EV購入時には充電環境もチェックしたい
<充電器側のスペックが決め手>
EVの充電速度を左右する重要な要素として、充電器自体の性能もある。現在、日本の急速充電器の主流は50kW出力だが、最新の急速充電器のなかには150kW出力のものも増えている。
しかし、EV自体が150kWでの充電に対応していなければ、大出力の充電器を使用しても意味がない。ちなみに、日産サクラの急速充電の受入最大能力は30kWだ。そのため、最大出力50kWの急速充電器を利用しても、ましてや150kWの急速充電器でも、30分の充電量は最大で15kWh程度が目安となる。
また、その逆もある。たとえば、ある電気自動車が150kWでの充電に対応していても、充電器の出力が50kWであれば、そのスペックに合わせた充電速度となる。つまり、車両の充電能力を最大限活用するためには、対応する高出力の充電器を選ぶ必要がある。
テスラは、独自の急速充電器スーパーチャージャーを全国に設置していて、現在75kWから最大250kWの出力で充電できる。しかし、国内標準のCHAdeMO急速充電器を利用する場合、専用のアダプターを使用しなければならず、その場合、最大で50kWでしか充電できない。
加えて、高出力の急速充電器でも、隣でほかのEVが充電を始めると充電出力を“シェア”してしまい、出力が低下する場合がある。複数の急速充電器がある場合は、なるべく離れた充電器を利用するようにしたほうがいいだろう。
「30分で80%まで充電可能」といった謳い文句は、EVの普及を促進するうえで、非常に魅力的なセールスポイントであることは間違いない。しかし、その裏には、車種の充電性能、バッテリー容量、充電環境、充電器のスペックなど多くの要因によって変化するという、重要な事実が隠されている。
EVの購入を検討する際は、カタログに記載されている情報だけでなく、自身のライフスタイルに合った充電環境が整っているかどうかも、しっかりと見極めるようにしたい。