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EVにはこれまでのタイヤじゃ厳しい事情がある! 最近増えている「EV専用タイヤ」は何が違うのか?


TEXT:斎藤 聡 PHOTO:横浜ゴム/TET 編集部
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今後HLは浸透していくだろう

クルマのタイヤは1輪が受けもてる性能が限られています。これをロードインデックスという指数で表しています。

車重が増えるとタイヤの過重負荷は大きくなります。だから、一般的にはタイヤサイズ……インチアップや高偏平化、サイズアップ(ex:偏平率を50→55に225を245にあげる)などの方策をとるわけですが、クルマのタイヤハウスのサイズには限界があるので、タイヤのもつ荷重指数自体を高くした規格を作ったのです。

すでにエクストラロード(XL)とかレインフォースド(RFD)という規格があります。これはタイヤをインチアップして偏平率を下げると、空気量が少なくなってロードインデックスが小さくなるタイヤサイズが一部に出てきたのです。XL、RFDはこれに対処するための規格でした。

HLはインチアップではなく物理的に車重が増し、タイヤサイズの拡大ができない、あるいはやりにくいEVに対応した規格です。まだ一般的には浸透していませんが、少しずつ広がっていくのではないかと思います。

HLのタイヤのイメージ

これは従来と異なる規格のEV用タイヤという話でしたが、現在売られているタイヤでも、EVへの装着を想定したタイヤも徐々に増えています。

ミシュランではフラッグシップタイヤであるパイロットスポーツにパイロットスポーツEVを用意していますし、コンチネンタルタイヤでは昨年(2023年)発売したプレミアムコンタクト7を、EV時代を意識したプレミアムタイヤと位置付けています。

パイロットスポーツEV

また、ピレリでもEV向けタイヤとしてP ZERO Eを設定するほか、EV対応設計としてElectタイヤを各タイヤブランドに設定しています。ピレリではスタンダートダイヤとElectタイヤで構造を変えており、タイヤの接地面形状まで変え、より均一に接地面圧が得られるように設計されています。

P-ZERO E

ユニークなところでは、ノキアンタイヤはウインタータイヤ=ハッカペリッタR5 EVを設定。スタンダードモデルやSUVモデルとコンパウンドを変え、耐摩耗性を高めるなどEVとのマッチングが図られています。

ハッカペリッタR5 EV

もちろん国産タイヤメーカーでもEV用タイヤの開発は行われていて、ブリヂストンではエコピアEV01を発売していますし、横浜ゴムからもアドバンスポーツEVが発売になっています。また、ダンロップのEV用タイヤeスポーツマックスはクラウンセダンの新車装着用タイヤとして採用されています。トーヨータイヤからはSUV&ピックアップトラックEV用オールテレーンタイヤ=オープンカントリーA/TIII EVを発売するなど、じつは専用開発タイヤも多くリリースされているのです。

トヨタ・クラウンセダン

EVの重さ、駆動トルク、静かさはタイヤ開発の上で少なからず問題となっているので、これに対応したタイヤの開発もじつは粛々と進められているというわけなのです。

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