#急速充電
TEXT:渡辺陽一郎
充電中は「車内で待つ」がベスト! EVで急速充電器トラブルを避ける最低限のマナーとは

充電中は車内にいるようにしたい EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド/充電の可能なハイブリッド)を使っていると、自宅だけでなく、高速道路のサービスエリアなどで急速充電する機会もある。このときに大切なのが利用するときのマナーだ。 充電しているときのケーブルは、歩行者が車両の付近を通っても足が引っかからないように、なるべく車両側に寄せておきたい。乱雑にならないように注意する。 そして充電中は、なるべく車内にいるようにしたい。充電時間を利用して食事をするなら、サービスエリアのレストランには入らず、売店で弁当を買ってきて車内で食べる。レストランに入ると、注文してから食事を始めるまでに予想以上の時間がかかり、充電が終了しているのに車両を放置する心配も生じるからだ。充電を終えたあとの放置は、充電を待つ後続車のユーザーに迷惑をかける重大なマナー違反だから避けたい。 その点で車内にいれば、後続車両が来たときも、挨拶をしたり残りの時間を伝えられる。なお急速充電設備が混雑しているときは、充電時間は最長30分で切り上げるなどの配慮が必要だ。スマートフォンなどで検索して、なるべく空いている充電設備を選ぶことも考えたい。 そして充電が終了したら、ケーブルは正しい位置に格納する。路上に放置したりすると、歩行者の足に引っ掛かったり、後続の充電車両がタイヤで踏んでしまうなどのトラブルを引き起こす。充電を終えたあとの対処も重要だ。 充電に限らずマナーの基本は、自分が嫌なことは他人にもしない、自分が心地よいことを他人に対しても心がける点にある。そうすれば急速充電器を気もちよく使える。

TAG: #充電 #急速充電
TEXT:TET 編集部
レクサスのBEVユーザーに特報! 「LEXUS Electrified Program」が急速充電サービス「PCA」と業務提携

150kW/90kWの急速充電器を全国380基以上展開するPCAと業務提携 これまで他のプレミアムブランドに比べ、バッテリー式電気自動車(BEV)のラインアップ拡充にあまり積極的ではなかったレクサス。いまのところSUVタイプのRZとUX300eの2車種を揃えるものの、ほかのブランドの充実ぶりと比べてしまうと見劣り感が否めない。 さらに、プレミアムブランドは自社のBEVユーザーの囲い込みに熱心で、市中の充電器よりも強力かつアプリを通じた利用事前予約ができるなどの利便性をアピールし、BEV購入後も積極的に自社と顧客のタッチポイントを増やす動きがみられる。 とくに顕著なのは、ポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの連合体だ。グループで展開する急速充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」は、全国の大都市圏を中心に150kWの急速充電器を設置し、さらに90kWの急速充電器で周辺を固め、2025年2月16日現在は3つのブランドで計371拠点、385基もの急速充電器を設置する充実ぶりを見せている。 一方、レクサスの急速充電サービスは、出力150kW級の急速充電器を備えた「レクサス充電ステーション」が、2025年4月に福岡の「ONE FUKUOKA BLDG」に開設するステーションでようやく6拠点目となるに過ぎない。 しかし、ここにきてレクサスの急速充電環境が大きく変わろうとしている。なんとレクサスがポルシェ・アウディ・フォルクスワーゲンの急速充電サービスであるPCAと業務提携の覚書を締結したのだ。 レクサスはBEVにまつわる顧客のさまざまな不安や困りごとをサポートし、レクサスならではの提供価値を届ける「LEXUS Electrified Program(LEP)」のサービス拡充に取り組んでいるというが、今回の提携はその一環とされる。 この提携により、2025年7月からはLFPとPCAの会員が、それぞれのアプリケーションを通じて互いの急速充電設備を利用することが可能になる。これによりレクサスのBEVオーナーにとっては、経路充電の選択肢が強力かつ大幅に増えることになる。 むろん、レクサス自身もPCAの恩恵を受けるだけに留まらず、自社の「レクサス充電ステーション」の拡充を今後も進める方針である。2030年までに全国で100カ所以上のステーション開設を目指すほか、充電中の待ち時間にもBEVオーナーが有意義に過ごせるよう、近隣商業施設などとも連携し、さまざまなサービスを利用できるように整備を進めていくとしている。 なお、LFPとPCAでは月額基本料と充電に伴う従量料金に若干の差がみられるが、今回レクサス側から発表されたリリースでは、そのことについては触れられていない。ただし、メーカーの枠を超えて実現するこの急速充電ネットワークの大幅な拡充は、群雄割拠のプレミアムブランドのBEV販売にあって、今後レクサスが躍進する大きなきっかけとなるかもしれない。

