#ホンダ
TEXT:TET 編集部
ホンダの電動ロボット芝刈機/草刈機「ミーモ」シリーズが大幅改良! 国内で年間500台のセールスを目指す

意外と長い「ホンダの芝刈機」の歴史 ホンダといえば四輪/二輪メーカーの枠に留まらず、「技術で人を幸せにする」という理念のもとに、汎用エンジンにより人々の生活をサポートする「パワープロダクツ」を多く生み出している企業だ。耕運機や発電機、船外機などがその一例であり、1970年代半ばには全世界で850万台ほどの市場規模を持っていた芝刈機の製造開発に着手したのもそのひとつだ。 1978年8月にホンダ初の歩行芝刈機「HR21」を発売し、年間33万台の好セールスを記録して以来、連綿と続くホンダの芝刈機。歩行型だけでなく、乗用タイプも広く普及している。また、変わった取り組みとして、乗用型芝刈機のギネス最速記録に挑み、時速187.6km/hの新記録を叩き出し、その後にも0-160㎞/hの加速タイムでギネス記録を獲得するなど、ユーモラスなプロモーション活動を行うことでも有名だ。 日本ではイメージがわきにくいが、ホンダによれば、欧州では自宅の庭の芝を綺麗に刈り、手入れの行き届いた庭を自慢しあう風潮があるそうだ。しかし、時代の流れとともに、庭の手入れにかける時間を家族との時間や庭で楽しむ時間そのものに充てたいというニーズが高まりをみせたことから、1995年に自動で庭の芝刈り作業を行うロボット芝刈機が登場。以来、改良を続けながら、2013年には全自動ロボット芝刈機の「Miimo(ミーモ)」を誕生させ、今日では競合ライバル機種を引き離して市場シェアを獲得しているのだとか。 そんなロボット芝刈機/草刈機の「ミーモ」シリーズに、改良モデルとなる芝刈機タイプの「ミーモ HRM2500 Live」と、草刈機タイプの「グラスミーモ HRM4000 Live」が発売された。 遠隔操作と複数台同時使用時の利便性向上 電動ロボット芝刈機/草刈機のミーモは、芝に設置された「エリアワイヤー」とよばれる作業エリアを識別するための信号を受信しながら、設定したプログラムに従って自動で芝刈を行う電動ロボット芝刈機/草刈機だ。 2017年に初代モデルである「ミーモ HRM520」を発売して以来、芝刈・草刈作業の省力化、効率化を実現する製品として高く評価され、公園などの公共施設や幼稚園、学校に加え、企業でも幅広く導入されているそうだ。 従来モデルで好評だった刈取性能や走破性はそのままに、新モデルではエリアワイヤーを識別する信号を1種類から4種類に増やし、隣接する複数の作業エリアを識別できるようになった。これにより、従来は2台以上のミーモ・グラスミーモを同時に使用する際に発生していた刈り残しが発生せず、より広範囲の芝刈り・草刈りを手間なく行いたいというニーズに対応する。 また、従来はグラスミーモのみに採用していた遠隔操作・監視機能を、新モデルでは新たにミーモにも標準搭載。専用アプリ「ミーモニター」をスマートフォンやタブレット端末などにインストールすることで、ミーモ・グラスミーモ本体と通信することができ、リアルタイムで作業状況の確認や作業指示、さまざまな設定変更が可能になる。 さらに、芝の養生などを目的として侵入頻度を下げる場所を設定する「スマートアイランドゾーン設定」や、天気データと連動して作業スケジュールを自動変更する「スマートタイマー設定」といった新たな機能も搭載し、より利便性が向上している。 デザインも「愛着、安心、信頼」をコンセプトに刷新。