2023年4月
TEXT:生方 聡
EQBはIQ高め!? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その3]

2基のモーターにより、215kWのシステム最高出力を発揮する「EQB 350 4MATIC」の走りは? 4MATICがもたらすスムーズな加速 EQBを発進させるまでの手順はエンジン車と同じ。すなわち、ブレーキを踏みながらステアリングコラム左側にあるスタートボタンを押し、そのあと、ステアリングコラム右側から伸びるシフトセレクターで「D」または「R」を選べばいい。準備が整ったところでブレーキペダルから足を離すと、クルマはゆっくりと動き始める。 資料を見ると、EQB 350 4MATICでは、「リアの電気モーターをメインとして、フロントの電気モーターを高負荷時等にサポートとして使う」とある。ダッシュボード中央のメディアディスプレイでエナジーフロー表示を選択すると、前後モーターの動きがわかるので、それを観察しながら走り出すことにした。 軽くアクセルペダルを踏む状況では、EQB 350 4MATICはリアモーターだけでスムーズでストレスのない加速を見せる。街中を穏やかに走るぶんには、リアモーターだけでカバーできてしまうほどだ。そこからさらにアクセルペダルを踏んでいくと、フロントモーターのサポートが加わり、より素早い加速が楽しめる。 高速道路の合流や追い越しといった場面でアクセルペダルをさらに踏み込むと、勢いよくスピードを上げていくのが爽快だ。そんな状況でも、EQBがスムーズさと静かさに加えて、4輪で大トルクを受け止めて安定した加速を続けるのは、4WDを採用するEQB 350 4MATICならではの強みだ。

TAG: #EQB #パワートレイン
TEXT:生方 聡
906万円は高い? 安い? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その4]

SUVらしいデザインが特徴の「EQB 350 4MATIC」。その走りっぷりを試すとともに、気になる部分もチェックしていこう。 4MATICの恩恵はここにも 今回試乗したEQB 350 4MATICには、メーカーオプションのAMGラインパッケージが装着されている(上の写真はAMGラインパッケージ非装着車)。これを選ぶと、装着されるタイヤが標準の235/55R18から2インチアップの235/45R20になるとともに、アジャスタブルダンピングシステム(可変ダンピングコントール)が備わるスポーツサスペンションに変更となる。 サスペンションの特性は「ダイナミックセレクト」により「Eco」、「Comfort」、「Sport」の3つから選択可能で、さらに自分好みに設定が変更できる「Individual」が用意される。 標準のComfortモードで走り出すと、2インチアップされた235/45R20のタイヤが多少硬めの印象だが、乗り心地自体は十分に快適で、目地段差を超える場面でもショックをうまくいなしてくれる。高速道路では概ね落ち着いた挙動を示すが、軽いピッチングが気になるのであればSportモードに切り替えることで安定感が向上。乗り心地は少し硬くなるが、ドイツ車らしい乗り味を好む人には受け入れられるだろう。 ダイナミックセレクトでモードを変更すると、当然パワートレインの挙動も変わってくる。標準のComfortモードに対して、Sportモードではアクセル操作に対するモーターの反応が鋭くなり、スポーティなドライビングが楽しめる。一方、Ecoモードではアクセルレスポンスが穏やかになるが、それでもストレスのない加速が味わえた。 別の機会にFWDのEQB 250をチェックすることもできたが、最高出力140kWのパワートレインでも加速には余裕があり、84万円の価格差を考えると、どちらを選ぶか悩ましいところ。ただ、モーターの大トルクを4輪で受け止めるEQB 350 4MATICのほうが加減速の挙動が落ち着いており、加速そのものもよりリニアでスムーズなだけに、私ならEQB 350 4MATICを選びたい。