TAG: #LFP #レクサス #急速充電
TEXT:御堀直嗣
「日本の急速充電器って遅くない?」にちょっと待て! 「急速充電器=ガソリンスタンド」という考え方自体を変えるべき

2013年に急速充電器の整備が本格化 急速充電器の高出力化について、日本は欧州に比べ性能水準が低いとの評価がある。しかし、どこまで高性能化すればよいのかも、検討する必要があるだろう。 そもそも、急速充電器の整備が本格化したのは、2009年に三菱i-MiEVが発売され、2010年に日産リーフが発売されて以後の、2013年になってからだ。当然ながらそれを牽引したのは日本だ。 経済産業省が乗り出し、1005億円という途方もない予算で補助金を用意した。ただし、対象が設置費用の全額ではなかったため、トヨタ、日産、ホンダ、三菱自の4社が共同で自腹となる設置費用分を補助し、実質ゼロ円で急速充電器を設置できるようにあと押しした。そして、2014年までに急速充電器を4万基、普通充電器を6万基、計10万基整備する目標を打ち出した。 一方、現在の状況はというと、今年6月の経済産業省の報告では、急速充電器が1万口を超え、普通充電器が3万口を超えたとある。この実績と比較すれば、10年前の目標がいかに大きすぎたかが伺える。 それを批判するのは簡単だが、それほど、10年前は充電器の必要性や需要動向を見極めきれない状況にあったといえなくもない。数値目標の背景にあったのは、全国のガソリンスタンドの数だったはずで、電気自動車(EV)の充電における優先順位に対する知見も不足していた。 したがって、いくら設置費用がタダだといわれても、維持管理や電気代はどうするのかとの不安が、設置場所の施設側にあった。また、どれほど高性能な急速充電器を設置する必要があるのかどうか、疑問も多かった。 対する市販EV側も、登録車となる初代リーフでさえ車載バッテリー容量は24kWh(キロ・ワット・アワー)で、30kWの充電出力があれば、30分で8割近い充電が可能になる。それ以上の高価な、あるいは維持費のかかる高性能な急速充電器を設置しようという意欲につながらなかった。 米国のテスラは、独自に充電網を構築したので、CHAdeMOと関係なく、大容量バッテリー向けの高性能急速充電器の設置を独自に進めた。しかも、自動車メーカー(テスラ)自ら費用を支出し、当初は無料で充電できるような施策をとった。 この時点で、日本のみならず世界のほかの自動車メーカーは、自ら充電網を整備し、無料で充電できるようにするなど考えもしていなかった。なぜなら、ガソリンスタンドを経営するのは石油会社とその関連企業であるからだ。自動車メーカーの仕事は、商品性に優れたEVを作ればよいとしか考えなかった。ここに、EVに対する知見の不足が如実に表れている。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:小鮒康一
「ガソリンでも走れるくせに急速充電器使うなよ」は暴論? 正論? PHEVの急速充電器問題を考えてみた

