フェラーリの最新プラグインハイブリッド車「SF90 XX(エックスエックス)」は、サーキットも公道でも使える最新のスペチアーレだ。V8ツインターボエンジンにトリプルモーターを備えたSF90 XXは、2025年にも登場すると噂されている同社初のピュアEVモデルへの架け橋となるのか。自動車ジャーナリスト・小川フミオが発表会の現場から詳報をお届けする。
ランボルギーニもほぼ同時期にPHEVを発表
フェラーリが2023年6月29日に、「公道を走れるレーシングカー(フェラーリ的にいうと「XX」モデル)」であるプラグインハイブリッド「SF90 XX(エックスエックス)」を発表。
このとき、ほぼ同じタイミングで、ランボルギーニがやはりプラグインハイブリッドの「レヴェルト」を東京で公開した(本国での発表は2023年3月)。
おもしろいのは、ランボルギーニもこのクルマの特徴として「ハイブリッド化は、パフォーマンスとドライビングエモーションを、前代未聞のレベルにまで引き上げます」としていること。
電動化をもって、フェラーリSF90 XXが「パフォーマンスとドライビングエモーションとデザイン(フェラーリは「デザイン」もつけ加えた)を従来の枠を超えてはるか先まで推し進めました」(マーケティング担当重役のガリエラ氏)としているのと、よく似ているではないか。
電動化は、従来カーボンフットプリントのため、つまり温暖化をまねく二酸化炭素の排出量を下げるための技術であることを、メーカーにとっての金科玉条(きんかぎょくじょう)のごとく前面に押しだしてきた。
実際、フェラーリにおけるプラグインハイブリッドのオリジンともいえる「ラ・フェラーリ」(2013年)を発表した際は、排出ガス低減も謳われていた。
当時、ラ・フェラーリのCO2排出量は220g/km。いっぽう、今回のSF90 XXをみると、ベースになったSF90ストラダーレのそれは154g/km。
12気筒のラ・フェラーリとは、エンジンを含めたすべてのシステムが違う。なので正確な比較はできないながら、年を追って、エミッションコントロールも、ちゃんと“進化”しているといえる。
SF90 XXの場合、エミッションの数値は未発表(申請中)だが、160g程度に落ち着くのではないだろうか。