#バッテリー
TEXT:TET 編集部
レンジローバーPHEVの使用済みバッテリーを再利用! エネルギー貯蔵システム「BESS」で真の循環型経済の実現を目指す

外出先でのゼロエミッション充電を実現 ジャガー・ランドローバーは、エネルギー貯蔵システムの開発を手がけるスタートアップ企業であるAllye Energyと提携し、外出先でゼロエミッション充電を実現する斬新なバッテリーエネルギー貯蔵システム「BESS」を開発した。 1台のBESSには、「RANGE ROVER」および「RANGE ROVER SPORT」のプラグインハイブリッド(PHEV)に搭載されていたバッテリー・パック7台分を再利用している。 車両から取り外したバッテリーは、一切の加工を行うことなく、カスタマイズされたラックに差し込むだけで使用することができ、各BESSはフル充電の状態で英国の平均的な家庭の約1カ月分の消費電力に相当する、270 kWhのエネルギーを貯蔵することができる。 ジャガー・ランドローバーのエンジニアリング・チームは、今年後半に受注開始予定の「RANGE ROVER」初の電気自動車である「RANGE ROVER ELECTRIC」のテストでゼロエミッション充電を可能にするBESSを初採用。このBESSは一度に最大9台の「RANGE ROVER PHEV」をフル充電することが可能。 充電はジャガー・ランドローバーのPHEVモデルおよび電気自動車(EV)モデルに採用しているコンバインド充電システム(CCS)に対応しており、充電プラグを接続するだけで充電を開始する。さらにパワーロック・コネクター経由でのマルチ給電コネクターにも対応しており、固定サイトまたはオフグリッドサイトで、再生可能エネルギーを充電することができる。 BESSの重量は3.5 t未満でさまざまな場所に移動することも、固定して利用することも可能。販売店やジャガー・ランドローバーの拠点に設置することもでき、ジャガー・ランドローバーの顧客以外も利用できるように市販する予定だ。 最高水準で設計されたジャガー・ランドローバーのバッテリーは、EVの要件を下まわった低エネルギー状態でも70~80 %の容量が残っているため、エネルギー貯蔵システムで安全に再使用することができる。 真の循環型経済の実現に向けた取り組みの一環として、これらの二次利用が終了した後、ジャガー・ランドローバーは原材料を回収して再利用できるようにするという。

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Anker Solix F3800 Portable Power Station(photo=アンカー・ジャパン)
TEXT:福田 雅敏/磐城 蟻光
携帯充電グッズで有名な「アンカー」、EV充電もできる大容量のポータブルバッテリーを発売[2023.11.07]

“増槽”すれば最大容量2万6,880Whの大規模蓄電設備に増強可能 EVに使えるほか家庭の電力系統に接続でき電気代を節約できる 【THE 視点】モバイルバッテリーのアンカー・ジャパンは、大容量ポータブルバッテリー「ソリックスF3800ポータブル・パワーステーション」の予約販売を11月21日(火)から開始する。EVの充電器を接続できる200Vのコンセントを備えているのが特徴の製品だ。 最大容量は3,840Wh。家庭の1日分の消費電力を賄うことができる量となる。最高出力は5kWで、複数の家電を同時に稼働することができる。先に触れたように200VのAC(交流)出力ができるため、IHのクッキングヒーターといった家電はもちろん、EV用200Vの充電器を接続・稼働することが可能だ。発表によれば、約1時間の充電で23km走行分の電力供給ができるとのこと。 さらに拡張用バッテリー(12月発表予定)を6台接続できる。その場合の最大容量は2万6,880Whとなる。バッテリーは「リン酸鉄リチウムイオン」を使用し長寿命化を実現。約10年の使用に耐えうるという。 本体の充電については、ACポートを利用し2.6時間で80%までを充電できる。さらに家庭の電力系統に接続する「ソリックス・ホームパワーパネル」(開発中)を使用することで、家庭用蓄電池としての活用も可能だ。 筆者は以前、東日本大震災の時に計画停電に備え、会社の試験で使用した鉛のバッテリーを家に持ち帰り、ポータブル電源として使うことを考えた。およそ500Whのもので、カー用品店で購入したDC-ACインバーターなどを繋げるなどしてポータブル電源を制作することができた。