#THE視点
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
リマック、2000ps級EVスーパー・スポーツ「ネヴェーラ」を英国で初納入[2023.06.01]

4モーターを搭載で最高出力1,427kW(1,941ps) エンジン車にはできないEVスーパーカーの新世界 【THE 視点】リマックは5月31日、EVスーパーカー「ネヴェーラ」を英国で納車したと発表した。「ネヴェーラ」は2021年に発表された世界150台限定の超高性能EV。世界各地で納車が始まっており、今回は英国での初納車となった。 リマックは、2009年クロアチアに設立されたEVメーカー。2011年には「ネヴェーラ」の前身となるEV「コンセプトワン」を発表し、2018年春に「ジュネーブ・モーターショー」にてコンセプトカー「C_Two」が発表。「ネヴェーラ」はその市販モデルだ。ちなみに2018年にはポルシェが資本参加し、開発が加速した。 「ネヴェーラ」は、カーボンファイバー製のモノコックシャシーに4つのモーターを搭載して4輪を独立して駆動する。システム総合の最高出力は1,427kW(1,941ps)で、総合の最大トルクは240.7kgmとなる。バッテリーの最大容量は120kWhだ。 これらの数値からも読み取れるように、2022年には、公道を走るEVとして最高速度となる412km/hを記録。2023年には、1日で23件の加速性能および制動能力記録を達成した。 「ネヴェーラ」は早い話、2,000psのモンスターEVである。エンジン車でこれほどの性能を出そうと思うと、エンジン自体の大型化もそうだが、何より排ガス対策や熱対策などで、ボディが余計に大型になりがちだ。当然空力性能も悪化する。もちろんコストだって相当にかかってしまう。 2,000psを達成できたのは、EVだからと言って良いだろう。「ネヴェーラ」のボディは全体的に低いデザインとなっているが、2,000ps級のマシンでこのスタイルを実現するのは困難だと思われる。また筆者の想像だが、2,000psのエンジン車をつくるよりも開発コストは低いのではないだろうか。 EVは、スーパーカーにエンジン車にはない価値を生み出せる。リマックが「ネヴェーラ」をもってそれを証明した。いつか日本でお目にかかれる日を楽しみにしている。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、米国にバッテリー工場を建設……事業に21億ドル(約2,900億円)の追加投資も[詳細はこちら<click>] ★★メルセデス・ベンツ、中型ミニバンタイプのEV「EQT」及び商用タイプ「eシタン」を本国で発売開始……「EQT」が4万9,444.50ユーロ(約740万円)、「eシタン」が37,740ユーロ(約560万円)から[詳細はこちら<click>] ★★フィアット、小型EV「トポリーノ」を発表……2人乗りの都市型電動モビリティ[詳細はこちら<click>] ★東京都、「令和5年度集合住宅等への充電設備普及促進事業」を開始……EV充電器の購入・設置費用を助成、6月30日(金)〜令和6年3月29日(金)まで受付[詳細はこちら<click>] ★神奈川県、法人向けに「令和5年度神奈川県事業用EV導入費補助金」の受付を開始……4月27日(木)〜12月28日(木)まで受付、EVのバス・トラック・軽トラック・タクシーが対象[詳細はこちら<click>] ★オムロンとユビ電、新たなEV充電器をオムロン岡山事業所にて実証実験……EV充電用コンセントに後付け可能な充電機器、個別測定で充電サービス「ウィーチャージ」より課金 ★テラモーターズ、富山県舟橋村にEV充電器「テラ・チャージ」を導入……舟橋村役場など計2ヵ所の公共施設に ★大阪メトロ、「大阪・関西万博」の会場整備従事者向けの通勤バスにEVバスを導入……65台を順次導入、6月1日より「舞洲〜夢洲(万博会場)間 」「咲州〜夢洲(万博会場)間」にて運行 ★国際航業、「V2H」の効果測定サービス「エネがえるEV・V2H」を開始……有償版として正式にスタート、太陽光発電なども総合的に測定 ★小型EV輸入販売のベクトリクス・ジャパン、「自治体・公共week・スマートシティ推進EXPO」<東京ビッグサイト(東京都江東区)/6月28日(水)〜30日(金)>に出展……小型三輪EV「I-カーゴ」の2023年仕様を展示 ★フォーミュラE第10戦ジャカルタ、今週末に開催……現在のランキングトップはニック・キャシディ選手(エンビジョン・レーシング) デイリーEVヘッドライン[2023.06.02]

