採用するのは最先端バッテリー「液浸冷却バッテリーパック」
現在、日本のVTホールディングスの傘下にいる英国の老舗ライトウェイトスポーツカーメーカーのケータハムは、次世代のEVスポーツクーペ開発計画「プロジェクトV」を進めている。
「プロジェクトV」は、ライトウェイトスポーツ、シンプル、ファン・トゥ・ドライブという、ケータハムのドライビングプレジャーを最重視するDNAを受け継ぐEVスポーツクーペであるとケータハムは説明している。現在は量産・市販化に向けて、開発パートナー各社と、2025年の完成を目指してプロトタイプ車両の開発・製作が進行中だ。
そして2024年12月9日、今年10月にEVの主要コンポーネントである「eアクスル」の供給をヤマハ発動機から受けることを発表したのに続き、バッテリーに台湾のXing Mobility Inc.(シン・モビリティー)が開発した最先端の車載バッテリー冷却技術である「液浸冷却バッテリーパック」を採用することが、VTホールディングスから発表された。これによりプロジェクトVの主要部分が徐々に明らかになってきた。
シン・モビリティーが開発した液浸冷却バッテリー「IMMERSIO™ Cell-to-Pack (CTP)」は、優れた放熱性、安全性、そして高いエネルギー密度を特徴としたバッテリーパックなのだという。バッテリーのセルを誘電性の液体に浸す液浸冷却技術で、迅速かつ均一に放熱することで高い安全性を誇り、最大200Wh/kgというトップクラスのエネルギー密度を実現しているそうだ。
シン・モビリティーというまだまだ聞き馴染みのない会社ではあるが、テスラとパナソニックの元技術者によって2015年に設立された、台湾に生産工場を持つバッテリーパックメーカーであり、液浸冷却バッテリー技術においては世界的な先進企業なのだという。
日本との関係も浅からぬもので、チューニングパーツの製造開発の大手メーカーで、近年はEV用交換式バッテリーパックの開発およびその実証事業など、サステナブル商品にも力を注ぐエッチ・ケー・エスと、EV事業における戦略的協業を発表している。
ケータハムのプロジェクトVは、ただライトウェイトEVスポーツクーペを開発するという単純な話ではなさそうだ。こうした液浸冷却バッテリーにみられる最先端技術を取り入れた、非常に高度なスポーツクーペになるのかもしれない。2025年1月の東京オートサロンでは、再びプロトタイプが展示されるということなので、さらに開発が進展していることを期待したい。