“なでたくなる曲線美”をテーマとした丸みのあるシンプルなフォルムを、タフさを表現したデュラブルグレーの全方位衝撃検知の全周バンパーで囲むことで、信頼感を感じられるスタイリングとし、両モデルとも安心して仕事を任せたくなるようなデザインに仕上げている。なお、両機の見た目は本体表面のロゴ以外ほぼ同一と言ってよい。 製品の主な特長は以下の通りだ。 ■作業性能・機能 ・芝・草の成長スピードや作業エリアの状況など、さまざまな条件に合わせて最適な作業内容が設定可能。 ・刈り高さは20~60mmの間で、芝刈機のミーモ HRM2500 Liveはダイアル式で無段階の高さ調整が可能。草刈機のグラスミーモ HRM4000 Liveは、アプリおよび本機のコントロールパネルで5ミリ単位の高さ調整が可能 ・エリア信号の種類を4種類に増やし、複数のミーモを隣接エリアで稼働する場合のエリア間の刈り残しを低減するほか、ショートカットワイヤー用の信号を追加。到達したワイヤーを識別することでルートを自動選択し、充電ステーションへの帰還時間を短縮することができる。 ・従来モデルでは特別な設定作業が必要だった狭路の走行を、ショートカットワイヤーの導入により設定の変更なしで行えるようになった。また、轍が発生しやすい狭路走行でも、轍の発生を抑制。 ・衛星測位システム「GNSS」の位置情報をもとに充電ステーションに向かって直線的に帰還する、スマートホーミング機能を新たに採用。これにより、エリアワイヤーに沿ったルート以外でも帰還が可能となり、繰り返しでの同一ルート帰還による轍の発生リスクを低減。 ・最大登坂能力25°の強力モーターと傾斜自律制御システムの搭載で、傾斜地や起伏のある場所でも高い走破性を発揮し、多様な作業環境に柔軟に対応。 ■耐久性・メンテナンス性 ・ブレードに360°回転するフリー刃を採用することで、石などの障害物からの衝撃を逃がす構造とし、刈刃の欠損や石飛びを抑制。また、フリー刃の回転方向を自動で制御し、刈刃の摩耗の偏りを抑えることで切れ味の良い状態を維持する。 ・グラスミーモは、水洗いも可能な防水システムを採用。刈刃面にも直接水をかけて草や汚れを落とすことができ、メンテナンス性を向上。 ■専用アプリ「Mii-monitor(ミーモニター)」 本体付属のTCU(Telematics Control Unit)とセルラー回線を介して、スマートフォンやタブレット端末に接続。専用アプリを通して以下の本体操作や作業状況の遠隔監視、各種設定が可能。 ・作業状況、バッテリー残量、位置情報の確認 ・AIスピーカーを使った音声操作 ・作業時間や刈高さ(グラスミーモ HRM4000 Liveのみアプリ対応)などの各種設定 ・異常が発生した場合や盗難などによる設定エリア逸脱時の通知機能 ・複数のMiimoの管理 ・衛星測位システム「GNSS」の位置情報を元に、物理的なエリアワイヤーの敷設なしに、侵入頻度を下げたいエリアを設定する新機能「スマートアイランドゾーン」の設定 ・天気データと連動して自動でミーモの作業スケジュールを設定する新機能「スマートタイマー」の設定 ・Bluetooth®接続によるリモコン操作 ホンダが発表した国内での年間販売計画台数は500台で、メーカー希望小売価格(消費税込み)は、芝刈機のミーモ HRM2500 Liveが56万8150円、草刈機のグラスミーモ HRM4000 Liveが67万8700円だ。 家庭用掃除機で急速に普及した一般向け電動ロボットではあるが、家電メーカーのみならずホンダをはじめとした各自動車メーカーも参入が相次いでいる。これも次世代モビリティ社会へ移行するひとつの流れなのかもしれない。