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
コスモ石油、EVの新サービスを開始……軽商用EV「ASF2.0」をリース

サービスステーションや加盟店にて定額で充電とメンテナンス ASF社のブランド価値を高めるためにしっかりとサポートを 【THE 視点】コスモ石油マーケティング(コスモ)は5月31日、ASF(資本業務提携契約を締結したEVの企画および開発を行うスタートアップ企業)が製造する軽商用EV「ASF2.0」の取り扱いを開始すると発表した。同社が展開する「コスモMyカーリース」において展開する。 コスモエネルギーグループは、カーボンニュートラル実現に貢献すべく、「グリーン電力サプライチェーン強化(発電~需給調整~売電サプライチェーンによる高付加価値化)」の経営計画「ヴィジョン2030」を掲げている。 これまでコスモは、カーリースやカーシェア事業でのEVの活用を、法人や自治体に提案してきた。今後もカーボンニュートラル事業の需要が拡大することを想定し、国産EV向けのサービス「コスモmyカーリース」に、ASFの軽商用EV「ASF2.0」の導入を決めたという。 ASFは、日本国内でのEV普及促進を図るために設立されたファブレスメーカー(工場を持たない製造業)で、国内EVベンチャーのFOMMより、技術協力を得て事業を進めている。佐川急便と7,200台の「ASF2.0」の供給契約も締結している期待のベンチャー企業である。 「ASF2.0」は、最大容量30kWhのリン酸鉄リチウムイオン・バッテリーを搭載し、航続距離は209km。最大積載量は350kgで、ラストワンマイルの配送に適した性能を持つ。駆動系統はニデック(旧日本電産)製を採用しているため、十分な信頼性があると言える。 「コスモMyカーリース」にラインナップするにあたり、「EV向けメンテナンスパック」の提供も開始した。ASFの充電やメンテナンスを定額で、コスモのSSほか加盟店で受けられることになる。 そのような拠点が多ければ、車両を酷使する配送業に安心して車両を導入できる。法人や小規模な事業を営むところなどへの拡販が、大きく期待できることになる。 ただ、ASF自体は国内では無名と言えるメーカーだ。設計上のクオリティは高いとはいえ、現場での信頼性を得るには、根気強くサービスを提供してゆく必要があるだろう。ともあれ、軽商用EV市場の熱気が高まることは歓迎したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、「水素ファクトリー」を新設……7月1日付けの組織改正にて、燃料電池の開発を加速[詳細はこちら<click>] ★★「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」の累計生産台数が5万台を達成……生産開始から約1年で達成 ★ボルボ、コンパクトSUVの新型EV「EX30」の内装を一部情報公開……リサイクル素材と再生可能素材を活用[詳細はこちら<click>] ★エネチェンジ、JR沼津駅前の商業施設「Plaza Fontana-Numazu Station-」にEV用充電器を設置……施設内有料駐車場に最高出力6kWタイプを2基 ★テラモーターズ、埼玉県三芳町にEV用充電器「テラチャージ」を導入……三好町役場など5ヵ所の公共施設に ★LG、バッテリーの材料「カーボンナノチューブ」の生産を加速……4ヵ所目の専用工場を建設、三菱自動車にも供給予定 ★ステランティス、オー・ド・フランス地域にて大規模バッテリー工場を開設……トタル・エナジーズとの合弁会社が運営、2023年末までに生産ラインを稼働 ★EVバイクシェアのハロー・モビリティ、「BIGFUN平和島」<東京都大田区>にてEVスクーターのシェアサービスを開始……交換式バッテリーを採用、区内のバッテリーステーションの利用も可能 ★テスラ、「広島T-SITE」<広島市西区>にて展示・試乗会を開催……6月1日(木)〜25日までの長期 ★ボッシュ、EV船事業を推進……EVで培った品質・技術を活用、小型ボート用に電動システムを開発 ★太田房江経済産業副大臣とデイビッド・イービー・カナダ・ブリティッシュコロンビア州首相が会談……水素燃料電池の研究開発について企業連携の後押しなどを確認 デイリーEVヘッドライン[2023.06.01]

