#試乗
TEXT:TET 編集部
全国約30カ所を巡る! BYDが展示&試乗イベント「Hello! BYD Caravan」を開催

第1弾は代官山T-SITE! BYD Auto Japan株式会社は、全国約30カ所で「Hello! BYD Caravan」を実施する。 「Hello! BYD Caravan」では、「さわればわかる、EVのイイとこ。」をコンセプトに、ミドルサイズSUV「BYD ATTO 3(ビーワイディー アットスリー)」と、コンパクトEV「BYD DOLPHIN(ビーワイディードルフィン)」の展示・試乗を行う。 さらに、「みて、さわって、新発見。みつけてBYD!」というテーマのもと、電気自動車やBYDにまつわるクイズやアンケートに回答すると、BYDオリジナルグッズがもらえるという。 「Hello! BYD Caravan」第1弾は、2024年3月9日(土)~3月10日(日)に代官山T-SITE(東京都)にて開催。概要は以下となる。 ■Hello! BYD Caravan @代官山T-SITE 開催日時:2024年3月9日(金)~10日(日) 10:00-18:00(予定) 試乗受付:2024年3月9日(金)~10日(日) 09:40-17:00(受付時間) 会場:代官山T-SITE ※試乗は事前または当日に予約が必要 実施内容や試乗予約の詳細はコチラ また、直近の実施予定は以下。今後の決定情報は、随時特設WEBサイト上にて公開される。各イベントによって展示・試乗などの内容が異なるので、詳細は特設WEBサイトを確認してみてほしい。 ■Hello! BYD Caravan@名古屋 開催日:2024年3月16日(土)~17日(日) 会場:名古屋市 久屋大通公園 ■Hello! BYD Caravan@山口 開催日:2024年3月16日(土)~17日(日) 会場:山口きらら博記念公園 ■Hello! BYD Caravan@二子玉川 開催日:2024年3月23日(土)~24日(日) 会場:二子玉川ライズ ■Hello! BYD Caravan@大阪 開催日:2024年5月11日(土)~12日(日) 会場:グランフロント大阪 ■Hello! BYD Caravan@軽井沢 開催日:2024年5月25日(土)~26日(日) 会場:軽井沢・プリンスショッピングプラザ

