eモビリティ・パワーの充電インフラが98.7%のシェアで他社が参入しづらい現状が浮き彫り 今後は「独占禁止法」の適用も視野に厳正な対処を検討すると表明 【THE 視点】公正取引委員会(公取委)は7月13日、高速道路におけるEV充電サービスに関する実態調査報告書を公表した。現状、eモビリティ・パワー(eMP)の独占状態で、他社が参入しづらい状況になっていると結論づけた。 一般道はもとより、高速道路上でも充電インフラの整備は公正かつ自由な市場競争がなければならない。特に高速道路においては、長距離走行時の電欠トラブルを防ぐ目的から急速充電器の整備が一般道以上に求められると公取委は考え、NEXCO東日本/同中日本/同西日本/首都高/阪神高速/JB本四高速の高速道路事業各社に実態調査を行い、結果を公表した。 現在の、高速道路のSA・PAにおけるEV用充電器の設置状況は445基で、EV用充電器設置者の内訳はeMPが439基で98.7%、高速道路会社が6基で1.3%という状況になっている。 NEXCO各社は、eMPと連携して、2025年度までに約1,100口の急速充電器の整備を予定している旨を発表し、当媒体でも取り上げた[詳細はこちら<click>]。 現状、高速道路のSA・PAに現在設置されているEV用充電器の約98.7%は、eMP(前身のNCS・JCN含む)によって設置され、その後の入替えも、NEXCO3社との共同事業として、eMPによって行われている。eMP以外の事業者が、高速道路のSA・PAにEV用充電器を設置することが想定されているとは言い難い状況というのが、公取委の見解となった。 EVの充電サービスの市場が活性化するためには、設置事業者などの新規参入を促すことが望ましい。複数の事業者の中から設置者を選定することで、サービスの競争も活発化すると言える。また、NEXCO各社は今後、料金据え置きで高速道路から一時退出を許可し、EV充電を行えるようにする仕組みを導入する。これにあたっても、充電事業者を特定しないことが言わずもがな望ましい。 公取委は、報告書の結果を経済産業省と国土交通省に申し入れるという。これにより具体的な対応策などが練られ、施行または改善されることを期待する。 さらに今後は、高速道路におけるEV充電サービス及び関連するサービスの市場の動向を注視し、場合によっては独占禁止法の適用も視野に入れた厳正かつ的確な対処をしていくという。 EVの充電サービスも、メーカーが自社のユーザー向けに展開しているもの(例えばテスラのスーパーチャージャーやポルシェのターボチャージャーなど)や、従量課金制の料金を採用する充電インフラがあったりする。それらのサービスをEVユーザーが自由に選べるようにし、サービス提供側も自由に価格などを設定できるように促すのが、本来の自由競争の姿だろう。 「高速道路は閉鎖された特殊な環境で、対応できる事業者も限られ……」というのは言い訳にならない。公取委も示したように、高速道路上でのEV充電サービスの活性化というビジネスチャンスを潰していることにもなる。これは今後導入が進むであろう高速道路上の水素ステーションにも当てはまるだろう。 いずれにせよ、高速道路上の充電インフラ・水素充填インフラは足りていないのが現状である。自由な競争の上に、EV充電サービスの普及と拡充を図ってほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★リマック、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて「ネヴェーラ」がEVの最高記録を樹立……49.32秒を記録、出場車両全体でもトップタイム ★★中央電力、マンションのユーザー向けに月額3,000円定額制EV充電サービスを提供……「マンション防災サービス」導入のマンション向けに展開[詳細はこちら<click>] ★★生協連合のグリーンコープ共同体、移動販売車にEVを導入……丸紅オートモーティブ経由でフォロフライ製のEVと充電マネジメントシステム「GOVAN」を導入 ★ポールスター、「ポールスター3」と「ポールスター5」のプロトタイプが「グッドウッド」に登場……両車ともにヒルクライムを実走 ★スーパー・スポーツカーの合弁会社ブガッティ・リマック、「BMW iシリーズ」のシニア・バイス・プレジデントを務めたロバート・アーリンガー氏を幹部に迎えることが決定……10月1日に入社、ブガッティとリマックの次世代のアーキテクチャーを担当 ★セアト、スペイン・マルトレルにバッテリー・セルの組み立て工場を建設……「クプラ・ラヴァル」への供給のほか、親会社のVWグループの工場としても機能 ★パイオニア、研究開発拠点をインドに新設……EV向けのインフォテインメント・システムの研究開発など推進 ★エネコートテクノロジーズ、「車載用ペロブスカイト太陽電池」をトヨタと共同開発へ……20%以上高い発電効率に加えて薄いため曲げられるのが特徴 ★国産ドローンのエアロセンス、「世界ドローンコンペ」で優勝……神戸大学とのジョイントチーム、VTOL(垂直離陸)型のドローン「ラロボウイング」が緊急物資輸送を模した競技で最高得点 ★EU、ウルグアイとグリーン水素に関する協力を強化……欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と、ウルグアイ東方共和国のルイス・ラカレ・ポウ大統領が覚書を締結 ▶︎不具合情報◀︎「ジャガー I-ペイス」とニチコン製の急速充電器「NQM-UCY04」の接続時に150kWおよび90kWの出力での充電ができないおそれ……eモビリティ・パワーが7月12日時点で確認 デイリーEVヘッドライン[2023.07.19]
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