#上海モーターショー
TEXT:岩尾 信哉
ハイパフォーマンスかつスタイリッシュな電気自動車、 ポールスター4が上海国際モーターショーにて発表

去る4月に中国で開催された上海国際モーターショーにおいて、ボルボ・カー(以下、ボルボ)は、電気自動車(EV)専用のハイパフォーマンスカー・ブランドであるポールスターの新型SUVモデル「ポールスター4」を発表した。 ポールスターの成り立ち 現在ボルボは、ジーリー・ホールディング・グループ(浙江吉利控股集団)傘下にあり、ジーリー・オート(吉利汽車、以下吉利)、ボルボ、ボルボのEV専用ブランドのポールスター、吉利のLynk&Coの各ブランドに、共同出資するかたちで業務提携している。 ポールスターは2000~2010年代にボルボのモータースポーツでの活躍を支えた後、2017年にハイパフォーマンスを訴えるEV専用ブランドに生まれ変わった。現在のポールスターは過去から引き継がれてきたスポーツ性を備えつつ、独自の個性をもつブランドとして成立している。 ポールスター・モデルの成り立ちは、近年では吉利とボルボの協業によって変化を続けている。現状で吉利グループ内のEV専用プラットフォームは、吉利がSEA(サステナブル・エクスペリエンス・アーキテクチャー)、ボルボがSPA2(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー2)が挙げられる。 ポールスターでは、クーペセダンEVのポールスター2(2019年発表)が広くボルボ車で使用されてきたCMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャー)を採用する。続く2021年に発表されたラージSUVのEVであるポールスター3は、ボルボ・ブランドのEX90と新世代プラットフォームであるSPA2を共有する。対して、最新モデルであるポールスター4は吉利が開発したSEAプラットフォームを使用するなど、吉利とボルボでの使い分けが進められている。 ポールスター4は「SUVクーペ」と表現 ポールスター4はポールスター3に続く2番目のSUVモデルとなり、ラインナップとしては既存のポールスター2とSUVのポールスター3の中間に位置づけられる。クーペライクなSUVというカテゴリーはすでに群雄割拠の体をなしているが、ポールスター4はデザインをより斬新な仕立てとしていることが特徴といえる。 流麗なプロファイルを備えるポールスター4のボディ仕様を確認すると、全長4,839mm、全幅2,139 mm、全高1,544 mm。 ホイールベースを2,999 mmとして、欧州のDセグメントに位置するボディサイズを生み出した。 ポールスター3とスペックを比べてみると、ポールスター4はより小柄といえる。ポールスター3は、全長4,900mm、全幅:2,120mm、全高1,628mm。ホイールベースが2,985mmとなり、ポールスター4はよりSUVらしいポールスター3よりも全長が短く、全高は低く抑えられたにもかかわらず、ホイールベースが長く採られていることが、より伸びやかなボディラインを形成することに貢献している。 グリルレスのフロントデザインはポールスター・モデルに共通のアイテム。「スマートゾーン」と呼ばれる、シャープな形状のヘッドライトの間の部分にはレーダー/カメラが内蔵される。いっぽうで、ポールスター4には大胆にもルーフ部分をボディ背後にまで延長したうえでリアウィンドーを廃して、ルーフ全体におよぶグラスルーフを与えた。フルグラスエリアといえるルーフ部は、電子制御調光機能も備えている。このルーフデザインにより、ポールスター4は、エアロダイナミクスの向上を含めた美麗なスタイリングを成立させることに成功している。 ボディのボリューム中心を前方に設定しているため、後席空間の不足が懸念されるが、後席位置をを低めて、繭に包まれたような感覚を与えたとポールスターは主張する。 インテリアでは、持続可能性の確保への取り組みを進めている。内装材としてニット素材の100%リサイクルされたPET(ポリエチレンテレフターレート)表皮と「マイクロテック」と呼ばれるバイオ素材を設定。カーペット素材にもリサイクルPETなどが使用される。ドア内装パネルにはNFPP(ナチュナルファイバーポリプロピレン:木材繊維強化再生PP)製として、バージン材使用を50%以下としつつ、40%の軽量化を実現したという。