TAG: #展示 #試乗
TEXT:西川昇吾
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった

高級サルーンのような走りが印象的 自動車メディアでは毎年恒例となっている日本自動車輸入組合(JAIA)主催のメディア向け試乗会。この試乗会に若手自動車ライターの筆者も参加させて頂いた。多くの輸入車に触れたが、今回はポルシェのBEVモデルであるタイカンをリポートしていく。 ■中間グレードでもビックリなハイパフォーマンス いまさら説明する必要もないかもしれないが、タイカンはポルシェ初のBEVモデルだ。デザインを見ると全体的なシルエットはパナメーラに近いものを感じるが、灯火類やダクト類の少ないフロントバンパーといったデザインが、タイカンがBEVモデルであることを感じさせる。誰もがひと目見てポルシェと分かる見た目にもかかわらず、BEVモデルに必要な未来的な要素を感じさせるデザインは、個人的にはかなり好印象。 今回試乗したのはGTSというグレード。タイカンのラインアップのなかでは中間に位置している。最高出力598馬力、最大トルク850Nmというスーパースポーツもビックリなパフォーマンスを誇っていて、気になる航続距離は492kmとされている。 ■伝統を感じるインテリア 未来的なエクステリアの印象とは異なり、インテリアはポルシェらしい伝統を残した雰囲気で、良い意味でBEVらしくない印象だ。メインとなるメーターパネルはドライバーの前に独立して配置され、若干アーチした形状となっている。ポルシェ人気のオプションであるスポーツクロノパッケージもそのままだ。 実際にドライバーズシートに座ってみると、BEVとしては低いシートポジションにも驚かされる。BEVはバッテリーを床下に搭載するため、どうしてもシートポジションが高くなりがちだ。このシートポジションと、BEVとしては保守的なインパネまわりに、「ポルシェに乗っている」と印象付けられる感じだ。 ■サルーン的な乗り味のなかにスポーツカーの要素 ポルシェに……というかドイツ車のサルーンに乗っている印象は、走り始めるとより強く感じるものとなった。不快な振動が少なくフラットな乗り心地は、長距離ドライブでの疲労感の少なさを感じさせてくれる。 スポーツモードでも比較的乗り心地が良く、GT的というかサルーンな感触が強い。また、スピードメーターが示す速度に対して体感速度が低く感じるのも高性能サルーンらしい特徴だ。高速域でもドライバーに対して無駄な緊張感を与えないのは、ハイスピードでの長距離移動を考えたドイツの高性能車らしい特徴と感じる。 しかし、ステアリングはダイレクト感と剛性感を高い次元で両立したスポーツカーそのもの。ドライバーの意思に対して素早く反応してくれる。車重は2380kgとスポーツカーとしてはかなり重いが、ドライバーが思った通りの反応が返ってくるドライブフィールで、ドライビングが楽しいと感じさせる味付けをしてくるのはさすがポルシェといった印象。 全体的な印象として、ポルシェはBEVでもICEのスポーツカーのようなドライブフィールを意識しているのかなと感じた。ブレーキのタッチやアクセルオフ時の回生ブレーキの介入感覚はとくにそのような印象を受ける部分だ。 ただ、個人的にちょっと惜しいなと思ったのが、パドルシフトが無いことだ。近年はパドルシフトで回生ブレーキの段階を強弱できる電動車も増えてきた。筆者はエンジンブレーキのように使えるこのメカニズムが好きなのだが、ICEのスポーツカーのような乗り味を狙うなら、パドルシフトがあっても良いのではないかと思う。 加速の瞬発力やトラクションの高さはハイパフォーマンスなBEVといった感触だが、全体的な乗り味は伝統を大切にしており、ポルシェらしさを感じた。新しさと伝統が融合している。そんなモデルがこのタイカンなのだ。

TAG: #PORSCHE #タイカン #試乗
TEXT:TET 編集部
ヒョンデが2周年を記念してIONIQ 5とKONAにお得に乗れるキャンペーンを開催

「Power of ZEROキャンペーン」を開催 Hyundai Mobility Japanは、「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」(Limited Edition含む)を購入した人を対象として、ローン金利を0%とするなどの「Power of ZEROキャンペーン」を2024年1月1日(月)より開始した。 これは、Hyundai Mobility Japanが2周年を迎えたことを記念したものであり、「Power of ZEROキャンペーン」のひとつである「IONIQ 5 ローン金利0%キャンペーン」、誰もが気軽にEVライフをスタートできるようにと願うHyundaiの計らいによるもの。 また、「KONA(コナ)」を購入した人を対象にした「KONA充電サポートキャンペーン」も同期間で実施する。これは、200V用EV充電コンセント本体・標準工事費用を最大9万9000円サポートするというキャンペーンで、充電用コンセント設置を希望しない人へは、EV充電費サポートとしてPayPayポイント10万円分を提供する。 さらに、IONIQ 5またはKONAを試乗された人を対象にした「KONA&IONIQ 5試乗プレゼントキャンペーン」も開催。試乗した人のなかから抽選で40名に10万円分のJTBトラベルギフトがプレゼントされる。 「Power of ZEROキャンペーン」の概要は以下の通り。 「Power of ZEROキャンペーン」 ①「IONIQ 5 ローン金利0%キャンペーン」 IONIQ 5をご注文時に、お支払方法「ローン」をご選択のお客さまへ、ローン金利を0%で提供。「現金/クレジットカード」または「リース」を希望した場合は、PayPayポイント20万円分が提供される。 実施期間:2024年1月1日(月)〜2024年2月29日(木) 対象者:上記期間中に公式サイトからIONIQ 5(Limited Edition含む)をご注文したお客さま ②「KONA充電サポートキャンペーン」 200V用EV充電コンセント本体・標準工事費用を最大9万9000円サポート。充電用コンセント設置を希望しない場合は、EV充電費サポートとしてPayPayポイント10万円分が提供される。 実施期間:2024年1月1日(月)〜2024年2月29日(木) 対象者:上記期間中に公式サイトからKONAをご注文したお客様 「KONA&IONIQ 5試乗プレゼントキャンペーン」概要は以下の通り。 「KONA&IONIQ 5試乗プレゼントキャンペーン」 期間中にHyundaiのEVを試乗して会員登録をしたお客さまのなかから抽選で40名様へ10万円分のJTBトラベルギフトをプレゼント(1月20名様・2月20名様) 実施期間:2024年1月1日(月)〜2024年2月29日(木) 対象者:上記期間中にショールームおよび全国試乗会を含む試乗マップに掲載の試乗拠点でKONAまたはIONIQ 5を試乗いただき、会員登録を完了したお客さま 新たな年の始まりにHyundaiの最新EVと過ごす新生活を検討してみてはいかがだろうか。

