#スポーツカー
TEXT:TET 編集部
ケータハムの次期スポーツカー「プロジェクトV」にヤマハが参画! パワートレインの主役となるeアクスルを独自開発

次期ケータハムのスポーツカーはヤマハとの共作 愛知県名古屋市に本社を構えるVTホールディングスと、静岡県磐田市に本社を構えるヤマハ発動機は、VTホールディングス傘下の英国スポーツカーメーカーCaterham EVo Limited(以下、ケータハム)が量産・市販化に向けて開発を進めている新型EVスポーツクーペ・プロジェクト(以下、プロジェクトV)に、ヤマハ発動機がパートナーとして参画し、協業を進めていくことを2024年10月2日に発表した。 ケータハムは、ライトウェイトスポーツカーとして人気が高かった「ロータス・セブン」の生産をロータス自身が止めるのに際し、そのセブンの生産権や生産に必要な治具などを買い取り、ケーターハム版のセブンを誕生させたことで有名なイギリスのスポーツカーメーカーだ。1970年代から基本的な構造は変えず、生産と進化を続けてきたものの、内燃機関を搭載することが将来的には難しくなることを見越して、新たなEVの開発が計画された。 そうして「プロジェクトV」と名づけられたEVの開発計画により誕生したコンセプトカーが、2023年7月の英国グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界初公開された。日本でも2024年1月の東京オートサロンで展示が行われ、このイタルデザインの手による流麗なEVスポーツクーペの姿をご記憶の方も多いのではないだろうか。 「プロジェクトV」は、ライトウェイト、シンプル、ファン・トゥ・ドライブという、ケータハムのドライビングプレジャーを最重視するDNAを受け継ぐEVスポーツクーペだとVTホールディングスは述べている。現在、量産・市販化に向けてケータハムは東京R&Dとプロトタイプ車両の開発・製作を進めており、プロトタイプ車両の完成目標は2025年央頃と発表されている。 東京R&Dは、自動車の試作・設計、材料実験などを業務とする一方、2000年代には少量生産モデルのライトウェイトスポーツカー「VEMAC(ヴィーマック)」を誕生させたり、1980年代前半から電気自動車の自主研究に乗り出すなど、ケータハムが進める「プロジェクトV」のパートナーとしてこれ以上望み得ない強力なパートナー企業である。 一方、今回発表された協業パートナーのヤマハ発動機が果たす役割とは何か。それはEVのパワートレイン主要部に当たる「eアクスル」を独自に開発し、その試作品をケータハムと東京R&Dが開発・生産を進めるプロトタイプ車両向けに供給することだ。さらに、車両の運動制御においてもヤマハ発動機の技術・知見を提供し、”Caterham Powered by Yamaha Motor” を実現すると意気込む。 2023年7月の「プロジェクトV」計画発表時、パワートレインはリヤアクスルに搭載する200kW(272馬力)のシングルモーターと、55kWhリチウムイオン・バッテリーの組み合わせとされ、0-100km/h加速は4.5秒未満、推定最高速度は230km/hを目標に据えていることが明かされている。しかし、ヤマハ発動機と協業することにより、この目標値に変化が生じるのかは今回の発表で言及されていない。 2021年に日本のVTホールディングス傘下となり、変革を推し進めるケータハム。そこに日本が誇るモビリティ関連企業の東京R&Dとヤマハ発動機がジョイントすることで、どのようなシナジーが生み出されるのか、「プロジェクトV」の将来が楽しみでならない。

TAG: #VTホールディングス #ケータハム #スポーツカー #ヤマハ発動機 #東京R&D
TEXT:遠藤正賢
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来

