TEXT:福田 雅敏/ABT werke
“農道のフェラーリ”が空港内を疾走⁉︎……米ホンダ、EVの自立作業車を現場でテスト[2023.10.25]
農道のフェラーリこと「アクティ」を自動運転作業車に流用 小型の地上作業車のEV化で航空業界の脱炭素化推進に期待 【THE 視点】本田技研工業は、EVの自立作業車(AWV)のプロトタイプを、カナダ・トロント・ピアソン空港でテストしたと発表した。AWVを使用することで、空港の人員不足を補いCO2の削減にも寄与できるなど、空港作業車の新たな姿を示す。 AWVは、汎用型の作業車となる。車両にはGPSをはじめセンサーやカメラなどが備わり、設定されたルートを自立的に動くことができる。汎用型となっているのも特徴で、フェンスや敷地内の点検作業/敷地内の芝刈り/異物除去/荷物の運搬/タグカーの牽引といった作業に対応できる。 実際にフェンスの点検作業では、設定された検査ルートをその通りに走行ができた。カメラやセンサーの感度も良好で、障害物や他の車両を正しく検知し、回避/減速/停止が問題なくできたようだ。輸送作業でも、指定した位置の数cmに位置を合わせて停止できたとのこと。 このAWVの諸元は、長さ2,900×幅1,200×高さ1,400mm程度で、重量は約400kg、最大牽引能力は750kgで航続距離は45kmと発表されている。 公開された写真を確認すると、ホンダの軽トラック「アクティ・トラック」のパーツが使用されていることが分かる。フロントフェイスはカメラやレーダーといった検知機器が搭載されているため専用設計となっているが、荷台部分は「アクティ・トラック」そのものので、特に荷台のあおりやテールランプは完全流用だ。 自動運転でハンドルも必要ないことから、「アクティ・トラック」をベースにEV化し自動運転対応にしたものと思われる。残念ながら生産終了となってしまった軽トラックだが、遠くカナダの地で元気に活躍していることは感慨深い。 空港も脱炭素化が課題となっている。航空機の燃料にバイオマスや廃油由来の燃料「SAF」が用いられることが決定しているが、地上車両も脱炭素化を進めなければならない。 地上車両の多くはディーゼルエンジンで動いているためSAFを流用することも可能であろうが、小型車両は電動化した方が効率が良いかもしれない。移動距離も限られていることから、バッテリー切れの心配も少なくて済む。それこそタグカーには、着脱・交換式バッテリー「ホンダ・モバイルパワーパックe:」を活用できるはずだ。そこに自動運転技術も応用できれば人員不足の解消にもつながろう。 ホンダは、今後も開発を継続するためのパートナーを引き続き探しているという。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★三菱、ルノーグループのEV新会社に出資 ……ルノーグループが設立するEV&ソフトウェアの新会社アンペアへの出資を決定した。出資額は最大2億ユーロ(約320億円)。EVモデルの開発とラインアップの拡充を目指スト同時に、アンペアからのOEM供給も受ける予定。 ★★ステランティス、傘下ブランドに展開する商用EVバンを発表 ……傘下のブランドに展開する第2世代の商用EVバンを公開した。小型から大型までを用意し、大型の最高クラスには110kWhのバッテリーを搭載。最大420kmの航続距離となる。充電は最高出力150kWの急速充電に対応する。このEVバンは「フィアット・デュカト」「プジョー・E-パートナー」「ラム・プロマスターEV」などとして各ブランドから販売される。 ★★メルセデス・ベンツ、「EQA」と「EQB」の2024年型を欧州で発売 ……「EQA」は5万777.30ユーロ(約810万円)、「EQB」は5万3,514.30ユーロ(約850万円)から。購入後にワイヤレスで機能を強化することも可能だという。 ★伊藤忠・日立建機、欧州の建設現場の充電設備を整備へ ……建設現場向け可搬式充電設備事業について、伊藤忠商事/日立建機/Alfen B.V(オランダ)の3社は協業の覚書を締結した。EVの建設機械の販売や、可搬式充電設備のリユース・リサイクルといったビジネスモデルを検討していくという。 ★ジャガー・ランドローバー、EVのテストセンターを開設 ……イギリス・コヴェントリーのホイットリーにあるエンジニアリングセンターにEVのテストセンター「フューチャー・エナジー・ラボ」を開設した。次世代の「ランドローバー・ディフェンダー」「ディスカバリー」や、ジャガー用の電動ドライブユニットの開発を行なうという。 ★イベント「アバルト・デイ2023」の日程が発表 ……アバルトのオーナー向けイベント「アバルト・デイ2023」が11月18日(土)に開催される。場所はバイカーズパラダイス南箱根(静岡県田方郡函南町桑原1546-2)。EVのホットハッチ「アバルト500e」も展示されるとのこと。 ★「大阪・関西万博」仕様のEVバスが「JMS」に登場 ……EVモーターズ・ジャパンは、「ジャパン・モビリティ・ショー2023」(JMS)に出展する。「大阪・関西万博」に導入するEVの大型路線バス「F8シリーズ2-シティバス」を万博のラッピングありで展示する。 ★ブレイズ、外国人留学生に電動キックボードの安全を啓発 ……愛知県中村警察署が開催した「愛知大学留学生等に対する電動キックボード講習会」(10月20日開催)に参画。ブレイズの電動キックボード「きっこボードEV」を貸与したという。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.25]
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