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ヒョンデの野心的な中長期戦略「ヒョンデ・ウェイ」発表! 2030年までに年間販売台数555万台を実現しそのうちEVは200万台を目指す


TEXT:TET 編集部 PHOTO:Hyundai Mobility Japan
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バッテリー内製化で他社競争力を強化

ヒョンデはバッテリー技術を磨き、安全技術を進化させて他社との競争力を確保したい構えだ。性能向上はもちろんのこと、コスト対策にも余念がなく、EVが安全かつ手ごろなクルマになることに尽力している。そのためにバッテリー開発能力の内製化を目指している。

Hyundai Motorの中長期戦略「Hyundai Way」について発表を行う現代自動車社長兼CEOのチャン・ジェフン氏

2030年までには現在の高性能NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーと低コストなLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを使用するだけでなく、新たな低価格帯のNCMバッテリーの開発を行っていることが公表された。

また、今後はバッテリーの搭載方式を現在のCTP(セル・トゥ・パック)に加え、CTV(セル・トゥ・ビークル)構造を採用し、バッテリーと車体を一体化することで部品点数を減らしながらも性能向上を行い、全体重量を10%程度軽減させる取り組みを行うことも併せて発表された。

自律走行車の開発

ヒョンデは世界の自動運転ソフトウェア開発企業に自動運転車を販売するファウンドリー事業を立ち上げる計画だという。ヒョンデが持つハードウェアの開発力と製造競争力を、ソフトウェア開発分野と協業することで、来たる自律運転社会でのパイオニアとしての地位を築こうというものだ。

Hyundai Motorの中長期戦略「Hyundai Way」では自律走行車ならびにロボタクシーの開発強化が公表された

すでに北米では、アイオニック 5を用いた自律運転技術の開発ならびにロボタクシーのテスト事業が行われているが、その実地テストと研究所発の技術で世界のリノベーターとして自律運転、ひいてはドライバーと歩行者の両方にとって安全なモビリティ社会の構築を自動車メーカーとして取り組む構えだ。すでに他社に対して先行している感のあるヒョンデの自動運転開発だが、自律運転の実現に向けさらに加速しそうだ。

水素エネルギー事業の拡大

ヒョンデは自動車メーカーではあるものの、広い視野でみれば「現代自動車」という重工業メーカーでもある。そのため、水素に関しても水素バリューチェーン事業ブランドHTWOを通じて、燃料電池システムのラインアップを拡大し、路面電車や電車、先進的な航空モビリティ、重機、船舶など、より幅広い用途をカバーし、さまざまなニーズに対応していく計画だとしている。成長要因として挙げたのは、石油、セメント、鉄鋼など、削減が困難な分野でのクリーン水素の需要増加や、船舶や飛行機などの長距離輸送での利用増加などである。

Hyundai Motorの中長期戦略「Hyundai Way」では、水素エネルギー事業の強化により世界のエネルギー転換をリードする姿勢を示した

現代自動車は、持続可能なエネルギー技術とソリューションに重点を置いたHTWO事業を通じて、世界のエネルギー転換をリードすることに注力しているという。同社は、2045年までにネットゼロを達成し、生産と運営のすべての段階でカーボンニュートラルになることを目指している。これには、職場での再生可能エネルギーの導入と水素エネルギー事業の拡大が含まれている。

そのため、現代自動車にとっての水素エネルギー戦略は重要な要素であり、ヒョンデブランドの「ネッソ」のように目に見えてわかるプロダクトもあれば、廃棄物水素(W2H)やプラスチック水素(P2H)は現代自動車の水素製造技術によるもので、社会的貢献も進んでいるところだ。

まとめ

ヒョンデは2030年をEVの需要回復期とみて、「Hyundai Way」という中長期戦略を立てた。新型ハイブリッドシステム搭載車と、普及価格帯のEVとして「EREV」の市場投入を行い、EV移行期にもEVのメリットを消費者に体感してもらいながら、自然な形で2030年以降のEV乗り換えへと導く戦略といえそうだ。

その一方で、EVだけに限定することなく、あらゆる動力を選択肢として残しながら、並行して次世代技術の研究開発に対する投資を怠らない姿勢が強調された。変化の激しい自動車産業でイニシアチブを握り、世界三大メーカーの座を確固たるものにしようという、野心的な計画だと受け止めた。

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