ロータスのロータスのアジア太平洋地区担当CEOにインタビュー 2017年に中国のジーリーホールディングスグループ傘下となって以降、BEVラインアップの拡大、そしてグローバルでの市場拡大を急速に進めているロータス。 グループ・ロータスのアジア太平洋・中東・アフリカ担当社長兼CEO、ダン・バーマー氏が来日し、BEVメーカーに生まれ変わろうとしている今後のロータスについて本誌に語った。 ──2017年にジーリー傘下となって以降、どのようなシナジー効果が得られたとお考えですか? バーマー:ジーリー社がロータス社の最大の株主となりましたが、ジーリー社はロータス社のブランド、歴史、伝統を保ちたいという自立性をよく理解してくれています。同時にロータスとしてはジーリーの技術や投資、リソースを活用できるような関係性となっています。 ジーリーはボルボやポールスターもそうですが、それぞれのブランドのアイデンティティを損なうことなく成長させることに成功しています。我々としても、ブランドとしていままでの伝統、歴史を損なうことなく、継続的な成長が達成できると確信しています。 そしてロータスとして、経営面だけではなく事業全体でグローバルな体制を整えており、ルーツはイギリスですが、現在は真のグローバルブランドとして成長しています。 ──ロータスが電動化へと大きく舵を切った理由を改めて説明していただけますでしょうか? バーマー:我々としては、世界中で起きている電動化の動きを十分に認識しています。たとえばテスラやルシッド、リヴィアンなど、中国でもNEV(新エネルギー車)を含めて多くのスタートアップが起業しています。 ですが、ロータスとしては、我々の伝統や歴史、ストーリー性を絶対に失いたくありません。そこで何ができるかというと、大きいクルマ、SUVやGT=スポーツセダンが、パッケージ的にも車格的にも電動化にふさわしいと考えています。 とくにここ5年間ほどはSUVの電動化が進んでいるので、成長がもっとも大きいその市場において、マーケット性があるクルマを作りたいということで、エレトレを開発してきました。 ──電動車の販売動向は? バーマー:電動車に関しては、エレトレの日本仕様をすでに発表していますが、まだ路上で見かけることはないと思われるものの、今年の後半には徐々に増えてくると思います。 ほかの地域でも販売は進めていますがまだ早期の段階で、ひとついえるのは、韓国では今後どんどん導入が進むのではないかということです。タイやマレーシアでも非常に大きな反響を得ていますね。 ──日本市場のユーザーやファン層がロータスに求めるものは、ほかの市場とどのように異なるのでしょうか? バーマー:日本のお客さまはイギリスのお客さまと似ていて、ドライビングを楽しみたいという方が多いですね。道路も似ていて、たとえば箱根のような非常に運転が楽しめる道が多くあります。ですから走行性能やドライビングプレジャーを重視しているお客さまが多いと思います。 一方、我々の新しいBEVはコネクティビティ、オンラインナビ、リモート機能をふんだんに装備していますので、日本のユーザーにも技術的アピールができると思います。過去のロータス車にはそれらが決してありませんでしたので、最新の技術に魅力を感じてロータス車をご検討いただけるお客さまは今後増えていくと考えています。