外部充電のみで賄っているPHEVユーザーも存在 EVユーザーにとってバッテリー残量というのは命綱でもあり、ギリギリの状態でたどり着いた急速充電器に先客がいたときの絶望感は計り知れないものがある。 このとき充電しているのがBEVであるならまだしも、PHEV車であったときは、「ガソリンでも走れるんだから、急速充電器占領しないでよ~」という気もちになる人も少なからずいるのではないだろうか。 筆者もBEVに乗っていたときは何度かそういったシチュエーションに遭遇し、そういった気もちを抱いたことがあるというのが正直なところだ。 しかし、冷静に考えてみれば、急速充電器を使用しているPHEVユーザーも年会費やビジター充電費を支払って使用しているれっきとしたユーザーであり、急速充電器を使用する権利はBEVユーザーと同等にあるということなる。 PHEVモデルはバッテリー容量がそこまで大きくないため、自宅で充電すれば十分だろうという声もあるかもしれないが、なかには自宅に充電設備をもたずに外部充電のみで賄っているユーザーも少なからず存在するハズ。 そもそもPHEVのユーザーは急速充電器を占領するな、といい始めてしまうと、次はBEVのユーザーでも緊急性の低いユーザーは急速充電器を占領するな、というような意見にも繋がりかねないだろう。 もちろん、急速充電器を使う側にもマナーは必要であるため、充電が終わっているのに一向にクルマに戻ってこないとか、そもそも純内燃機関車なのに急速充電器前に駐車するというような行為は言語道断だが、自車のバッテリー残量や待機ユーザーの有無などで譲り合って使うというのがマナーであるのはBEVでもPHEVでも変わりないといえるのではないだろうか。 今後、さらにBEVが普及して急速充電器がより多く設置されるようになったり、充電速度が飛躍的に向上したりすれば、こういったいがみ合う意見も減ってくるかもしれないが、現状はやむを得ないところがあるというのが実際のところ。いつの日か、そんなこともあったと当時を知る人の間で話せる日が来ることを期待したい。

TAG: #EV #PHEV #急速充電
TEXT:渡辺陽一郎
全国の高速道路でたった「520口」かよ! EVが売れてないのにそこかしこで「急速充電待ち」が発生するワケ

高速道路の急速充電器は520口程度に留まる 2024年中旬時点で、急速充電器(CHAdeMO)の口数は、全国に約1万500口とされる。給油所の数は全国に約2万7000カ所で、もっとも多かった1994年は6万カ所以上だったからいまは半減したが、急速充電器の口数はさらに少ない。 しかも給油所では、1回に複数の車両を給油できて所要時間も短いが、急速充電器は前述のとおり全国に約1万500口しかないうえに、充電の所要時間は、給油に比べて大幅に長い。乗用車の給油は5分以内で終わるが、急速充電は、充電量にもよるが1台当たり20〜30分はかかる。 その代わり、電気自動車は自宅でも充電できるのだが、急速充電器を利用すると順番待ちになることが多い。それはおもに高速道路のパーキングエリアやサービスエリアだ。新車の販売店に設置された急速充電器なら、比較的スムースに利用できるが、パーキングエリアやサービスエリアでは時間を要する。 そうなる理由は、パーキングエリアやサービスエリアの拠点数に対して、設置されている急速充電器が少ないためだ。全国にパーキングエリアは約650カ所、サービスエリアは約240カ所だから合計約890カ所に達するが、高速道路の急速充電器は520口程度に留まる。 パーキングエリアやサービスエリアの約890カ所に達しない。 ちなみに電気自動車のユーザーは、大半が一戸建てに住む。都市部の販売店では「最近はマンションに住みながら、販売店の急速充電器で充電するお客さまも増えているが、中心はいまでも一戸建て」だという。そうなると、短距離移動のための充電は自宅で行う。急速充電器を使うのは、長距離移動が中心だから、高速道路にこそ集中的に設置すべきだ。 しかし実際は、前述のとおり急速充電器が適材適所で設置されているとはいえない。関係者によると、「高速道路のパーキングエリアでは、それぞれ配電事情が異なり、急速充電器を設置しにくい場所も少なくない」という。 結局のところ、電気自動車の充電は自宅で行うのが基本だ。そして電気自動車は、遠方への外出には適さない。電気自動車の世界観では、クルマは近隣の移動に使うものだ。遠方まで出かけるときは、駅の駐車場に駐めて公共の交通機関を利用するパーク&ライドとの親和性が高い。長距離の移動では、クルマの利用よりも、公共交通機関の環境負荷が圧倒的に小さいためだ。 仮に電気自動車で長距離を移動するなら、時間に余裕をもたせて、充電スケジュールを組んでおく必要がある。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:小鮒康一
この先の「充電カード選び」が明暗をわける! EVをお得に乗るなら充電サービスにアンテナを張るのが正解だった