TAG: #SUV #ポールスター4 #上海モーターショー
TEXT:烏山 大輔
上海モーターショー:BYDのニューモデルをふたたびチェック

BYDが日本で現時点で販売しているモデルはATTO 3(アット3)のみ(「ドルフィン」は8月から受注開始、「シール」は2023年の年末に発売予定)だが、地元である上海モーターショーでは多くのモデルを発表した。 各車を公式のリリースと写真で振り返ってみたい。 Yangwang U8とU9 Yangwang(ヤンワン、漢字表記は仰望)U8は、自社開発の2つのコアテクノロジーであるe4プラットフォームと DiSus-Pを搭載し、最先端技術を駆使したNEV(新エネルギー車:EVやプラグインハイブリッド車などの電動車を指す)ハードコアオフロードSUVである。 ※DiSusシステムについてはこちらをご覧ください。 e4プラットフォームにより、最大1100馬力以上のパワーを発揮し、わずか3.6秒で100km/hに達する。また、過酷な環境下でも安定した走行が可能で、水や流れに浮き(※)、360度のタンクターン(※)もできるオフロード性能に優れたSUVだ。 ※渡河性能ではなく、タイヤが川底から離れても船のように完全に浮いて「航行」し向こう岸にたどり着ける。 ※タンクターン:左右輪を逆向きに回転、例えば左側の2輪を前進、右側の2輪を後進させることで、その場で移動せずに360度のターンをすること。 Yangwang U8には、Premium EditionとOff-road Master Editionという2つのモデルがあり、Premium Editionは究極のオフロード性能と豪華さを併せ持ち、Off-road Master Editionはオフロード愛好家向けに設計され、オフロード性能を更に高めたモデルである。 Yangwang U8 Premium EditionとOff-road Master Editionは、109万8000元(約2,100万円)で先行販売を開始した。 また、Yangwang U8の先行販売に加え、Yangwang U9も正式に発表された。 Yangwangは、独自のブランドビジュアル・アイデンティティを表現するため、「タイムゲートデザイン言語」を採用しており、エネルギー、テクノロジー、スピード、美学を情熱的に表現している。 あわせてBYDはプレミアムNEV専用に開発されたYangwangアーキテクチャーを発表した。このアーキテクチャーは、e4プラットフォーム、DiSusシステム、ブレードバッテリー、マスターボディ、スマートコクピット、先進運転支援システム(ADAS)など、BYDの6つのコアテクノロジーを採用している。 Yangwangアーキテクチャーは、高性能であり、無制限かつ進化可能であることで、オフロード、都市部の道路、レーストラック、その他多くの運転シナリオをカバーすることができる。 U8とU9は、Yangwangアーキテクチャーを搭載した最初のモデルであり、優れたオフロード性能と最先端のテクノロジーを提供することが期待されている。

TAG: #デンザ #ヤンワン #上海モーターショー
TEXT:烏山 大輔
ホンダ、上海モーターショーでBEVの「e:N」シリーズ3車種を世界初公開。中国でのBEV100%目標も5年前倒し

