コラム
share:

電気自動車は儲からない……は過去の話! EVシフトを急速に推し進める「ボルボ」にみる「収益性の改善」


TEXT:高橋 優 PHOTO:EV NATIVE/THE EV TIMES
TAG:

順調に進んでいるボルボのEVシフト

今回取り上げていきたいのが、北欧の自動車メーカーであるボルボの存在です。このボルボについて重要な前提知識がふたつ存在します。

まずひとつ目が、EVシフトの目標として、2030年までにグローバルで発売するすべての車両をバッテリーEVに置き換えるという、完全バッテリーEVシフトを宣言しているという点です。そして、完全EVシフトの過程において、2025年までにバッテリーEVの販売比率を50%にまで引き上げるという目標値も設定。つまり、来シーズン、ボルボはグローバル販売の2台に1台はバッテリーEVを販売しているということになるわけで、既存メーカーとしては極めてアグレッシブなEVシフト目標を掲げている状況です。

そして、現在ボルボについてはPHEVを7車種ラインアップしながら、バッテリーEVを5車種もラインアップしています。

ボルボのモデルラインアップ

ちなみに、日本市場においても長らく発売されているXC40 RechargeおよびC40 Rechargeに関しては、2024年2月中にも命名規則の変更を受けて、それぞれ、EX40およびEC40と名称が変更されています。

いずれにしても、現在はそのEX40、EC40、さらには、新型EVであるEX30、および中国市場で納車がスタートしている大型ミニバンEVのEM90、そして2024年前半に生産がスタートするフラグシップSUVのEX90の5車種をラインアップ中です。また、来シーズンにおいて、追加で新型バッテリーEVが投入されるとアナウンスされているものの、具体的にどのセグメントに投入されるのかは不明な状況です。

そして、もう一方のボルボに対する前提知識というのが、中国ジーリーが親会社として存在しているという点です。このジーリーについては、中国EV市場における主要プレイヤーであり、なかでもプレミアムEV専門ブランドであるZeekrに関しては、2024年シーズンにおける年間販売台数目標を23万台に設定するなど、急速にプレゼンスを拡大中です。

Zeekr007のフロントスタイリング

※Zeekrの最新EVセダン「Zeekr 007」

さらには、ロータスやスマートなども同じジーリーグループの傘下に属しており、そして重要なポイントというのが、このジーリーグループ全体でEV専用プラットフォームであるSEAを横断して採用することで、グループ全体のスケールメリットを図ってきているという点です。

実際に、ボルボの新型コンパクトSUVであるEX30についてはSEAを採用しており、同じくコンパクトSUVとして、スマートからもスマート#1、そしてZeekrからもZeekr Xが発売されていることから、兄弟車としてラインアップすることでコスト削減へ繋げようとしてきているわけです。

ボルボEX30のフロントスタイリング

※ボルボEX30

そして、そのような背景において、今回新たに明らかになってきたことというのが、ボルボが2024年第一四半期における最新のEVシフト動向、および収益性を発表してきたという点です。

まず、そのEVシフトの進捗動向に関しては、バッテリーEV販売台数が3.8万台オーバーと歴史上最高の四半期を更新しながら、前年同四半期比でも27%もの増加を記録しています。新車販売全体に占めるバッテリーEVシェア率が20.89%と、ついにボルボ史上初めて、四半期ベースでのバッテリーEVシェア率で20%の大台を突破するという快挙を達成しました。

ボルボのパワートレイン別販売台数のグラフ

また、この販売台数増加に大きく貢献したのがEX30の存在です。第一四半期だけで1.45万台もの販売台数を実現。まだ2023年末から納車をスタートしたばかりであるということ、しかも3月単体で行くと8681台もの販売台数を記録したことを踏まえると、このバッテリーEV比率2割越えという数値が、年末にかけて30%へ大きく近づいていくことは、まず間違いないでしょう。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
BEV大国の中国で販売が失速! ここ数年でPHEVのシェアが伸びていた
more
ニュース
イオンモールの駐車場で合法的にタイムアタック! 柏の「インディカート」に電動カートが登場
落ち着きと品を兼ね備えた特別仕様車! 「DS 9 Esprit de Voyage E-TENSE」発売
日産「ノートオーラ」が大胆イメチェン! 新フロントデザインのインパクトがデカすぎた
more
コラム
電気自動車は儲からない……は過去の話! EVシフトを急速に推し進める「ボルボ」にみる「収益性の改善」
ファーウェイ&シャオミのEVは価格も性能も戦略も強烈!! スマホ系電気自動車メーカーの勢いがヤバい!
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身
more
インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
more
試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
more
イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択