EVヘッドライン
share:

目立たない部品が航続距離を20%も改善……マレリ、新型の統合熱管理モジュールを開発[2023.08.09]


TEXT:福田 雅敏、ABT werke
TAG:
マレリ iTMM(photo=マレリ)

駆動系・電装系・冷暖房系の熱管理を統合制御しシステムも単純化
EVの熱管理はユーザーの“お財布”に直結する重要問題

【THE 視点】マレリは、EV用の新しい統合熱管理モジュール 「iTMM」を発表した。車両のさまざまな熱回路を1つのコンポーネントに効率的に組み合わせることで、より効率的な熱管理システムを形成。EVの航続距離の延伸や安全性などを向上させる。

内燃エンジンのないEVであるが、熱は発生している。電気モーターはもちろん、バッテリーに高負荷をかければ高温状態になる。スマートフォンを酷使した場合の発熱と同様だ。ただ、この熱を管理できれば、パワートレインの冷却や、室内の冷暖房などの効率化ができ、無駄な消費電力を抑えられる。

通常のEVは熱交換器を複数備えた上で、それぞれが単独で役割を果たしている。これらを統合するのが「iTMM」で、冷却水循環装置(チラー)や水冷コンデンサなどの配置を最適化しモジュール化した。最大6チャンネルを組み合わせて管理することができ、パワートレイン・充放電・室内の複雑な熱管理システムを単純化できる。

統合熱管理システムの採用でユーザーが最も恩恵を受けるのは暖房の使用時である。低温状態を含めた厳しい環境での熱管理の効率が上がるため、冬季のヒートポンプシステムと組み合わせた場合、走行距離を最大20%改善することができるという。

このような熱管理システムを組んだEVとして知られるのが「テスラ・モデルY」や「BYD SEAL」が挙げられる。テスラはこのような熱管理モジュールを「オクトバルブ」と呼称し、「モデルY」の重要部品と位置付けている。

熱を最適に管理することで、空調使用時の走行距離への影響を減らし、急速充電性能の向上・バッテリー寿命の延伸・軽量化・コストダウンができるようになる。これらは全て、ユーザーのお財布に影響する問題だ。

統合熱管理モジュールの開発競争は熾烈になっている。EVの性能向上・走行距離の延伸は、モーター・バッテリーの開発だけではなく、統合熱管理モジュールのような目立たない部品やソフトウエアなど全てが揃って成し遂げられるのだ。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)

★★BMW、新型「5シリーズ」のEV「i5」に中国専用車を設定……グリルなどのメッキにゴールドを採用しゴージャス感を演出

★★ホンダ傘下のホンダトレーディング、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル事業を推進……エマルションフローテクノロジーズ/リーテックと協業、全固体電池への対応も検討

★GM傘下の商用EVブランド「ブライトドロップ」、EVバン「Zevo 400」と「Zevo 600」をメキシコで発売……アメリカ・カナダに続いて3カ国目の導入

★フォーミュラE、ニック・キャシディが来季はジャガーTCSに移籍……ミッチ・エヴァンスとのコンビに

★プラゴ、EV充電ビジネスへの参入をしやすくするクラウドソリューション「PLUGO OPEN CHARGE LAB」を提供開始……会員登録やカード発行なしに充電課金ができる仕組みなどを提供

★アークエルテクノロジーズ、「AAKEL eFleet ver.1.1 」をリリース……EV毎の充電料金を計算しサービス事業者に情報提供、企業の福利厚生で補助金を算出する場合などに有利

★パワーエックス、再生可能エネルギー開発企業「オリンピア」から蓄電池を受注……系統用として6台、最大容量は2.7MWh/台

デイリーEVヘッドライン[2023.08.09]

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
中国から地球上最強コスパの新星EV現る! IMモーターL6の驚くべきスペックとは
BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
more
ニュース
長澤まさみがBYDの先進テクノロジーに驚きっぱなし!? 新CM「知るほど!ありかも、BYD」の放映開始
ラリージャパンでWRCチャンピオンを決めたヒョンデが緊急開催! プレステ5とソフトがセットで50名に当たる「WRC優勝記念キャンペーン」を実施
世界最速のEVハイパーカーは日本発! 「アスパーク・アウルSP600」の最高速438.7km/hがギネス世界記録に認定
more
コラム
あと数年でモータースポーツからエンジンは消える? 本格EV時代を占う
10ベストカーのうち3車種はBEV専用車! 日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025は過去最大のEVイヤーに
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
more
インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
more
試乗
【試乗】CR-Vに中身を乗っけただけのプロトなのにもう凄い! ホンダの次世代BEV「0シリーズ」に期待しかない
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
more
イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択