TAG: #EQB #SUV
TEXT:山本 亨
“補助金効果で大幅に伸びたEV販売台数“タイ電気自動車協会クリサダ会長インタビュー その1

第44回バンコク国際モーターショーが3月22日(水)から4月2日(日)まで開催された。会場内のBMWブースでタイ電気自動車協会のウタモテ・クリサダ会長(BMWタイの広報部長も兼務)に、交通タイムス社の山本 亨 編集局長がインタビューを行った。2022年に大きく成長したタイのEV事情に迫る。 2022年は前年比400%の成長率 山本局長:日本もようやく昨年からEV普及の機運が高まり、それに合わせて我々もEV専門ウェブサイトのTHE EV TIMESを立ち上げました。タイも国全体でEVを盛り上げるべく政府で補助金を出すなどEVに急速にシフトしています。まずは昨年のタイの自動車生産数を教えてください。 クリサダ会長:数値は2種類ありひとつは輸出用の1,037,317台、もうひとつは国内販売用の846,198台です。 山本局長:国内販売用の846,198台の中で、EV・PHEVの割合はどのくらいですか。 クリサダ会長:さきほどの数値は生産台数ですが、続いて2022年の登録台数(※)を申し上げると自動車・バイク・トラック全部合わせてEVは20,816台、こちらを詳細に分けると乗用車が9,678台、バイクが9,912台、三輪車のトゥクトゥクが226台、バスが976台、トラックが24台です。PHEVは11,331台ですべて乗用車です。その次はハイブリッドで64,035台、乗用車が63,568台、バイクが466台、バスが1台です。 ※編集部注:国内販売用生産台数は846,198台、2022年の販売台数(≒登録台数)は849,388台なので差はわずか3,190台となるため、国内販売用生産台数と販売台数(≒登録台数)はほぼ変わらないとして考える。 山本局長:今の数字を聞いてなおタイはEV・PHEV化が進んでいると思いますが、タイ政府の奨励策はどのような内容ですか。 クリサダ会長:先ほどのEV登録台数ですが2022年は乗用車が9,678台、2021年は乗用車がわずか約1,900台で成長率が400%と言えます。なぜこの400%の成長があるかというと、昨年初めてタイ政府がEVに関していろいろな政策を出したことで補助金が出てEVがより安く購入できるようになりました。例えばEVをタイ国内で生産しその工場がタイの大蔵省に認定を受けると、1台あたり15万バーツ(約58万円)の補助金が出ます。

TAG: #補助金 #電気自動車
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
MG、オープンスポーツEV「サイバースター」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.20]

日本でも人気のあった「MGF」の実質後継 2024年夏に欧州発売を明言 【THE 視点】MGは、「上海モーターショー」にてEVのスポーツカー「Cyberster(サイバースター)」を発表した。2024年の夏に英国とヨーロッパで発売される予定。MGの新たな時代の幕開けとなる重要モデルだ。 「サイバースター」は、2シーターのオープンカーで、強力なパワートレインと最先端のテクノロジーを備えている。上方に開くシザーズドアを備えているのも特徴。スポーツカーブランドとして名を馳せたMGブランドのイメージを再定義するモデルになる。 MGは1924年創業と歴史が古いイギリスのスポーツカーメーカー。日本においても古くから知名度の高いメーカーであったが、2005年に当時のMGローバー社が経営破綻し、その後中国メーカーの資本となり再建した。 今回発表された「サイバースター」は、MGでも後期に販売され日本でも人気を得ていた「MGF」のEV版ともいえる。 今回の発表では、英国を含むヨーロッパで発売とだけ発表されたが、日本にもMGファンは多い。「サイバースター」の日本導入を望む声も多いはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本自動車車体補修協会とナルネットコミュニケーションズ、協働で「EV整備ネットワーク」の構築へ……新興EVメーカーをフォロー、EV特化型のメンテナンスパックも開発[詳細はこちら<click>] ★★兵庫県加古川市、EV用充電ステーションの設置費用を助成……急速充電器1基あたり最大200万円 ★★フォード、プロトタイプEVの「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」を開発……1800馬力の電動パワートレインを積みアメリカのドラッグレース「NHRA」に挑む[詳細はこちら<click>] ★兵庫県加古川市、公共施設「かこてらす」にEV用急速充電器を設置……e-モビリティ・パワーのシステムを使用 ★テラモーターズ、マイステイズ・ホテル・グループにEV充電器を設置……「亀の井ホテル」はじめグループ内の90施設に計156基[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、アコーディア・ゴルフにEV充電器を導入……2023年度中全国151ヵ所に[詳細はこちら<click>] ★BMW、中国での雇用が過去3年で3倍に……EVエンジニア等3,200人以上が地元のテクノロジー企業などと協力 ★フォルクスワーゲン、中国での事業を加速……中国合肥に10億ユーロを投資して開発センターを設立、新会社「100%TechCo」(プロジェクト名)にて開発時間を30%短縮 ★BYD、新エネルギー車(NEV)向けのアクティブサスペンションを開発……油圧や空気圧を利用し瞬時に車体の姿勢を制御[詳細はこちら<click>] ★中国吉利ホールディングス、 新型SUV「ジーカー X」を「上海モーターショー2023」に出展……「ポールスター4」などと共通のプラットフォーム「SEAアーキテクチャ」を使用 ★ジェネシス、アメリカで「ジェネシスホーム」を展開……V2H機能や太陽光発電をパッケージ化 ★ボルボ、コカ・コーラ・カナダにEVのトラクターヘッド「VNR エレクトリック」を納入……カナダの飲料メーカーとしては初 ★ランチア、「ピューラHPE」を「ミラノ・デザイン・ウィーク2023」に出展……4月23日(日)まで実車を展示 ★シトロエン、新コンセプトの小型電動自律移動モビリティを発表……板状の電動シャシーにカプセルやベンチなどを搭載可能な都市型モビリティ ★EVモーターズジャパン、「第4回 関西物流展」(インテックス大阪:4月12日〜14日 ※終了)に出展……2023年の本格的な市場導入を見すえ1トン・2トンのEVトラックを展示 ★ボグゾール、商用車のCO2排出量について独自調査を発表……「英国内の商用バンをEVに置き換えると年間1,950万トン以上のCO2を削減可能」 ⚫︎リコール、「アウディRS e-tron GT」……エアスプリングがストラットから分離のおそれ ⚫︎リコール、「シトロエン e-C4エレクトリック」……バッテリーマネジメントユニットの不具合で電源遮断・走行不能になるおそれ