サービスによって年会費や充電料金が異なる BEVで走るためには必要不可欠な充電という行為。いまBEVに乗っている人の多くは自宅に充電設備があり、寝ている間など、クルマを使用しない間に充電を行い、次に乗るときにはある程度充電された状態、もしくは満充電状態で乗り出すというケースが一般的だろう。 ただ近年は、大容量バッテリーを搭載したBEVも増えてきており、BEVで長距離移動を行う人も少なくない。そうなると、道中で継ぎ足し充電などを行うケースも増えるワケなのだが、ここで問題となるのが充電をするためには基本的に会員カードやwebでの認証など、何かしらのワンアクションが必要となり、充電ケーブルを車両に繋いで即充電、とはいかない点だろう。 しかもこの会員カードは誰でも入会できるタイプのものもあれば、そのメーカーの車種を保有していないと入会できないタイプもあり、それぞれに入会金や月会費、そして都度の充電料金の単価に違いがあるというややこしさなのだ。 一応、カードがなくてもその場でweb登録を行って充電をすることができるビジター充電というサービスもあるが、登録に手間がかかる上にビジター充電は割高になることが多いので、緊急時の最終手段という形になるだろう。 新車でBEVを購入するユーザーの多い現在では、ほとんどの人が各販売メーカーが用意する充電プランに入会しているとは思うが(初年度無料などのサービスが付帯するケースも多いため)、今後、中古車でBEVを購入するユーザーも増えてくるにつれて、どのサービスに入会するかに頭を悩ませる人が増えるのは間違いないだろう。 現状は複数のサービスが存在する状況となってはいるが、すでにサービスを終了した事業者も存在するなど、まだまだ紆余曲折がありそうな雰囲気で、携帯電話やクレジットカードのように定期的に内容を見直して選択する必要が出てくるハズ。 各社とも基本料金はやや高めながら都度課金額が安いところや、年会費はかからないものの、都度課金額が高めなところなど、すでに特色も出てきているので、自分の使い方に合わせて最適なサービスを選びたいところ。 数が多いと選ぶのには難儀するが、その分だけ競争力が働いてユーザーにとっては有利になることも少なくないので、つねにアンテナを張っておくことが重要といえそうだ。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:桃田健史
急速充電器はさまざまな規格が乱立状態! EVの普及を目指すなか充電器事情はこの先どうなる?

CHAdeMOは当分の間150kWまで 普通充電と急速充電。こうした表現が最近、日本でもかなり浸透し、その違いについての理解も広まってきている印象がある。 最近では、経済産業省によるEV普及施策の一環として、ベンチャー企業などを巻き込んで全国各地でEV用充電インフラ整備が進んでいることも影響しているのだろう。また、消防法などによる高出力型充電器の設置に関わる規制も段階的に緩和されている状況だ。 そうしたなか、急速充電については、高速道路のSAやPAで最新設備の導入を急いでいるところだ。EV所有者に限らず、そうした機器をSAやPAで見かけることもあるだろう。 具体的には、1基を単独使用した場合の最大出力が90kWで同時に複数のEVに対応できるタイプや最大出力150kWの仕様だ。輸入車ブランドでは、アウディとポルシェが連携し、全国の新車販売店で出力150kWの充電器を設置する事業戦略を進めているところだ。 こうした急速充電の高出力化の傾向は、いつまで続き、またこの先はどこまで出力が上がっていくのだろうか。 IT、電子・電気に関する各種カンファレンスや商業見本市、また自動車メーカーの報道陣向け試乗会など、さまざまな機会に急速充電に関わる人たちと急速充電の今後について話を聞いているが、「CHAdeMOは当分の間、150kWまで」という声が主流だ。 高出力化の最大の課題は、充電器単体のコストではなく電気代だという。イニシャルコスト(初期投資)としては、急速充電器が数百万円かかり、さらに設置工事にも数百万円が必要であり、トータルで1000万円を超えてしまうことも珍しくない。さらに、ランニングコストとしての電気代がかさむ。 そのため、急速充電器をさらに高出力化するのであれば、新しいサービス事業の開拓が必然であろう。 たとえば、家庭や企業における普通充電やV2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)、また電池のリサイクル・リユース、さらにスマホなど通信機器の購入・データ通信・通話代を含めるといった、エネルギーマネージメント事業の構築が考えられるだろう。 一方で、グローバルに目を向けると、急速充電方式については、CHAdeMO、アメリカでのCCS1、欧州でのCCS2、中国でのGB/T、そしてテスラ方式であるNACSが並行して存在する状態が続いている。EVシフトがいま、「踊り場」といわれるなか、急速充電の規格について実質的な標準化や統一に関する議論が自動車産業界で盛り上がっているとはいえない状況だ。 それでも、自動車産業界では「2030年代にはEV本格普及の目処が見えてくる」との見解が一般的だ。そのため、急速充電の規格、またエネルギーマネージメント事業を勘案した適正な高出力についても2020年代後半までには、自動車産業界で何らかの動きが起こるのではないだろうか。