冬場の寒い時期だったので、計画停電の間の3時間に作業用のLEDライトと液晶テレビをつけることができて重宝したものだ。 現在はこのような複雑な作業はいらず、ACだろうがDCだろうが使用できるポータブルバッテリーが発売されているが、今回アンカーから出たものはその中でも大容量のタイプで、特にAC200VでEVの充電ができるという点が大きなポイントだ。 これさえ備えておけば、EVを含めたすべての電気機器を動かすことができる。重量は60kgと重いのがネックだが、知人のEVが電欠を起こした際には「電欠のお助け隊」として救助に向かえるし、自分のEVに積めば、長距離旅行時の燃料の携行缶的な役割に加えて車中泊の電源などとして重宝するだろう。 さらに面白いのはEVの電源を家庭に使用するV2Xに似たシステムを構築できる点だ。 現在は時間帯によって電気料金が変わるのが一般的だが、EVの充電を料金が高い昼間に行なうと月の電気代がバカにならない。そこで、本品のような家庭電源に接続可能なバッテリーを使用し夜間に電力を貯めておけば、事実上夜間電力料金のみで全てを賄うことが可能になる。追加バッテリーを使用して容量を最大化すれば、家庭用としては十分すぎる蓄電設備となるだろう。ちなみに太陽光充電にも対応し、アンカーから専用の太陽光パネルも出ている。グリーン電力化も手軽にできるのだ。 本体の値段は69万円。追加バッテリーの値段は公表されていないが、通常の家庭用蓄電池の導入コスト(工事費込み)を考えると、比較的安価に自宅用蓄電システム+緊急EV充電システムを整えられるかもしれない。EVを持つ個人・法人は導入を検討しても良いかもしれない。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★コスモと岩谷が水素会社 ……コスモエンジニアリングと岩谷産業は、水素関連事業の協業のために合弁会社「コスモ岩谷水素エンジニアリング合同会社」を11月1日に設立した。大規模水素サプライチェーンに関わる関連プロジェクトを手掛けていくという。 ★★ムサシ、インドの二輪メーカーにEVユニットを供給 ……武蔵精密工業(ムサシ)は、インドのEVスタートアップ企業Emobiに二輪用EV駆動ユニットを供給する。また、Emobiは、ホンダの着脱交換式バッテリー「モバイルパワーパックe:」を採用するとのこと。完成すればほぼ日本製のEVバイクとなる。 ★ポールスター、韓国SKオンからバッテリーを供給 ……ポールスターとSKオンはバッテリーの供給契約を締結した。4ドアGTモデル「ポールスター5」からSKオンのバッテリーを搭載する。 ★シェア駐車場にEV充電器を導入 ……テラモーターズと駐車場予約アプリのアキッパが提携した。アキッパのサービスに加入する個人宅駐車場に充電器の設置を推進していく。 ★タクシーのEV化を加速 ……EV充電機器のエネリバーは、タクシー配車アプリのGOが行なう「タクシー産業GXプロジェクト」のパートナーに選出された。本プロジェクトはEVタクシー2,500台、充電器2,900基を導入しタクシーの脱炭素化を加速させるというもの。エネリバーは、同社の最高出力6kWタイプの普通充電器を提供するという。 ★サンリオのテーマパークに充電器 ……DMM.comは、「サンリオピューロランド」<東京都多摩市>に、最高出力6kWタイプの普通充電器を導入する。2023年度中に駐車場へ設置する。 ★マンション管理団体にユビ電が加入 ……ユビ電は、一般社団法人マンション計画修繕施工協会に賛助会員として加入した。EVの充電サービス事業者としては初の加入だという。マンションへの充電コンセントの効率的な導入方法などについて会員間で共有を進める。 ★岩手県宮古市がEVを地域に活用 ……日産自動車と宮古市などが連携協定を結んだ。災害発生時にEVを電源として活用するなど、EVの普及促進を図る。 デイリーEVヘッドライン[2023.11.07]

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コマツ・PC05E-1(Photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
交換式バッテリーのEV建機……コマツ・ホンダ共同開発の電動パワーショベルが発売[2023.10.11]