TAG: #キャンペーン #ヒョンデ #試乗
TEXT:TET 編集部
1年間「ID.4」に乗れる「365 DAYS OWNER」の応募受付を開始

「ID.4」のある生活を体感できる フォルクスワーゲン ジャパンは、ブランド初のフル電動SUV「ID.4」の1年間に渡る長期オーナー体験「365 DAYS OWNER」の応募受付を開始した。 応募期間は2023年12月25日(月)から2024年1月31日(水)まで。当選者1名は1年間「ID.4」に試乗することができる。 「ID.4」は2022年の導入直後から、充実した装備、スペックに加え、価格設定、独自の充電網や販売ネットワーク体制などが評価されているという。 100%電気自動車専用として新開発された「MEB」プラットフォームを採用し、WLTCモードで618km(Pro)の巡航距離を実現。90kWの急速充電器なら約40分で80%までの充電が可能だ。 フォルクスワーゲングループ(フォルクスワーゲン・アウディ・ポルシェ)が提供し、全国270拠点以上の正規ディーラーに設置されているプレミアム チャージング アライアンス(PCA)急速充電器を利用することができる。 「365 DAYS OWNER」の応募はこちらから また、「365 DAYS OWNER」に限らず、フォルクスワーゲンでは「ID.4」のディーラー試乗や、24時間オーナー体験などの特別プログラムも用意している。ぜひ「ID.4」の魅力を体感してみてほしい。

TAG: #ID.4 #試乗
ロールス・ロイス スペクターのフロントビュー
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスのEV第1弾は国内価格4800万円から。スペクター海外試乗記

ロールス・ロイスの最新EV、「Spectre」(スペクター)は、パンテオングリルやスピリット・オブ・エクスタシーといったアイコンを継承している。とはいえ、0.25というCD値を達成するべく、空力を重視した造形へと進化しているという。守るべきは守り、変えるべきは変える。どんな時代にあってもベスト・オブ・ベストをユーザーへ提供するという彼らの姿勢が、スペクターにも明確に現れているようだ。 フライングレディも“空力仕様”に ロールス・ロイスはこれまで、ローマの神殿を模した「パンテオングリル」を大きく掲げたフロントマスクを特徴としてきた。「スペクター」は、過去最大のワイドさというパンテオングリルを備えるが、空力設計がなされている。 なにしろ、最終的に目標となった空気抵抗値は0.25(実現できた)。そのため、パンテオングリルも徹底的に空力的に考え抜かれた。縦のバーはすべて閉じられ、パンテオンの屋根にあたる部分は面とりをして、空気の剥離も追求されている。 室内のボタンで格納が操作できるラジエターマスコット、スピリット・オブ・エクスタシーの造型も、空力を考えてやり直されている。 「とにかく重要なのは、トリニティ(三位一体の意)。スピリット・オブ・エクスタシーと、バッジ・オブ・オナー(RRのエンブレム)と、パンテオングリル。ロールス・ロイスはこれだけはずっと守っていきます」 デザインディレクターのデンマーク人、アンダース・ワーミング氏の言葉だ。 「ロールス・ロイスのデザインにおいて、もうひとつ重要なのは、ディスティンクティブであること。つまり、他と違っていて、誰が見ても、ロールス・ロイスとわかるかたちです」 その一方で、ワーミング氏のチームは、「ファントム・クーペ」のような過去のクーペモデルに通じるプロポーションをなぞっている。車体と車輪の位置関係、短いフロントオーバーハング、長めのリアオーバーハング。ずっと続くテーマが今回も採用されているのだ。 日本での販売価格は4,800万円から オーナーのためにはビスポーク(特別注文)プログラムが用意されていて、1台と同じロールス・ロイスは路上にない、とまで言われるほど、オーナーは思い思いの仕様を注文することができる。 並行して、スペクターには、「スターライトドア」なる新しいオプションが用意された。ロールス・ロイスのオプションとしてこれまで、天井に星座をLEDで表現する「スターライト・ヘッドライナー」が採用されているが、さらに追加で車内を宇宙空間のようにすることができる。 身長180cmでも余裕で座っていられる後席空間が、上記の「星座」を楽しむ最適の場所だ。 700kgに及ぶ重量の大容量バッテリーのおかげで、航続距離は530kmを実現する。スペクターで長距離ドライブをしながら、暗くなってきたら車内でも星座が楽しめる。新しいかたちのインカー(車内)・エンタテインメントだ。 日本での価格は4,800万円から。さきに触れたとおり、ビスポークプログラムの内容は豊富なようなので、それを楽しむ手もある。BEV化しても、ロールス・ロイスは変わっていない。改めて思い知らせてくれるのだった。 <完> ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円

