電力を貯めておくのに使える。

TAG: #バッテリー #リチウムイオンバッテリー
TEXT:琴條孝詩
「正直言って日本でEVって不便でしょ?」の問いにオーナーが本音で答える! 「昔と違っていまはネガをほとんど感じない」

「充電は給油よりも便利」と感じている人が多数 電気自動車(EV)の普及が進むなか、多くの人が興味をもっているが、まだまだ実際に購入には至っていない現状がある。それは、充電やメンテナンス、バッテリーの劣化に関する不安があるからだ。本稿では、日々進化するEV技術やインフラの最新情報を踏まえ、これらの懸念点について、実際のEVオーナーである筆者はじめ、そのほかSNSなどのポストなどの情報を交えながら解説しよう。 <充電インフラの拡充と利便性の向上> EVの普及に伴い、日本国内の充電インフラは着実に整備されつつある。経済産業省の調べでは、2023年末時点で、ガソリンスタンド数は2万7414カ所、それに対してEV充電スタンド情報サイトの報告では、2025年3月時点でEV充電スタンドの数は2万5876カ所に達し、ガソリンスタンドの数に迫る勢いを見せている。充電口数としては約4万7000口だが、政府は2030年までに30万口の充電設備設置を目標としており、今後さらなる拡充が期待される。 いまだEVの購入に踏み切れない人に対して、実際のEVオーナーの多くは充電に関する問題はほとんど感じていないというリポートも多数見受けられる。日常的な使用においては、自宅での夜間充電で十分であり、長距離移動の際も事前に充電スポットを確認することで問題なく対応できるという。 NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社によると、2024年度から2025年度にかけて、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアに約430口の急速充電器が増設される予定である。これにより長距離移動時の充電不安はさらに軽減されるだろう。 EVオーナーのなかには「充電は給油よりも便利」と感じている人も多い。自宅で充電できることや、買い物先や目的地で充電できるスポットが増えていることが理由として挙げられている。また、専用アプリやGoogle Mapを使用することで、近くの充電スタンドを簡単に見つけられるようになったことも利便性向上に貢献している。

TAG: #メンテナンス #充電
TEXT:渡辺陽一郎
ガソリン代高騰のいま「コストでEV」を選ぶのはアリ! EVはどこまで安く乗れるのか計算してみた

EVは走行コストに優れる 電気料金にはさまざまなプランがある。電気自動車の保有に有利な夜間(午後9時から翌日の午前9時までなど)の電力料金を割安にしたプランもあるが、東京電力の従量電灯BやCなどの一般的な価格は、1kWh当たり約30円といった設定だ。 日産リーフの場合、駆動用リチウムイオン電池の容量には、40kWhと60kWhがある。40kWh仕様の場合、満充電にすると電気代は約1200円だ。40kWhで走行できる距離は、WLTCモードで322kmになる。そうなると1km走行当たりのコストは3.7円だ。 ちなみにハイブリッドのトヨタ・プリウスGやZは、WLTCモード燃費が28.6km/Lになる。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円とすれば、1km当たりの走行コストは5.9円だ。 トヨタ・ヤリスハイブリッドXは、WLTCモード燃費が36km/L。レギュラーガソリン価格が1リッター当たり170円なら、1km当たりの走行コストは4.7円に収まる。 ヤリスハイブリッドの走行コストは、リーフの3.7円に近いが、それでも安くはならない。ヤリスハイブリッドの走行コストがリーフを下まわるには、レギュラーガソリン価格が以前のように1リッター当たり130円程度まで値下げされることが条件だ。 このように、電気自動車の走行コストは、燃費効率の優れたハイブリッドと比べても安い。ガソリン価格が高騰する昨今では、ハイブリッドに対してさらに差を付けている。