2023年は“静かな”建設現場実現に向けての元年と定義 EV建機は運転中でも人の声が届き安全を確保できる 【THE 視点】小松製作所(コマツ)は、本田技研工業(ホンダ)と共同開発した電動マイクロショベル「PC05E-1」を10月より国内発売する。 2022年3月より国内に導入している超小型電動パワーショベル「PC01E-1」の系列拡大機種となる。コマツの建設機械の中でも、小規模な土木・建築工事・ガス・電気・配管工事などの現場で利用されることの多いタイプで、「PC01E-1」と同様に、動力源にホンダの電動パワーユニット「eGX」と交換式のリチウムイオンバッテリー「ホンダ・モバイルパワーパックe:」(MPP)を採用していることが特徴だ。 主な仕様は、バケット容量0.011m3/機械質量520kg/モーター出力3.3kW(4.5ps)。公表価格は310万円(工場裸渡し消費税抜き)となる。 さらにコマツは、リチウムイオンバッテリーを搭載した3トン・クラスの新型電動ミニショベル「PC30E-6」を、欧州市場に続き10月より国内発売するとも発表した。 2020年に国内市場にレンタル機として導入した3トンクラス「PC30E-5」のフルモデルチェンジ機となる。鉛のバッテリーに替わりリチウムイオンバッテリーを搭載することで急速充電に対応し、稼働時間の延長および車両のコンパクト化と軽量化を実現したという。 主な仕様は、バケット容量0.08m3/機械質量3,580kg/モーター出力17.4kW(23.7ps)。公表価格は1,200万円(工場裸渡し消費税抜き)となる。 コマツは2023年度を電動化建機の市場導入元年と位置付け、電動化市場がまだ形成されていない国内に多様な機種を投入することで、2050年のカーボンニュートラル実現へ向けた早期の市場形成を目指すという。 「PC05E-1」は、「スマートエネルギーWeek 春」のレポート[詳細はこちら<click>]などでお伝えした機種だ。発売されることを楽しみにしていた。電動なので、騒音や振動も少なく排気ガスも出ない点にメリットがあるのはもちろんだが、最も大きな特徴はホンダの「MPP」(モバイル・パワー・パック)を採用していることだろう。「MPP」を多めに用意し充電を済ませておけば、電池交換のみで連続稼働が可能になり待機時間が少なくて済む。 「建機展」のレポート[詳細はこちら<click>]でもお伝えしているが、「MPP」は、酒井重工業の「ハンドガイドローラー」などにも採用されている。「MPP」ファミリーには、数十個の「MPP」を一気に充電できるバッテリー交換ステーション「パワーパック・エクスチェンジャーe:」がある。都内などでは、「MPP」を使用したEVバイク「ベンリィe:」などに向けたバッテリー交換のシェアリングサービスが始まっている(法人向け)。この充電機器は、工事現場にも使用することができるはずだ。「MPP」を採用した建機は、充電待機なしで稼動することができるようになる。 さらに、大型の3トン・クラスの新型電動ミニショベルも「建機展」のレポートで紹介したものだ。建機が大型になっても、騒音などが大きく低減され環境が改善される。 加えて言えば、建機が電動化されることで出てくる隠れた効果は「人の声が聞こえる」ことだろう。万が一の場合は叫べば操縦手に直接警告できるのだ。整備コストが削減でき騒音も少なく安全性も高いのであれば、EV建機を導入するメリットは高い。 コマツはこれを機に、EV建機の普及に一層力を入れてほしい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日産、コンセプトモデル「ハイパーアドベンチャー」を発表 ……本格的なアウトドアに対応できるSUV型のEV。駆動方式はAWD。V2Xや給電機能を標準装備している。「ジャパン・モビリティ・ショー」でワールドプレミアする。 ★★メルセデス・ベンツ・トラック、「eアクトロス600」を正式発表 ……EVのトラクター・ヘッドとなる。搭載バッテリーの容量は600kWh。1充電あたり500kmを走行可能で、法規で規定されている1回の休憩時に充電を組み合わせれば、1日1,000km以上を走行できるという。ディーゼル車と比較して80%以上のCO2を削減できるとのこと。 ★★ホンダ、自動運転対応のEV芝刈り機を開発 ……自社製品初となるEVの芝刈り機のプロトタイプ「ホンダ・オートノマス・ワーク・モーア(AWM)」を発表した。手動と自動の運転モードが選択でき、手動の場合は操縦手の作業パターンを学習し自動モードに反映するという。 ★BMW、2023年6月〜9月期のEV販売台数が79.6%増 ……第3四半期のBMWとMINIのEVモデルの販売台数は9万3,931台で前年同期比79.6%増となった。BMWブランド単体としては8万3,200台で前年同期比100.3%となった。 ★メルセデス・ベンツ、2023年6月〜9月期のEV販売台数が66%増 ……第3四半期のEVモデルの販売台数が6万1,600台となった。そのうち「EQS SUV」の販売は66%増となり、EVモデルの販売台数の増加を支えた形となった。また、EVバンの販売も6,300台となり、前年同期比105%の数値となった。 ★ボードリ、自動運転EVバスがレベル4相当での運行に成功 ……神戸市からの委託事業で運行している須磨海岸周辺ルートにおいて、レベル4(機械主導)の自動運転に成功したという。使用車両はエストニアのオーブ・テック製の「ミカ」。9月23日〜29日に一般市民向け試乗会が行われた。障害物も自動で回避したという。 ★KGモーターズ、1.5億円を資金調達 ……ベンチャーキャピタルや事業会社を引受先とするJ-KISS型新株予約権を発行した。調達資金は試作車の開発や人材の獲得にあてるという。 ★日立アステモ、ミラノショーに二輪向けのEV技術を出展 ……11月7日〜12日にイタリア・ミラノで開催されるモーターサイクルショー「エイクマ2023(ミラノショー)」に出展する。ブース内では、二輪向けに開発したインバーターとモーター一体型の駆動装置「e-アクスル」を展示する。 ★DS、「フォーミュラE」次シーズン向けのマシンを公開 ……フォーミュラEのチーム「DSペンスキー」は、次のシーズンに使用するマシンを公開した。カラーリングが変更となっており、従来のゴールドとブラックの塗装を反転させ、よりゴールドが強調された車体となった。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.11]

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「EV充電評価サービス」(photo=東陽テクニカ)
TEXT:福田 雅敏/ABT werke
規格違いによる不具合をなくせ……東陽テクニカ、EV充電の実験・評価サービスを国内で開始[2023.09.26]

自前の施設を用意することで世界中の規格を国内でスピーディに検証可能 乱立する充電規格によるトラブルの低減・解消に不可欠なサービス 【THE 視点】東陽テクニカは9月21日、テュフラインランドジャパンとともに「EV充電評価サービス」を開始したと発表した。 東陽テクニカのR&Dセンター(東京都江東区)に「EV充電テストラボ」を開設した。さまざまな充電規格に合わせて充電評価試験が可能だという。両社はこれまでも充電評価サービスを試験運用してきたが、ラボの開設を機に本格的なサービスに移行した。 「EV充電テストラボ」に、ドイツ・コメムソ社製のEV充電シミュレータなどを組み合わせた設備を整備した。複数の主要な充電規格に対応し、規格の更新や大容量化に適合した評価モードで測定ができる。さらに充電系/制御系/通信系の同期計測が可能。施設内のセキュリティも高度化し、開発中の車両でも人目につくことなく実験ができるとのこと。 評価サービスを東陽テクニカとともに行なうテュフラインランドジャパンは、第三者検査機関として本社のあるドイツをはじめヨーロッパ諸国、その他海外へ輸出される工業製品の安全試験・認証を提供している企業。日本においても担当省庁の許可・指定により国内向けの評価サービスを展開している。 今回のサービスは、東陽テクニカのラボで評価測定を行ない、テュフラインランドジャパンがその評価内容についてレポートを作成し提供するものとなる。 評価可能な範囲は、急速充電の「CCS Type1/Type2」「CHAdeMO」「GB/T27930」に加えて、普通AC充電の「IEC」「SAE」「GB/T」など。電源容量は、1,000V/500Aで、最高出力350kWに対応。コンフォーマンスとして「ISO 15118-4/-5」「DIN 70122」「CharIN test cases」「GB/T 3657.2」「GB/T 34658」などに適合している。 「EV充電テストラボ」を利用すれば、自動車メーカーなどは現地法人に頼ることなく国内で試験評価ができるようになるため、輸出仕様を製作する際に大きなメリットがある。もちろんコストも抑えることができるだろう。その逆も然りで、輸入EVが国内の急速充電を利用できないといったトラブルを減らすことができると思われる。東陽テクニカに加えてテュフラインランドジャパンがレポートを作成することでお墨付きとなるので、信頼性も高い。 EVの充電規格は、スマートフォンなどの電子機器の充電企画のように乱立気味なのが現状だ。