#タイヤ
TEXT:斎藤 聡
EVにはこれまでのタイヤじゃ厳しい事情がある! 最近増えている「EV専用タイヤ」は何が違うのか?

EVのタイヤには多くの性能が求められる 欧州から始まった急激なEV化の波は、世界中の自動車メーカーを混乱に巻き込み、一部にほころびを見せながらも、徐々に浸透してきています。私見ですが、この先すべてのクルマがEVになるなんてことはないと思いますが、それなりに真剣に自動車メーカーがEV開発に取り組んだ結果、EVならではの優位点というのも見えてきて、この先も一定数のEV需要が見込めるのではないかと思っています。 やや強引に我々の生活のなかに入り込んできた感のあるEVですが、先にも述べたように内燃機関に比べ明らかな優位点があります。たとえば静粛性。音源はモーターの駆動音だけですから静粛性は抜群です。また、極低速トルクが太いのも特長に挙げていいと思います。車重は内燃機関の乗用車に比べ200~300kg程度は重くなりますが、低速トルクがぶ厚いので、案外スルスルと走り出すことができます。 その一方、デメリットももちろんあります。とくにタイヤという視点から見ると、車重増加によるタイヤの負荷増大は見逃せません。静粛性のよさも、タイヤノイズを隠せないので、克服すべき問題となります。 電費をよくするための転がり抵抗の低減もタイヤに求められる性能です。転がり抵抗が少なくなると、ウエットグリップとの両立が難しい問題となります。 低速トルクの厚いモーターは、発進時のタイヤの負担が大きくなります。重い車重と合わせて、タイヤの摩耗も克服しなくてはならない問題となります。 こうやってあげつらってみただけでも、従来の乗用車用タイヤに加えて、さまざまな性能が求められていることがわかります。 整理すると、問題点として挙がるのは、ケース剛性(耐荷重性)、耐摩耗性、転がり抵抗、静粛性、といったところでしょうか。 当然ながらタイヤメーカーでも対応は順次進められています。そんななか、規格として素早く形になったのが欧州のタイヤ規格でEV用に作られたHLとかHLCと表記される「ハイロードキャパシティ」規格です。

TAG: #HL #HLC #タイヤ
TEXT:烏山 大輔
横浜ゴム、EV専用タイヤ「ADVAN Sport EV」を発売。電動車対応タイヤを示す独自のマーク「E+」も導入

横浜ゴムは、2023年秋頃から欧州などで、EV専用のウルトラハイパフォーマンスサマータイヤ「ADVAN Sport EV(アドバン・スポーツ・イーブイ)」を順次発売する計画を発表した。サイズは18インチ〜22インチ、16サイズを予定している。 ハイパフォーマンス向けタイヤからデザイン・技術を踏襲 「ADVAN Sport EV」は、横浜ゴムが提供するハイパフォーマンスカー向けタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を基に、EVや電動車の代表的なニーズである「低電費」と「静粛性」に応えるために開発したタイヤだ。 横浜ゴムはすでに、BMWやメルセデスAMGなどのプレミアムEVを含む様々な電動車に対して新車装着用タイヤを供給しており、「ADVAN Sport EV」にはこれまでの開発で培った技術を注ぎ込んでいる。 「低電費」に関しては、低転がり抵抗のコンパウンドを採用することで航続距離の伸長を図っている。また、ウェット性能も高く、濡れた路面でも安全性を提供する。 「静粛性」については、専用設計のポリウレタンフォーム「SILENTFOAM(サイレントフォーム)」をタイヤの内面に貼り付けることで、路面の凹凸による空洞共鳴音を低減し、ノイズを減らして快適な車内空間を実現する。タイヤサイドには「SILENTFOAM」の刻印がある。 また、トレッドパターンは、ハイパフォーマンスカー向けのOEタイヤおよび市販用タイヤとして評価の高い「ADVAN Sport V107」のデザインを踏襲している。 EV対応商品であることを示す独自のマーク「E+」を導入 さらに、「ADVAN Sport EV」は、横浜ゴムが電動車に対応する商品を示すために採用する独自のマーク「E+(イー・プラス)」を持つ最初のタイヤとなる。 電動車に装着されるタイヤには、バッテリー搭載による高荷重やモーターによる高トルク出力への対応、エンジン音のない静かな電動車にふさわしい静粛性への対応、車両の電費・エネルギー消費効率向上、航続距離拡大への対応など特徴的なニーズがある。 この「E+」マークは、電動車の特徴的なニーズに対応する技術を搭載したタイヤに対して、タイヤサイドにマークを付けるだけでなく、カタログやウェブサイトなどで表示し、顧客のタイヤ選びをサポートする役割も果たす。 横浜ゴムは、2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)において、高付加価値商品の主力であるグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN」、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」、および「ウィンタータイヤ」の販売構成比率の最大化を目指していくことを発表済み。その実現のため、「ADVAN」と「GEOLANDAR」の新車装着を拡大し、商品開発に力を入れていくという。 「ADVAN Sport EV」発売サイズ