TAG: #THE視点 #サイバースター #スポーツカー #ニューモデル
TEXT:生方 聡
「GLB」とは別モノ!? 「EQB」の電気自動車らしいデザインとは? [メルセデス・ベンツEQB試乗記:その2]

メルセデス・ベンツの人気SUVがベースの「EQB」は、「GLB」譲りの強い存在感を放つ一方、EVらしいデザイン要素によってGLBとは異なる個性を手に入れている。 フロントマスクを一新 大小の箱を連ねたような、まさにSUVという四角いフォルムが特徴のEQBのエクステリア。全長は、以前試乗した「トヨタbZ4X」よりも5mm短い4,685mmであるにもかかわらず、ひとまわり大きく思えるほど、強い存在感を放つ。この印象は、ベースとなるGLB譲りといえるが、フロントマスクやリアビューはGLBとは明らかに異なるデザインに仕上げられている。 たとえばフロントマスクは、押しの強いGLBに対して、EQBは都会的なイメージ。電気自動車だけに本来ラジエターグリルがある場所は光沢のあるブラックパネルでカバーされ、EQB専用デザインのヘッドライトと組み合わされることで、洗練された印象を強めている。 フロント以上に個性的なのがリアエンドのデザインで、ユニークな意匠のLEDテールライトとそれを結ぶライトストリップがEQシリーズの一員であることをアピールしている。 一方、EQBのコックピットはGLBのデザインをほぼ受け継いでいる。コックピットディスプレイとセンターメディアディスプレイを並べたダッシュボードや、5つの円形のエアアウトレットなどには見覚えがあり、GLB同様、きらびやかさが際だっているのだ。

TAG: #EQB #デザイン
TEXT:烏山 大輔
ホンダ、上海モーターショーでBEVの「e:N」シリーズ3車種を世界初公開。中国でのBEV100%目標も5年前倒し