TAG: #スーパーカー #スポーツカー #輸入車
TEXT:西川昇吾
日本導入も予定されている! 中国のライトウエイトEVスポーツ「SC-01」の全容とは

中国からまた新たなるEVスポーツカーが登場 大阪オートメッセでBEVのスポーツカーSC-01が日本初公開された。これまでに見たことがなかった新たなスポーツカーということで注目を集めていたが、このニューモデルはどんなメーカーがどんなコンセプトで作ったのか? 日本での販売はあるのか? 現段階でわかっていることを中心に紹介していく。 SC-01は中国のカスタムカーブランドである工匠派汽車科技(Tianjin Gongjiangpai Auto Technology)が初めて自社で開発と設計を手がけたモデルだ。工匠派汽車科技は「Feng Xiao Tong」という創設者が作り上げたブランドで、彼は中国の工業系大学である天津科技大学工学部で自動車工学を学んだ後に、工匠派汽車科技を立ち上げた。カスタムカーを手がけるだけでなく、現在ではラリーカーの開発なども行っているという。 そして、IoT機器大手企業である「Xiaomi」の出資を受け、自社開発のモデルを作ることとなった工匠派汽車科技。カスタムカーを手がけているブランドなだけに、SC-01は操る歓びやデザインを重視したスポーツカーとなっている。 高性能を予感させるデザインはデザイナーで共同創設者である「Hou Wen」氏によるもの。彼はドイツのシュツットガルト大学にて自動車デザインを専攻し、卒業後はヨーロッパのメーカーにてスポーツモデルの開発などに携わってきた。ヨーロッパの高性能モデルを思わせるようなデザインは、ドイツでの経験が生きているからこそといえるだろう。 インテリアは非常にシンプル。可能な限り運転に必要なもののみを設置したといった印象だ。また、重量配分を気にしてか、センター寄りにオフセットしたシートも特徴的。スイッチ類はルーフ部分に集約されているのはレーシングカーを彷彿とさせる。 シャシーフレームは「He Jingming」氏が手がけた。彼は世界基準のツーリングカーレースであるWTCRR(現TCR)の開発にエンジニアとして携わった経験があるほか、日本向けのエアロパーツキットの技術責任者も務めた経験がある。モータースポーツの考え方が取り入れられたシャシーとなっているのだ。 モータースポーツの考え方が取り入れられていると述べたが、特徴的なのはスポーツカーでオーソドックスなモノコックやバスタブフレームを用いているのではなく、パイプフレームを採用している点だ。また、水平式プッシュロッドサスペンションを採用しているのもプロトタイプマシンを彷彿とさせる。 バッテリーはBEVによく見られる床下レイアウトではなく、シートとリヤモーターの間にレイアウトされる。これは、前後重量配分48:52やリヤトラクションにこだわったことによる部分もあるようだ。 また、BEVとして気になるのがバッテリー性能だ。バッテリー容量は60kWhとなっていて、航続距離はテスラなどと同じ測定方法で約500kmとなっている。ハイスペックをアピールするBEVと比べて、あまり大きくないバッテリー容量ながら、ある程度の航続距離が確保されているのは、1370kgという軽量な車両重量も影響していることだろう。 モーターは前後に配置され、総出力320kW、最大トルク560Nm。0‐100加速は2.95秒という俊足を誇る。 日本での販売は2025年度中を予定しているとのこと。販売元は興和産業だ。すでにヨーロッパでは認可の最終段階に入っているそうで、今年の春の発売を予定している。

TAG: #スポーツカー #中国車 #輸入車
TEXT:TET編集部
ヒョンデ史上最強のBEVが上陸! ハイパフォーマンスの象徴「N」の名を冠した「IONIQ5 N」を日本で初公開

ヒョンデ最強の「N」モデルが上陸! 11月16〜19日までの期間で、愛知県と岐阜県で開催されたWRC最終戦となる、フォーラム8ラリージャパン2023。今回は愛知県の企業であるトヨタが1〜3位の表彰台を独占する形で幕を閉じた。 そんなWRCであるが、Rally1と言われるトップカテゴリーを走るマシンは、先述の「トヨタ」と韓国の「ヒョンデ」、アメリカの「フォード」の3社だ。このうち、「トヨタ」と「ヒョンデ」は日本でも展開している自動車メーカーということで、今回のラリージャパンのメイン会場である豊田スタジアムでは特設ブースを建て、大盛り上がりとなっていた。 そのなかでも今回お伝えしたいのは、「ヒョンデブース」での展示だ。イベント広場では、入口(メインゲート)のほぼ真横、かなり広いブースとなっていたのが印象的であった。そしてその内部には、日本初上陸となる車両が2台展示されていた。 それが、本国で販売されたばかりだという「IONIQ5 N」だ。昨年日本でも販売され、その先進的なデザインが話題となったヒョンデのBEV「IONIQ5」をベースとし、ヒョンデのワークス部門「N」がチューニングしたというハイパフォーマンスモデルである。 「N」とは、他社でいうと、日産の「NISMO」やメルセデス・ベンツの「AMG」みたいなものだという。2012年から活動をスタートた比較的新しいブランドではあるが、その後は世界中のレース現場で技術を磨き、そのノウハウを市販車にフィードバックしてきたという。そして現在、WRCで年間チャンピオンを獲得するまでの域に成長しているのだ。 その「N」が手がける「IONIQ5 N」は、最高出力650馬力、0-100km/h加速は3.4秒、最高速は260km/hを誇るという文字通りのモンスターマシンとなっており、そのほかに3種類の電子音を使った排気音を奏でる演出や、回生力をコントロールできるパドルシフトなどが備わっている。また、大型の対向ブレーキなども備わっているなど、本格的なスポーツモデルなのだ。 なお、この650馬力という数値は、IONIQ5の最上位グレードの倍以上の出力である点にも注目だ(最上位モデルは前後モーター合わせて305馬力)。カラーは「パフォーマンスブルー」という「N」を象徴するカラーだという。 この「IONIQ5 N」は世界中でも注目されているマシンで、今年の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」ではデモランを実施したほか、「N」が特別に用意した油圧サイドブレーキを装備した「IONIQ5 N」で、ドリキンでお馴染みの土屋圭市氏がドリフトしている映像も公開されるなど、トピックだらけの1台だ。会場では、世界に2台だけのこのカスタムモデルも並べて展示されていた。 そんな「IONIQ5 N」だが、その場にいた関係者に話を聞いたところ、なんと日本での販売も予定しているという。マシンの詳細や展開時期などは未定だが、2024年度の前半をイメージしているそうだ。気になる価格に関しては「1000万円よりは全然安いはず」とだけ語ってくれた。 日本市場でBEVのハイパフォーマンスモデルがさらに増えるという嬉しいニュースなだけに、続報に期待したい。