TAG: #コスト #充電 #充電器
TEXT:高橋 優
BYDがまさかの水平対向エンジンを搭載! 誰も追いつけないバカッ速セダン「U7」の驚異の中身

BEVとEREVをラインアップ BYDの高級ブランドYangwangがフラグシップセダンのU7を発売しました。世界初となる完全な電磁サスペンションを採用しながら、中国メーカーとしては初めてとなる水平対向エンジンも採用するレンジエクステンダーシステムを開発。EV時代に世界をリードしているBYDの最前線を解説します。 まずYangwangについて、すでに大型SUVのU8、スーパースポーツのU9を発売中です。U8はレンジエクステンダーEV(EREV)であり、4輪にそれぞれモーターを搭載することでタンクターンなどを可能とする「e4プラットフォーム」を採用。さらに、「Disus-P」という独自内製の油圧制御サスペンションを採用することでオフロード走破性能を高めることに成功。そのうえ、緊急フロート機能では、30分間、水上を浮遊しながら、タイヤの駆動力を使って移動することが可能です。 U8は、2024年シーズンに7245台を発売することに成功しました。U8は109.8万元(約2200万円超)という超高級車であり、この販売台数はメルセデス・ベンツGクラス(5258台)とメルセデスAMG G(1863台)の合計や、レクサスGX(2990台)とLX(2674台)の合計台数と比較しても上まわっているという売れ行きです。 次に、U9はe4プラットフォームを採用しながら、さらにDisus-Xと名付けられたボディコントロールシステムを採用することで、サーキット走行などにおける車両の安定的な制御をはじめとして、タイヤがひとつ外れた状態でもボディを安定させて走行させることが可能です。 また、最高出力960kW、最大トルク1680Nm、0-100km/h加速も2.36秒を実現。ニュルでも7分17秒9というタイムを実現するなど、高い運動性能を発揮します。 そして、今回発売したのがフラグシップ大型セダンのU7です。U8・U9と同様にe4プラットフォームを採用したBEVであるとともに、EREVもラインアップ。 このラインアップ構成で問題となるのが、50kWh以上の電池パックと4つのモーター、そして発電用の内燃エンジンをすべて搭載して、そのうえでセダンとしてのプロポーションを維持する必要があり、スペース効率を引き上げる必要があるという点です。 そして、BYDが初めて採用したのが発電用水平対向エンジンです。現在水平対向エンジンはポルシェとスバルくらいしか開発しておらず、中国メーカーとしては初めて採用してきました。水平対向エンジンの強みは、高さを抑えることによって、そのぶん重心点を引き下げられる点です。 その一方で、BYDがなぜ重心の低いEVのために、わざわざ水平対向エンジンを開発してきたのかというと、ボンネットの高さを抑えるためという点が挙げられます。U7はセダンでありながら、フロントにモーターをふたつ搭載する必要があり、高さ方向を抑えないとセダンとして成立しなくなるからです。 もちろん前面投影面積を抑えることは、EVの航続距離を改善するうえで極めて重要です。実際にU7は、空力性能を最大化することでCd値は0.195を実現しており、世界最高クラスの空力性能を誇ります。 いずれにしても、e4プラットフォームと空力に優れるセダン、そしてBEVとEREVを両方ラインアップする必要があるという点をすべて両立させるために、水平対向エンジンを一から設計開発する必要があったのです。

TAG: #セダン #新型車
TEXT:TET編集部
495万円からのプライスでこの性能と装備はヤバい! 国産SUVキラーのBYD「シーライオン7」が登場

 RWDとAWDの2タイプをラインアップ BYD Auto Japanは2025年4月15日、最新クロスオーバーSUV型EV「シーライオン 7」の国内販売を開始した。 価格は「シーライオン7」が495万円、「シーライオン7 AWD」が572万円。アッパーミドルSUV市場を席巻しそうな価格設定と充実装備で、早くも注目を集めている。 「シーライオン 7」は、2024年に日本上陸を果たした電動セダン「シール」をベースに開発されたクロスオーバーSUVだ。ボディサイズは全長4830mm、全幅1925mm、全高1620mm、ホイールベース2930mmと堂々たるプロポーションを誇り、Dセグメントらしい広々とした室内空間を確保している。 搭載されるのはBYD自社開発の「ブレードバッテリー」。容量は82.56kWhで、航続距離はRWDモデルが590km、AWDモデルでも540km(いずれもWLTCモード)を確保。さらに、最大105kWの受電能力を誇り、30分で約80%までチャージできる高性能仕様だ。 パワートレインは後輪駆動(RWD)と四輪駆動(AWD)の2種類を用意。RWDモデルはモーター最高出力230kW、最大トルク380Nmを発生し、0-100km/h加速は6.7秒。AWDモデルは前後モーターによるシステム合計390kW・690Nmのハイパワーを誇り、驚異の0-100km/h加速4.5秒を実現している。

TAG: #SUV #新車 #輸入車
TEXT:御堀直嗣
旧車に故障知らずで乗れるコンバートEV! ガチでやろうと思ったらどのぐらいのハードルがある?