TAG: #パワープロダクツ #ホンダ #ロボット #芝刈機
TEXT:TET 編集部
20万人以上が熱狂したホンダのeモータースポーツイベント! 「Honda Racing eMS 2024」の開催決定

激戦必至のeモータースポーツイベントが帰ってきた 昨年、初開催にして20万人以上の参加者を集め大いに盛り上がったeモータースポーツイベント「Honda Racing eMS(ホンダ・レーシング イー・モータースポーツ)」が、2024年も開催されることが決定した。 ホンダ・レーシング(以下、HRC)は、PlayStation®5(以下、PS5®)および、PlayStation®4(以下、PS4®)用ソフトウェア『グランツーリスモ7』(発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)を用いたeモータースポーツイベント、「Honda Racing eMS 2024」を開催する。2024年8月2日(金)~9月1日(日)にオンライン予選を行い、2024年12月1日(日)に東京都港区のHondaウエルカムプラザ青山で決勝大会が開催される。 予選に参加するだけでもプレゼントがもらえる Honda Racing eMSは、より多くの方々にモビリティを操る楽しさと、モータースポーツの感動を身近に感じてもらうことを目的に、ホンダのモータースポーツ活動を担うHRCが主催するeスポーツイベント。初開催となった昨年は、ふたを開けてみれば20万人を超えるeスポーツプレイヤーが参加する盛況ぶりとなった。2回目となる今年は、18歳以上が参加できる「Challengeクラス」の決勝大会出場資格を、国内在住者だけなく海外在住者にも与えることが発表された。これにより、国内外のトップeスポーツプレイヤーが集結する可能性が高まり、大会のレベルアップが期待される。 参加クラスはプレイヤーの年齢によって異なる。17歳以下が「U17クラス」、18歳以上が「Challengeクラス」に区分され、2クラスそれぞれの頂点を目指して予選から決勝まで行われる。なお、参加条件で下限年齢が決められており、6歳から参加が可能となるほか、PS5®用またはPS4®用ソフト『グランツーリスモ7』のオンラインプレイが可能な方に限られるので注意が必要だ。 とはいえ広く門戸は開かれているので、グランツーリスモ上で自分のスキルが全体でどのぐらいのレベルにいるのか確認する絶好の機会となる。さらに、予選に参加するだけで「グランツーリスモ7」で使える2024年スーパー耐久シリーズST-Qクラス参戦車両「Honda CIVIC TYPE R CNF-R」のリバリー(マシンカラーリングの意)と、ホンダのF1参戦60周年記念アバターがプレゼントされるというのだから、参加を迷っている暇はない。まずはエントリーだ。

TAG: #eモータースポーツ #イベント #ホンダ
TEXT:TET 編集部
ビッグカメラとENEOSでんきが強力タッグ! ホンダ「N-VAN e:」の発売に先駆けて充電環境整備のワンストップサービス

それぞれの強みを生かして充電環境を充実化 2024年5月から先行予約を開始し、秋には発売を予定しているホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」に関連して、全国のホンダカーズを通じて「ビッグカメラ」および「ENEOSでんき」と連携した、充電環境整備のワンストップサービスを開始するとホンダは発表した。 ビッグカメラは言わずと知れた家電製品の販売大手。家電販売で培った豊富なノウハウを背景に、EV充電器の選定から設置工事、アフターサポートまでをトータルでケアする。 充電器はコンセントタイプ、AC壁掛けタイプ(3kW/6kW)、V2Hの3種類が用意され、戸建て住居を対象に工事を請け負う。もちろんこれまでの販売、施工実績から一部離島を除く全国対応なのはいわずもがな。これにより充実した充電設備環境を手にすることができる。 一方で、自宅充電の肝である電気料金については、ENEOS Powerが手がける家庭用電力販売事業「ENEOSでんき」とホンダがタッグを組み、割安な特別メニューを用意してN-VAN e:をはじめとしたEVユーザーをサポートする。 「EV夜とくプラン」と銘打たれた電気料金メニューは、自宅充電でEV/PHEVを充電するユーザーに最適化された時間帯別料金メニューだ。毎日、午前1~5時に設定した「EVタイム」に低価格で電気を使用することができる。また、EVタイム以外の時間帯も利用しやすい料金設定により、よりリーズナブルにEV/PHEVのある暮らしを楽しんでもらおうという狙いだ。 このように、ホンダカーズは車両販売だけでなく、N-VAN e:をきっかけにEV生活を始めようとするユーザーに快適な充電環境の整備を、販売店での商談の中で手間なく安心感のあるパッケージとして提供したいと考えている。それもユーザーにとって馴染みのある大手企業とのタッグなので、EVビギナーでも信頼のおけるパッケージングではないかと思う。気になる方は最寄りのホンダカーズに相談してみて欲しい。