TAG: #SUV #スポーツカー #ヒョンデ
TEXT:田中誠司
ハンドリングはピュアスポーツ 乗り心地は高級サルーン[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

素晴らしい乗り心地 パナメーラなどと同じく3チャンバー式エアスプリングと可変ダンパーを備えるタイカンの乗り心地は、素晴らしいの一言に尽きる。ただし、乗用車ではなくあくまでもスポーツカーの概念で設計されたシャシーであることを片時も忘れさせることはない。 どういうことかというと、例えばメルセデス・ベンツやBMWはがっしりした重いボディにしっかりしたラバーマウントを介してサスペンションの動きを返してくる。対してポルシェは同じボディサイズならより軽量で、快適性よりも軽さを優先しているから、路面の段差をサスペンションのコンプライアンスでごまかそうと言う意識が少なくなるのだろう。 できるだけサスペンションアームの長さを取って、理想的かつ精密に動くような形態とし、サスペンション自体の力で優れた乗り心地を見出そうとしていることがヒシヒシと感じられるのだ。 具体的には一つ一つの入力に対してボヨンとした反応が少なく、全てをびしっと受け止める。その上で精密に作られたコンプライアンスの少ないサスペンションピボットが限られた範囲だけ動く、という感じ。それゆえときに高級車らしくない衝撃を感じることもあるのだが、まぁそれは生まれ育ちの違いだと言うことで、ポルシェのオーナーになろうとする人ならば納得できる範囲であり、そういった一種のハードさをむしろオーナーの側が求めているのだと思える。まさにスポーツカー、あるいはレーシングカーの延長線上にあるのだと言うことをはっきり主張してくる乗り心地だ。 ワインディングロードにおいても、上記の印象は変わらない。走行モードを問わず、ステアリング操作に対して、あるいはブレーキの操作に対して非常に繊細なレスポンスを返してくれる。あらゆるシーンでドアが4枚付いた車だと言うことを忘れてしまうような鋭いレスポンスを発揮し、2380kgの重さを、少なくとも一般公道で走らせている限りは全く感じることがない。 使い勝手と電費 低く構えたサスペンションは、一部のスーパーカーのようにリフトさせることが可能になっている。前後のリップスポイラーがカーボンゆえコンビニの車止めにも気を使わせられるから、この機能は助かる。ただしホイールベースは2900mmと極端に長いので、山なりの路面では腹を擦らないように気をつける必要があるだろう。 クルーズコントロールの動作は、加減速や先行車をとらえた瞬間の動きなど十分にスムーズといえる。ドライバーの操作が途切れたときに自動操縦を中断してしまうまでの時間は、比較的短いようだ。 電費は、高速道路が8割、順調に流れている一般道が2割という比率で577.1kmを走り、平均で5.4km/kWhであった。平均速度は49km/hで、途中2度ほど継ぎ足し急速充電をしている。 結論 タイカン・ターボSは、ポルシェのスポーツカーとしての伝統を完璧に受け継ぎながら、4人の乗員と彼らのためのラゲッジを全て収容するパッケージングを持ち、充分すぎるほどの加速力も備える。世界的には911を上回る販売実績も納得の出来栄えであった。 そんな中であえて苦手分野をと問われれば、やはり航続距離だろう。自宅充電が可能な人であっても、出先での充電を避けたければ実質400km程度の旅が限界だろうし、大きなバッテリーは急速充電するにも時間がかかる。1時代前に比べればかなりいい線まで来ているとはいうものの、この点ばかりはポルシェにしても難しかったと捉えざるを得ない。充電拠点の少ない日本においてはなおさらである。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ
TEXT:田中誠司
ピュアスポーツの伝統を受け継ぐ4シーター[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