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TEXT:福田 雅敏
最新のEV技術を各社持ち寄り……「人とくるまのテクノロジー展」よりレポート メーカー編[THE視点]

出展者数499社、来場者数6万3,810人で昨年を上回る 「人とくるまのテクノロジー展 2023 YOKOHAMA」が、5月24日~26日までパシフィコ横浜<横浜市みなとみらい地区>で開催された。 自動車メーカーとサプライヤーが、それぞれの最新技術や製品を展示するこのイベント。今年は499の出展社、来場登録者数も6万3,810人と、昨年の484社、来場登録者43,665人を大きく上回った。初日の朝からかなり混んでいると感じたのが第一印象だった。 また今回も各社から展示物が目白押しだった。会場の模様を数回に分けてお伝えしたい。初回は自動車メーカーを中心にEVに関係する情報をレポートする。 日産……「アリア」のカットモデル 日産のブースには、「アリア」のカットモデルが展示されていた。ボンネット内のモーター、インバーターを始めとする機器類や、室内フロアをカットしてバッテリーパックを覗く事ができ、リアモーターの搭載位置も現物として確認できた。 加えて英国大使館のブースにも「アリア」が展示されていた。その理由を尋ねたところ、「日産の工場が英国サンダーランド市にあるから」との事だった。 また、ホワイトボディが主催の自動車技術会の展示コーナーに展示されており、そちらについては、別記事で触れたい。

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
商用EVにも地殻変動か、三菱ふそうと日野が経営統合

それぞれの親会社のトヨタ自動車とダイムラー・トラックが合弁会社を設立 三菱ふそう車にトヨタのFCが載る可能性も 【THE 視点】日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(三菱ふそう)は30日、経営統合することで基本合意したと発表した。三菱ふそうの親会社であるダイムラー・トラックと、日野の親会社であるトヨタ自動車の4社で基本合意書を同日付で締結した。 トヨタとダイムラー・トラックが合弁会社を設立し、日野と三菱ふそうの両ブランドを残しながら、商用車の開発・調達・生産分野で協業し、水素をはじめとする「CASE(※1)」技術開発を加速させる。 これで、トヨタの燃料電池(FC)を活用した日野のバス「ソラ」や、大型FCEVトラックの技術をダイムラー側が、一方で三菱ふそうの小型EVトラック「eキャンター」の技術や、ダイムラー傘下のメルセデス・ベンツ等がもつ大型バッテリー式EVトラック・バスの技術をトヨタ側が手に入れることになる。 今や単独で「CASE」技術を開発するには限界が見えたのだとみられる。双方が持つ技術を、双方が使えるようになれば、新たなシナジーも生まれよう。 筆者が予想するには、大型トラックの電動化はFCEV、中・小型トラックはバッテリー式EVという方向に明確に進むと思われる。大型車はやはり、充電時間と走行距離を考えると、バッテリー式は難しいところがある。 日本では、刺身にする鮮魚のような鮮度最優先の生鮮食品の輸送もある。充電に時間がかかるバッテリー式の大型EVトラックの場合、大きなタイムロスが発生してしまう。 なお同日行われた会見では、トヨタを中心とする「CJPT(※2)」への、三菱ふそう側の参加については発表やコメントがなかった。 日野は、バスに関してはいすゞと製造部門を統合した「ジェイ・バス」も抱えている。どのような影響が出るのかも気になるところだ。たとえばダイムラー・トラックは、傘下のメルセデス・ベンツ名義で大型EVバスをドイツで製造・販売して公共交通機関に納入するなどの実績を持つ。あわよくば、そのEVバスの導入もあり得る。 ともあれ、三菱ふそうとの事業統合は、国内の商用車業界に大きく影響しそうである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ※1:CASE……「コネクテッド」「自動化」「シェアリング」「電動化」の英語の頭文字をとった造語 ※2:CJPT……「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」の略語、トヨタが中心となりいすゞも参画する次世代商用車の開発団体 ★★メルセデス・ベンツ、新型EV「EQS SUV」を日本で発売……7人乗りに対応、メーカー初のEV専用プラットフォームを採用[詳細はこちら<click>] ★関東鉄道、茨城県初の路線型の大型EVバスを導入……「BYD K8」(定員81人)を採用、6月1日より守谷営業所管内で運行開始 ★東京都、お台場や有明地区などの臨海部でEVバイクシェアリングを5月29日より開始……ドコモ・バイクシェアと共同事業、前二輪のトライクタイプの小型EVを導入 ★メルセデス・ベンツ、EVのトラクター・ヘッド「eアクトロス」シリーズの長距離テストを実施……ドイツのヴェルト工場からトルコのアクサライまで3,000km、秋に量産開始 ★東北大学、「カルシウム蓄電池」の500回以上の充放電に成功……レアメタル不使用の次世代型バッテリー、トヨタ北米先端研究所も研究に協力 デイリーEVヘッドライン[2023.05.31]

