#新型車
TEXT:桃田健史
今度は韓国から「キア」のEVが日本にやってくる! タクシー需要も見込める「PV5」にかかる期待

EVバンのラインアップを日本に導入 韓国キアのEVが2026年春ごろ、日本で正規発売される。大手商社の双日が日本国内での販売総代理店契約を締結したことで実現する運びとなった。 キア(起亜)は、グローバルでの韓国自動車ブランドとしてヒョンデに次ぐ第2位の規模を誇るメーカー。会社組織としてはヒョンデ傘下であるため、EVに限らず乗用車・商用車の全般で研究開発や部品調達でヒョンデブランドと協業している。 今回、双日が日本に導入するのは、EVバンのラインアップ「PBV(プラットフォーム・ビヨンド・ビークル)」だ。 2024年1月に、米ネバダ州ラスベガスで開催されたITと家電の世界最大級見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)2024」でコンセプトモデルを世界初公開した。 PBVの特徴は、専用プラットフォームの採用により用途に合わせてレイアウトや荷室形状などをフレキシブルに設計できること。 キアとしては、2025年から中型ラインアップの「PV5」を皮切りに、大型モデル「PV7」、さらに小型モデル「PV1」を開発し販売する予定だ。 PV5には、乗用向けにも使えるパッセンジャータイプと商用重視のカーゴタイプの2通りがある。ボディ寸法は、全長4700mmx全幅1900mmx全高1900mmで、ホイールベースは3000mm。

TAG: #PBV #新型車
TEXT:桃田健史
小型車最強のスズキがEVを発表! フロンクス同様にインド生産の「e ビターラ」は期待の1台!!

EVでもスズキらしい走りを実現 ついに、スズキがバッテリーEVの量産モデルを公開した。モデル名称は「e VITARA(ビターラ)」。初お披露目の場は、ファッションやデザインの領域で世界最先端の場のひとつとされる、イタリア・ミラノであった。 実車は欧州向けで、そのボディ寸法は全長4275mmx全幅1800mmx全高1635mm、ホイールベースは2700mm。電池容量は49kWhと61kWhの2種類。49kWh版は2WDのみで、フロントモーター出力は106kW。61kWh版は2WDが128kW、4WDがリヤ48kWを加えた300kWとなる。バッテリーはコストと生産性を考慮した、リン酸鉄リチウムイオンを採用する。 また、プラットフォームは、軽自動車から乗用車での知見を積み上げた「HEARTET」をEV向けとして新開発した「HEARTECT-e」を名乗る。 4WDについては、これもスズキの知見を駆使した「ALLGRIP」を「ALLCRIP-e」とした。モーターとデファレンシャルギヤを一体化させたeアクスルを前後それぞれに採用する。これにより、悪路で片輪が浮いた状態でも、LSD機能で駆動を制御するTrailモードを設定し、スズキらしい走りを実現しているという。

TAG: #e VITARA #新型車
TEXT:TET 編集部
2025年のBYDの見どころはフラッグシップSUV「シーライオン7」の導入だけじゃない! PHEVモデルも日本市場に殴り込み