タイカン最新ラインナップの概要 ポルシェ初の量産BEVである「タイカン」は2019年にワールドプレミア、日本では2020年に発売された。スペック表の通りなかなかの大型セダンだが、乗車定員は4名と割り切っている。ただしオプションで5人乗りを選ぶこともできる。 パワートレーンは大きく2種類に分けられる。1モーター後輪駆動と2モーター4輪駆動だ。前者を用いるのは素の「タイカン」のみで、最大出力300kW/408ps。これがエントリーモデル的な扱いになっている。後者は最高出力の違いで390kW/530psの「4S」、440kW/598psの「GTS」、500kW/680psの「ターボ」、560kW/761psの「ターボS」の4機種を揃える。 今回乗ったのはパワーレベルの最も高い「ターボS」。ポルシェジャパンの駐車場で対面すると、ポルシェの市販車ラインナップ中で最も高価かつパワフルなものに与えられてきたグレード名だけあって、外観もとても引き締まって見える。素のタイカンのホイールは19インチだがターボSは21インチ。オプションのボディ同色リムから覗く巨大なブレーキディスクは、標準でPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)となる。 インテリアは、タイプ997以降のポルシェの流儀に従って整然としたレイアウトだ。ダッシュボードの中央にはクロノグラフが備わり、助手席前のパネルにはタッチスクリーン(いずれもオプション)が配置されるなど、テクノロジーを前面に打ち出している。一方で、センターコンソールにはカップホルダーとして丸い2つの穴が開いており、そこだけがあまりにもアナログな光景でユーモラスであった。     スリムなシートはターボSの場合、標準で18way調節機構付きで、実はポルシェのシートが苦手な筆者でも、長時間のドライブでどこも痛くならなかった。リアシートは2名分と割り切っているおかげで、フロントシートに劣らないパーソナライズ感がある。 ラゲッジスペースは、位置は高いが床はフラットだ。ボディ形状からはあまり期待できそうもないと想像してしまうが、ヒンジの形状がよく考えられており、有効に使える体積は思ったより大きい。メジャーで計測してみると幅x奥行きx高さは90〜148x104x45cmだった。BEVだけにフロントにも“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースがあり、こちらは55x30x36cmだった。 ターボSの車両本体価格は2468万円。これにボディ色アイスグレーメタリック39万6000円をはじめとする有償オプション28種544万4000円が加わり、試乗車は総額3012万4000円である。素のタイカン1286万円が破格にすら感じる。 強烈な加速 筆者は「タイカン4S」がデビューまもない頃に走らせたことがある。率直に言ってこの世のものとは思えないほど強烈な発進加速性能を持っていた。言い換えれば「これ以上もう何もいらない」という印象だったわけで、今回さらにハイパワーなターボSに乗っても、正直なところ公道上では加速性能に関してさほどの違いは感じられなかった。 カタログ上の0-100km/h加速は4Sの4秒フラットに対しターボSは2.8秒とかなり開きがあるが、いずれにしろ凄い領域なので胸のすくひまもない。テスラ・モデルSもそうだが0-100km/h加速2秒台というのは、もはやパワーユニットの性能というより路面の性能、つまり摩擦係数の問題になってくるのではないかと思える。 フィーリングとしては、かつて4Sを走らせた時に感じたような生々しい、電気自動車ならではのトルクの強烈さみたいなものを、むしろ最新モデルでは敢えて抑えているような印象を受けた。このことも、前述の格別な加速感を感じないことに一役買っているのかもしれない。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ
TEXT:TET 編集部
小さいながらも猛毒! BEV時代のホットハッチ。0-100km/h=7秒「アバルト 500e」が日本初公開