TAG: #EV #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
ロールス・ロイス スペクターのフロントビュー。ドア開
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスの最新EVはゴーストを思わせる乗り味。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイスが送り出した最新のピュアEV、「Spectre」(スペクター)は、ゴーストの運転感覚に近い。米ナパバレーで開かれた試乗会に参加した著者はそう評する。電気で走るようになっても、グッドウッド流の巧みな“しつけ”により、ベスト・オブ・ベストな乗車体験をもたらす、まごうことなきロールス・ロイスに仕上がっているようだ。 ワンペダル走行も可能 ロールス・ロイスは、「スペクター」について、面白いことを言っている。「BEVを作ろうと思って開発したのでなく、ロールス・ロイスの新型車を作ろうと思ったのが、順番です」 トルステン・ミュラー=エトヴェシュCEOの言葉だ。 ただし、読者の方もご存知と思うけれど、ロールス・ロイスといっても、いまはモデルレンジが広い。ショファードリブンの「ファントム エクステンデッドホイールベース」もあれば、SUVの「カリナン」も。 スペクターの運転感覚が近いかなと思ったのは、「ゴースト」だ。サスペンション設計においては、見えない一点から車両が吊り下げられているイメージで設定するスカイフック理論が、ゴースト同様、「プラナー」サスペンションをフロントに持つスペクターに採用されている。 ドライビングする感覚は(車重はスペクターのほうが300kg以上重いが)ゴーストを思い出させた。大きさに関係なくカーブを曲がっていくのも、意外なほど楽しいのだ。 米国とはいえ、山岳路はわりと幅が狭く、車体全幅が2,144mmのスペクターだとやや緊張する。けれど、後輪操舵も適度に作用してくれているのだろう、すぐに操縦感覚は自分の手のものになる。 軽い操舵感覚だけれど、エンジニアリング統括のドクター・アヨウビが「路面からの情報はしっかり伝わるようにした」と言うとおり、どんな道でも不安はまったくなかった。 変速機には回生ブレーキを使ってワンペダル走行ができる「Brakeモード」ボタンが設けられている。ぱっとアクセルペダルを離すと、かなり強めの効きを示す。 カーブが連続する道ではBrakeモードは使いやすい場面もある。アクセルペダルをどれだけ戻して回生ブレーキを効かせるかは、慣れるしかない。下り坂では車重ゆえの慣性重量もあって、最初はやや緊張した。が、それもすぐ慣れた。 プリズム型バッテリーを採用 走行中の電気のフロー、つまり電力が前後モーターにどれぐらい振り分けられているかを、車内モニターでチェックできるかということについて、試乗のとき英国から来ていたロールス・ロイスのスタッフに確認したが、どうもうまく行かず(「見られない」という回答だった)。全輪駆動システムの視認はできなかった。 使っているバッテリーは、プリズムタイプ。四角柱を敷き詰めてある。セルをモジュール化してパックにいれ、それをシャシーに載せるという設計は、従来と同じだ。 プリズムタイプは、「BMW i7」と同様。BMWでは、発売を計画中のBEVプラットフォーム「ノイエクラッセ」(昔の1500シリーズのとき使われた名称を復活させた)において、円筒形タイプを使うとしている。 なぜ、円筒形とプリズムの両方? それをドクター・アヨウビに確認すると、「スペースの関係で」という答えだった。 「スペクターは、フロア高がうんと低いというのが設計要件だったし、側面衝突の安全性を考慮すると、一定のスペースが必要となるため、プリズム型を採用したのです。将来のことを今は言えません。ソリッドステートバッテリーを含めて、どれが最適か、市場で見ていくことになるでしょう」 Vol. 4へ続く ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4,800万円