TAG: #急速充電 #急速充電器
TEXT:渡辺陽一郎
自宅で充電できないけどEVを買う人が増えている! ただしいまのインフラ状況だと「セカンドカー」で乗るのが正解

急速充電器の性能は向上している 一般的にEV(電気自動車)を所有するには、自宅に充電設備を設置することが不可欠と考えられているが、日産の都市部の販売店では「最近は自宅に充電設備をもたないお客さまも増えた」という。日本では総世帯数の約40%がマンションなどの集合住宅に住み、都市部ではその比率が70%以上に達する。 そして、充電設備を備えたマンションは一部の新築物件に限られ、仮に充電スペースがあっても1台分だけで、来客用の駐車スペースと兼用している場合も多い。充電設備を備えていないマンションにあとから設置するのは、スペースの確保も困難で、管理組合や自治会の許可を得る必要も生じる。これは相当に難しい。 そうなると、集合住宅に住むなど自宅に充電設備をもたないユーザーは、急速充電器を使って充電することになる。 ちなみに以前の電気自動車では、急速充電を繰り返すと駆動用リチウムイオン電池の劣化が激しく、1回の充電で走行可能な距離が大幅に短くなると指摘された。 それがいまは、開発者によると「温度管理が綿密に行われるから、以前のようなバッテリーの劣化は生じにくい。普通充電との併用が好ましいが、急速充電に頼っても問題はない」とのことだ。EVの技術進歩により、以前に比べると、急速充電器を利用しやすくなった。 その代わり、集合住宅に住むユーザーが急速充電器を積極的に使うと「充電渋滞」が生じる可能性も高まる。2024年3月末の時点で、急速充電器の口数は1万少々とされるが、この内の30〜40%はEVやPHEV(プラグインハイブリッド)を扱う販売店に設置されている。 クルマの販売店に次いで急速充電器を多く設置するのは、郊外の大型商業施設やコンビニエンスストアだ。高速道路や自動車専用道路のパーキングエリア、サービスエリアに設置される急速充電器は意外に少ない。急速充電器全体の10%以下に留まる。 そのために休日になると、充電渋滞が発生しやすい。ユーザーとしては、パーキングエリアやサービスエリアの急速充電器を増やしてほしいが、利用者が少ないために採算が取れない充電設備もある。あるいは「周辺地域の電力インフラとのバランスが重要になり、すべてのパーキングエリアに急速充電器を設置できるわけではない」という指摘も聞かれる。 以上を踏まえると、現在のEVの利用方法としてはセカンドカーが好ましい。長距離を移動するときには、エンジンを搭載するハイブリッドなどのファーストカーを使い、使い勝手の優れた給油によって走る。EVは自宅で充電して、買い物などの短距離移動に使う方法だ。EVの開発者にも「EVの充電は自宅が基本で、急速充電は、電欠しそうになったときの緊急手段」とコメントする人が少なくない。

TAG: #急速充電
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツが新会社設立で「EV急速充電ネットワークの整備」を強化! 2026年末までに計100口の設置を目指す