2023年4月18日、ホンダは上海モーターショーで、電気自動車(BEV)「e:N(イーエヌ)」シリーズの第2弾となる「e:NP2 Prototype(イーエヌピーツー プロトタイプ)・e:NS2 Prototype(イーエヌエスツー プロトタイプ)」と、e:Nシリーズ第3弾となるコンセプトモデル「e:N SUV 序(xù)」を世界初公開した。「序」は中国語で「プロローグ」を表し、e:Nシリーズとして新世代の幕開けを迎えるという意味合いを込めている。中国市場において、今後これらのモデルを投入しe:Nシリーズを拡充することで、「2035年までにEVの販売比率100%」の達成を目指していく。 写真は左からe:N SUV 序、e:NS2 Prototype、e:NP2 Prototype 、e:N GT Concept(2021年に発表された2026年までの発売を予定しているコンセプトカー)。 目標を5年前倒し、「2035年までにEVの販売比率100%」 ホンダは、グローバルでの目標である「2050年にホンダが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現」を掲げ、中国においては2027年までに10機種のホンダブランドEVの投入を予定している。 今回発表されたe:NP2 Prototypeとe:NS2 Prototypeは、ホンダが提案する新しい価値を持ったEVとして開発が進められており、e:Nシリーズ第2弾として2024年初頭に発売される予定だ。 またe:Nシリーズ第3弾となるe:N SUV 序については、SUVらしいワイルドさと近未来的な知性を兼ね備えた新世代のe:Nシリーズとして開発が進められている。今回発表されたコンセプトモデルをベースにした量産モデルは、2024年内に発売される予定である。 ホンダはこれらのEVモデルの投入により、中国における電動化を加速し、「2040年までにEV・FCEVの販売比率100%」の目標を前倒しして、「2035年までにEVの販売比率100%」の達成を目指す。

TAG: #BEV #e:N #コンセプトカー #上海モーターショー
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
BMW、新型EVセダン「i7 M70 xDrive」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.19]

BMWの新世代のフラッグシップ登場 従来のV12エンジンに代わりEVが頂点に 【THE 視点】BMWは4月17日、「i7 M70 xDrive」を発表した。BMWで最もパワフルなEVモデルで、中国で開催される「上海モーターショー2023」(4月18日~27日)でデビューした。 「i7 M70 xDrive」はフロントとリアの両方にモーターを搭載する全輪駆動で、システムの最高出力は 485kW(659ps)、最大トルクは1,100Nm(112.2kgm)。0ー100km/h加速は3.7秒で、BMWの全電動モデルの中で最速だという(最高速度は250km/hでリミット作動)。M専用のシャシーを備え、ラグジュアリーセグメントならではのドライビング体験や、BMWらしい電動モビリティとパフォーマンスの完璧な組み合わせを実現したとのこと。 これまで、「7シリーズ」すなわちBMWのフラッグシップモデルと言えば、ガソリンエンジンでV型12気筒を積んだ「760i」だった。この新型ではV型12気筒エンジンはモデルから外れている。しかし今回、それに代わるフラッグシップモデルとして、「M」を冠した「M70 xDrive」が登場した。これは、BMWのフラッグシップモデルがEVに代わったことになる。 今回の上海モーターショーでは、世界最大のEV大国である中国での開催だけに、他社からもEVモデルの発表が相次いでいる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、首都圏でEVカーシェアリングを開始……DeNAソンポ・モビリティ運営の「エニカ」にて「C40リチャージ」「XC40リチャージ」を導入 ★★ヒョンデ、「アイオニック5」ベースのサービスカーを導入……出張サービス専用車両「Hyundai Qちゃん」が稼働開始、整備工具一式を車載[詳細はこちら<click>] ★★「上海モーターショー2023」開幕、新型EV発表ラッシュ……欧州勢は中国市場向けの高級路線、日本勢はコンセプトカー多数 ※以下発表の新型車  ・メルセデス・マイバッハ、「EQS 680 SUV」を発表……最上級のショーファー・ドリブンEV、最高出力484kW(658ps)[詳細はこちら<click>]  ・トヨタ、2台のSUV型EV「bZスポーツ・クロスオーバー・コンセプト」「bZフレックス・スペース・コンセプト」を発表……2024年に中国に導入[詳細はこちら<click>]  ・フォルクスワーゲン、「ID.7」を発表……マッサージシートなどを備えた快適志向のEVセダン  ・ボルボ、「EX90エクセレンス」を発表……リクライニングシートや冷蔵庫等を備えたショーファードリブン志向のSUV型EV  ・ポールスター、「ポールスター4」を発表……SUVクーペスタイルのEV、吉利ホールディング開発のプラットフォームがベース  ・日産、EVコンセプトカー「アリゾン」を公開……CMF-EVプラットフォームによる低重心化や自動調光のサンルーフなどが特徴、「マックス・アウト」も中国初公開  ・ホンダ、「e:N」シリーズの新コンセプトカーを公開……「e:NP2 Prototype・e:NS2 Prototype」と「e:N SUV 序」[詳細はこちら<click>]  ・レクサス、「RZ450e」ベースの「RZアウトドア・コンセプト」を「上海モーターショー2023」に出展……EVハイパーカーのコンセプト「レクサス・エレクトリファイド・スポーツ」も展示 ★富士急行、EVバスを導入……EVモーターズ・ジャパン製の大型4台・小型2台の計6台、富士急グループ5社の路線バスにて稼働 ★「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」が開催、ZEVなどに対する共同声明を発表……「2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、関連するインフラ及び持続可能なバイオ燃料や合成燃料を含む持続可能なカーボンニュートラル燃料を促進すること(※)」などを強調 ※声明文より一部抜粋