EVコンバートによって旧車に乗り続けることができる 旧車の人気が高まっている。一方で、古くなればなるほど部品の入手に苦労することにもなる。よい状態で維持するには、それなりの費用や時間、あるいは人脈、知識が必要だ。 そうしたなか、旧車に永く乗り続ける方法として、EVコンバートがある。 コンバートとは、変更するとか転向するという意味で、たとえばスポーツであれば、ポジションを変えるときなどに使われる。 EVコンバートとは、電気自動車(EV)に変更することを指し、ひとつのカスタマイズともいえる。そしてEVに変更されたクルマを、コンバートEVと呼ぶ。 この言葉は、単にEVとコンバートの前後が入れ替わっただけの表現ではあるが、EVコンバートという場合は動詞的に変更する行為を指し、コンバートEVという場合は、EVへの改造を済ませたクルマという名詞的な表現で使われる。 エンジン車をEVに改造する電気関係の部品は、100万円ほどでキット化されているという。必要なのは、モーター、電力を調整するコンバーターや、インバーター(インバーターは直流と交流を切り替える装置)、そして駆動用バッテリーだ(バッテリーは別枠の予算になるだろう)。 そのうえで、車体からエンジンや変速機を下ろし、燃料計や排気系を取り外す。そして、EVのための電気系を取り付ける。エンジンのあった位置から駆動タイヤまで動力を伝えるうえで、積み替えたモーターから駆動タイヤまでの距離にエンジンのときと差が出る場合は、変速機をそのまま活用し、長さの調整とすることもある。 難関は、重く、体積を必要とする駆動用バッテリーの車載だ。

TAG: #EVコンバート #コンバートEV
TEXT:TET 編集部
日産が不況にあえいでいるのがまるで嘘のようなほど絶好調! 2024年に日本一売れたEVは3年連続で日産サクラだった

発売3年目の2024年でも2万台超えの人気ぶり 日産自動車は、軽自動車EV「サクラ」がすべての電気自動車(EV)を対象とした2024年度の国内販売台数トップを獲得したと発表。これにより、発売初年度の2022年度から3年連続のトップ獲得となった。 日本の自動車市場の常識を変えるゲームチェンジャー として、2022年度に日産が発売した「サクラ」は、新たなクルマの選択肢として選ばれ続けている。その結果、国内累計EV販売台数においても、約4割をサクラが占めるまでに至り、2024年度も年間2万832台を売り上げ好調を維持している。 軽自動車のEV「日産サクラ」は、洗練されたデザインに加え、小まわりの利く軽自動車ならではの特性や、EVの特長である静かでスムーズな加速を実現。それまでのEVとは異なり、手の届きやすい車両価格設定やランニングコストを抑えた経済性、運転支援機能の充実などが顧客から支持されている要因だと日産は分析している。 また、個人客のみならず、SDGsの実現に向けた取り組みとして、自治体や法人が導入する例が多いそうで、日産が掲げる「持続可能な社会の実現に向けて、競争力のあるEVを提供する」という目標を見事に体現している。それらの利用シーンは営業車や商品配送に留まらず、空港内での荷物輸送の牽引車などにも用いられ、環境負荷の高い事業用車両のEV転換を大きく後押ししている。 なお、サクラは価格と装備のバランスが良い中間グレード「X」が人気で、半数以上の購入者が選択しているという。また、ボディカラーはホワイトパールが一番人気、次いでスターリングシルバーとオーソドックスなカラーが上位に連なる。このあたりはまとまった台数を導入する事業用車両のニーズが反映した形なのかもしれない。 一方、CMやカタログに掲載されているサクラに用いられるイメージカラーだからだろうか、昨年追加された新色「シルキーライラック」も人気なのだという。こちらは一転して明るいカラーなだけに個人客の需要が人気を下支えしているといえそうだ。 必要十分な航続距離で、日本の道路事情に適した軽自動車規格のEV。年に数回の遠出よりも日常に軸足を置いて商品企画を行ったサクラは、目下ライバル車が見当たらないだけに、当面その地位は揺るぎそうにもない。