ステランティスジャパンは7月20日、アバルトブランド初のバッテリー電気自動車(BEV)「ABARTH 500e(アバルト チンクエチェント イー)」の国内販売開始に先駆けて、7月22日(土)および23日(日)に、新宿の東急歌舞伎町タワー前のステージ上で、実車を国内初披露すると発表した。 モーター出力は155ps、0-100km/h加速は7秒 コンパクトカーに高出力パワートレインを搭載し、足回りのポテンシャルも引き上げられた、“ホットハッチ”。BEV初のホットハッチとして昨年世界初公開されたのが、アバルト 500eだ。 パワートレインは、既に国内でもリース販売が開始されているフィアットのコンパクトEV「500e」をベースに、モーター出力は3割以上も引き上げられ(118ps→155ps)、0-100km/h加速7秒と、小さいながらも猛毒を持つサソリを思わせる。 さらに、ベースモデルよりフロントが30mm延長されたことでルックスの迫力が増すとともに空力性能が向上し、ロワーグリルの突起などサソリの脚をモチーフにしたディテールが各所に盛り込まれたことも相まって、アバルト 500eは電動時代のホットハッチにふさわしいデザインとなっている。 今回、本年秋と目される国内販売開始に先立って、新宿で公開されるのはコミュニケーションカラーでもあるアシッドグリーンにペイントされたアバルト 500e。オーシャングリーンのベースモデル500eと並べて展示され、ステランティスの電動車を国内のファンにアピールする。なお、今回の展示概要は下記のとおり。公開日は2日間限定で、アバルトファンならずとも要注目だ。 2023年7月22日(土)~23日(日) 10:00~18:00 東急歌舞伎町タワー内「KABUKICHO TOWER STAGE」(東京都新宿区歌舞伎町1丁⽬29番1) さらに、ステランティスジャパンでは公開されたばかりの新作映画「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」とコラボしたキャンペーンを展開中。新宿での実車展示に併せ、7月22日(土)の12:00~18:00まで新宿歌舞伎町タワービジョンにて、アバルト 500eとミッション:インポッシブルとのコラボレーションにより実現した、スペシャル動画が放映されるほか、7月21日(金)~8月4日(金)には全国24ヵ所の劇場でも、同映画の上映前にスペシャル動画が放映されるとのことだ。 >>>次ページ “これまで以上にアバルトらしい” 

TAG: #スポーツカー #ホットハッチ #発売前モデル
TEXT:TET 編集部
2024〜2025年に市販化。ケータハム、電動スポーツクーペのコンセプトカー「プロジェクトV」を発表

日本の自動車ディーラーグループ、VTホールディングス傘下の英「ケータハム」は7月12日、オールエレクトリック・クーペのコンセプトカー「プロジェクトV」を発表した。 軽量化技術により車重1,190kgを実現 スパルタンなスポーツモデル「スーパーセブン」を長年作り続けてきたケータハムが、電動化時代の幕開けを告げる新型クーペを誕生させる。事前予告を経てこのたび発表した「プロジェクトV」は、2025年後半から2026年前半に市場投入される新型EVのデザインコンセプト。このまま市販化されてもおかしくない完成度の高さを見せる。 ボディサイズは全長4,255mm、全幅1,893mm、全高1,226mmで、これはアルピーヌ「A110」を10センチ程ワイドにしたサイズ感だ。大きく膨らんだフロントフェンダー周りの造形や、張り出したリアホイールアーチなどが数値以上にふくよかな印象を与える。 デザインは、イタルデザインとの協業により実現したもの。そのエレガンスな佇まいは、ケータハム・デザインが新たな局面を迎えることを予感させる。 機関面では、スーパーセブン同様にケータハムらしい「軽量かつシンプル」なクルマ作りの哲学が貫かれている。シャシーとボディワークはカーボンファイバーとアルミニウムの複合構造とされ、EVながら車重は1,190kg(目標値)と実に軽量に仕上げられる。参考までにボディサイズが近い内燃機関車(ICE)のアルピーヌA110は1,100kg強であり、重量のかさむバッテリーを積みつつもこの車重が実現すれば、プロジェクトVの高い運動性能は約束されたようなものだろう。 パワートレインは、リアアクスルに搭載する200kW(272ps)のシングルモーターと55kWhリチウムイオン・バッテリーを組み合わせており、0-100km/h加速は4.5秒未満、推定最高速度は230km/hとされる。また、航続距離(WLTPモード)は400kmに達するとのことでロングドライブにも対応する。さらに、150kWのDC急速充電器を使えば、15分間で残量20%から80%にまで充電可能とのことだ。 >>>次ページ 英国価格での目標価格は1,450万円ほど

