今後のテスラの動向に注目
そして、今回判明したのが、イーロン・マスクが全従業員あてに通達したメールに記載されていた、グローバル全体で大規模なリストラを行うという方針です。
そのメール内容についてを簡単に翻訳していきたいと思います。
「長年にわたり、私たちは世界中に複数の工場を展開し、急成長を遂げてきました。この急成長に伴い、特定の分野で役割や職能の重複が生じています。次の成長段階に向けて会社を準備するにあたり、コスト削減と生産性向上のために会社のあらゆる側面を見直すことは非常に重要です。この取り組みの一環として、私たちは組織を徹底的に見直し、世界全体で10%以上の人員削減という難しい決断を下しました。これほど嫌なことはありませんが、やらなければなりません。これによって、私たちは無駄を省き、革新的で、次の成長段階のサイクルにハングリーであることができるようになります。テスラを去ることになった皆さんには、長年のご尽力に感謝申し上げます。私たちの使命に対する皆さんの多くの貢献に深く感謝するとともに、皆さんの今後の活躍をお祈りします。別れを告げるのはとても辛いことです。残された皆さんには、前途多難な仕事であることにあらかじめ感謝したいと思います。私たちは、自動車、エネルギー、人工知能の分野でもっとも画期的な技術を開発しています。私たちが次の成長段階に向けて会社を準備するとき、皆さんの決意が私たちをそこに導く大きな違いとなるでしょう」。
このとおり、いずれにしてもメールからは、グローバル全体で10%以上もの人員を削減するという内容はわかるものの、具体的にどの地域の、どのような分野における従業員を解雇するのかは不明であり、続報が待たれることにはなります。
他方で、2023年末時点でのテスラの従業員総数というのは、グローバル全体で14万人ほどであったということから、今回の人員削減については、グローバル全体で少なくとも1.5万人以上の従業員がリストラ宣告を受けることを意味するわけです。その絶対数をイメージしてみれば、やはり相当な規模感のリストラ計画である様子が見て取れるでしょう。
なんにせよ、このようにメールひとつで1.5万人以上の従業員の首を切ることができるのがテスラをはじめとするアメリカ企業であり、この点は容赦ないと感じるものの、やはり重要なことは、このような大規模リストラを行うということは、やはりイーロンマスクとしても、2024年シーズンの見通しがそこまで明るくないことを示唆しているわけです。
以前から定点観測している欧米におけるテスラの販売台数の動向、さらには競争が激化している中国市場のテスラの週間登録動向、そしてテスラの決算内容などについては、今後も定期的に情報をアップデートしていきたいと思います。