それぞれの機関がそれぞれの思惑でビジネス展開をしているため、一気に統一することは難しいと思われる。 日本では「CHAdeMO」が主流だが、テスラ方式の「NACS」が日本に導入される動きもある。その両方を利用できるよう変換コネクタなども登場してくるだろうが、いずれにせよ正しく機能するか試験が必要になる。東陽テクニカが展開するようなサービスは、今後需要が増すものと思われる。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ユビ電、従量課金方式の充電サービスを実装へ ……充電インフラ「WeCharge」において、kWh単位への課金方式を10月1日から開始する。同インフラを導入する建物や施設に特例計量器を設置することで正確な計量を行なうという。 ★★ファミリーマート、秦野中井インター店に「テスラ・スーパーチャージャー」を設置 ……神奈川県秦野市にある「秦野中井インター店」に、テスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」を導入した。神奈川県内の店舗では初だという。設置台数は4基。埼玉県内ではすでに2店舗に導入している。 ★★8月のEV世界販売台数は108.8万台 ……調査会社のマークラインズが公表した。主要11カ国とノルウェー・スウェーデン・フィンランドを足した計14ヵ国の値。シェアは前月比2.0ポイント増の21.5%。販売首位はBYDで、右肩上がりの増加だという。 ★★ルノー・トラックス、商用バン「E-テック・トラフィック」を欧州で発表 ……都市部での配送に特化させたミディアムセグメントのEVバンとなる。最高出力90kW(122ps)/最大トルク245Nm(24.9kgm)で、航続距離は297km(WLTP値)。様々な荷室容量のバージョンを用意し用途に合わせた選択が可能だ。 ★住友金属鉱山、正極材開発企業に出資 ……リチウムイオン・バッテリーの正極材の製造技術を開発するカナダのナノ・ワン・マテリアルズ・コーポレーションに出資し共同開発を行なう。出資額は1,690カナダドル(約19億円)。バッテリー材料企業への投資は初だという。 ★三菱自動車、PHEVの再利用バッテリーを電源化 ……「アウトランダーPHEV」の使用済みバッテリーを集めてトレーラー型の移動式蓄電池「バッテリーキューブ」を作成。日立ビルシステムのV2Xに接続し、エレベーターを稼働させる共同実証実験を開始した。 ★MINI、新型SUV「カントリーマン」がアメリカで初公開 ……MINIが設立したスタートアップ育成プログラム「URBAN-X」の主催イベントで公開された。 ★日産、福島県喜多方市と地元企業とEVの活用で提携 ……「日本電動化アクション ブルー・スイッチ」施策の一環。喜多方市や同市内に拠点を持つマツモトプレジションの公用・社用車のEV導入を支援し、災害時の活用なども共創する。 ★日産、音楽ユニットの「ゆず」とコラボした「サクラ」を展示 ……横浜市みなとみらい地区にオープンする大型音楽アリーナ「Kアリーナ横浜」において「ゆず」が開催するこけらおどし公演を記念して作成した特別ラッピングカー「ゆずサクラ」を展示する。日産グローバル本社ギャラリー<横浜市西区>で9月29日(金)〜11月30日(木)まで。 ★九州で初の半導体専門展示会が開催 ……「第1回[九州]半導体産業展」が、「マリンメッセ」<福岡市博多区>で9月25日(水)・26日(木)に開催される。経済産業省ほか九州の各県が後援となっている。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.26]

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「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」(シン・モビリティ)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
セルを浸して性能向上……台湾シン・モビリティがEVに搭載可能な液冷式バッテリーを開発[2023.09.04]

