タイヤをモニタリングしEVバスの運用効率を向上
道路を仕事場とするバス・商用車にこそ早期実用化を
【THE 視点】横浜ゴムは、EVバスを用いて「タイヤ内面貼り付け型空気圧センサー」と「タイヤ空気圧遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)」の実証実験を開始した。同実験は、神奈川中央交通とともに平塚市で運行中のEVバスを使用して行う。
横浜ゴムは、輸送事業者向けのタイヤソリューションサービスとして、タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES(ハイテス)」と、タイヤ運用を総合的にサポートするマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」を展開している。この実証実験はすでに乗用車では実施済みだが、今回初めてEVバスを使用し、EV車両に求められるエネルギー消費の効率化と「TPRS」の精度向上の効果を検証する。
高レベルな燃費(電費)性能・耐久性・静粛性がタイヤにも求められるEVバスで実施することで、経済性や安全性の向上、効率的なタイヤ運用に貢献できるサービスの確立を目指すという。合わせてEVバス対応のタイヤ開発も実施するとのこと。
「TPRS」は、タイヤ内のセンサーが検知した車両の位置情報や空気圧・温度を、サービススタッフがリアルタイムに把握できる。タイヤの始業前点検の省力化や空気圧情報の記録、スローパンクチャーの発見、タイヤメインテナンスの適切な実施、点検のバラツキ防止、異常による事故防止、適正空気圧維持による燃費向上などに貢献できるという。
筆者もこれまでに何台ものEVバスを製作してきた。EVバスのタイヤは、電費性能・耐久性・静粛性のほか、乗用車の何倍もの荷重に耐えなければならないなど求められる性能は高く、タイヤメーカーの協力のもとEV専用品を製作してもらったことがある。
そのタイヤを履くEVバスも、空気圧などに常に気を使う必要があり、特にリアのダブル・タイヤでは内側タイヤの空気圧の点検作業が大変だったと聞いたことがある。これが運転士や整備士のほか、運行管理者からも確認できることは、点検業務の制度を向上させることにつながるだろう。
乗用車では普及が進んだ空気圧モニタリングシステムだが、商用車やバスにこそ普及を進めるべきである。
(福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー)
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