メルセデス・ベンツが充電器を増設へ メルセデス・ベンツは日本で電気自動車(EV)の普及を加速させるべく、11月1日に新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本合同会社」の設立を発表した。 新会社は、高出力の急速充電ネットワーク(HPC:High Power Charging Network)の設置を通じて、すべてのEVユーザーにメルセデス・ベンツならではの充電体験を提供することを目的に、急速充電施設の設置及び運営を行う組織として設立された。 高出力の急速充電インフラ(HPC)の整備により、EVの充電時間を短縮し、EVユーザーの利便性向上が見込まれる。また、より急速充電ニーズの高い3大都市圏の周辺を中心に導入を進めることで、長距離移動時や基礎充電設備の不足による充電の不安を解消し、EVの実用性を高めるとしている。 なお、新会社「メルセデス・ベンツ・ハイパワー・チャージング日本」は、HPCの設置および運営事業に関して、大型蓄電池の製造・販売、EVチャージステーションのサービス展開で実績のあるパワーエックス社と事業提携し、共同で協議・検討を進めていくことを発表した。 これにより、充電設備のスペックならびに具体的な設置予定箇所は未公表ながら、2026年末までに25カ所50基、合計100口の急速充電設備を設置していく予定であることも発表。 ドイツのプレミアムブランド各社が急速充電ネットワークの拡充を推し進めるなか、メルセデス・ベンツも追随する姿勢を示したことは、同社のEQシリーズを検討および保有しているユーザーにとっては心強いのではないだろうか。今後の発展に期待したいところだ。

TAG: #パワーエックス #メルセデス・ベンツ #急速充電
TEXT:TET 編集部
日本ではその性能のすべてを発揮できない! 出力270kWの充電が可能なアウディQ6 e-tron登場