TAG: #タイヤ #横浜ゴム
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ブリヂストン、アメリカでEV向けタイヤ「トゥランザEV」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.05.24]

「フォード・マスタング・マッハE」と「テスラ」対応品から用意 航続距離の延伸が可能な高性能オールシーズン型 【THE 視点】ブリヂストンのアメリカ法人、ブリヂストン・アメリカズは、新タイヤ「トゥランザEV」を北米で発表した。 EVに最適化したタイヤで、「テスラ・モデル3」「モデルX」「モデルX」「モデルY」「フォード・マスタング・マッハE」用の5サイズを発売後、2024年までに残りの13のサイズを揃える予定。 「トゥランザEV」は、「ENLITEN」という独自技術を初採用したオールシーズン型のモデル。EVの車両特性を考慮した設計で、航続距離の延伸につながる転がり抵抗の低減や、トレッド面の耐摩耗性能・ノイズ低減機能を持つほか、濡れた路面でのハンドリングといったタイヤの本質的な性能も改善したという。 また、再生可能およびリサイクル素材を50%使用しているのも特徴。使用済みタイヤのカーボンのほか、ビニールや合成ゴム・大豆油などを使用している。 これまでのエコタイヤと言うと、転がり抵抗は少ないものの、乗り方によっては寿命が短くなり、雨の日のグリップ不足などウィークポイントもあった。 今回の「トゥランザEV」では、それらの改善に重点を置いているタイヤのため、これまでのEV用エコタイヤに比べて性能が大きく向上していると思われる。ちなみにオールシーズンタイヤは日本ではあまり馴染みがないが、北米ではメジャーな存在で装着率は非常に高い。 ちなみに製品名の「TURANZA」は「TOURING POTENZA」が由来である。単なるエコタイヤというわけではなく、ある程度のスポーツ性能も有するなど、幅広いシーンでの走行を想定したタイヤに仕上がっているはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★シトロエン、小型EV「マイ・アミ・バギー」の新限定車をヨーロッパで発表……6月20日発売、1万490ユーロ(約156万円)[詳細はこちら<click>] ★★ヒョンデ、イタリアで「Nヴィジョン74コンセプト」を公開……クラシックカーの祭典「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラデステ」にて[詳細はこちら<click>] ★★キャデラック、新型EV「エスカレードIQ」の登場を予告……2023年後半に発表、車名の伝統を受け継いだ高級SUV ★EV新興メーカーのE3モビリティ、小型ソーラーパネルのEV用充電器を開発……ソーラーの電力を100%活用、工事不要で災害時にも有用 ★アウディ、正規販売店「Audi 大垣」<岐阜県岐阜市>を移転リニューアルオープン……最高出力150kWの急速充電器を設置 ★ユタカ技研、次世代小型モビリティ向け汎用フレームを開発……新興EVメーカーのE3モビリティに提供、溶接要らずで組み立て・固定可能 ★ビー・アンド・プラス、EVフォークリフトなどをワイヤレス充電化するキットを発売……電動搬送車にも対応、最高出力2kWの充電が可能 ★テスラ、認定中古車フェア開催中……「テスラセンター千葉稲毛」<千葉県千葉市>にて「モデルS」「モデルX」の認定中古車に試乗可能、5月28日(日)まで ★メルセデス・ベンツ、電動キックボード「メルセデスAMG Eスクーター」を本国で発表……最高速度20km/h、航続距離40km ★ブレイズ、EVバイクを「アピタ戸塚店」<神奈川県横浜市>にて展示販売……「スマートEV」「EVスクーター」の2機種を用意

