コラム
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北海道から埼玉まで1350kmを中国のEV「BYDシール」で走破! EVが苦手な極寒のなかで性能はどうなる?


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
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高速巡航における電費性能には改善の余地アリ

【走行3】紫波SA→国見SA(150kW充電器)

・走行距離:207.9km
・消費電力量:76.0%→1.7%
・平均電費:285.9Wh/km(3.50km/kWh)
・外気温(紫波SA→国見SA):-3℃→-3℃(最低-5℃)

国見SAには150kW級を含む合計4台のEVが同時充電可能な急速充電ステーションが設置されており、シールの最大の充電性能を発揮することができます。ちなみに、国見SAの手前の菅生SAにも90kW充電器が設置されているため、シールのような大容量バッテリー搭載車両でなくとも、90kW級を渡り歩いて関東方面に向かうことができます。

テストのようす

【走行4】国見SA→安達太良SA(90kW充電器)

・走行距離:55.5km
・消費電力量:44.3%→28.7%
・平均電費:224.9Wh/km(4.45km/kWh)
・外気温(国見SA→安達太良SA):-3℃→-6℃(最低-7℃)

安達太良SAには90kW充電器が2台設置されていますが充電していません。なぜ安達太良SAに立ち寄ったかというと、じつは往路でもまったく同じ区間を走行していたことから、この区間のみ、往路よりも速度を落として90km/hで走行することで、車速の違いによってどれほど電費に変化が出るのかを検証してみたかったからです。

テストのようす

往路の外気温はマイナス1〜マイナス2℃だったので、今回の復路のほうが若干厳しいコンディションです。往路では3.7km/kWhだったことから、平均車速を約20km/hほど落とすと、電費がおよそ16.8%改善することが判明しました。確かに一定程度効率性は改善したものの、期待以上の改善は場ではありませんでした。このことからも、シールは90km/hの巡航でもそこまで効率が高くない様子が見て取れると思います。

【走行5】安達太良SA→那須高原SA(150kW充電器)

・走行距離:66.2km
・消費電力量:28.7%→5.3%
・平均電費:282.8Wh/km(3.54km/kWh)
・外気温(安達太良SA→那須高原SA):-6℃→-5℃(最低-6℃)

那須高原SAには国見SAと同じく、150kW級を含む合計4台のEVが同時充電可能な急速充電ステーションが設置されています。1年前では90kW級以上の急速充電器もほとんど設置されていなかった東北道の充電インフラが見違えるように改善している様子を実感できます。

テストのようす

確かにシールAWDは冬場の高速走行が苦手であるものの、150kW級充電器があれば30分間の充電で200km弱ほどの航続距離を回復できるため、真冬でも2時間走って30分休憩&充電というサイクルで長距離を走行するようなイメージとなりそうです。

【走行6】那須高原SA→羽生PA(150kW充電器/ゴール)

・走行距離:120.4km
・消費電力量:54.7%→16.6%
・平均電費:253.2Wh/km(3.95km/kWh)
・外気温(那須高原SA→羽生SA):-5℃→-2℃(最低-5℃)

ついにゴールに設置した埼玉県の羽生PAに到着しました。札幌からの総走行距離はフェリーによる移動を除いて1000km超に及びました。ちなみに羽生PAにも150kW級を含む合計4台のEVが同時充電可能な急速充電ステーションが設置されています。また、那須高原SAからは標高差があって下りとなることで、その他の区間と比較しても若干電費が改善しています。

今回の札幌から埼玉までの1000km長距離走行を踏まえて、やはりBYDとしては高速巡航における電費性能改善の必要性が見て取れます。その一方で、充電性能は比較的安定していました。北海道遠征中にさまざまなシチュエーションで急速充電を行いましたが、寒さによって明らかに充電スピードが制限されてしまうなどという挙動は一切確認されませんでした。

テストのようす

また、シールAWDには可変ダンパーが搭載されていることもあり、高速道路の継ぎ目でもかなりマイルドな乗り心地を実現しています。

いずれにしても、凍結路面や低温環境下という真冬の北海道からの1000kmの移動でも、急速充電性能の安定性や乗り心地を含めて、中国製EVを使って快適に移動できることを実証する形になったと思います。

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