新型クロスオーバーe-SUV「シーライオン7」を日本導入 2025年1月24日、中国の自動車メーカーであるBYDの日本法人BYD Auto Japanが、日本に導入する4番目のEVモデルとして、新型クロスオーバーe-SUVの「SEALION 7(シーライオン7)」を、2025年4月から全国のBYD正規ディーラーで販売を開始すると発表した。 先ごろ開催された東京オートサロン2025で日本初公開となったシーライオン7は、伸びやかでエレガントな外観が特徴のクロスオーバーe-SUVだ。海洋生物の自由さや美しさから着想を得てデザインされたというBYDの乗用車「海洋シリーズ」に含まれるモデルで、シーライオン7はそのトップモデルに位置する。 それだけに、ボディは全長4830mm、全幅1925mm、全高1620mmの堂々としたサイズになっている。他社ではレクサスRZやメルセデス・ベンツGLCと近しいサイズで、要はクロスーバーSUVらしいワイド&ローなフォルムを持っているということだ。 シーライオン7は4月の販売開始時点でふたつのグレードを設定する予定。ひとつはリヤに最高出力230kW、最大トルク380N・mのモーターを搭載する後輪駆動モデルの「シーライオン7」で、もうひとつはフロントにも最大出力160kW、最大トルク310N・mのモーターを備えた四輪駆動モデルの「シーライオン7 AWD」だ。 バッテリーはグレードに関わらず、総電力量82.5kWhのリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載する。システム最大出力の違いから、一充電走行距離は後輪駆動モデルのシーライオン7が50kmほど長く、590kmとなる模様。 このあたりの細かな数値に関しては、2025年1月24日時点の情報となり、実際の販売時には多少数値が異なってくる可能性がある。そのため、あくまでも参考数値として捉えていただきたい。 BYDのPHEV車両が日本に初導入される さて、BYDからはもうひとつ重要な発表があった。具体的な車種名は言及されていないが、BYDのプラグインハイブリッド車両(PHEV)を日本に導入することが今回明らかにされた。これまではバッテリーEV(BEV)のみを日本展開していたBYDだが、今後はPHEVをそのラインアップに加えることで選択肢を広げ、さらなる顧客拡大を期待する。 BYDのPHEVは、高効率のPHEV専用エンジンとモーター、ハイブリッド専用の変速機、最新のバッテリーマネジメントシステムなどが連携した「DM-i(デュアルモード・インテリジェント)」と呼ばれるシステムを搭載し、優れたパワーと燃費性能を両立しているのだという。 具体的な導入時期や詳細については後日案内するとされたが、国内100拠点のディーラー整備と並行し、これまでのBEV一辺倒の体制からPHEVも加えた車種ラインアップの拡充で、日本市場への攻勢を一層強める構えだ。 なお、BYDは中期的にはこれらBEVとPHEVを組み合わせ、7~8モデルを日本市場向けにラインアップする意向であることも同時に発表している。 2025年もシーライオン 7の発売開始を手始めに、BYDの存在感は増していきそうだ。

TAG: #BYD #シーライオン 7 #新型車
TEXT:高橋 優
中国車との兄弟車と噂される日産N7! 中国で起死回生の1台となるか?

N7はeπ007のリバッジモデルである可能性が高い 日産の新型ミッドサイズEVセダンのN7について、中国の合弁先であるDongfengのリバッジモデルである可能性が報道されています。詳細なEV性能をはじめとして、日産の中国市場における最新動向を分析します。 11月中に開催されていた中国のGuangzhouオートショーにおいて世界初公開された日産N7は、全長4930mm、全幅1895mm、全高1487mm、ホイールベースが2915mmという中大型セダンセグメントに該当します。さらに、N7には高級シートを採用したり、中国の自動運転スタートアップMomentaと開発した高性能ADASの搭載が発表されています。これは中国市場におけるトレンドをキャッチアップしており、2025年初頭にも発売される見通しであることからも、N7に対する期待が高まっていました。 とくに日産は中国市場の販売割合がグローバル全体の25%程度を占めており、北米市場に次いで非常に重要なマーケットであることから、中国を捨てるわけにはいきません。直近の2024年Q3の中国国内の販売台数は13.6万台であり、前年同四半期で-16.7%と急速に販売台数が低下中です。さらに日産が現在ラインアップしているBEVのアリアは、10月でたったの19台しか売れておらず、EV販売という観点で根本的な問題を抱えてしまっています。いずれにしても、中国市場における販売台数とEV販売をテコ入れするという観点で、この新型EVセダンのN7は、2025年シーズンの日産にとって重要な一台となり得るのです。 そして、新たに判明したN7の最新情報として、複数の現地メディアがN7には兄弟車が存在すると指摘しています。これは、合弁先のDongfengがすでにラインアップしているEVセダン、eπ007のリバッジモデルなのではないかという点です。 このeπ007は全長4880mm、全幅1895mm、ホイールベースが2915mmと車両サイズがN7と酷似しています。さらに、車内中央に配置された15.6インチのタッチスクリーンもN7に搭載されているセンターディスプレイとまったくく同じサイズです。 その上、中国EVに必須となっている、サッシュレスドア、および格納式ドアハンドルのデザインもeπ007とまったく同じデザインです。 いずれにしてもこれらの観点から、日産の新型EVセダンであるN7は、日産が独自に開発したEVではなく、合弁先であるDongfengのEVセダン、eπ007のリバッジモデルなのではないか。つまり、マツダEZ-6とDeepal SL03との関係性と同じように、中国製EVのガワだけを変えたモデルである可能性が濃厚ということになるのです。 今回注目されているeπ007のスペックを概観しましょう。まずはBEVとともに中国市場で急速に人気が高まっているレンジエクステンダーEVもラインアップしているという点が重要です。EREVの場合28.4kWhバッテリーを搭載することでEV航続距離200kmを確保。45リットルのタンク容量を活用すると最大航続距離は1200kmを実現しています。BEVの場合、最大70.26kWhバッテリーを搭載することで620kmの航続距離を確保。Cd値が0.209と優れていることもあり電費性能も比較的優秀です。 また、AWDグレードの場合、デュアルモーターシステムによって最高出力400kW、最大トルクも640Nmを発揮。0-100km/h加速も3.9秒と俊敏です。 さらに最小回転半径は5.6m、20ものスピーカーシステムを搭載。1.8平方メートルという巨大なガラスルーフ、高張力鋼とアルミニウム合金の配合割合も71.5%と、衝突安全性を意識したボディの堅牢性を確保しています。 そして肝心な値段設定について、BEVとEREVともに日本円で280万円を実現しており、N7もコスト競争力の高い一台として期待することが可能でしょう。