TAG: #i7 #THE視点 #ニューモデル
TEXT:栁 蒼太
VWグループのElli、欧州での充電ポイントが50万カ所に

欧州の大手充電ネットワークプロバイダーであるElliは、その管轄下にある充電ステーションが50万基に到達したことを発表した。Elliは、自動車ブランドに関係なく、欧州28ヵ国の約950のプロバイダーでEVの充電が可能だ。 魅力あふれる急拡大 充電ステーション数が50万基を達成したのは、2022年12月に発表した40万ポイントの達成からわずか約4ヵ月後のことだ。現に「ヨーロッパ最大かつ最も急速に成長している充電ネットワーク」を提供するとフォルクスワーゲン(以下、VW)は声明の中で述べている。 なお、50万台の充電ポイントのうち、大半は普通充電ステーションだが、正確な数はプレスリリースに明記されていない。一方、Elliは、33,000のHPC(high power charging stationと呼ばれる急速充電ステーション)へのアクセスが、独自の充電ネットワークを通じて可能になったとしている。また、約5,000の充電ポイントでは、充電カードやアプリ、RFIDチップ(情報の読み取りや書き換えをするシステムのためのチップ)を使わずに充電プロセスを自動的に開始・決済するPlug&Chargeをすでに導入している。 充電ネットワークの拡大にあたって、Elliは、エネル(Enel)やイベルドローラ(Iberdrola)などのエネルギー事業者、鉱物油会社のBP、イオニティ(Ionity)など、数多くの協力関係やパートナーシップを活用している。 ただ、12月以降急速的に10万台を拡大したものの、VWはどのパートナーとどの地域に10万台の充電ポイントが追加統合されたかは明らかにしていない。 巨大グループならではの盤石なネットワーク Elliの充電ネットワークは、主に多数のVWブランドの充電サービスの基盤となっている。VWの「We Charge」、スペインのセアト(Seat)とクプラ(Cupra)の「Easy Charging」、チェコのシュコダ(Skoda)の「Powerpass」、そして「Audi Charging」も、1月からElli充電ネットワークを使用している。この50万基の充電ポイントは、現在、これらすべてのサービスで利用することができる。 今回は、ドイツ内での取り組みを取り上げたが、日本国内でもアウディ、ポルシェ、VWがプレミアム チャージング アライアンス(PCA)を拡大している。これによって、オーナーは各ブランドの展開する急速充電器を利用できるようになる。ブランド独自の充電ステーションの拡大は、該当するブランドにとっては非常に有効になるだろう。一方、社会インフラとしての、どの車でも歓迎という姿勢ではないため、どのようにネットワークが広がり、ユーザーに受け入れられるのか、今後の展開が気になる。