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
BMW、「7シリーズ」のEVモデルの頂点「i7 M70 xDrive」を日本で発売

世界最高級かつ最高性能クラスのEVが上陸 日本のメーカーの目は覚めるか 【THE 視点】ビー・エム・ダブリュー(BMW)は5月29日、高級セダン「7シリーズ」のEVモデル「i7」に、新規に2機種を追加・発売した。 追加したのは「i7 eDrive50」と「i7 M70 xDrive」。既存の「i7 xDrive60」と合わせて3機種の展開となる。なお、納車は2023年第4四半期以降の予定だ。 「7シリーズ」は、2022年に現行型の第7世代に進化した。最高峰の品質と技術を取り入れたのは言うまでもないが、「7シリーズ」としては初のEVモデルが追加されたのが最大のトピックと言えよう。 今回追加されたうちの1台、「i7 eDrive50」は、最高出力335kW(455ps)を発揮する電気モーターが後輪を駆動するBMW伝統のFRレイアウトに則ったモデル。最大トルクは650Nm(66.3kgm)で、0-100km/hの加速はわずか5.5秒だ。床下に収納されているバッテリーの容量は105.7kWhで、航続距離は最大611kmである。価格は1,598万円となる。 そしてもう1台は「i7 M70 xDrive」。BMWのハイパフォーマンス車に与えられる「M」が冠されたシリーズの頂点だ。 最高出力190kW(258ps)のモーターを前輪に、そして360kW(489ps)のモーターを後輪に配置したAWDで、合算の出力は485kW(659ps)となる。最大トルクは1,015Nm(103.5kgm)で、0-100km/hは3.7秒だ。バッテリーの容量は105.7kWhで、航続距離は最大で560kmとなる。価格は2,198万円。 今回発表された「M」を冠した「i7」は、全開加速をしたらむち打ちしそうなトルクで、もはやスーパーカークラスの性能である。BMWなだけに走りを楽しむドライバーズカーであるのは間違いないだろう。 しかし、「7シリーズ」はVIPを乗せるショーファー・ドリブン・カーという側面もあり、いくらハイパフォーマンスEVといえども、そのあたりの仕様は抜かりがない。たとえば後席には超大型の31インチ「シアタースクリーン」が装備されている。EVの静粛性などと相まって、快適性はガソリン車の「7シリーズ」以上と思われる。 日本のEVは、いまだに実用車クラスしかない。海外のEVは、この「i7」に見られるように、富裕層やVIPに向けたモデルが続々と登場している。「上海モーターショー 2023」にて、メルセデス・マイバッハのEVがデビューしたのも記憶に新しい。一方の日本勢は、ほとんどがコンセプトカーの発表にとどまっていた。 日本勢も悠長に構えているわけにはいかないのは明白だ。今年は「東京モーターショー」改め「ジャパン・モビリティ・ショー」が控えている。そこで従来のようにコンセプトカーの展示だらけでは、「日本メーカーは高級EVも作れないのか」と、世界の笑い者になる。「i7」をはじめ、海外の高級EVの登場を無視してはいけない。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★アウディ、EVシリーズ「e-tron」が150kWの急速充電に対応……既存ユーザーも無料アップグレードが可能[詳細はこちら<click>] ★★ヒョンデ、米国でFCEVトラック「エクシエント・フューエル・セル」を初公開……車両重量15トン(クラス8)の大型トラクター・ヘッド ★トヨタ、EV用のバッテリーや技術を活用した定置用蓄電池システムを開発……東京電力などと共同開発、本年秋より風力発電所「ユーラス田代平ウインドファーム」<秋田県鹿角市>にて実証実験[詳細はこちら<click>] ★半導体のオンセミ、パワー半導体用素材「SiC(炭化ケイ素)」の収益を2027年に倍増目標……ケンパワーのEV用充電器や吉利などへ供給を強化 ★ボルボ、新型EV「EX30」が6月7日の13時30分(現地時間)にいよいよワールドプレミア デイリーEVヘッドライン[2023.05.30]

