500km超級EVが177万円から買える中国
また、EV性能とともに、標準装備内容についても簡単に比較してみると、Bingo Plusについては、ダッシュボード中央に10.1インチのタッチスクリーンを搭載し、運転席・助手席ともに電動のシート調整機能を採用していますが、シートヒーターなどの装備はありません。
さらに、その保証内容についても、ファーストオーナーに限って、バッテリー保証は年数走行距離無制限保証。車両保証については、とくに制約なしで3年10万kmが保証されています。
一方で、とくに競合関係となるBYDドルフィンについては、上位グレードの場合、12.8インチの回転式タッチスクリーンを搭載しながら、電動シート調整だけでなくシートヒーターとベンティレーション機能まで搭載。ガラスルーフであったり、V2L機能、スピーカーの数も6つと、装備内容がより手厚いことが見て取れます。
また、保証内容についても、バッテリー保証はファーストオーナーに限り走行距離年数無制限保証、車両保証も制約なしで6年15万kmと、さらに手厚い保証内容を用意しています。
その一方で、今回もっとも注目するべき値段設定については、Bingo Plusは8万9800元からのスタート、日本円で185万円からという、まさに驚異的な値段設定を実現。とくに驚くべきは、50.6kWhという大容量バッテリーを搭載し、航続距離510kmを実現する上級グレードであっても、9万8800元、日本円で驚愕の204万円からとなっていることです。
510kmの航続距離を達成するEVを、中国国内ではすでに200万円で購入できるとイメージしてみれば、EVのコスト競争力が、さらに驚異的な高まりを見せていることが見て取れるでしょう。
ただし、このWulingの最新EVであるBingo Plusに対抗するために、シーガルとドルフィンによる挟み撃ち戦略を行っていたBYDも、さらに両車の価格引き下げるという戦略に着手しています。
じつは現在、BYDは中国国内において2024年モデルとしてHonor Editionを設定しながら、すべてのモデルにおいて大幅値下げを断行中です。日本メーカーの売れ筋である日産シルフィやトヨタ・カローラが該当する大衆セダンセグメントにおいて、PHEVであるQin Plusを、なんと日本円で160万円台から発売中です。現在、中国全土のショールームにおいて、そのHonor Editionを買い求めるユーザーでストアがごった返している状況がSNS上で多数報告されています。
そして、今回のシーガルについても最大8.3万円の値下げを行うことによって、エントリーグレードは144万円からのスタートと、驚異的なコストパフォーマンスを実現。さらに、ドルフィンに至っては、最大14.4万円もの値下げを行うことによって、エントリーグレードは206万円からと、さらにコスト競争力を高めてきた格好です。
このようにして、今回Wulingが新型EVとしてスマッシュヒットを記録していたBingoの上級モデル、Bingo Plusの正式発売をスタートさせ、中国では、航続距離500km以上のEVを200万円で購入できるというのは、我々日本人からすると驚愕するべきコストパフォーマンスであると思います。
そのうえ、BYDシーガルについても日本円で144万円からと、世界で発売されているコンパクトEVとしては最強クラスのコスパを実現しています。
とくにこのコンパクトカーセグメントにおいて、今回のBingo Plusやシーガルの存在は、内燃機関車に最後通牒が突きつけられたわけであり、さらに今後は、それ以外のさまざまなセグメントにおいても、内燃機関車への最後通牒を突きつけていく1年となるのかもしれません。