トランプ再選でアメリカのEVシフトはどうなる?
また、このアメリカのなかで最大の自動車マーケットを有するカリフォルニア州のEVシフト動向についてを簡単に紹介したいと思います。
まず、このグラフは、年間ベースのカリフォルニア州のバッテリーEV販売台数、およびシェア率を示したものです。2023年シーズンは37.5万台近い販売台数を実現しており、アメリカ全体が114万台程度のバッテリーEVの販売台数であったことを踏まえると、カリフォルニアだけで30%以上のシェア。カリフォルニア州の大きさが容易にイメージできるでしょう。
そして、バッテリーEVのシェア率は21.24%を記録。つまり、5台に1台以上はバッテリーEVとして販売されているという、まさにアメリカのEVシフトを牽引している州である様子が見て取れます。
そして、このカリフォルニア州における、最新データが判明済みの、2024年Q1における人気のEVランキングトップ30を確認していきたいと思います。
このグラフのとおり、やはりテスラのお膝元ということもあり、アメリカ市場全体のランキング以上に、テスラが圧倒的なシェア率を実現しています。それこそトップのモデルYは、競合のIONIQ 5の10倍近い販売台数を実現。また、モデル3とモデルXでトップ3を独占しており、カリフォルニアにおけるテスラの支配は、今後も揺るがないと見られます。
そして、このカリフォルニア州に関しては、2026年からZEV規制がついにスタートするという点が極めて重要です。具体的には、それぞれの自動車メーカーごとに対して、販売台数の35%をバッテリーEV、もしくはPHEVにしなければならないという規制内容です。
また、バッテリーEVについては200マイル以上の航続距離。さらにPHEVも、2029年までは43マイル、それ以降は70マイルのEV航続距離が必要であり、その2026年シーズンにおける35%の販売割合のうち、PHEVの割合は20%が上限。つまり、バッテリーEVの販売割合こそ重要となってくることを意味します。
しかも、その35%という販売比率規制は毎年上昇し、2030年シーズンには68%、2035年までには100%、つまりバッテリーEVとPHEVのみの販売に完全シフトすることを求めてきているわけです。
いずれにしても、このカリフォルニア州において販売割合の高い日本メーカー勢は、このZEV規制をクリアするために、高性能なPHEVと、人気のバッテリーEVを両方ラインアップする必要性に迫られているわけです。
そして、このアメリカ市場におけるEVシフト動向で極めて厳しいのが、トランプ政権の復活という観点です。直近における銃撃事件によってトランプ前大統領がカムバックするという予想もありますが、問題は、バイデン政権が推進していたEVに対して、トランプ氏は逆にEV推進反対の立場を表明する見込みです。そうなると、連邦政府の7500ドルもの税額控除をはじめとして、自動車メーカーのEV関連の投資に対する税制優遇措置、および充電インフラに対する補助金など、現在進んでいるEV推進施策が反故にされる可能性が出てくるでしょう。
果たして2025年以降、トランプ政権がカムバックしたとしたら、アメリカのEVシフトがどのように推移していくのか。バイデン政権が策定したEV推進施策に大幅な変更が加えられるのか。そのなかでも自動車最大マーケットであるカリフォルニア州においてスタートするZEV規制に対して、トヨタやホンダ、スバルなどの日本メーカーが、この規制に対応することができるのか。アメリカのEVシフト動向にはますます目が離せません。