TAG: #N-VAN #ホンダ #商用EV #自宅充電 #軽EV
TEXT:桃田 健史
ホンダが「CR-V FCEV」を富士スピードウエイで世界初公開、なぜこのタイミングで世に出たか

なんの前触れもなく、いきなり実車が公開されたホンダ「CR-V」のFCEV(燃料電池車)。米GMとの共同開発によって耐久性とコスト面で大幅な改善が見られるとされている。技術的な詳細は未公開ながら、外部との充電/給電システムの存在などが明らかになった。 サプライズでの登場 まさか、こんなところでワールドプレミアになるとは! たまたまその場を通りかかった報道関係者の多くが、その姿を見て驚いた。 場所は、富士スピードウェイ。スーパー耐久シリーズの最終戦のイベントスペースである。 ここでホンダが公開したのが、「CR-V」のFCEV(燃料電池車)だ。 昨今のスーパー耐久シリーズは、ホンダを含めて、トヨタ、スバル、マツダ、日産が2050年カーボンニュートラルを目指した、さまざまな燃料やパワートレインの研究開発の”走り実験室”として活用されているところだ。 水素についても、トヨタが水素燃料で走る内燃機関レーシングカーで参戦し、しかも豊田章男会長が”モリゾウ”の名で自らステアリングを握っていることで、一般ユーザーの間で水素燃料車の認知度が高まっているところだ。 そうした中、ホンダは今回、サプライズとしてCR-VのFCEVを展示した。 車両には、幾何学をイメージするようなブルー基調のラッピングが施されており、 また車体前方の左側には、充電/給電ポートがある。 充電/給電ポートには、米SAEのJ1772規格に準じたコネクターを展示のために差し込んである。 ホンダによれば、このモデルはFCEVでありながらも、搭載する蓄電池に対して外部から充電および給電が可能だという。 ホンダ水素関連発表の振り返り それにしても、なぜこのタイミングでCR-VのFCEVが初公開されたのか? ホンダによると、ホンダが燃料電池車に関するニュースリリースを出したのは、直近で2023年2月2日の「水素事業の取り組みについて」となる。 この中で、燃料電池システムついては、GMとの共同開発を進め「耐久性2倍、コスト3分の1」を目指すとし、これに加えてホンダ独自に「耐久性2倍、コスト半減」を実現すべく研究開発を継続すると説明していた。