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TEXT:福田 雅敏
観光型EVバス普及で浮き彫りになる問題……専用の充電インフラがない[THE視点]

「2023 バステクフォーラム」が5月12日、大阪・舞洲スポーツアイランド「空の広場」<大阪市此花区>にて開催された。前編[詳細はこちら]では、会場にて試乗ができた路線型のEVバスを紹介した。 しかし会場には、路線型以外にも観光型のEVバスが展示されていた。現在、日本はインバウンド需要などが再び高まり、観光バスの出番も増えていると聞く。今後導入が検討されるであろう観光型のEVバスは一体どのような特徴があるのか、むしろ、無視できない問題が浮き彫りとなってきた。 EVモーターズ・ジャパンが提案する観光型のEVバス EVモーターズ・ジャパンが会場に持ち込んだもうひとつのEVバスが、観光型の「F8 シリーズ6 コーチ」だ。 全長8.85m×全幅2.49mの観光バスで、定員は35人。最大容量210kWhのバッテリーで、280km(社内基準値)の航続距離を持つ。モーターは最高出力240kW(326ps)。ステンレスのシャシーにFRPのボディや「アクティブ・インバーター」を搭載しているところなど、根底の設計は路線バスタイプと同じだ。 この観光タイプも現在は中国生産だ。内外ともに品質のレベルは高いが、内装面ではUSBソケットが付く程度。簡素ではあるが、国内の観光バスのクオリティに合わせるには、価格やバッテリー容量の問題を解決しなければならないのだろう。 ちなみにバッテリーは、床下はもちろんトランク・ルームにも設けられていた。価格は5,500万円(標準車)で、観光型としてはリーズナブルに思える。 EVモーターズ・ジャパンは現在、北九州にEVバス工場を建設中であり、完成次第国内生産に切り替える予定だという。国産化するということは、内外の完成度に相当のクオリティが求められることになる。 しかし逆に捉えれば、国産の観光型EVバスのリーディングカンパニーになれるチャンスとも言えよう。是非とも日本の商用EV企業としての底力を見せて頂きたい。 ちなみに参加者には、帰る際にアンケート代わりにシール3枚が渡され、それを良かったブースに貼って帰るのがこのイベントの特徴。今回印象的だったのは、私が帰る時点で、EVモーターズ・ジャパンに一番多くのシールが貼られていたことだった。

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
パワーエックス、電気運搬船の初号機「X(エックス)」の設計仕様を公開