TAG: #中国 #新型車
TEXT:高橋 優
バッテリー交換式でたった3分で満充電! しかも400万円強の激安っぷり! テスラ・モデルYキラーの中国製EV「Onvo L60」が驚異の中身だった

バッテリー交換に対応! 中国NIOが大衆ブランドOnvoブランド初のEVとなる、ミッドサイズSUVのL60の正式発売をスタートしました。テスラ・モデルYを上まわる電費性能や車内スペースを実現しながら、バッテリー交換にも対応。しかも、モデルYよりも200万円も安価な値段設定を実現したという驚きの最新動向を解説します。 まず、NIOの最新の販売動向を確認しましょう。最直近2024年8月の月間販売台数は2万台強と、4カ月連続で2万台を超える販売台数を維持し、好調な販売規模を実現しています。 このNIOは、もっとも安価なモデルであるミッドサイズセダンのET5が29.8万元、日本円で602万円からのスタートであり、高級車セグメントのみでラインアップを展開中です。そして重要なポイントが、2023年以降、各社が値下げ競争に追随するなかにおいても、NIOは値下げ戦争に参戦せずに、あくまでも30万元以上という値段設定を死守していたという背景が存在するという点です。よって、NIOは高級車ブランドとしての地位を確立し、値段を引き下げずとも、販売台数を着実に向上させているわけです。 他方で、NIOは大衆車ブランドとして、5月中にOnvoブランドを立ち上げて、1車種目となるL60の正式お披露目も行っていました。 まずL60は、全長4828mm、全幅1930mm、全高1616mm、そしてホイールベースが2950mmというミッドサイズSUVセグメントに該当。他方でL60の強みは、その車内空間の広さ、そして取りまわしのよさを両立しているという観点です。まず、最小回転半径は、RWDグレードの場合5.4mと優れた取りまわしを実現しています。その上で、ファミリー層が快適に過ごせる車内空間を実現するために、前席側の空間スペースが1046mm、後席側の空間スペース1010mm、さらに後席側の膝から前席シートまでの空間が160mmと、すべての項目において、モデルYとRAV4を凌駕するスペースを確保しています。 さらに、モデルYと比較した、前席側および後席側におけるヘッドクリアランスもL60がリードしています。また、前席側のシートを完全にリクライニングさせることによって足を伸ばしてくつろげるというシアターモードなども実現可能です。そして、車両中央には17.2インチという解像度3Kの巨大な横長のタッチスクリーンを採用。さらに後席側にも8インチのタッチスクリーンを搭載することによって、後席側もエンタメを楽しむことが可能です。 また、ドライバー用の13インチのヘッドアップディスプレイを採用することによって、ドライバーの快適性も向上。その上、トランク部分も495リットルを確保しながら、さらにトランク下にも、エグれた収納スペースが存在するために、さらに小さめのスーツケースや小物も収納可能です。とくに、このトランク下部のスペースには52リットルもの巨大な冷蔵庫をすっぽりと搭載可能であり、マイナス18℃から10℃に対応します。 乗員の快適性向上のために電子制御サスペンションを導入していることもポイントです。乗り心地という観点は、ファミリーSUVとして人気のモデルYの大きな弱点であり、取りまわしの悪さも含めて、そのモデルYのファミリーカーとしての弱点を徹底的に潰してきている様子が見て取れます。 次にEV性能について、今回のL60において特筆するべきは2点存在します。まずはバッテリー交換に対応しているという点です。すでにNIOブランドのEVは、中国全土に設置済みの第3世代以降のバッテリー交換ステーション1000カ所を利用可能です。交換時間はたったの3分間と、迅速に交換作業を完了することが可能です。 また、このL60からは900Vシステムを採用することによって、Cレートで3Cもの超急速充電に対応。よってSOC80%まで25分で充電を完了することができるため、バッテリー交換ステーションを利用しなくても、通常のEVのように急速充電器のみで長距離を運用することも可能です。

