#横浜ゴム
TEXT:烏山 大輔
横浜ゴム、EV専用タイヤ「ADVAN Sport EV」を発売。電動車対応タイヤを示す独自のマーク「E+」も導入

横浜ゴムは、2023年秋頃から欧州などで、EV専用のウルトラハイパフォーマンスサマータイヤ「ADVAN Sport EV(アドバン・スポーツ・イーブイ)」を順次発売する計画を発表した。サイズは18インチ〜22インチ、16サイズを予定している。 ハイパフォーマンス向けタイヤからデザイン・技術を踏襲 「ADVAN Sport EV」は、横浜ゴムが提供するハイパフォーマンスカー向けタイヤ「ADVAN Sport V107(アドバン・スポーツ・ブイイチマルナナ)」を基に、EVや電動車の代表的なニーズである「低電費」と「静粛性」に応えるために開発したタイヤだ。 横浜ゴムはすでに、BMWやメルセデスAMGなどのプレミアムEVを含む様々な電動車に対して新車装着用タイヤを供給しており、「ADVAN Sport EV」にはこれまでの開発で培った技術を注ぎ込んでいる。 「低電費」に関しては、低転がり抵抗のコンパウンドを採用することで航続距離の伸長を図っている。また、ウェット性能も高く、濡れた路面でも安全性を提供する。 「静粛性」については、専用設計のポリウレタンフォーム「SILENTFOAM(サイレントフォーム)」をタイヤの内面に貼り付けることで、路面の凹凸による空洞共鳴音を低減し、ノイズを減らして快適な車内空間を実現する。タイヤサイドには「SILENTFOAM」の刻印がある。 また、トレッドパターンは、ハイパフォーマンスカー向けのOEタイヤおよび市販用タイヤとして評価の高い「ADVAN Sport V107」のデザインを踏襲している。 EV対応商品であることを示す独自のマーク「E+」を導入 さらに、「ADVAN Sport EV」は、横浜ゴムが電動車に対応する商品を示すために採用する独自のマーク「E+(イー・プラス)」を持つ最初のタイヤとなる。 電動車に装着されるタイヤには、バッテリー搭載による高荷重やモーターによる高トルク出力への対応、エンジン音のない静かな電動車にふさわしい静粛性への対応、車両の電費・エネルギー消費効率向上、航続距離拡大への対応など特徴的なニーズがある。 この「E+」マークは、電動車の特徴的なニーズに対応する技術を搭載したタイヤに対して、タイヤサイドにマークを付けるだけでなく、カタログやウェブサイトなどで表示し、顧客のタイヤ選びをサポートする役割も果たす。 横浜ゴムは、2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)において、高付加価値商品の主力であるグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN」、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」、および「ウィンタータイヤ」の販売構成比率の最大化を目指していくことを発表済み。その実現のため、「ADVAN」と「GEOLANDAR」の新車装着を拡大し、商品開発に力を入れていくという。 「ADVAN Sport EV」発売サイズ

TAG: #タイヤ #横浜ゴム
TEXT:岩尾 信哉
トヨタ「bZシリーズ」拡販に期待? 横浜ゴム「BluEarth」、「bZ3」に新車装着

横浜ゴムは6月5日、トヨタ自動車の中国での合弁企業である一汽トヨタ自動車有限会社(以下、一汽トヨタ)が、中国で発売した電気自動車(EV)セダン「bZ3」の新車装着(OE)用タイヤとして、2023年2月より「BluEarth-GT AE51(ブルーアース・ジーティー・エーイーゴーイチ)」の納入を開始したことを明らかにした。 EVに装着される「BluEarth」 横浜ゴムによれば、「BluEarth-GT AE51」はブルーアース・シリーズの基盤設計や材料技術を採用し、走行性能、快適性能、環境性能の全てに優れる、高いグランドツーリング性能を持った製品とされる。今回BEV(バッテリー電気自動車)である「bZ3」に新車装着された「BluEarth-GT AE51」の特徴を挙げると、高剛性カバー材を採用することで、高い静粛性と操縦安定性を両立するとともに、低発熱コンパウンドの採用により転がり抵抗を低減。さらに構造にチューニングを施すことで高い乗心地性能も実現しているという。装着サイズは215/65R16 98Hと225/50R18 95Vとなる。 中国で共同開発されたEVセダンにOE採用 2022年10月に中国で発表された電気自動車「bZ3」は、セダンタイプのBEVだ。トヨタと比亜迪股份有限公司(BYD)が合弁で設立した電動化技術の開発企業であるBYDトヨタEVテクノロジーカンパニー有限会社(以下、BTET)と一汽トヨタにより共同開発された。すでに一汽トヨタより生産・販売され、中国では4月に販売が開始された。 トヨタが「世界最大のBEV市場である中国において、現地のお客様に最高の製品を提供することを目指した」とするbZ3の開発には、トヨタのデザイン、生産、技術、品質管理等の分野から100名以上のエンジニアが参画、BYDや一汽トヨタのエンジニアと一体になった開発体制の下で生み出されたという。日本市場での発売予定がないのは、長く“セダン氷河期”が続く日本の状況を考えれば致し方ないだろう。