TAG: #CR-V #FCEV #ホンダ
TEXT:桃田 健史
ホンダ、松江市の「堀川めぐり」で小型EV船舶、2023年8月からの実証実験で着実な成果

ホンダが島根県松江市の遊覧観光船「堀川遊覧船(堀川めぐり)」を使ってEV化の実証実験を行っている、小型船舶用の電動推進機プロトタイプについて運営事業者や利用者などから好評である。なぜ、ホンダは小型船舶のEV化を進めているのか? 有名観光スポットを次世代化 山陰を巡る中で、定番の観光スポットとして松江市の「堀川遊覧船(堀川めぐり)」が挙げられる。 松江市は、日本海、宍道湖、中海に囲われた地形が特徴だ。 そうした中に、国宝の松江城があり、また自然豊かな松江を感じる自然区、市街地、そして歴史的な建造物がある歴史区などのエリアが隣接している。 さらに、その周囲には四十間掘川、京橋川、米子川、北田川、城山内堀川などが流れているという、特徴的な街の風景がある。 このような、街中の川を小舟に乗って遊覧するのが「堀川めぐり」だ。運営するのは、公益財団法人 松江市観光振興公社。 営業時間は、3月1日から10月10日までは午前9時から午後5時まで、また10月11日から2月末までは午前9時から午後4時までと、春夏秋冬の松江の街の雰囲気を楽しめる。 船の定員は10人から12人で、料金は大人1600円。遊覧時間は約50分である。 乗船中は、船頭さんの名調子で、松江の歴史や観光スポットについての話を聞く。 カーボンニュートラルに対する考え方が一致 今回の実証実験は、ホンダと松江市のカーボンニュートラルに対する考え方が一致したことで実施している。 ホンダは、四輪車については2040年までにグローバルで全ての新車販売モデルをEV化、またはFCEV(燃料電池車)化することを経営方針として打ち出している。 さらにその先、2050年にはホンダが手がける四輪車事業以外の、二輪車と船舶(船外機等)を含めた全ての事業でカーボンニュートラルを目指すとしている。 一方で、松江市の場合、脱炭素先行地域としてカーボンニュートラル観光という指針を掲げて、地方創生に取り組んでいるところだ。 そうした中で、松江市の主要な観光アイテムである「堀川めぐり」を、ホンダの先端技術によってカーボンニュートラル化する試みを始めたというわけだ。 搭載する動力系機器は、ホンダが、出力4kWの電動パワーユニットと、着脱式可搬リチウムイオン電池の「モバイル・パワー・パック(MPP)」を、またギアケースとロワーユニットなどのフレーム領域をトーハツが開発を担当した。 静粛性高く、ノントラブル これまでの実証実験について、ホンダの小型電動推進機機の開発責任者である高橋能大氏は「電動化の価値の検討としては、かなりの手応えを感じている」とポジティブな感想を持っている。 8月の実証開始から、関係者の試乗会を中心に100人以上が乗船しているが「不快な振動が全くない」「水面を滑るように進む」といった、振動や音に関する高い評価の声が多いという。 実証期間中、機器の不具合はなく、引き続き長期的な観点での各部の劣化などの評価をしていく予定だという。 今後については、バッテリーの交換作業を含めて、運営サイドの運航の効率化の検討を進める。 10月下旬からは、松江市民を対象としたモニター運航も実施される。 近い将来、「堀川めぐり」の船が全てEV化する日が来るかもしれない。