TAG: #L60 #ONVO #新型車
TEXT:TET 編集部
ホンダの「H」マークが様変わり! 新たなEVシリーズを2024年末以降に発売予定

まずは発売予定の2車種とコンセプトを1車種発表 ホンダの中国現地法人である本田技研工業(中国)投資有限公司が2024年4月16日、新たに中国市場へ投入する新型EV(電気自動車)モデルとして「烨(yè:イエ)シリーズ」を発表。イエシリーズの第1弾となる「イエP7」と「イエS7」だけでなく、第2弾のコンセプトモデルとなる「イエGTコンセプト」も世界初公開した。 また、イエシリーズは今回発表された3車種を含め、2027年までに計6車種を中国市場に投入する予定であることも同時に発表された。 今回公開された3つのモデルは、今月下旬に中国・北京で開催予定の2024年北京モーターショー(第18回北京国際汽車展覧会)で一般に向けてお披露目される予定だ。 イエシリーズは、四輪製品の電動化が進む中国において、現在展開中の「e:N(イーエヌ)」シリーズに続く、ホンダの新たなEVシリーズとなる。中国語で「明るく光り輝く」という意味をもつ「烨(イエ)」の字をシリーズ名称とし、「クルマを運転するすべての人が、操る楽しさを通じて心の内に秘めた想いを解放し、それぞれの個性を明るく輝かせてほしい」という想いが込められて命名された。 また、電動化への変化が速い中国において「挑戦と進化」を絶えず追い求め、変革を加速させるという決意を込めて、イエシリーズには次世代EV向けの新たなHマークが採用される。このマーク、今年1月のCES2024で発表された全世界向けのEVシリーズ「ホンダ0(ゼロ)」に掲げられて、2026年から順次市場に投入されるとアナウンスされていたのだが、その「ホンダ0」を出し抜いてイエシリーズが先に掲げることになったのだから驚きだ。 イエシリーズは、次世代EVとしての価値をより高めることを追求し、ホンダのクルマづくり理念である「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」に基づき、人を中心としたパッケージングがなされている。加えて走行性能においては、中国で新開発したEV専用プラットフォームの適用と長年培った電動化技術の融合により、「操る喜び」をさらに突き詰めたとしている。また、先進のAIによるサポートをはじめとした智能化技術で、すべての乗員が快適に移動できる空間を目指したという。 それでは発表されたイエシリーズ第1弾のP7とS7、および第2弾のコンセプトモデル「GTコンセプト」について概要を記そう。 イエシリーズ第1弾モデルとなるイエP7/イエS7は、新開発のEV専用プラットフォームを採用し、1モーターによる後輪駆動モデルと、2モーターによる四輪駆動モデルが設定された。両モデルとも操る喜びを追求し、後輪駆動モデルは軽快ですっきりしたハンドリングの実現、四輪駆動モデルでは高出力でありながらも、意のままに操ることができるハンドリングとの両立をそれぞれ目指して開発が行われた。 車内は前後席ともにゆとりのある空間が得られ、快適な移動環境を整えている。AIや各機能と連動してインストルメントパネルやドアパネルのLED発光パターンを変えることで、知性を感じられる運転体験の実現も同時に目指したという。 デザインにおいては、それぞれのモデルが目指す世界観を反映している。抽象的な表現にはなるが、イエP7はシームレスで洗練されたスマートな未来感を、イエS7は見る人に刺激を与えるエモーショナルな未来感を表現したという。なるほど、両車の方向性はヘッドライト周りのデザインに現れている。 なお今回の発表でイエP7とイエS7の発売予定は、2024年末以降だと明らかにされている。

TAG: #イエ #中国 #北京モーターショー #新型車
TEXT:TET 編集部
ファン待望のコンパクトモデルが「二刀流」で帰ってきた! アルファロメオ「ミラノ」改め「ジュニア」を名乗るHEV/BEVモデルを発表