EV2,410台分のコンテナ型蓄電池を搭載 船の活用について九州電力・横浜市港湾局とも連携 【THE 視点】パワーエックスは5月25日、電気運搬船の初号機「X(エックス)」の設計を公開した。この船は電動船であると同時に、外部給電用のコンテナ型の大型バッテリーを搭載して運ぶ世界初の「電気運搬船」である。現在、「X」は開発中であるが、初号船の詳細設計を愛媛県今治市で開催中の国際海事展「バリシップ」にて発表した。2025年の完成を目指しており、2026年より国内外で実証実験を予定しているという。 また、電気運搬船を活用した海上送電事業を推進するための新会社「海上パワーグリッド」を、2023年の第3四半期中に設立するとも発表。この会社は、電気運搬船の所有と、国内外への電気運搬船の販売および海上送電のオペレーションを担当し、国内外の事業パートナーを募集する。 今回発表された電気運搬船は、「パワー・アーク100」という型で、その初号機の船名が「 X」となる。船長140mのEV船で、合計96個のコンテナ型の大型バッテリーを搭載。合計の電池容量は、241MWhにおよぶ。 船に搭載するバッテリーは、パワーエックス独自設計のモジュールで、安全性に優れたリン酸鉄リチウムイオン (LFP) 製セルを使用し、6,000サイクル以上の長寿命を実現するという。バッテリーシステムはスケーラブルな設計となっており、ミッションに応じて搭載する電池を増やすことにより、「パワー・アーク1000」や、それ以上に大きなサイズの電気運搬船をつくることも可能という。 さらにパワーエックスは、九州電力と覚書を締結。海上送電という新しいコンセプトの実現に向けて、再生可能エネルギーを電気運搬船で送電するという新たな事業の検討を共同で進めることも発表した。 具体的には、電気運搬船を用いたオフサイトコーポレートPPA(パワー・パーチェス・アグリーメント)事業、自己託送事業、九州と本州間での電力系統補完などが含まれる。 横浜市とも、電気運搬船および蓄電池の利活用を通じた連携協定も締結した。同市が進めるカーボンニュートラルポートの形成を目標とする。同時に電気運搬船を利活用した、次世代のエネルギーインフラの検討にも取り組むという。 先日もレポートしたが[詳細はこちら]、ここのところパワーエックスの動きがとても活発だ。自社製の大型バッテリーを武器に、電動運搬船やEV用充電インフラまで広い範囲に事業が及ぶ。 「X」の搭載バッテリーの総容量(241MWh)は、最大容量100kWhのEVに換算して2,410台分に相当する。来年の完成予定が楽しみである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォード、テスラのEV充電インフラ「スーパーチャージャー」の利用が可能に……「マスタング・マッハE」などが対応、アメリカとカナダで1万2,000ヵ所以上[詳細はこちら<click>] ★★ヒョンデ、米ジョージア州にEV用バッテリーセル工場を建設へ……韓国のバッテリー企業SKオンと合弁会社を設立、2025年後半から生産開始 ★テラモーターズ、埼玉県羽生市にEV用充電器を大規模導入……市内公共施設に100基の「テラチャージ」を設置 ★BMW、新型「i5」にゲームプラットフォーム「エアコンソール」を搭載、インフォテインメントシステム上でレースゲームなどがプレイ可能、充電待ち時間の活用を提案 ★リマック、アラブ首長国連邦の自動車販売店大手「Al Habtoor Motors」と代理店契約……EVハイパーカー「ネヴェーラ」を販売、2024年第1四半期にショールームをオープン  ★セントラル硝子、リチウムイオン・バッテリー用電解液を自社製造……中国の電解液大手「天賜グループ」と合弁会社を設立、「LiPF6(六フッ化リン酸リチウム)」の製造へ ★DOWAホールディングス、リチウムイオン・バッテリーなどのリサイクル事業を推進……2030年度売り上げを現状の1.6倍となる5,760億円以上に デイリーEVヘッドライン[2023.05.29]

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TEXT:福田 雅敏
路線型EVバスは乗客に優しい乗り心地……「2023 バステクフォーラム」よりレポート[THE視点]