TAG: #EV船舶 #MPP #ホンダ
TEXT:桃田 健史
ホンダが2026年から東京で電動ロボタクシー導入を発表。自動運転レベル4事業を推進

ホンダ、GM、クルーズの3社が2023年10月19日、都内で会見し「自動運転タクシーサービス」を2026年初頭に開始し、これに伴い合弁会社を2024年に設立することを発表した。会見に参加して詳しく取材した。 狙いは「新しい移動体験」 会見の中で紹介された車は、「クルーズ・オリジン」。クルーズ、GM、ホンダが共同開発した自動運転専用車両だ。 車内は、乗車員が対面して着座するレイアウトになっており、運転席がない、いわゆるドライバーレスの自動運転レベル4の車両である。 同車を使うサービスは、ユーザーがスマートフォンアプリを通じて乗車場所と目的地を指定することで、配車から決済まで一貫して配車システムが行う。 想定されるニーズとしては、ビジネスパーソンが車内で打ち合わせをしたり、ウェブ会議をしたり、または移動時間を活用してリラックスしたり。また、家族や友人でワイワイと移動時間を楽しんだり。そのほか、音楽や映像を楽しめるエンターテインメント空間としての商用利用など、様々な可能性について、ホンダを含む3社が示唆した。 ホンダの三部敏宏社長は「ホンダが目指すのは、『自由な移動の喜び』の創造だ。クルーズとGMとの協業による自動運転タクシーサービスを通じて、日本のお客様に新たな移動の価値を体験して欲しい」と、自動運転を使う事業の目的を表現した。 また、オンラインで参加したGM会長 兼 CEOのメアリー・バーラ氏は「GMは常にモビリティの未来に投資してきた。ホンダとのパートナーシップにより、ソフトウエアとハードウエアにおける最先端技術を活用して、移動におけるイノベーションを目指す」と、3社による共同研究開発の意義を語った。 2026年初頭に東京都心で導入 クルーズの自動運転サービスは、GMの小型EVシボレー「ボルト」ベースの車両を使いアメリカで社会実装されている。 日本での事業は、2026年初頭に「クルーズ・オリジン」を東京の都心で数十台導入することから始めるとした。そのために、2024年に3社で合弁会社を設立する。 その上で、自動運転を取り巻く社会情勢や、各地域での需要を考慮した上で、まずはGMシボレー「ボルト」をベースとした車両に運転車が乗った状態で、自動運転レベル2で公道での実証実験を進める。自動運転によるタクシーサービス運用が可能であるレベルまでシステムを磨き上げてから、「クルーズ・オリジン」を導入する流れとなる。 社会実装での最初のステップとしては、500台規模の運用を目指す。 これらの業績を踏まえて、台数の増加や、実施するエリアの拡大を考慮するとした。 事業性について、クルーズのアメリカでの実績を踏まえると、日本での採算性を高めることは十分に可能というのが、ホンダの見解だ。 「クルーズ・オリジン」の実車は、Japan Mobiility Show 2023(一般公開:2023年10月28日~11月5日)にホンダブースで展示される予定である。 自動運転をタクシーやバスのようにして使うビジネスモデルについては、すでにベンチャー各社が日本市場に参入しており、今回のホンダ・GMクルーズの登場によって市場動向が今後どのように変化するのがが注目される。

TAG: #GM #クルーズ #ホンダ
TEXT:桃田 健史
ホンダがエネマネで三菱商事とタッグ組む背景、EV需要拡大で必然となる新体系事業とはなにか?

ホンダと三菱商事はエネルギーマネージメント事業に関して協業することを発表した。EV搭載電池のリユースや、V2G(ヴィークル・トゥ・グリッド)等で新しいビジネスの将来性についてホンダ実証実験をもとに考察する。 電池リースは必然 ホンダと三菱商事は2023年10月12日、「EV普及を見据えた新事業創出に向けた覚書を締結」したと発表した。 具体的には、ホンダが2024年から順次発売予定の軽EVに搭載されるバッテリーのモニタリング機能を高度化するなどして、バッテリーのリサイクルを含めたバッテリーのライフタイムにおけるマネージメント事業を行う。 ホンダは2040年までにグローバルで製造販売する全ての四輪車をEV・FCEV化するとしており、電池のリユース事業を早期に構築する必要がある。 そのため、自動車販売事業やエネルギー関連事業をグローバルで展開する三菱商事と連携することは、ユーザーの視点からも十分理解できるといえるだろう。 他の事例では、日産が住友商事と電池リユース関連事業をすでに展開している。 エネマネで、ホンダ独自の実証で十分な知見あり もうひとつの事業が、V2G(ヴィークル・トゥ・グリッド)を通じたエネルギーマネージメント事業だ。 ホンダは2012年から自社でエネルギーマネージメントに関する実証試験を行ってきた。 埼玉大学近くに、ホンダ・スマート・ホーム・システム(HSHS)を設置し、ホンダ(本田技研工業または本田技術研究所)の従業員家族が一戸建て住宅で生活しながら、EVを活用したエネルギーマネージメントのデータを集約する方法だ。 さいたま市と2011年5月に締結した「E-KIZUNA Project」をきっかけに始まったもので、EVは「フィットEV」で始まり、現在は「Honda e」を使用している。 これまで三つの期間で、年間電気代、年間CO2削減量、そして家エネルギー率(※)という3つの指標でデータを比較した。 ※家エネルギー率:家全体の電力需要に対する、EVなどを含めた家のエネルギーマネージメント領域が負担する電力量の比率 現在は第四期となっており、可搬式バッテリーのモバイル・パワー・パック(MPP)によるエネルギー・ストレージ・システム(ESS)も活用している。 こうしたHSHSの知見を、かまぼこの老舗「鈴廣(すずひろ)」本社(神奈川県小田原市)の実証試験に活かしている。 鈴廣はホンダと連携する以前から、太陽光発電と地中熱による換気システムをBEMS(ビルディング・エネルギー・マネージメント・システム)を採用しており、2022年2月からホンダと連携した実証試験を実施している。「Honda e」5台と、ニチコン製のEVパワーステーションを導入した。 課題はマネタイズ このように、EV用蓄電池リユースやEVを活用したエネルギーマネージメントについて、 ホンダは三菱商事と事業化に向けて、各種の実証実験を進化させていくことになるだろう。 その上で、どのようなサービス事業をどのような価格設定で行うのか? 三菱商事では現在、三菱商事エネルギーがガソリンスタンド事業等でエンドユーザー向けの事業開発を行っており、こうした知見を下にB2B(事業者間)やB2G(行政向け事業)などでホンダと連携した新たなる事業展開が期待される。

