タクト60秒で自走デモ
こうして、車体にモーター・インバーター・電池、そして制動装置(ブレーキシステム)が装着されたクルマの母体が出来上がる。
この状態で自走しながら、車内部品などの組立工程に入る。
今回のデモンストレーションでは、ひとつの製品(この場合はクルマ)を生産するために必要な時間(工場ラインの稼働時間を、必要生産数で割ったもの)であるタクトタイムを60秒として設定した。時速にすると、0.36kmだ。
この数字を見ると、ほとんど停止しているようなイメージを持つかもしれないが、従来の組立ラインで使われているコンベアの作動速度とほぼ同じであり、クルマの母体はしっかり自走しているのが分かる。
自走する仕組みは、工場内に設置したカメラが二次元デジタル地図上でのクルマの母体の動きを監視する。いわゆる、V2I(ヴィークル・トゥ・インフラストラクチャー)だ。
その情報を、車載通信機に送り、クルマの母体の運動制御システムがモーター、ブレーキ、ステアリング等を操作するシステムだ。
完成車の自走も対応
完成した次世代BEVは検査工程を経た後、屋外の車両保管場所に自走することが可能だ。
この場合、車載の画像認識用カメラなどの各種センサーも併用して走る。
元町工場では、各種モデルを混流生産しているが、「bZ4X」とスバル「ソルテラ」の電池パックの搭載ラインを仮設定していた時期には、時速5km程度で工場外部を自走した実績もある。
こうした自走生産によって、トヨタは「工程1/2」と「工場投資1/2」を目指す。
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