4台のEVバスを試乗・展示 「2023 バステクフォーラム」が5月12日、大阪・舞洲スポーツアイランド「空の広場」<大阪市此花区>にて開催された。14回目となる今回は、二十数社の参加により最新のEVバスの試乗・展示が行われた。今回はその中から、実際に試乗した路線型EVバスの3台をレポートする。 ちなみに今回、バス全体の展示台数は17台あり、そのうち4台がEVバスであった。EVバス関連の周辺機器としては、急速充電器1台の展示もあった。 展示&試乗車は以下の4台となる。 ・EVモーターズ・ジャパン  「F8シリーズ2-シティ・バス」:全長10.5m路線バス(試乗車)  「F8 シリーズ6-コーチ」: 全長8.8m観光バス(展示車) ・オノエンジニアリング  「オノエン・スターEV」: 全長9m(試乗車) ・アルファバスジャパン  「アルファバス E-シティ L10」: 全長10.5m(試乗車) 試乗は乗客としてバスに乗り、会場内の決められたコースを周回した。各バスそれぞれの特徴を体感できたのでお伝えしたい。

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
モリタ、EVのパッカー車「eパックマスター」を開発……デイリーEVヘッドライン[2023.05.26]

「三菱ふそう・eキャンター」ベースで2023年度中に販売予定 早朝のごみ収集作業が低騒音に 【THE 視点】モリタホールディングス傘下のモリタエコノスは5月24日、EV回転式塵芥収集車「eパックマスター」を開発したと発表した。EVのいわゆる「パッカー車」である。 ベース車には、三菱ふそうトラック・バスのEVトラック「eキャンター」を採用した。価格は1,900万円(標準仕様・税込)で、年間販売台数目標は5台。 ごみ収集事業は地方公共団体が運営しているところも多く、その現場では、カーボンニュートラルへの取り組みや労働環境の改善が進められている。今回のEV塵芥車は、電動化により脱炭素化と低騒音化、そして省力化と安全性の向上を目指して開発された。 筆者もこれまでに、ディーゼルからEVへ改造した塵芥車を開発したことがある。塵芥車の油圧駆動部分は、別途PTO(パワー・テイク・オフ:動力取り出し装置)が必要となるため、駆動用モーターを低速で回転させるか、PTO専用に電気モーターを用意し駆動させる必要があり、改造には手間がかかった。 しかし「eキャンター」は、動力取り出し装置「ePTO(エレクトリックPTO)」をオプションで装備できるため改造が容易になったと思われる。そのため、ベース価格で1,370万円程度の「eキャンター」を塵芥車に改造しても、2,000万円を切る価格に抑えることができたのではないだろうか。 自治体によっては、早朝にごみ収集作業が行われるため、EVによる低騒音化は住民も歓迎するはずだ。多くの自治体で導入を進めてほしいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BMW、新型5シリーズのEVセダン「i5」を日本でも発売……限定車「i5 eDrive ザ・ファースト・エディション」の先行販売受付を開始 ★★パワーエックス、電気運搬船の初号機「X(エックス)」の設計を公開……合計容量241MWhのコンテナ型蓄電池を搭載、船の活用について九州電力・横浜市港湾局とも連携 ★レクシブ、法人向けEV用スマート充電器を発売……スマホなどから充電を遠隔操作、電気料金の節約が可能 ★DS、EVの新型SUV「E-テンス 4×4 360」を発表……フォーミュラE由来の回生ブレーキ技術を採用 ★欧州フォード、新型EV「E-トルネオ・キャリア」を発表……5人乗りのミニバン、最高出力は100kW(136ps)

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
東京R&D、国産初のFCEVスポーツ・モデルの開発を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.05.25]

