アイオニック5 N TA Specの最高出力は687馬力
ここにヒョンデが用意したのがアイオニック5 N TA Specで、TAはタイムアタックを表徴するという力の入れよう。タイムアタック仕様ということでより多くのダウンフォースを利用しようと、フロントチンスポイラーとリヤスポイラーが加えられ、ノーマルマシンとは一線を画しています。
また、ソフトウェアチューニングによってリヤモーターの出力が37馬力(27kW)へと強化され、最高出力687馬力へとジャンプアップ。さらに、筑波スペシャルといえる新たなショックアブソーバー、18インチのヨコハマADVAN 005スリックタイヤをチョイスしているあたり、タイムアタックに対するノウハウも万全といったところでしょう。
ちなみに、インテリアも抜かりなく、レカロの Pro Racer SPA Hansシート、サベルトの6点式Hansセーフティハーネス、Pikes Peak International Hillclimb(PPIHC)仕様のロールケージ、EV用消火システムなどが装備され、これなら筑波だけでなくあらゆるモータースポーツに参加できそうなモディファイです。
そして、タイムアタックにブッキングされたドライバーがスーパーGTのGT300クラスなどで活躍しているベテランの谷口信輝選手。これまでもAttack筑波において4つの大会歴代記録をマークしている谷口選手とはいえ、57秒446という記録は見事なもの。
「ノーマルから軽量化されているとはいえ、2トンあるマシンなので乗る前は車重が気になりましたが、コースに入ってみるとよく走ることに驚きました。よく曲がるし、よく止まる。タイムアタックに重要な性能が非常に高かった。そして、パワーの制御が素晴らしく、筑波のコースにマッチしていたことも記録の樹立に大きく貢献したと思います」
アタック後に谷口選手はこんなコメントを残しています。ちなみに、筆者は偶然にも筑波でテスト走行をしていたアイオニック5 N TA Specを目撃したのですが、その速さはもとより、タイヤが限界でグリップする音、バックストレートで空気を切り裂く音の凄まじさといったらありませんでした。速いなぁとは感じていたものの、まさかの57秒とは!
これからもヒョンデのEVパフォーマンスからは目が離せない、そんな印象が刻まれたのでした。