まごうことなきアルファロメオ感満載! プレミアムコンパクトカー「ジュニア」誕生の背景 アルファロメオは自動車業界の再編が進むなかでFCA(フィアット・クライスラー・オートモービル)グループ入りを経て、現在はマセラティを頂点としプジョーやDS、フィアットが属する巨大グループのステランティスの1ブランドになっている。アルファロメオに課されたタスクは、マセラティのすぐ直下に位置し、スポーティかつラグジュアリーなC・Dセグメントの車両を、その伝統のブランドアイデンティティをもって世に送り出すことだ。 しかし、それは直近10年前後に同社の顧客となったユーザーからすれば、メーカーだけが上級へと移行し、自身は置き去られたと感じたのではないだろうか。現在のラインアップを見渡しても、そこにあるのはDセグに位置するラグジュアリースポーツセダンのジュリアとプレミアムSUVのステルヴィオだ。かろうじてトナーレが全長4.5m程度に収まり、旧来のアルフィスタの視野にも入ってきそうなものだが、どうしたって全長4.2mほどのCセグハッチバックであるジュリエッタやBセグのミト、さらに遡れば147や156といった、比較的コンパクトなボディに弾けるエンジンを搭載し、ヒラヒラと舞うように駆け抜けるアルファロメオに魅了されたファンにとっては、いくらアルファロメオに忠誠を誓ってみたとしても、やや大型過ぎて食指が動かないのではなかろうかと不安を感じていた。 しかしそのことはどうやらアルファ自身も理解していたらしい。 アルフィスタの皆様「おかえりなさい」 2023年12月に登場が予告され、にわかに色めきだっていた新型車がついに、2024年4月4日イタリア本国でベールを脱いだ。 その名も「ジュニア」。当初は、1910年にアルファロメオが創業した地である「ミラノ」を名乗っていたが、イタリア政府から物言いがついたようだ。 ジュニアは、ハイブリットとアルファロメオ初となるBEV、ふたつの異なるパワートレインをラインアップする「二刀流」で、アルファロメオが如何に「ジュニア」を重視しているかそれだけでもわかるというもの。 ボディサイズはジュリエッタとミトの中間に位置する、いわゆるBセグメント車両だ。メーカー自身がそれらオーナーの乗り換え需要を狙っているとリリース内でも明言し、「おかえりなさい」とまで言っている。もちろんライバルメーカーからの乗り換えは喉から手が出るほど欲しいだろうが、アルファロメオはエンブレムに創業の地であるミラノ市の紋章「赤十字」と、ミラノの貴族ヴィスコンティ家の紋章である「人間をくわえた大蛇」のふたつを組み合わせた、伝統と格式を重んじるメーカーだ。だからブランド再構築のなかでその立ち位置が変化しようとも、旧来のユーザーを見捨てることなどせず、再びコンパクトな「ベビーアルファ」をラインアップすることで期待に応えようというのだろう。だからこその「おかえりなさい」なのだ。 それら従来のB/Cセグ車両と異なるのはボディ形状だ。全長4170mm、全幅1780mmは一般的なBセグ車の範疇だが、全高は1500mmに達するからやや背高に構えたクロスオーバーSUV風のシルエットといえるだろう。イメージしにくければ、トヨタ・ヤリスクロスやレクサスLBXを思い出していただければいい。ほぼそのサイズ感のクルマがジュニアである。 しかし、まごうことなきジュニアはアルファロメオ伝統のスタイルをこの寸法のなかで成立させ、同時に最新テクノロジーと融合したモダナイズを施し、スポーティで「Made in Italy」らしいクルマであることを隠さない。 短いオーバーハング、力強いホイールアーチ、ジュリアTZを彷彿とさせる「削ぎ落としたテール」のデザイン、1980年代末のSZを思い起こさせる横3連のLEDヘッドライト、そして忘れてはならない盾形のグリルが織りなすデザインは、まさにアルファロメオのそれである。 インテリアに目を移しても同様だ。イタリアン家具がそうであるように、このジュニアも素材やデザイン、ドライビングに集中させてくれる操作系のレイアウトなど、これでもかとイタリア伝統のブランドであることを主張している。インストルメントパネルとそのヒストリックな「テレスコープ(望遠鏡)」デザインが、ダイレクトで視覚的なつながりを生み出し、ドライバーに運転を楽しむよう促してくる。むろんメータークラスターの中央とダッシュボード中央の10.25インチのスクリーンで、現代に求められるあらゆるインフォテイメント機能とコネクティングサービスをカバーし、快適性と安全性の向上もおざなりにしていない。 それでもエアコンの吹き出し口が四葉のクローバー、つまりクアドリフォリオを模した形状であったり、ドライビングシートがサベルト製のスポーツシートであったりと、要所にスポーティな演出が施され、徹底したアルファの世界観づくりが為されているのだから、もはや脱帽するしかない。