TAG: #サクラ #新車 #販売台数
TEXT:TET編集部
1度乗ればわかるJCWの圧倒的パフォーマンス! お台場にて「JCW RACING NIGHT presented by MINI」を5月9日に開催

MINI JCW全5モデルが一堂に会する特別な夜 さまざまなボディタイプに、エンジンのみならず複数のEVをラインアップするMINI。そのMINIのハイパフォーマンスモデル「JOHN COOPER WORKS(ジョン・クーパー・ワークス)」の全モデルを集めたオフィシャルイベント「JCW RACING NIGHT presented by MINI」が、東京はお台場のBMW GROUP Tokyo Bayにて、5月9日(金)に開催される。 このイベントでは、ジョンクーパーワークス(以下、JCW)の各モデルが備えるスリリングな世界観が体感できるという。 イベントホール内には、2月に発表されたばかりの最新モデル「MINIジョンクーパーワークスE」と「MINIジョンクーパーワークス・エースマンE」という2種類のEVを展示し、JCWの世界観が表現される。 屋外のイベントスペースでは、BMW M社公認のドライビング・エリアにJCW専用のコースが出現し、プロのレーシングドライバーによる同乗走行「レーシングタクシー」が行なわれる。JCWモデルが備える高いポテンシャルを体感できるスペシャルコンテンツなだけに、4月20日までの同乗走行申し込みには応募が殺到しそうな予感だ。 また、自身のドライブで一般道を試乗体験するコンテンツも用意される。こちらはエンジンモデルも含めたすべてのJCWモデルが用意される予定だというから、ボディ形状の違いによるフィーリングの確認や、「MINIジョンクーパーワークス」のガソリンエンジンモデルとEVモデルの比較検討など、気になるJCW同士を比べられる絶好の機会となるだろう。 「JCW RACING NIGHT presented by MINI」は無料で参加できるものの、事前に専用WEBサイトから参加申し込みが必要となる。また、募集人員に達し次第、申し込みが締め切りになるというので注意してほしい。 イベント概要ならびに展示・試乗モデル一覧 ■JCW RACING NIGHT presented by MINI概要 日時   :2025年5月9日(金) 開場18:30 開会19:00 終了21:00 場所   :BMW GROUP Tokyo Bay(東京都江東区青海2-2-15) 参加費  :無料 申込期間 :レーシング・タクシーへの同乗走行申込は2025年4月20日午後11:59まで イベントへの参加申込は2025年5月8日午後11:59まで 申込サイト:https://www.mini.jp/ja_JP/home/range/jcw-racing-night.html ※募集人員に達し次第、申込は締め切り <レーシング・タクシー同乗可能モデル(予定)> ・MINI JOHN COOPER WORKS ・MINI JOHN COOPER WORKS E ・MINI JOHN COOPER WORKS […]

TAG: #MINI #イベント #ジョンクーパーワークス
TEXT:山本晋也
EV買い替えたらアレ? ケーブル届かないじゃん! フロントだったりリヤだったり右に左にとEVの充電口が各車バラバラなのはなぜ?

EVの充電口の位置は同じメーカーでも統一されていない 日本で買えるEVもずいぶん増えてきた。多彩な選択肢があることはユーザーにとって歓迎すべき状態といえるが、EVが多様化することで、日々のカーライフ満足度を左右する問題も発生している。 それが「充電口の位置バラバラ問題」だ。 EVを運用する上で、充電は欠かせない行為。しかし、充電口の位置はまったく統一されていない。 日本で最初に普及したEVといえる日産リーフはフロント中央に充電リッドを配置しており、そこを開けると普通充電と急速充電が並んでいる。しかし、同じ日産でも最新世代のアリアになると、充電口はフロントフェンダーの左右にわけてレイアウトされている(運転席から見て、右が普通充電、左が急速充電)。一方、軽EVのサクラは運転席から見て右リヤフェンダー部分に普通充電と急速充電が並んでいる。 ちなみに、国産EVでいうとトヨタbZ4X/スバル・ソルテラはアリアと同様に運転席から見て、右フロントフェンダーに普通充電、左フロントフェンダーに急速充電というレイアウトを採用。レクサスRZはbZ4Xと同じレイアウトだが、レクサスUXになると運転席から見て、右リヤフェンダーに普通充電、左リヤフェンダーが急速充電という配置になる。ホンダの軽商用EV、N-VAN e:はフロントグリル内に普通充電と急速充電を並べている。 輸入車でいうと、テスラ・モデルYは運転席から見て、左テールランプ部分にスーパーチャージャー用ポートを置いているが、フォルクスワーゲンID.4やボルボEX30など欧州系EVでは右リヤフェンダーに充電口をレイアウトするパターンが多い。一方、BYDのラインアップを見ると、シールは右リヤフェンダーに置くが、ドルフィンとATTO3は右フロントフェンダーに充電口を配している。ヒョンデについてもアイオニック5は右リヤフェンダーだが、コナはフロントグリルに充電リッドをレイアウトしている。 このように、充電口の場所についてはメーカーごとにバラバラなだけでなく、同一メーカーでさえ統一されていないのが現状だ。 こうした違いはEVの使い勝手の悪さにもつながっている。とくにリーフのフロント充電リッドを前提に設置された旧タイプの急速充電を利用するときに、うまく駐車しないと、充電プラグが届かないだとか、充電ケーブルがボディにこすれてしまうだとかいった問題も起きているようだ。 しかしながら、充電口の位置が統一されないのには、いくつかの理由がある。