TAG: #THE視点 #タイヤ #ブリヂストン
TEXT:TET編集部
横浜ゴムがEVなど高重量車両に対応するHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産・販売を開始

横浜ゴム株式会社は、大容量バッテリーを搭載するEV(電気自動車)、ハイブリッド車、大型SUVなど車体が重い車両を支えられる、高い負荷能力を備えるHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産および販売を開始したと発表した。 当初は新車装着用の導入を先行して進め、将来的にはアフターマーケットで販売される製品にも拡大する。 HLCタイヤは、従来のXL(エクストラ・ロード)規格タイヤを上回る負荷能力と諸性能を備える新たなタイヤサイズとして、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organization:欧州タイヤおよびリム技術機構)規格に定められた。タイヤサイズ表示の先頭に「HL」と表示される。 275/35R23サイズにおける負荷能力を比較した場合、XLタイヤが900kg(ロードインデックス104)であるのに対し、HLCタイヤでは1,000kg(ロードインデックス108)に拡大する。 HLCタイヤの設計には、荷重耐久性を高めながら静粛性や操縦安定性を確保する、高度な技術が求められる。横浜ゴムは高荷重に対応するシミュレーションを繰り返し、従来のタイヤに比べて高荷重時の発熱量とひずみが少ないHLCタイヤ専用のプロファイルを開発した。 写真は大きな荷重がかかった時の発熱量とひずみの比較シミュレーション・イメージ。左が通常タイヤ、右がHLCタイヤ。HLCタイヤの方が発熱量とひずみが小さく、荷重耐久性が高い。 HL規格のタイヤはピレリ、ミシュラン、コンチネンタルなどのメーカーも開発を表明している。将来的にEVが主体の時代になってもさらなる高性能化や重量増が見込まれることを見据えたかたちだが、車両メーカー側にも車重の増加を抑えながらドライビング・プレジャーを高める努力が望まれる。

TAG: #タイヤ #横浜ゴム
TEXT:烏山 大輔
ファルケンのEV専用タイヤ「e.ZIEX(イージークス)」、2023年3月欧州で販売開始

ファルケンタイヤはEV専用の新製品「e.ZIEX」を2023年3月に欧州で販売を開始する。「e.ZIEX」は航続距離を最大限に伸ばすため、転がり抵抗を抑え電費を向上させるために設計されたタイヤである。昨年5月にドイツで開催された「The Tire Cologne2022」で初公開された。 e.ZIEXは、住友ゴムグループがこれまでに開発した中で最高レベルの低電費性能を誇るタイヤの一つだ。販売開始時は17~21インチの11サイズで展開する。2024年にはサイズを追加し、より幅広いラインナップとする予定である。 独自の材料開発技術「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を使用 「ADVANCED 4D NANO DESIGN」は、相反性能であるタイヤの三大性能(低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能)を高い次元で両立するための技術。ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることが可能だ。この技術を使用し、低電費性能とグリップ力の両方を向上させるゴムの配合を開発した。 またサイドウォールに近いショルダー部分のトレッドの幅を狭め、タイヤの輪郭を最適化し、路面との接地圧を均等化し耐荷重性能を向上させた。これによりウェットコンディションとドライコンディションの両方でタイヤのグリップレベルが向上し、タイヤが均一に摩耗することでタイヤの寿命を延ばすことができる。 走行時の快適性の追求 EVはエンジン音がしないため路面やタイヤからのノイズを感じやすいと言われている。EVの走行時の快適性を追求した「e.ZIEX」は、シームレスで連続したサイプエッジの接触により、タイヤのノイズレベルを大幅に低減している。これは、先進のオフセットトレッドグルーブ配置によって実現された。ファルケンの最先端技術であるSILENT COREも、タイヤのノイズを低減するために機能しており、タイヤ内部のポリウレタンフォーム層が、e.ZIEXの空洞共振を大幅に低減する。 e.ZIEXは、EUの暫定的なラベル分類により、燃費が「A」、ウェットグリップが「A」、騒音が69dBで「A」といずれも最高ランクに分類されている。 まずはEVの発売が続いている欧州での販売開始とのことだが、日本での取り扱い開始も期待したい。EV専用タイヤは交換時の購入コストが高いとの声もあるので、価格設定によってはEVオーナーの維持費を助けるタイヤになるかもしれない。

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