TEXT:曽宮 岳大
新生ランチア発動。新型EVコンセプト「ピューラHPE」を世界初披露

ランチアは4月15日、新しいコンセプトカー「Pu+Ra HPE(ピューラHPE)」を初披露した。いくつかのティザー(登場予告)を経て公開された同モデルは、ランチアが今後進む方向性を示したデザインスタディだ。ランチアでは、エクステリアデザイン、くつろげるインテリア、持続可能性、電動化、快適技術の5つをブランドの重要なキーワードとして掲げ、今後登場する市販モデルも、これらの要素を踏まえたモデルになりそうだ。さっそくピューラHPEの中身を見ていこう。 ヘリテージと前衛的デザインの融合 全体のプロポーションは、未来的な流線型フォルムを取り入れており、かなり攻めたデザインといえる。直線的なラインと曲面を組み合わせ、随所に歴代モデルに通ずるディテールを取り入れたものとなっている。ちなみに車名の「HPE」とは、1970年代に「ランチア・ベータ」で初めて使われたネーミングで、“ハイパフォーマンス・エステート”の頭文字をとったもの。ルーフエンドをドライバー頭上よりはるかに後方に位置させたフォルムは、なるほどエステート風だが、ルーフをリアエンドまで延長せず、リアエンドに向けてなだらかな傾斜を持たせることで、クーペ調のデザイン要素も併せ持つ。捻りを加え、他のどのモデルにも似ていない個性を放つところはランチアらしさを感じさせる。 ディテールには随所に歴代モデルのモチーフを見ることができる。フロント中央から3方向へと広がるYの字ラインも、歴代モデルと見比べてみると、ヘリテージを受け継いだものであることがわかる。またこのデザイン要素は2022年に発表されたデザインコンセプト「Pu+Raゼロ」でも提案されていた。 また左右のリアコンビネーションランプの間にLANCIAの文字を配したそのデザインは、「ストラトス」を彷彿とさせるもの。リアウインドウは「ランチア ベータHPE」を思い起こさせる形状とした。なお、ランチアのロゴやバッジも新デザインに変更されている。 インテリアは、イタリアの高級家具メーカー、カッシーナとのコラボレーションにより仕上げられたもの。フロントシートは、ヴィコ・マジストレッティの手になるカッシーナの高級ソファ「マラルンガ」に着想を得ている。リビングのソファのようにお尻を優しく包み込む形状で、上質な素材や明るい色彩もイタリアらしい仕上がりだ。 ちなみにピューラHPEはリアにも独立した2座を備え、ナイトテーブルのようなスタイリッシュなテーブルを備えている。このほかオーディオや空調、照明などを集中管理し、ボタンやボイスコマンドで操作できる機能など最新技術も取り入れている。

TAG: #コンセプトカー #デザイン
TEXT:烏山 大輔
トヨタ、上海国際モーターショーでbZシリーズのコンセプトカー2台をワールドプレミア。来年中国に導入予定

2023年4月18日、トヨタは上海国際モーターショーにて、バッテリーEV(BEV)のコンセプトカー「bZ Sport Crossover Concept」と「bZ FlexSpace Concept」を世界初披露した。 これらのコンセプトカーは、BEV専用ブランドであるTOYOTA bZシリーズとして開発が進められており、2026年までにトヨタが発売する予定のBEV10モデルのうちの2モデルとして、2024年に中国市場に導入される予定である。 新たな2台のコンセプトカー 「bZ Sport Crossover Concept」は、トヨタと、トヨタが中国の比亜迪股份有限公司と合弁で設立したBYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社(BTET)、一汽トヨタ自動車有限会社、豊田汽車研究開発センター(中国)有限公司が共同開発した。 アクティブで個性的なクロスオーバータイプのBEVで、一汽トヨタより生産・販売される予定である。クルマで移動する時に気分転換ができるように「Reboot」というコンセプトを採用している。Z世代に向けたパーソナルな空間として機能するように、運転支援や自動駐車などの知能化機能も含まれており、オーナーが常に最新のクルマを五感で楽しめるように開発されている。 「bZ FlexSpace Concept」は、トヨタと広州汽車集団有限公司(GAC)、広汽トヨタ自動車有限会社が共同開発した、実用性を重視したファミリー向けのSUVタイプのBEVで、広汽トヨタより生産・販売される予定だ。 家族が安心・快適・自由に使える「COZY HOME」というコンセプトを採用し、大空間と扱いやすさ、高度な安全性、安心の航続距離を実現させ、知能化機能も搭載されている。家族や友人、カップルなどに寄り添い、より生活を楽しめるクルマを目指して開発されている。 トヨタは、BEV(電気自動車)専用プラットフォームを基盤として、TOYOTA bZシリーズを導入し、このシリーズにおいて次の4つの目標を掲げている。 1.You & Others ヒトとヒト 快適な移動空間を提供すると同時に、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間を提供することで、新しいライフスタイルを提供する。 2.You & Your Car ヒトとクルマ BEVならではの運転の楽しさや、可能性を期待させるワクワク感を提供することで、オーナーとクルマとの関係を深める。 3.You & the Environment ヒトと地球 CO2排出量などのマイナスを減らすだけでなく、プラスを生み出すことで、環境問題へ貢献する。 4.You & Society ヒトと社会 安心・安全な社会づくりに貢献することで、社会的責任を果たすことを目指す。

TAG: #BEV #bZ #EV #コンセプトカー #上海モーターショー

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