TAG: #V2G #ホンダ #三菱商事
TEXT:加藤 ヒロト
ホンダのEV「e:NP1」はマイルドにもスポーティにもなる走り!来年からの新型車にも注目

中国市場におけるホンダの新型EV試乗記、これまでは内外装のデザインを見てきた。いよいよ走り出してみよう。「e:NP1」はどんな走りを披露してくれるだろうか。 快適性重視のマイルドな乗り味 肝心の乗り心地だが、これも非常に上々な印象だ。もちろん元の「ヴェゼル」ですでに完成度は高いので、あとはそこからどうBEV(バッテリー電気自動車)らしく味付けをおこなうかに焦点を置いたに違いない。 アクセルペダルとブレーキペダルの踏み心地は、昨今のホンダ車らしくスコスコ踏める感覚で、これがとても気持ち良い。全高はそれなりにある車だが、実際に運転してみても不安定感はなく、堅実な足回りの設計を感じた。この点に関してはヴェゼルより少しばかり向上している印象を受けた。 運転中に触るであろうハンドルのボタン類やエアコンの操作、ドライブモードの選択などももたつく反応はなく、運転への妨げは感じられない。ここが「先進性」をうたう車において肝心な部分で、せっかく数々の先進装備を搭載していたとしても、運転中にそれらの操作がストレスなくおこなえなければ本末転倒だと私は思うのだ。 やみくもに画面を増やし、ボタン類をすべてタッチ操作にするよりも、まずは基本的な操作において使用者にストレスを感じさせないことが「日常使いの道具としてのクルマ」で大事な点だろう。 加速感は申し分なく、アクセルを踏めば踏んだ分だけマイルドに加速してくれる。突然「ズドン」と来るような不快感はない。このあたりの制御を日本車はとても得意としているのだ。 BEVをさらに普及させたいのであれば、ガソリン車のドライブフィーリングとの違いを限りなく打ち消す必要がある。この観点から考えても、「e:NP1/e:NS1」が持つ違和感のない乗り心地はとても優秀だと感じた。 「運転しやすい」という表現を「面白くない」と解釈する人もいるかもしないが、決してそういうわけではない。 ちょっとスポーティーな雰囲気を味わいたければ、ドライブモードを「SPORT」に入れることで「NORMAL」よりも締まった走りを提供してくれる。元の車体設計の優秀さが功を奏しているのか、カーブを曲がる際も踏ん張りの効いたコーナリングを感じることができる。 「スポーツBEV」とまでは行かないものの、普通の街乗りに飽きたのなら、通常よりも少しスパイスの効いた走りも選べるというわけだ。良い意味で落ち着いており、気楽に運転できるBEVであるという印象を受けた。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:加藤 ヒロト
中国でもホンダイズムは健在!電気自動車としても進化している「e:NP1」のインテリアとは