「人とくるまのテクノロジー展」にて設計画像を公開 来年のプロトタイプ完成に大きく期待 【THE 視点】東京アールアンドデー(R&D)は5月24日、「人とくるまのテクノロジー展 2023」にて、FCEV(燃料電池車)スポーツ・コンセプトを発表した。 公表された諸元は、全長4,320mm×全幅1,800mm×全高1,180mm。重量は1,300kg。最高出力200kW(272ps)のモーターに、最高出力80kWのFC(燃料電池)スタックを組み合わせる。 現在も開発・設計を進めており、今後は実車の製作に向けたフェーズに移るという。開発が順調に進めば、来年のこの展示会にてプロトタイプがお披露目できる見込みとのこと。 東京アールアンドデーは、2000年にホンダのエンジンを積んだ「VEMAC」という2人乗りの軽量のスポーツカーを発表し、その後少量生産・販売した。 今回の展示会には、その「VEMAC RD200」をレストアし参考出品している。あれから20年以上経ち、次世代のスポーツカーとしてFCEVを選択した。 実車のFCEVスポーツ・コンセプトが発表されれば、国内初のFCEVスポーツ・モデルとなる。実車のお披露目を期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ケータハム、「EVセブン」を発表……往年のスタイルで電動化、最高出力179kW(243ps)[詳細はこちら<click>] ★★BMW、新型5シリーズ・セダンのEV「i5」を本国で発表……「eDrive40」と「M60 xDrive」を用意、「M60」の最高出力は442kW(601ps)[詳細はこちら<click>] ★★オペル、コンパクトEV「コルサ・エレクトリック」を発表……最高出力115kW(156ps)、「ボグゾール」ブランドにも導入 ★★BMW、「i7 eDrive50」の登場を予告……「i7」の新バージョンで夏に登場予定、本国で自動認証の充電システムも稼働へ ★アイシン、EV用超効率モーターを開発……従来の電磁鋼板モーターと比較してロスを半減、3%の電費向上が可能 ★モリタホールディングス、EVのゴミ収集車を発表……「三菱ふそう eキャンター」ベース、2023年度中に販売予定 ★ユアスタンド、遠隔制御可能なEV用充電システムを開発……電力逼迫時に出力調整、充電器はウォールボックスの「パルサー・プラス」(最高出力8kW) ★ユアスタンド、「テスラ・モデル3」対応の充電器をニッパツパーキングシステムズの機械式駐車場に導入…… 専用アプリにて分単位の決済が可能 ★スウェーデンのボートメーカーのカンデラ、水中翼船「C-8」ポールスター・エディションに「ポールスター2」のバッテリー・充電システムを搭載 ★TDK、EV用ワイヤレス給電システムを「人とくるまのテクノロジー展」に出展……センターコンソールなどに搭載可能な薄さ0.76mmの無線給電用コイル ★ボルボ、新型EV「EX30」のCO2削減量が「XC40」より25%削減と公表……これまでの全モデルの中で最小排出量 ※ 「人とくるまのテクノロジー展 2023 」……パシフィコ横浜(YOKOHAMA横浜市西区)にて5月24日(水)〜26日(金)に開催

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EVヘッドライン
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BYDの売り上げ鈍化に注目しても意味なし! むしろ心配すべきはテスラか? BYDは利益率も投資額も驚くべき水準だった
いすゞがピックアップトラック「D-MAX」にBEVを用意! バンコク国際モーターショーでワールドプレミア予定
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ニュース
東京都に住むEVオーナーは注目!  最新設備の「アウディ・チャージング・ハブ 紀尾井町」の150kWh超急速充電を30分無料開放
EVの充電がプラグを接続するだけに! Terra Chargeがプラグアンドチャージ対応EV充電器を2025年度から設置開始
BYDの勢いが止まらない! 新エネルギー車の生産台数が世界初の1000万台を突破
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コラム
「タイヤの摩耗が早い」「買い取り価格は期待できない」EVにまつわる巷のウワサ6つの真実
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
新車が買えないレベルで人気沸騰中のメルセデス・ベンツGクラス! EVが売れない日本でも「G 580 with EQ Technology」ならバカ売れするか?
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
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イベント
外からもまる見えな全面ガラスドアも高齢化が進む地域のモビリティとして最適!? タジマの超低床グリーンスローモビリティ「NAO2」が斬新すぎた
EVはレアメタルが詰まった都市鉱山! CEATEC2024でBASC展示が提唱するサーキュラーエコノミーというバッテリーとは
畳めるバイク! 階段を上り下りできるカート! 自由な発想のEV小型モビリティが作る明るい未来を見た!!
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