2023年4月18日、ホンダは上海モーターショーで、電気自動車(BEV)「e:N(イーエヌ)」シリーズの第2弾となる「e:NP2 Prototype(イーエヌピーツー プロトタイプ)・e:NS2 Prototype(イーエヌエスツー プロトタイプ)」と、e:Nシリーズ第3弾となるコンセプトモデル「e:N SUV 序(xù)」を世界初公開した。「序」は中国語で「プロローグ」を表し、e:Nシリーズとして新世代の幕開けを迎えるという意味合いを込めている。中国市場において、今後これらのモデルを投入しe:Nシリーズを拡充することで、「2035年までにEVの販売比率100%」の達成を目指していく。 写真は左からe:N SUV 序、e:NS2 Prototype、e:NP2 Prototype 、e:N GT Concept(2021年に発表された2026年までの発売を予定しているコンセプトカー)。 目標を5年前倒し、「2035年までにEVの販売比率100%」 ホンダは、グローバルでの目標である「2050年にホンダが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現」を掲げ、中国においては2027年までに10機種のホンダブランドEVの投入を予定している。 今回発表されたe:NP2 Prototypeとe:NS2 Prototypeは、ホンダが提案する新しい価値を持ったEVとして開発が進められており、e:Nシリーズ第2弾として2024年初頭に発売される予定だ。 またe:Nシリーズ第3弾となるe:N SUV 序については、SUVらしいワイルドさと近未来的な知性を兼ね備えた新世代のe:Nシリーズとして開発が進められている。今回発表されたコンセプトモデルをベースにした量産モデルは、2024年内に発売される予定である。 ホンダはこれらのEVモデルの投入により、中国における電動化を加速し、「2040年までにEV・FCEVの販売比率100%」の目標を前倒しして、「2035年までにEVの販売比率100%」の達成を目指す。

TAG: #BEV #e:N #コンセプトカー #上海モーターショー
TEXT:烏山 大輔
トヨタ、上海国際モーターショーでbZシリーズのコンセプトカー2台をワールドプレミア。来年中国に導入予定

2023年4月18日、トヨタは上海国際モーターショーにて、バッテリーEV(BEV)のコンセプトカー「bZ Sport Crossover Concept」と「bZ FlexSpace Concept」を世界初披露した。 これらのコンセプトカーは、BEV専用ブランドであるTOYOTA bZシリーズとして開発が進められており、2026年までにトヨタが発売する予定のBEV10モデルのうちの2モデルとして、2024年に中国市場に導入される予定である。 新たな2台のコンセプトカー 「bZ Sport Crossover Concept」は、トヨタと、トヨタが中国の比亜迪股份有限公司と合弁で設立したBYD TOYOTA EV TECHNOLOGYカンパニー有限会社(BTET)、一汽トヨタ自動車有限会社、豊田汽車研究開発センター(中国)有限公司が共同開発した。 アクティブで個性的なクロスオーバータイプのBEVで、一汽トヨタより生産・販売される予定である。クルマで移動する時に気分転換ができるように「Reboot」というコンセプトを採用している。Z世代に向けたパーソナルな空間として機能するように、運転支援や自動駐車などの知能化機能も含まれており、オーナーが常に最新のクルマを五感で楽しめるように開発されている。 「bZ FlexSpace Concept」は、トヨタと広州汽車集団有限公司(GAC)、広汽トヨタ自動車有限会社が共同開発した、実用性を重視したファミリー向けのSUVタイプのBEVで、広汽トヨタより生産・販売される予定だ。 家族が安心・快適・自由に使える「COZY HOME」というコンセプトを採用し、大空間と扱いやすさ、高度な安全性、安心の航続距離を実現させ、知能化機能も搭載されている。家族や友人、カップルなどに寄り添い、より生活を楽しめるクルマを目指して開発されている。 トヨタは、BEV(電気自動車)専用プラットフォームを基盤として、TOYOTA bZシリーズを導入し、このシリーズにおいて次の4つの目標を掲げている。 1.You & Others ヒトとヒト 快適な移動空間を提供すると同時に、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間を提供することで、新しいライフスタイルを提供する。 2.You & Your Car ヒトとクルマ BEVならではの運転の楽しさや、可能性を期待させるワクワク感を提供することで、オーナーとクルマとの関係を深める。 3.You & the Environment ヒトと地球 CO2排出量などのマイナスを減らすだけでなく、プラスを生み出すことで、環境問題へ貢献する。 4.You & Society ヒトと社会 安心・安全な社会づくりに貢献することで、社会的責任を果たすことを目指す。

TAG: #BEV #bZ #EV #コンセプトカー #上海モーターショー

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