コラム
share:

福井県永平寺町の自動運転レベル4・EVが、岸田総理の視察を受けて全国から再注目


TEXT:桃田 健史 PHOTO:桃田 健史
TAG:

運転席にはドライバーは座っていない。筆者撮影

シンプルなシステム構成

車両を詳しくみると、自動運転車としてはシンプルなシステム構成であることが分かる。

まず、GPSアンテナによって自車位置を確認する。衛星測位システムであるGPSの場合、位置精度は数メートル程度。そのため、自動運転では二次元、または三次元のデジタル地図を用意したり、位置精度が数センチメートル程度になるRTK方式の衛星測位システムを導入する場合が多い。そうなるとコストがかさむが、永平寺町のように電磁誘導線の上を走行する仕様では一般的なGPSのみで一定の位置精度を確保できる。

その他、車体前の上部には障害物を検知するステレオカメラ、車体前にも障害物検知を行うミリ波レーダーや超音波ソナーを持つ。

これにAI(人工知能)技術を反映させた別のカメラを連動させ、人、自転車、または周囲の草木などの障害物の種別を見極めて走行する。

その他、遠隔監視を行うためのカメラなどを備えている。

このように自動運転車としては比較的シンプルなシステム構成で自動運転レベル4を実現している。

自動運転レベル4導入の意義

永平寺町の総合政策課の職員によると、永平寺町での自動運転社会実装の特徴は「技術の最先端ではなく、実用化の最先端」だという。

永平寺町の自動運転・遠隔管理システム。筆者撮影

具体的には、課題としては次の通りだ。以下、箇条書きとする。

・コストを下げつつ安全性を維持てきるのか?
・そのコストは地域として運用が維持できるものか?
・地域の住民が運用者として扱えるシステムであるか?
・現行の法制度の中で運用できる技術であるか?
・人の暮らしを豊かにする技術であるか?

欧米や中国と日本では、公共交通機関における自動運転の必要性や社会への適合性に違いがある。

その上で、永平寺町での自動運転社会実証が担う役割はとても大きいと感じる。

国としては、2016年度から続けている永平寺町での自動運転関連の研究開発を、今後も様々な角度から検証し、次のステージに向けた準備を進めていく可能性が高いものと考えられる。

2023年2月には、岸田総理大臣が永平寺町を視察し、レベル4自動運転の乗り心地を体験している。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
リーフのバッテリーパックをバラして積むって意外に大変! 初代フィアット・パンダのEV化に挑戦してみた【その5】
「58協定」未加入国のクルマを日本で売るのは難しい! なのに未加入のアメリカや中国のクルマが日本で売られるカラクリとは
20万円も高かったのに20万円安くしか売れない! EVの将来はリセールバリューの向上努力にアリ!!
more
ニュース
これまでに40万人が参加したeモータースポーツイベント! 「Honda Racing eMS 2025」の開催が決定
ついに「コルベットがEV」に!? 2種類のコンセプトカーでシボレーが未来のハイパフォーマンスカー像を描く
ホンダが2026年に発売予定の新型EVは「アシモ」も搭載! アキュラRSXプロトタイプを米国・モントレーで初披露
more
コラム
自動車専売メーカーだけでもかなりの数なのになぜ過当競争に挑む? スマホでお馴染み「ファーウェイ」「シャオミ」がEVに参戦する理由
いまBYDが激安購入できる! 9月中なら適用される「BYD補助金」の恐るべき中身
国を走るクルマの大半がEV……って中国じゃない! なんと普及率92%の「ノルウェー」はどうしてEV大国になったのか?
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
【試乗】5台の輸入EVに一気乗り! エンジン車に勝るとも劣らない「個性」が爆発していた
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
イベント
公道レース「フォーミュラE東京」が帰って来る! チケットを持っていなくとも無料で1日遊び尽くせる2日間
災害に備えて未来を楽しむ! 「AWAJI EV MEET 2025」の参加はまだまだ受付中
災害時にも活躍できるEVの可能性を淡路島で体験! 「AWAJI EV MEET 2025 from OUTDOOR FEELS」開催決定
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択