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普通充電も改善されている
筆者はこれまで、世界各地でEVのワイヤレス(非接触)充電に関する基礎研究や実証試験の現場を見てきたので、普及が進まないことはとても残念だ。
その上で、改めてEVの充電について考えてみると、EV開発者が懸念したのが「充電の手間」だ。そもそも、EVのワイヤレス充電は普通充電の手間を省くことがおもな目的だった。当初、自宅向けや事業所向けの普通充電でも、ケーブルはかなり太くて重かったからだ。それが、近年は技術革新によってケーブルもだいぶ軽くなり、充電の手間をあまり感じなくなったのではないだろうか。
また、サクラの商品訴求でも見られるように、自宅での普通充電を生活のなかでルーティーンとする人が増えてきた。
ルーティーンになれば、充電を手間として捉えなくなり、出力が6kWであれ、さらに低い3kWであれ、導入コストを重視するようになる。
こうなると、自宅でのワイヤレス充電普及の可能性は、当分の間はないだろうという見方が自動車業界から出ることも頷ける。
ただし、研究段階では走行中、または交差点での停止中のワイヤレス充電の実証実験が千葉県内で行われていたり、またタイヤ・ホイールにコイルを埋め込んだ形でのワイヤレス充電実証もタイヤメーカー等で進められている。
一方、車内ではスマートフォンのワイヤレス充電機能を装備する量産車が最近、徐々に増えているところだ。
EV本体の駆動用バッテリー向けワイヤレス充電についても、新たな技術によるブレークスルーにより、どこかのタイミングで普及が一気に進む可能性を、誰も否定できないだろう。
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