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第3のワード「Wise(賢く)」とは?
まず、自動運転(AD)と先進運転支援システム(ADAS)の領域。2021年に条件付きではあるものの、自動運転レベル3(アイズオフ)に適合する「ホンダ・センシング・エリート」を搭載したレジェンドで、自動運転レベル3の実用化を達成したホンダは、今回のHonda 0シリーズにこの技術を活用したAD/ADASを採用する。
これをOTAによって継続的にアップデートしていくことにより、車両購入後も運転支援・自動運転レベル3の適用範囲が拡大できる機能を搭載するという。また、独自のAI技術を組み合わせ、初めて走る道でも的確なリスク予測とスムーズな回避が可能になり、より早く自動運転・運転支援範囲の拡大を実現することができると説明している。つまり、クルマ側が学習し、より安全な運転環境を整えていくことを「賢く」なると表現しているのだろう。
ハンドリングについても「操る喜び」に重点が置かれ、ステア・バイ・ワイヤを採用し、ステアリング、サスペンション、ブレーキなどのバイワイヤデバイスを統合制御することで、意のままのハンドリングを実現するとしている。加えて、ロボティクス技術で培った3次元ジャイロセンサーを用いた高精度の3次元ジャイロ姿勢推定と安定化制御により、クルマの挙動が乱れる前に車体を安定化し、旋回を滑らかにするという。
EVにとって電費の改善は喫緊の課題だ。軽量化、バッテリー容量の拡大は有効な対策のひとつだが、Honda 0シリーズでは、冬季の暖房使用による電費悪化の改善に注目している点が目新しい。具体的には、乗員の「温感」を指標に用いて、快適性と省電力の両立を図るのだという。輻射熱により車内を温める輻射ヒーターと、ヒートポンプの高効率運転により、暖房消費電力を13%削減させてエネルギー消費を最小化する。そうすることで冬季の航続距離の低下を抑制していくのだ。
ユーザーのストレスを軽減し楽しさも加味する
Honda 0シリーズの「Wise(賢く)」というのは、クルマの走行性能に対する面だけではないようだ。知能化とデジタル技術の活用により、ユーザーのストレスは最小化しながら、運転や車内空間での楽しさを最大化し、クルマでの移動における新たな感動体験を提供することにも重きが置かれている。
車載インフォテイメントにおける操作のシンプル化が徹底され、ユーザーごとにパーソナライズ・音声アシスタントによるサポートを継続的に進化させるていくという。加えて、画像認識による状況理解や、独自の行動予測アルゴリズムの活用により、クルマがユーザーの状況や意図を理解し、最適化や先回りした提案・サポートを行うというのだ。
ストレスを低減しつつ、そこに楽しさを加味するエンタメサービスの充実や運転好きのユーザーがさらに楽しくなるようなコンテンツの拡充、XR(拡張現実)技術を活用したクルマに同乗していない人ともつながる仮想同乗体験なども、今後もさらに充実させていく方針だと今回発表された。
このように、Honda 0シリーズはソフト、ハードの両面でホンダらしいポジティブな面を継承しつつ、既成概念にとらわれない柔軟な発想のもと開発されている印象だ。今回、このような技術説明会「Honda 0 Tech Meeting 2024」を開催してくれて正直ホッとした。なぜなら、車両発表と同時にこれだけの新技術を紹介されたら、情報過多で危うく思考停止しまうところだったからだ。これで、多くの部分でベールに包まれていたHonda 0シリーズについて、少しは理解が深まったかもしれない。
今回公開された技術や電動化に向けた考え方は、2025年1月に開催予定のCES 2025で新たなHonda 0シリーズのモデルとして公開を予定しているという。それがどのような姿で具現化されているのか、またその先に現れるであろう量産車に向けて、さらなる技術開発や驚きの仕掛けがあるのか、ホンダがやることだけに期待と想像が膨らむ一方だ。