TAG: ##プロジェクトV #スポーツカー #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
MG、オープンスポーツEV「サイバースター」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.20]

日本でも人気のあった「MGF」の実質後継 2024年夏に欧州発売を明言 【THE 視点】MGは、「上海モーターショー」にてEVのスポーツカー「Cyberster(サイバースター)」を発表した。2024年の夏に英国とヨーロッパで発売される予定。MGの新たな時代の幕開けとなる重要モデルだ。 「サイバースター」は、2シーターのオープンカーで、強力なパワートレインと最先端のテクノロジーを備えている。上方に開くシザーズドアを備えているのも特徴。スポーツカーブランドとして名を馳せたMGブランドのイメージを再定義するモデルになる。 MGは1924年創業と歴史が古いイギリスのスポーツカーメーカー。日本においても古くから知名度の高いメーカーであったが、2005年に当時のMGローバー社が経営破綻し、その後中国メーカーの資本となり再建した。 今回発表された「サイバースター」は、MGでも後期に販売され日本でも人気を得ていた「MGF」のEV版ともいえる。 今回の発表では、英国を含むヨーロッパで発売とだけ発表されたが、日本にもMGファンは多い。「サイバースター」の日本導入を望む声も多いはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本自動車車体補修協会とナルネットコミュニケーションズ、協働で「EV整備ネットワーク」の構築へ……新興EVメーカーをフォロー、EV特化型のメンテナンスパックも開発[詳細はこちら<click>] ★★兵庫県加古川市、EV用充電ステーションの設置費用を助成……急速充電器1基あたり最大200万円 ★★フォード、プロトタイプEVの「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」を開発……1800馬力の電動パワートレインを積みアメリカのドラッグレース「NHRA」に挑む[詳細はこちら<click>] ★兵庫県加古川市、公共施設「かこてらす」にEV用急速充電器を設置……e-モビリティ・パワーのシステムを使用 ★テラモーターズ、マイステイズ・ホテル・グループにEV充電器を設置……「亀の井ホテル」はじめグループ内の90施設に計156基[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、アコーディア・ゴルフにEV充電器を導入……2023年度中全国151ヵ所に[詳細はこちら<click>] ★BMW、中国での雇用が過去3年で3倍に……EVエンジニア等3,200人以上が地元のテクノロジー企業などと協力 ★フォルクスワーゲン、中国での事業を加速……中国合肥に10億ユーロを投資して開発センターを設立、新会社「100%TechCo」(プロジェクト名)にて開発時間を30%短縮 ★BYD、新エネルギー車(NEV)向けのアクティブサスペンションを開発……油圧や空気圧を利用し瞬時に車体の姿勢を制御[詳細はこちら<click>] ★中国吉利ホールディングス、 新型SUV「ジーカー X」を「上海モーターショー2023」に出展……「ポールスター4」などと共通のプラットフォーム「SEAアーキテクチャ」を使用 ★ジェネシス、アメリカで「ジェネシスホーム」を展開……V2H機能や太陽光発電をパッケージ化 ★ボルボ、コカ・コーラ・カナダにEVのトラクターヘッド「VNR エレクトリック」を納入……カナダの飲料メーカーとしては初 ★ランチア、「ピューラHPE」を「ミラノ・デザイン・ウィーク2023」に出展……4月23日(日)まで実車を展示 ★シトロエン、新コンセプトの小型電動自律移動モビリティを発表……板状の電動シャシーにカプセルやベンチなどを搭載可能な都市型モビリティ ★EVモーターズジャパン、「第4回 関西物流展」(インテックス大阪:4月12日〜14日 ※終了)に出展……2023年の本格的な市場導入を見すえ1トン・2トンのEVトラックを展示 ★ボグゾール、商用車のCO2排出量について独自調査を発表……「英国内の商用バンをEVに置き換えると年間1,950万トン以上のCO2を削減可能」 ⚫︎リコール、「アウディRS e-tron GT」……エアスプリングがストラットから分離のおそれ ⚫︎リコール、「シトロエン e-C4エレクトリック」……バッテリーマネジメントユニットの不具合で電源遮断・走行不能になるおそれ

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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
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イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
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