TAG: #EV #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
ロールス・ロイス スペクターのフロント
TEXT:小川フミオ
ロールス・ロイスはEVになってもロールス・ロイス。「スペクター」海外試乗記

ロールス・ロイス 「Spectre」(スペクター)は、5.5mの巨大なボディに102kWhのバッテリー、430kW/900Nmの2モーターを搭載するクーペEV。V12エンジンを積まなくとも、ロールス・ロイスらしさは健在なのか、否か。米ナパバレーで開催された試乗会で、その完成度を吟味した。 ロールス・ロイス流のEVの“しつけ方” 巨軀にかかわらず、静止から時速100kmまでを4.5秒で加速するスペクターを、ロールス・ロイスでは「ウルトラ・ラグジュアリー・エレクトリック・スーパー・クーペ」と呼ぶ。 これまでロールス・ロイス車を特徴づけていたのは、“粛々と”回るV型12気筒エンジンで、たとえば「ゴースト」の6.7Lエンジンは、1,600rpmで850Nmものトルクを発生する。 ほとんどアクセルペダルを踏み込まなくても、いやそれゆえに、というべきか、静かに、しかし力強く走れるのが、ロールス・ロイス車の身上だった。 「エフォートレス」(力がいらない)とか、「マジックカーペットライド」(空飛ぶじゅうたんのような乗り心地)は、ずっとロールス・ロイスがクルマづくりにおける身上としてきたもの。 スペクターにおいても、これら(水上を滑るように走る「ワフタビリティ」を加えて3つ)を守るのが開発の基本だったそうだ。 「静粛性は最大の贅沢だ、というのが、当時、ミスター・ロールス(ことチャールズ・スチュアート・ロールズ)が言っていたことで、ゆえに、電動化へのレールはずっと前から敷かれていたのです」 ここ10年のあいだにも、ロールス・ロイスではBEVのプロトタイプを手がけてきたと、ドクター・アヨウビは言う。 「開発にあたっての最大のポイントは、走るマナー。電気自動車はバッテリー容量を大きくしてモータートルクを増やすと、どうしても、どんっと、乗員がのけぞるような発進になりがちです」 それではロールス・ロイスではない、というのが経営陣の判断。そこで、「見えない巨人の手が後ろから車体をぐーっと押しだしてくれるような加速感を目指しました」(ドクター・アヨウビ)。 そのうちのひとつが、アクセルペダルのトラベル(踏み込み量)を長くしたこと。踏み込み量に応じて、ゆるやかにトルクが増していくような設定にしているのだ。 なるほど、私がナパバレー周辺の道でドライブしたときは、そのとおり、ゆるやか、だけど、力強い、そんな言葉で表現できる加速感が味わえた。 半年以上かけて「EVの音」を開発 そもそも、発進時や加速時は車重などまったく意識させない。BEVになっても「エフォートレス」という言葉どおりだ。 操舵の重さを感じさせない大径ハンドルに手をあてながら、アクセルペダルを踏み込んでみると、面白いぐらい、自分の感覚に忠実にクルマが前へと出ていく。 少しだけ踏み込めば、5.5mになんなんとする全長をもつ車体がそろっと進む。そこから踏み込んでいくと、目が回るような感覚で速度が上がっていくのだ。 このとき、サウンドデザインチームは、加速と減速を表現する音を用意している。高音、中音、低音の帯域を組み合わせたもので、踏み込む速度もパラメターにしながら、ドライバーの気持に沿った、いってみればドライビングの効果音を楽しめる。 最近は、加速にともなう音づくりを音楽家に依頼するケース(ルノーやマセラティ)があるが、ロールス・ロイスは社内で手掛けたようだ。 そのときは、小さいながら立派な機材のそろったホームスタジオまで持つほど、音楽が大好きなデザインディレクターのアンダース・ワーミング氏が、いろいろ意見したとのこと。 「ドライバーの感情を表現したくって、半年以上かけて、私たちが“これだ”と納得できる音を作りましたよ」(ワーミング氏) はたして、その音は、たしかに強めの加速のときはボリュームも上がり、低音と高音が混ざりあって気分を昂揚させる効果がありそうだった。ただ爆発的な高まりでなく、連続性が強調されている。 エンジンサウンドを模したものでもなく、モーターの音を強調したものでもない、とワーミング氏。ここにも手間をかけているのが、ロールス・ロイスなのです、という言葉を付け加えるのだった。 Vol. 3へ続く ロールス・ロイス スペクター 全長:5,475mm 全幅:2,144mm 全高:1,573mm ホイールベース:3,210mm 車両重量:2,890kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:23.6-22.2kWh/100km(WLTCモード) 一充電走行距離:530km(WLTCモード) 最高出力:430kW(585ps) 最大トルク:900Nm(91.8kgm) バッテリー総電力量:102kWh モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD 車両本体価格:4800万円