欧州の充電インフラ事情がクルマを進化させている EVに乗って長距離を移動しようとすると、心配なのは経路充電の充電スポットとその充電器の出力性能。日本の高速道路を管理するNEXCO各社が公表している2023年度の急速充電器増設状況では、年間に全国52か所のSA/PAに計129口を増設したというが、そのうち150kW級の出力性能をもつ急速充電器の口数はわずか4口に留まる。日本の平均的な急速充電器の出力が50kW前後といわれるなか、EVの普及を急ぐうえでその充電器自体の電力供給体制の改善は急務だ。 経済産業省からは、高速道路上の急速充電器は出力90kW級以上で整備を急ぐべし、との指針が2023年8月に示されているが、それでも性能として十分なのか一抹の不安を覚える。それというのもアウディがドイツで発表した内容を目にすると、もはやインフラ側の整備がEVの性能向上に追い付いていない印象を抱いたからだ。 アウディQ6 e-tronがわずか10分の充電で255kmも走れるワケ 2024年5月8日にアウディは、自社のプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)用に開発された高電圧バッテリーが、最大充電出力270kWの急速充電器を使用すると、最長走行距離255km分をわずか10分でチャージできるようになったと発表した。 いわずもがな、この性能を実現するためには電力供給側である急速充電器の性能向上に加え、受給側のバッテリー性能の向上が不可欠だが、今回の発表の注目点は、もちろん後者の性能が著しく向上した点についてだ。 実現の背景には、800Vのアーキテクチャー、プレコンディショナー機能を備えた新しい高電圧バッテリー、PPEの新しい予測サーマルマネージメントなどの採用が挙げられる。これらを搭載したアウディQ6 e-tronは、最大270kWの出力で充電することが可能で、充電時間が大幅に短縮され利便性が向上している。 この恩恵を受けられるのは12のモジュールから構成された総電力量100kWh(正味容量は94.9kWh)のモデルになるが、10のバッテリーモジュールで構成された総容量83kWhのモデルであっても、10~80%までの充電にわずか21分しか要しないという。 400Vの充電ステーションでは、バンク充電と呼ばれる機能を使うことができる。これは充電開始前に、バッテリーマネージメントコントローラー(BMCe)内の高電圧スイッチがオンになり、車両に搭載されている800Vのバッテリーが同じ電圧のふたつのバッテリーに分割されることで、最大135kWで並列充電することが可能になる機能だ。この2分割されたバッテリーが同じ充電状態になってから、次にロックステップ方式で残りの部分が充電される。こうすることで車両側の受給能力を向上させている。 充電マネージメントとしては、国際充電規格のコンバインド充電システム(CCS)に準拠している。高速かつ信頼性の高い充電を実現するために、HCP 5高性能コンピューターが、E3 1.2電子アーキテクチャーの新しいドメインコンピューター内で充電プロセスを管理している。スマート・アクチュエーター・チャージング・インターフェイス・デバイス(SACID)と呼ばれる通信制御ユニットは、車両と充電ステーションの接続を行うインターフェイスとして機能し、標準化された受信情報をHCP 5ドメインコンピューターに送信する。 また、欧州市場向けのアウディPPEモデルは、車両左後部のCCSコンボコネクターにより、DC(直流)およびAC(交流)充電に対応しており、追加のAC充電コネクターも車両の反対側に設置されている。アウディQ6 e-tronシリーズに関していえば、標準でAC11kWの充電が可能で、残量ゼロのバッテリーを一晩で充電することができ、AC22kWに対応した充電機能も後日オプションとして提供される予定だ。 アウディQ6 e-tronシリーズには「Plug & Charge」機能が標準装備されている。現在、「Plug & Charge」機能は、欧州最大の充電プロバイダーであるIONITY(アイオニティ)の充電ステーション、および一部の充電オペレーターが運営する充電ステーションで利用可能だが、今後はさらに多くのプロバイダーで利用できるようになる見込みだ。 「Plug & Charge」のメリットは、1回利用したプロバイダーであれば、車両と充電ステーションの間で暗号化された通信が行われているので、次回以降は面倒な手続きを踏まなくとも充電プロセスが自動的に開始され、クレジットカードなど「myAudiアプリ」に登録されている支払い方法に従って請求がスムーズに行われることだ。 自動車メーカーも充電インフラの整備に本腰 アウディ自身も充電環境の整備には余念がなく、欧州内の29か国に設置された約63万の充電ポイントから構成されたアウディチャージングサービスや、都市部の急速充電ステーション「アウディチャージングハブ」の整備などを進め、自社の顧客をサポートしている。 我が国においても、アウディ・ポルシェ・フォルクスワーゲンの3ブランド、計356拠点のディーラーに設置された90〜150kW級出力のCHAdeMO規格急速充電器が利用可能な「プレミアムチャージングアライアンス(PCA)」が展開されている。公共の充電インフラ整備に留まらず、自社での環境整備を欧州、日本を問わず積極的に推し進めているのがアウディだ。 ただし、日本と欧州で大きく異なるのは最大充電出力。2024年春に東京の紀尾井町にオープンさせた欧州圏外唯一のアウディチャージングハブでも、その最大充電出力は150kWに留まる。一方の欧州では、幹線道路沿いを中心に設置された約3000か所のIONITY急速充電ステーションでは、最大350kWでの急速充電が可能なのだ。 こうした充電環境の違いにより、受給側の充電能力も飛躍的に向上しているわけで、この欧州仕様のアウディが日本に導入されたとしても、やや宝の持ち腐れ感は否めない。しかし、インフラ整備の環境変化も大きく様変わりしているわけで、150kW級以上の急速充電ステーションが日本国内で急拡大する可能性だって否定できない。 その意味では、いまは「卵が先か鶏が先か」というだけで、車両側がオーバースペックであっても将来に向けた蓄えとして十分意味のあることではないかと思うところ。むろん、この車両スペックを使い切れるほどの急速充電設備が、経路充電に必要とされる箇所へ多数設置されることが最善策であることは明白だ。しかしそこは発電・送電まで含めた国家プロジェクト級の課題なので、あくまでも願望の域を出ない戯言であることはお断り申し上げよう。また、EVの使い方で重要なのは急速充電を含めた経路充電よりも、自宅や事業所等での基礎充電が肝心であるということも付け加えておく必要がある。

TAG: #e-tron #Q6 #アウディ・チャージング・ハブ #急速充電

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