テスラとパナソニックの元技術者が立ち上げたベンチャー企業 急速充電や寿命を左右する冷却技術の究極系 【THE 視点】産業用途向け液浸冷却バッテリー技術のパイオニアである台湾シン・モビリティーは、ドイツ・ミュンヘンで開催される「IAAモビリティショー」で、新型バッテリー「IMMERSIO Cell-to-Pack(CTP)」を発表する。液浸冷却式のバッテリーで、高いエネルギー密度・放熱性・安全性を有する。 エネルギー密度は、最大200Wh/kgというトップクラスを持ち、20〜80%の充電は15分以内で済むという。その要因は特許取得済みの液浸冷却技術で、効率的に熱を除去し個々のセル内の熱暴走やパック全体の火炎伝播を防止することができる。鉱油で冷却する先進的な高ニッケル正極円筒形リチウムイオンセルの技術を活用しているという。 ボディは高張力エンジニアリングプラスチック製で、耐久性と信頼性を確保する精巧なセルマネージメントユニットを備えている。このユニットには各セルの温度・電圧・電流を監視・制御するシステムが組み込まれている。 乗用車・スポーツ車・商用車・トラックといった様々な車両とその用途に合わせてカスタマイズが可能。希望の顧客とのディスカッションから始まり、試作・試験・審査を経て、ニーズに最適化された製品を製造する。その後、現場での製品の実性能のモニターを続け、その情報に基づいてさらなる改良を加え最適化を行なうとのこと。 シン・モビリティーは、テスラとパナソニックの技術者によって2015年に設立された特殊用途向けのEV用バッテリー企業。極限のパフォーマンスを求められるレーシングカーやスーパースポーツカーを研究開発プラットフォームとして使用している。 この発表を聞いて、最初に頭に浮かんだのがテスラの初代「ロードスター」だ。バッテリーは液冷式を採用していたと聞く。しかも旧サンヨー(現パナソニック)のものだ。シン・モビリティーはテスラとパナソニックの技術者により設立されている。もしかしたら似た構造を持つのかもしれない。ちなみに日本のチューニングメーカー大手のHKSがエンドーザーに参画している。 最近のEVのバッテリーの多くがサーマルマネージメントされている。特に冷却は重要で、急速充電や寿命を大きく左右する機能となる。この液冷式を取り入れたパックの200Wh/kgというエネルギー密度は非常に高い。液冷式は重いというイメージを覆す数値だ。液冷式のサーマルマネージメント開発が成功したのだろう。詳細はIAAモビリティでの正式発表を待ちたい。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★MINI、新型EVの「クーパー」と「カントリーマン」を発表 ……ドイツ・ミュンヘンで行なわれる「IAA」モビリティで2台の新型EVを発表する。「クーパー」はMINI伝統の衣裳を踏襲したオーソドックスな3ドアモデルで、「カントリーマン」は5ドアのSUVとなっている。「エースマン」は2024年4月に発表予定。 ★★テスラ、「モデル3」の改良新型を発表 ……かねてから噂のあった改良新型を日本でも発表し先行受注も開始した。ラインナップは「RWD」(561万3,000円)と「ロングレンジ(デュアルモーターAWD)」(651万9,000円)の2機種。今回は外観と内装のアップグレードがメインのようだ。納車は2023年12月から。 ★★ロータス、「エレトレ」の国内販売を開始 ……「エレトレS」(2,332万円)と「エレトレR」(2,585万円)の2機種を用意する。SUVクーペスタイルの高性能SUVで、0-100加速の最高タイムは2.95秒(R)で航続距離は600km(S)。すでに100台受注し、来年夏以降の納車を予定している[詳細はこちら<click>]。 ★伊藤園、配送車両にEVトラックを導入 ……飲料を配送する車両に「エルフEV」を採用し、10月より順次導入を開始する。架装の一部(スライドドア・バックドア)に茶殻を使用し、軽量化と環境負荷の低減を狙っている。2023年度内に東京地区の営業拠点に30台を導入するという。 ★オペル、「アストラ・スポーツツアラー・エレクトリック」の受注を開始 ……ステーションワゴン(5ドア)タイプの新型EVで、価格は4万3,490ユーロ(約680万円)。月額339ユーロ(約5万3,515円)のリースプランも用意する。最高出力115kW(156ps)・最大トルク270Nm(27.5kgm)で最高速度は170km/h。バッテリーの容量は54kWhで航続距離は413km(WLTP1)となっている。 ★ホンダ、可搬型外部給電器「パワー・エクスポーター e: 6000」を発表 ……バッテリー式EV・FCEV・PHEVに接続し家電などが使用できるよう電力を取り出す機器。バッテリーではないため、電動車とセットで使用する必要がある。シガーソケットを使用するインバータのようなイメージだ。最高6kVAの電力を出力でき、イベント機器用の電源として機能させることができる。