TAG: #EV #クーペ #スペクター #ロールス・ロイス #試乗 #電気自動車
TEXT:田中 誠司
あらためて、一泊二日の小旅行で学んだこと:フォルクスワーゲン「ID.4 Pro Launch Edition」

EVにちょうどいい距離を旅する フォルクスワーゲン「ID.4 Pro Launch Edition」で都内から銚子まで、一泊二日の小旅行をしませんか? という誘いがTET編集部に舞い込んだ。EV(電気自動車)専門媒体を対象にした小規模なイベントであるという。 銚子は昔から僕が気に入っている街だ。太平洋を一望できる展望公園、犬吠埼灯台、古めかしい町並み、銚子電鉄、醤油工場といった数々の観光名所にくわえて、いくつかの魅力的な寿司屋とカフェがある。 出発地から宿泊先まで単純な往復距離は260kmと、メーカーが公称する一充電走行距離が613kmにおよぶID.4 Pro Launch Editionにとっては造作ない範囲だ。 最近、長距離移動の際に意図してBEV(バッテリーEV)を利用させてもらうようにしているのだが、現地での寄り道や渋滞、途中での人の乗せ下ろし等、一充電走行距離が目的地までの往復距離より100kmくらい多くないと余裕を持って旅を楽しめない気がしている。 最近では道の駅や高速道路のSA・PAに急速充電器が増えたとはいえ、多くの場合30分に限られる充電時間では“注ぎ足し”程度の効果しかない。朝までに回復できるよう、普通充電器を用意してくれている宿泊施設も最近増えてはきたものの、それが備わるホテルはまだまだ数が限られる印象だ。 VWグループ車両ならPCAを利用できる! 旅の途中での充電に関して、もうひとつの選択肢が各メーカーが自動車ディーラーに用意する急速充電器だ。VWグループではPCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)と称して、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの各ディーラーが連携してそれぞれの充電器を共通で利用できる試みが2022年から始まった。このPCAの傘のもと、全国で急速充電器を利用できるディーラーは207拠点(2022年末時点)におよび、充電器総数は218であるという。 VWグループに属する車両のオーナーは、スマートフォンにPCAアプリをインストールし、月額会員か都度会員かを選んで利用者登録を行う。月額会員は月会費が1,800円、登録に2,000円を要するものの、150kWの急速充電が都度会員では1分あたり200円であるところを、1分あたり75円で利用できる。 われわれが立ち寄ったフォルクスワーゲン江戸川の急速充電器は90kWスペックだったので、月額会員は1分あたり45円、都度会員は1分あたり120円の利用費になる。充電の開始はアプリで充電器のQRコードを読み込んでケーブルを指すだけと簡単だ。個別に専用のカード等を用意しなくてもいい手軽さと安心感も好ましい。時間の都合からほんの少しだけ充電した際のペースは71kW。仮に30分充電したとすれば36kWを補充でき、今回の総電費が6.2km/kWhであったことから計算すると約226km分を蓄電できたことになる。 ひとくちに急速充電器と言っても、充電速度が思いのほか伸びないケースは多々あるし、そもそも充電器とクルマの相性か、まったく充電が始まらなかったり、途中で終わってしまうこともある。そこへ行くと、確実に90または150kWの充電器を用意してくれているPCAの取り組みはオーナーにとって大きな安心要素になるだろう。