TAG: #コンパクトカー #ステランティス #ミラノ #新型車
TEXT:TET 編集部
EVの常識を打ち破れ。レクサスが新たな電気自動車のコンセプトカー「LF-ZC」と「LF-ZL」を初披露

レクサスはジャパンモビリティショー2023でバッテリー電気自動車のスポーツクーペ「LF-ZC」、ならびに次世代フラグシップ「LF-ZL」を発表した。 航続距離1,000kmを追求したスポーツクーペ「LF-ZC」 10月25日に行われたレクサスのプレスカンファレンスでは、サイモン・ハンフリーズCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)が登壇し、「レクサスはラグジュアリーカーの常識を打破する存在として誕生した」と言及。さらに「あらゆる場面や時代において、常識や限界を超える挑戦をしてきた」と述べ、2035年までにBEV100%のブランドになるというコミットメントを改めて明言した。 その上で、2026年の市販予定モデルとして発表されたのがスポーツクーペの「LF-ZC」だ。全長4,750mm×全幅1,880mm×全高1,390mmという非常に低いスタイリングを可能にしているのは、開発中の「次世代電池パフォーマンス版(角形)」で、目標Cd値0.20以下という高い空力性能を実現。航続距離は1,000kmの実現を目指しているという。 また、ハイパフォーマンスクーペ「RC F」と同じ全高にもかかわらず、LF-ZCはフルフラットなフロアやパノラマルーフにより、外観からは想像できない開放的なインテリアを実現。低いフードとカウルによって、これまでになかった視界の広がりも確保され、コクピットは運転に没入できる空間となっている。 生産技術の面で画期的なのは、LF-ZCが車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造「ギガキャスト」を採用していること。ボディの大部分を一体成形にすることで締結部が減少してボディ剛性が高まり、操作に対してリニアで自然なフィーリングを実現しているという。 また、電池をボディ中央部分に集中して搭載し、フロントおよびリアは構造上の影響を受けない仕組みとすることで、電池等の進化を素早く取り入れられるメリットもある。 ハンフリーズCBOはLF-ZCを「より小さく、より広く、もっとエモーショナルなデザイン、もっと広いスペースとフレキシビリティ、もっとドライバーに寄り添うクルマ」と説明しており、市販化された暁にはBEVに革新を起こす存在になりそうだ。 >>>次ページ EV時代のフラグシップ「LF-ZL」

TAG: #ジャパンモビリティショー #新型車
TEXT:TET 編集部
EV時代の「GT-R」「ジューク」「エルグランド」を予告!? 日産がEVコンセプトカー3台を一挙披露