TAG: #BluEarth #bZ #横浜ゴム
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
横浜ゴム、EVバスでタイヤのリモート管理を実証実験……デイリーEVヘッドライン[2023.04.26]

タイヤをモニタリングしEVバスの運用効率を向上 道路を仕事場とするバス・商用車にこそ早期実用化を 【THE 視点】横浜ゴムは、EVバスを用いて「タイヤ内面貼り付け型空気圧センサー」と「タイヤ空気圧遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)」の実証実験を開始した。同実験は、神奈川中央交通とともに平塚市で運行中のEVバスを使用して行う。 横浜ゴムは、輸送事業者向けのタイヤソリューションサービスとして、タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES(ハイテス)」と、タイヤ運用を総合的にサポートするマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」を展開している。この実証実験はすでに乗用車では実施済みだが、今回初めてEVバスを使用し、EV車両に求められるエネルギー消費の効率化と「TPRS」の精度向上の効果を検証する。 高レベルな燃費(電費)性能・耐久性・静粛性がタイヤにも求められるEVバスで実施することで、経済性や安全性の向上、効率的なタイヤ運用に貢献できるサービスの確立を目指すという。合わせてEVバス対応のタイヤ開発も実施するとのこと。 「TPRS」は、タイヤ内のセンサーが検知した車両の位置情報や空気圧・温度を、サービススタッフがリアルタイムに把握できる。タイヤの始業前点検の省力化や空気圧情報の記録、スローパンクチャーの発見、タイヤメインテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、異常による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献できるという。 筆者もこれまでに何台ものEVバスを製作してきた。EVバスのタイヤは、電費性能・耐久性・静粛性のほか、乗用車の何倍もの荷重に耐えなければならないなど求められる性能は高く、タイヤメーカーの協力のもとEV専用品を製作してもらったことがある。 そのタイヤを履くEVバスも、空気圧などに常に気を使う必要があり、特にリアのダブル・タイヤでは内側タイヤの空気圧の点検作業が大変だったと聞いたことがある。これが運転士や整備士のほか、運行管理者からも確認できることは、点検業務の制度を向上させることにつながるだろう。 乗用車では普及が進んだ空気圧モニタリングシステムだが、商用車やバスにこそ普及を進めるべきである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヒョンデ、愛知県豊橋市に「PDIセンター」を開設……4月から三河港に入港、新車の陸上げから納車整備・保管が5km圏内で可能[詳細はこちら<click>] ★★ニデック(旧日本電産)、2022年度連結決算が2兆2,428億円で過去最高……ニデック製モーター一体型駆動装置(イー・アクスル)搭載車種の販売状況が続伸、23年度は第2世代型を投入し25年度に車載システムの自立成長1兆円を目指す ★ユビ電、パナソニックグループとフソウホールディングスから資金調達……パナソニックは集合住宅へのEV充電器の拡充、フソウは各自治体への脱炭素化推進などを目指す ★EVバイクのアイデア、「AAウィズ 」の先行予約を開始……配送や新聞配達など積載機能を強化したビジネス向けモデル ★ヤマハ、EVスクーター「E01」をレンタル車種として配備……北海道・愛知県・大阪府・福岡県の「ヤマハ バイクレンタル」店舗にて予約開始 ★テラモーターズ、賃貸物件・商業施設向けWi-Fiソリューション企業のファイバーゲートと提携……インフラ整備を通じてシナジーを狙う ★EVモーターズジャパン、「2023 バステクフォーラム」<舞洲スポーツアイランド 「空の広場」(大阪市此花区)/5月12日(金)>に出展……EV路線バスとEV観光バスを展示 ★ヤマト住建、ニチコン開発のトライハイブリッド蓄電システムを搭載したモデルハウスをオープン……埼玉県上尾市と奈良県奈良市にて展示、太陽光発電・バッテリー・V2H(EVの電力を家庭でも使用できるようにする機器)を装備[詳細はこちら<click>] ★住宅メーカーの北洲、HEVのバッテリーをリユースした太陽光発電システム「イーピラー」を開発……将来のEV用バッテリー大量廃棄に備え環境負荷を低減[詳細はこちら<click>] ★電動キックボードのループ、同社CEOが会長を務める「マイクロモビリティ推進協議会」が東京都と連携協定を締結……7月1日(土)からの新ルール施行に向けて安全を啓発

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TEXT:栁 蒼太
横浜ゴムの「ADVAN V61」がLEXUSの新型BEV「RZ」に新車装着