TAG: #ID.4 #VW #試乗
TEXT:田中 誠司
「見た目以上に重厚な乗り心地」BMW伝統の後輪駆動スポーツセダン「i4」試乗記 その2

車重とボディサイズにふさわしい重厚なラグジュアリー・ライド サッシュレスの重いドアを開けてドライバー・シートに乗り込むと、ここからの風景もほとんどエンジン車と変わらない。湾曲した巨大なスクリーンが視覚的にかなりのボリュームを占めている。音楽やエアコンや外部機器接続の選択が中央の画面からできるようになっているのだが、BMWといえばドライビング・ポジションを低めに決めて運転に没入したいオールド・ファンの私には画面のあまりの大きさがちょっと目障りであることも否定しない。 全幅が1,850mmに達するボディにあってコクピットはかなりゆったりした印象で、自分がしばらく乗っていた先代6シリーズ・クーペのラグジュアリー感を思い出す。シンセティックなサウンドとともに起動し、しずしずと走り出しても思い出すのは6シリーズの重厚感だ。実際、車重は最終型の640iクーペより200kgも重い。幹線道路や高速道路の巡航スピードに乗ってしまえば、リアにエアスプリングを備えるこのi4は実にゆったりと上品に走る。電動パワートレインの静けさと相まって、どこまででも走れてしまいそうだ。

TAG: #i4 #セダン #試乗
TEXT:田中 誠司
「EVで味わうBMW伝統の後輪駆動スポーツセダン i4」試乗記 その1

エンジン車と同じフォルム、同じ駆動方式 BMW伝統の低いフォルムを備えたスポーツセダンで、ディーゼル/ガソリン車と同じフォルムの後輪駆動。こんな、ごく普通のスタイルでBEV(バッテリー電気自動車)バージョンの4シリーズが登場したと聞いて、「ああ、やっと電気自動車は自動車産業の中でスタンダードな存在になったのだな」と、安堵の混ざった感慨を覚えた。 2013年にBMWがはじめて量産電気自動車として「i3」を投入したとき、それは専用のオールアルミ・シャシーをカーボンFRPボディで包み、エネルギー消費を徹底的に抑えるためのパッケージングを与えたきわめて特殊なクルマだった。そのようにアイコニックであることが、当時マイナーもマイナーだったEVをマーケティング上成り立たせるためにも不可欠なのだった。 しかしさらに大幅に時代を遡ると、1972年ミュンヘン・オリンピックの折に大会オフィシャルカーとしてBMWが送り出した「BMW 1602 エレクトリック」は量産のBMWセダンと何も変わらない外観に、350kgの鉛バッテリーを搭載し、航続距離わずか60kmというプロトタイプだった。フルマラソンの先導がようやく果たせるか、というレンジである。時代は第一次オイルショックの直前、環境保護に対する注目も高まりつつある時期だった。BMWには「人々が自由に選べ、活用できるモビリティの選択肢を提供する」という強い意思が昔からある。BMWのユーザーは内燃機関と並んで公平に電気自動車を選べなければならない、という意図がこのプロトタイプには込められていたのだろう。

TAG: #i4 #セダン #試乗

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