ホンダが中国で販売しているBEV(バッテリー電気自動車)の「e:NP1」。前回は外装にフォーカスをあてた。今回はインテリアに注目する。 「ヴェゼル」のボディに「ホンダe」の使い勝手を組み込む エクステリアがまさに「BEV版ヴェゼル」ならば、インテリアもその通りの印象を感じる。エアコンの吹き出し口から分かる通り、根幹をなすダッシュボード付近はヴェゼルと同一だ。 だが、車内を覗き込んで真っ先に目につく15.1インチのタテ型ディスプレイは「e:NP1/e:NS1」にしかない装備である。このディスプレイでナビ、インフォテインメント、エアコン、そして各種アプリケーションの操作を行うわけだ。 また、タテ型の特徴を活かして異なる機能を上下に同時並行で映し出せるため、例えばナビを表示しながらエアコン操作メニューを表示できるなど、実用性にあふれる設計となっているのも特徴だ。 大きめのディスプレイを採用する車種は大抵その反応速度に難があり、日頃使っているスマートフォンのようにサクサク動かない場合がほとんどだが、e:NP1/e:NS1のディスプレイはまったくストレスなく操作が可能であることも評価したい。ホンダeでも同様の印象で、インフォテインメント面におけるホンダの設計の優秀さを感じた。 また、セレクターがホンダeのようなボタン式になっているのもヴェゼルと異なる点である。ホンダのボタン式セレクターは押し心地が大変よく、またレスポンスも良いので個人的には高評価な要素だ。メーターもフル液晶となっており、まさにヴェゼルのボディにホンダeの使い勝手を押し込んだような車という印象を受けた。 室内空間はヴェゼルと変わらない印象だが、これも前回の記事で紹介したようにバッテリーの配置が関係していると思われる。フロア下に張り出す配置でキャビンを圧迫しないようにしているのだろう。 後部座席の足元は本来BEVでは不要なセンタートンネルの盛り上がりが少し確認できるが、気になるほどの高さではない。むしろ、ヴェゼルの時点でその盛り上がりはかなり抑えられており、比較してみてもその高さは両者間で同じのように見える。 これ以外にも内装パーツは多くがヴェゼルとの共通部品であるため、多少なりともコストカットに寄与していることだろう。

TAG: #e:NP1 #e:NS1 #ホンダ
TEXT:加藤 ヒロト
見た目は大事!ホンダの電気自動車「e:NP1」がスタイルキープのためにとった工夫とは

前回はe:NP1/e:NS1の成り立ちを紹介した。今回はこのクルマをより詳細に見ていく。 e:NP1は前輪駆動のみで2グレードの展開 広汽ホンダ 「e:NP1」/東風ホンダ 「e:NS1」は基本的にまったく同じ仕様、まったく同じグレードと販売価格、そして少し異なるエクステリアで展開されている。ゆえに今回試乗したのはe:NP1だが、これから書くことはすべてe:NS1と共通している。 まずはボディサイズだが、全長4,388mm x 全幅1,790mm x 全高1,560mm、ホイールベース2,610mmということなので、ヴェゼル(中国仕様)の全長4,380mm x 全幅1,790mm x 全高1,590mmとほぼ同じだ。ホイールベースももちろんまったく一緒となる。 一方、車両重量は同じベースグレード同士で1,296kgから1,652kg(68.8 kWhモデルは1,683kg)へと増加しているため、BEV(バッテリー電気自動車)特有の駆動用バッテリーを搭載する分として350~390 kgほどヴェゼルよりも重くなっている。 パワートレインはモーター出力182ps/バッテリー容量53.6 kWh、そして204ps/68.8 kWhの2種類となる。中国独自のCLTC方式で計測した航続距離は前者が420 km、後者が510 kmを誇る。ちなみにどちらも前輪駆動で、ヴェゼルに存在するような四輪駆動モデルは設定されていない。 

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