史上もっともパワフルなポルシェ市販モデルが誕生 量産スポーツカーメーカーとして業界を牽引するポルシェが、まさかのSUVモデルを登場させて世間を騒がせたのは2002年9月のこと。911に魅了されたエンスージアストや世間のカーマニアからは、このポルシェ初のSUV「カイエン」に対し懐疑的な視線が送られたものの、結果はご存知の通り大成功。世界中のセレブたちを中心に人気を集め、ステータスシンボルのひとつにまでなった。 そんな初代カイエンの誕生から23年の時を経て、カイエンは新たな章に突入する。ボクサーエンジンに代表されるポルシェのフィロソフィをラインアップに残しつつも、いまや販売する車両の36%が電動モデルとなったポルシェにとって、カイエンに電動モデルを用意するのは時間の問題だった。 そしてついに、2025年11月20日から、全国のポルシェ正規販売店で、「エレクトリック」と「ターボ・エレクトリック」という、ふたつの新型カイエンの予約受注が開始された。 カイエン・ターボ・エレクトリックは、ローンチコントロールを作動させると最高出力850kW(1156馬力)、最大トルク1500Nmを発生し、0-100km/h加速にはわずか2.5秒しか要しない。それでいて最大充電電力400kW、最大航続距離642kmという基本的な充電・航続性能はきっちりと確保されている。 このスペックにより、カイエン・ターボ・エレクトリックは史上もっともパワフルなポルシェ市販モデルとなった。それだけでなく、これまで以上の多用途性とオンロード・オフロードを問わず快適でダイナミックな走りをもたらす走行性能により、屈指のハイパフォーマンスe-SUVに仕上がったのだという。 一方、エントリーモデルのエレクトリックに関しても、通常モードで最高出力325kW(442馬力)、最大トルク835Nmを発生。0-100km/h加速を4.8秒でこなすなど、こちらでも十分過ぎるほどのハイパフォーマンス性能を手にしている。 「新しいカイエンは、モータースポーツで培った革新的な技術によって、まったく新しい次元のパフォーマンスを発揮します。走行特性だけでなく充電の面でも、SUVセグメントに新たな基準を打ち立てます。卓越した電気性能と現実的な日常の使い勝手の良さ、優れた長距離快適性と妥協のないオフロード性能を兼ね備えています」とは、ポルシェAG取締役会会長オリバー・ブルーメの弁だ。 新型カイエンのエネルギー回生は、ポルシェがワークス参戦するフォーミュラEと同レベルの最大600kWの回生出力を備えている。日常生活ではすべてのブレーキ操作の約97%を電気モーターだけでこなすことができるとし、SUVであってもモータースポーツで培った技術は余すことなく市販車に反映させるあたりは、ポルシェ伝統の手法に則ったものだ。 むろん足まわりも抜かりなく、最新のポルシェアクティブサスペンションマネジメントを備えたアダプティブエアサスペンションが両モデルに標準装備される。また、上級グレードのターボ・エレクトリックにはポルシェアクティブライドと呼ばれる、スポーツセダンモデルではお馴染みとなったアクティブサスペンションシステムも併せて搭載し、走行安定性と快適性を高次元でバランスさせることに貢献している。 充電は800Vに対応し、特定条件下では最大400kWで充電することができる。その結果、SoC10%から80%までは16分以内で完了し、エレクトリックなら10分以内に325km、ターボ・エレクトリックなら315km分の追加航続距離を得ることができる。

