横浜ゴム(株)は、LEXUSが2023年3月より日本および欧州・アジアなどの海外各国で発売したLEXUS初のBEV専用モデルとなる新型「RZ」の新車装着(OE)用タイヤとして、「ADVAN V61(アドバン・ブイ・ロクイチ)」の納入を開始した。装着サイズはフロント用が235/60R18 103H、リア用が255/55R18 105V。 「RZ」のポテンシャルを引き出すタイヤ 「ADVAN V61」は横浜ゴムの最高峰ブランド「ADVANシリーズ」のハイパフォーマンスタイヤだ。レクサス「RZ」がもたらす人とクルマが一体となった気持ちの良いドライビングフィールを足元から支えるべく、操縦安定性と乗り心地に加え、耐摩耗性、耐ハイドロプレーニング性能を達成した上で、パターンによるノイズを抑えた高い静粛性と転がり抵抗の大幅な低減を両立させたという。 なお、一般にバッテリー電気自動車(BEV)は巨大なバッテリーを搭載している分、ガソリン車に比べ重量が大きく、そして、電気モーターによって瞬時にトルクを発生するため、荷重移動が激しくなり、タイヤに大きな負担となりやすい。それらの課題を含め、「RZ」の良さを最大限に引き出すためのタイヤと言えるだろう。 ところで、次章で紹介するが、本タイヤの開発にあたり、独自のAI利活用フレームワーク「ハイコラボ(HAICoLab)」を活用している。 タイヤ開発にAI活用? 「ハイコラボ」は、横浜ゴムが2020年に策定したデジタル革新のためのAI利活用構想だ。それ以前でも「マルチスケール・シミュレーション」などのシミュレーション技術や「マテリアルズ・インフォマティクス」というAIを活用した材料開発技術を開発してきた。「ハイコラボ」は、それらのシミュレーション技術とAI技術を組み合わせ、人の特性にも着目した独自のAI利活用フレームワークとなっている。 ところで、タイヤの開発にあたっては、フィラーの構成、サイズ、量、配合量で定まる複雑な高次構造として入念に設計する必要がある。ただ、考慮すべき要因が膨大であるため、分子動力学や量子化学のようなコンピューターシミュレーションが必要とされている。 そのような状況下で、AIのソフトウェアが膨大なデータを使って学習し、認識や判断をコンピューターで実現する技術である機械学習は、過去の計測データと計算科学シミュレーション・データに基づいて、タイヤ特性を迅速かつ正確に予想することが可能だ。それによって、開発プロセスが大幅にスピードアップしイノベーションが促進される。 ただし、AIは学習データに依存しているため、学習データが不足している未開拓領域には容易に適用できないため、急進的イノベーションには適していない。 よって、計測装置やシミュレーションで生成する膨大なデータの処理はAIが、次に人が定めた仮説に基づいて、技術向上のための予測、分析および探索を行う。このプロセスで、エンジニアが技術革新や仮説再設定に利用する新たな知識を生成するのだ。 足元を支え続ける横浜ゴムの戦略 横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023」のタイヤ消費財事業において高付加価値商品の販売構成比率最大化を掲げ、「ADVAN」および「GEOLANDAR(ジオランダー)」の新車装着拡大に取り組んでいる。プレミアムEVへの新車装着は、確かな技術がなければ実現しえない戦略のコアとしている。 ところで、タイヤは、電動化や自動運転といった、自動車業界のトレンドが変わったとしても、需要が途絶えることは考えにくい。ただ、格安タイヤを販売する新興メーカーも勃興する中、長い歴史と確かな技術を持ったメーカーは、今回紹介したような、トレンドを先導するような商品の開発が必要となるのだろう。タイヤ業界の流れをキャッチアップすることで、足元から自動車業界を俯瞰するのも良いかもしれない。  

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TEXT:TET編集部
横浜ゴムがEVなど高重量車両に対応するHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産・販売を開始

横浜ゴム株式会社は、大容量バッテリーを搭載するEV(電気自動車)、ハイブリッド車、大型SUVなど車体が重い車両を支えられる、高い負荷能力を備えるHLC(ハイ・ロード・キャパシティ)タイヤの生産および販売を開始したと発表した。 当初は新車装着用の導入を先行して進め、将来的にはアフターマーケットで販売される製品にも拡大する。 HLCタイヤは、従来のXL(エクストラ・ロード)規格タイヤを上回る負荷能力と諸性能を備える新たなタイヤサイズとして、ETRTO(European Tyre and Rim Technical Organization:欧州タイヤおよびリム技術機構)規格に定められた。タイヤサイズ表示の先頭に「HL」と表示される。 275/35R23サイズにおける負荷能力を比較した場合、XLタイヤが900kg(ロードインデックス104)であるのに対し、HLCタイヤでは1,000kg(ロードインデックス108)に拡大する。 HLCタイヤの設計には、荷重耐久性を高めながら静粛性や操縦安定性を確保する、高度な技術が求められる。横浜ゴムは高荷重に対応するシミュレーションを繰り返し、従来のタイヤに比べて高荷重時の発熱量とひずみが少ないHLCタイヤ専用のプロファイルを開発した。 写真は大きな荷重がかかった時の発熱量とひずみの比較シミュレーション・イメージ。左が通常タイヤ、右がHLCタイヤ。HLCタイヤの方が発熱量とひずみが小さく、荷重耐久性が高い。 HL規格のタイヤはピレリ、ミシュラン、コンチネンタルなどのメーカーも開発を表明している。将来的にEVが主体の時代になってもさらなる高性能化や重量増が見込まれることを見据えたかたちだが、車両メーカー側にも車重の増加を抑えながらドライビング・プレジャーを高める努力が望まれる。

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