10月25日のプレスデイをもって開幕したジャパンモビリティショー。各メーカーがバッテリー電気自動車(BEV)を中心に、様々な未来のモビリティを提案するこのショーに、日産自動車は画期的なコンセプト「ハイパー」シリーズを持ち込んだ。ステージ上でスポットライトを浴びた3台のBEVコンセプトを紹介しよう。 EV時代のGT-R。全固体電池搭載のスポーツクーペ「ハイパーフォース」 ハイパーシリーズ全般の特徴として挙げられるのは、サイバーパンク的な超未来的デザインにもかかわらず、現行ラインナップとの繋がりを感じさせるディテールを採用していること。内田社長が「他がやらないことをやる、というのが創業時からの日産スピリット」と述べるように、電動化時代の日産車は“攻めたデザイン”となるのかもしれない。 3台のうち究極のハイパフォーマンスカーとして真っ先に紹介されたのは、スポーツクーペの「ハイパーフォース」。パワートレーンは、全固体電池と最大出力1,000kWを発生する高出力モーターとされ、「エクストレイル」に実装される電動AWD技術「e-4ORCE」の進化版も採用する。 ただ、ハイパーフォースで最も注目されるのは何と言ってもそのエクステリア。フロントマスクやリアの丸形テールライトは、「GT-R」を連想させるもの。しかもフロントのエアインテーク内部にはピクセル調で「GT-R」に似せたロゴまで配されており、日産も電動化時代のGT-Rをイメージしてデザインしたと思われる。 NISMOレーシングチームと共同開発したという空力設計や、ゲームシミュレーターにもなるコクピットなど、内田社長が「ゲームチェンジャー」と呼ぶハイパーフォース。市販されればスポーツBEVの概念をひっくり返す存在になるかもしれない。 「ジューク」をイメージさせるコンパクトSUV「ハイパーパンク」 ハイパーフォースの次に紹介されたのは、若年層をターゲットにしたコンパクトSUVの「ハイパーパンク」。多角形を強調したボディラインやトライアングルを配したホイールなど、車名どおり前衛的なデザインをまとったスタイリッシュな存在感は「ジューク」に共通する。 このコンセプトの真骨頂は車内にあり、AIとバイオセンシングセンサーによってドライバーの気分や健康状態を解析し、車両が照明や音楽を自動的に調整。さらに、コクピットを包み込むように配された3面ディスプレイには車載カメラが撮影した周囲の風景を様々なテイストに変換して表示でき、オーナーが自己表現と創造性を高められるという。 内田社長はハイパーパンクによって「移動の自由を手に入れ、仲間とともに新しい価値を生み出してほしい」としており、若者向けということも踏まえると、リーズナブルなBEVの開発を示唆していると期待したい。 >>>次ページ 豪華装備でおもてなし。プレミアムミニバン「ハイパーツアラー」

TAG: #ジャパンモビリティショー #全固体電池 #新型車
TEXT:曽宮 岳大
トヨタ、本気かも!? ランクルのEVや次世代スポーツなど、モビリティショー出展車をまとめて紹介

ジャパンモビリティショーへと名実ともに生まれ変わった日本最大規模の自動車見本市が、10月25日(水)のプレスデイで幕を開けた。プレスコンファレンスをトップバッターで実施したのは、トヨタ自動車。さっそくその発表内容をご報告しよう。 クルマ屋らしいEVをつくる プレスコンファレンスで佐藤恒治社長は、「クルマ屋らしいEVをつくる」と改めて強調し、その強みを、「コンポーネントの小型軽量化を実現し、それを最適なパッケージングにつなげていくこと」と表現した。なるほど、トヨタはこれまでにラダーフレームフレームやモノコックフレーム、FF、FR、MR、4WDと様々なモデルを世に送り出してきただけに、パワートレインやその他パーツの搭載位置の違いにより、車内の広さや走りがどのように変化するかを熟知している。そうした経験をBEVの開発にも活かしていくということだろう。 さらに佐藤社長は、「これからのEVは拡張性高く、ユーザー一人ひとりのニーズに寄り添う形で進化していく」と述べた。これからのクルマは、場面や用途に応じて形を変えたり、ソフトウェアのアップデイトにより、購入後もユーザーの使用環境に沿った進化を遂げたりするようだ。 さて、そうしたビジョンが具体的なカタチとして落とし込まれたコンセプトカーたちを順に見ていこう。 ランドクルーザー Se(エスイー) ランドクルーザーのBEV版ともいうべきモデルが、モビリティショーで初披露された。それが「ランドクルーザー Se」だ。従来のランクルと異なり、車体骨格にはモノコックボディを採用。低重心かつモーターならではの巨大なトルクを強みに、新しいオフローダーの姿を提案するモデルとなっている。 厚みのあるフロントフェイスにはランクルらしさが見て取れるが、一方で全体的に先進性に溢れるデザインに仕上げられている。例えば、地上高を十分に確保しながらもフロントガラスの傾斜が強く、全高は低めに設計されており、スポーティさを感じさせるプロポーションに仕上げられている。 ボディサイズは全長5,150mm×全幅1,990mm×全高1,705mmで、全高以外はランクル300を凌ぐ大きさ。その広さを活かし、室内は3列シートを備えた7人乗りとなっている。世界中で人気が高く、バリエーションが拡大しているランドクルーザーシリーズだが、将来的にはEV版も加わることになるのは間違いなさそうだ。 >>>次ページ ピックアップやSUVのEVがお披露目

TAG: #ジャパンモビリティショー #新型車

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