TAG: #充電 #充電口
TEXT:琴條孝詩
「サイバートラック乗りたいぞ」じゃあ並行輸入……とはいかない! エンジン車と違ってEVの並行輸入に存在する高いハードルとは

世界中で魅力的なEVが登場 電気自動車(EV)の時代が到来し、世界中で多種多様なEVが続々と発売されている。しかしその一方で、日本市場に導入されていないモデルも数多く存在する。従来の内燃機関(ICE)車であれば、並行輸入で海外モデルに乗る愛好家も少なくなかったが、EVの場合、並行輸入車をほとんど見かけない。なぜEVでは並行輸入が進まないのか、その理由と課題について探ってみよう。 <魅力的な海外EVモデルの登場> 2024年3月、中国の家電大手シャオミが初のEVセダン「SU7」を発表した。SU7は、最高出力673馬力、最大トルク838Nmという圧倒的なパワーを誇り、0-100km/h加速は2.78秒という驚異的な性能をもつ。さらに、最大航続距離は800km(中国のCLTC基準)に達し、急速充電では15分で510kmの航続距離を回復できるという。また、同12月、クロスオーバーSUV「YU7」を公開した。「YU7」は2025年に発売されるとしている。シャオミの高い性能と先進的なデザインをもったEVは、多くの自動車愛好家たちから注目されている。 一方、アメリカで注目を集めているのがテスラのサイバートラックだ。独特な未来的デザインと、最大1万1000ポンド(約5000kg)の牽引能力、最上位モデル(Cyberbeast)では0-60mph(約96km/h)加速が2.6秒という性能で、多くの日本人ドライバーたちも深い興味をもって見つめている。 しかし、これらの魅力的なEVモデルは、現時点で日本での正規販売の予定がない。 <EVの並行輸入を阻む高いハードル> ICE車の場合、並行輸入は比較的容易だった。しかし、EVの並行輸入には多くの障壁が存在する。まず、EV並行輸入の最大のハードルは充電インフラの互換性にある。日本国内の急速充電器の約80%が「CHAdeMO」規格に対応しているが、欧米や中国のEVの多くは「CCS」や「GB/T」を採用している。たとえ変換アダプタを使用したとしても、充電速度が50%以上低下する事例もあり、実用性が損なわれる。テスラのスーパーチャージャーに至っては自社ネットワークに依存するため、並行輸入車は原則利用不可能だ。さらに、家庭用充電設備の電圧差(日本は100V/200V、海外は220-240Vが主流)も無視できず、充電効率の低下や機器劣化のリスクがつきまとう。 また、EVのバッテリーは高電圧・大容量であり、安全基準への適合が極めて重要だ。日本の厳格な車両安全基準に適合されるには多額の費用と手続きがかかる。さらに、EVのソフトウェアアップデートや遠隔診断などのコネクテッド機能が、日本の通信規格や法規制に対応していない可能性もある。たとえば、自動運転機能の地図データ更新が地域制限にかかる可能性も高く、セキュリティアップデートが適用されないまま走行する危険性も無視できない。

TAG: #並行輸入 #輸入車

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