Contents
航続72kmは30分の走行枠なら十分では
航続距離72kmとは、エンジン車に比べれば正直寂しい数字だ。スポーツバイクでも街乗りが中心となってしまう。しかし見方を変えれば、これほど便利なスポーツEVバイクはないだろう。
「ニンジャe-1」が輝く場所を考えると、ズバリ「サーキット」である。これから本格的にサーキットデビューを考えているユーザーにとっては、この上ないローコストでサーキットを走れるかもしれないのだ。
72kmではサーキットまで行けないと思うかもしれないが、愛好家のほとんどは、マシンを「ハイエース」などのバンに積んでサーキットに行っている。「ニンジャe-1」もそれに倣えばよい。車重は140kgなので、クルマへの積み下ろしもラクに行なえるだろう。
サーキットのスポーツ走行枠は30分程だろうか。72km分のエネルギーがあれば十分に走ることができるだろう。「それでは足りない」と思うなら、交換式バッテリーを余分に買って持っていけば良いのだ。
度肝を抜いた過給エンジンを市販したメーカーだからこそ
極限状態で車両を走らせるなら、エンジンでもモーターでも故障リスクは避けられない。しかしモーターであれば構造が単純なので、エンジンほどのリスクを負わずに済むのではないか。何より悪燃費かつ高額の給油がないのはもちろん、エンジンオイルの交換やオーバーホールもいらないので、かかるコストは、例え余分のバッテリーを買ったとしても段違いの差が出てくるだろう。エンジンの状態やお金を気にせず走りに打ち込めるとは、これ以上の幸せはないような気がする。
もちろん走りも面白いだろう。詳しい諸元値は第1報を確認して欲しいが[詳細はこちら<click>]、カワサキのアンダー400ccの中で最高のトルクを備えているため、強烈に加速するのは間違いない。ボトムエンドに限っては250cc4気筒のスーパースポーツ「ニンジャZX-25RR」よりも速い可能性さえある。さらに短時間の出力向上ができる「e-boost」機能を立ち上げれば、低中速のコースならば上のクラスを追い回す“ナナハンキラー”となるかもしれない。
想像で書いてみたが、「72kmでは実用性が足りない」とは、カワサキ自身がよく理解しているはずだ。だからこそ、サーキット走行を想定し「ニンジャ」の意匠と冠を与えたのだと考えたい。
繰り返すが、エコに全振りしたモデルは漢カワサキに必要ない。何せ前例のないスーパーチャージドエンジンの「ニンジャH2」を出し世界をあっと言わせたメーカーだ。電動にしかできない価値を追求しているはずだ。