交流100V・200Vの同時出力が可能。 ★ZF、マグネットフリーのモーターを開発 ……誘導電流ユニットにより磁力を作るため、磁石とレアアース類が必要ない。現在のEVの主流である永久磁石の動機モーターと同等の性能を持ち、モーター本体を小型化できる。電圧800Vにも対応する。 ★太陽石油、EVのカーシェアリングの実証を開始 ……レクシブの法人・自治体向けプラットフォーム「SOLATOカーシェア」を使用し愛媛県内で実証を開始する。ソーラーカーポートの発電による電力を使用したオフグリッド型の電力にてEVを稼働させるのが本実証の特徴。車両は「日産サクラ」を使用する。 ★東京ガス、群馬県太田市などとEV充電マネジメントを共同検証 ……東京ガス・太田市・太田都市ガス・日本カーソリューションズの4団体が共同で実施する。簡易型車載器を活用して車両の稼働状況を調査するほか、その結果に基づくEV導入計画の策定、充電マネジメント導入時の電力コストの算定・効果検証などを行なう。 ★日本ゼオン、リチウムイオン・バッテリー用バインダーの生産設備をアメリカに構築 ……リチウムイオン・バッテリーの正極・不極・機能層・シーリング用材料として使われるバインダーを現地生産・消費を目指す。日本ゼオンにとって、米国で初めての設備となる。 ★ネクストドライブ・eモビリティパワー・東京大学大学院工学系研究科、EVユーザーの基礎充電行動を研究へ ……スマートメーターのBルートのデータを活用し、自宅での充電頻度や充電量を把握可能な行動推定モデルを構築する。自宅のコンセントは通信機能がないため、Bルートにネクストドライブの機器を設置してデータの収集を試みる。モニターの募集はeモビリティパワーが行ない、推定モデル構築は東京大学が行なう。このデータを収集することで、自宅外での充電ニーズを把握することが可能になるという。 ★モーション、2.5億円を新たに資金調達 ……EVの充電を制御・最適化し電力コストを低減するソリューション「オプティーブ」の開発に充てるという。調達先は環境エネルギー投資・兼松コミュニケーションズ・大和自動車交通・フェアーの4社。 デイリーEVヘッドライン[2023.09.04]

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「スマートエネルギーWeek」にて展示のあったベルエナジーのRoadie V2(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
電欠用緊急バッテリーが爆売れ……ベルエナジー、「Roadie V2」が100基超えの受注[2023.08.22]

「電欠の救急車」や開発現場などにも使える“電気の携行缶” 筆者も10年以上前に開発を検討したEV時代のマストアイテム 【THE 視点】ベル エナジーは8月21日、ポータブルEV急速充電器「Roadie V2」の国内販売・受注台数が100基を突破したと発表した。日本初のモジュール式ポータブル急速充電器で、EV普及に伴い増加傾向にある「電欠」に対応するべく開発された製品だ。 単独での使用が可能なスタンドアローン設計となっているため、固定式充電設備を置く場所がなくてもEVの充電設備を作ることができる。そのため、EVやバッテリーの開発現場や研究室への活用も期待される。 本体は、2種類のユニット(急速充電ユニット<CHAdeMOまたは米国のCCS1>/蓄電ユニット)からなる。急速充電ユニットは最高出力20kWで、これに3.35kWh/個の蓄電ユニットを最大4個繋ぐことで約14kWhの容量となる。約10分の充電で航続20kmほどの電力を回復することができる。蓄電ユニットへの充電は家庭用100Vでの充電が可能で充電時間は約4時間となっている。 筆者は「スマートエネルギーWeek」<東京ビッグサイト/今年3月15日〜17日>にて、「日産サクラ」が「Roadie V2」を搭載したベルエナジーのサービス「電気の宅配便」の展示を実際に確認している[詳細はこちら<click>]。ロードサービスなどにうってつけで、今後のEVの普及を考えると非常に有用なシステムだと感じていた。「Roadie V2」は、エンジン車でいう“燃料の携行缶”に例えられよう。 筆者自身、実は10年以上前に同様のシステムの製作を検討した経緯がある。電欠の場合は車両自体は生きているのだから、最寄りの充電設備までの電力を回復できれば充分。電話を受けたロードサービスや整備工場がユニットを乗用車などに積んで行くだけで良いので、人的コストも移動コストも削減でき合理的なのだ。 開発に向け色々とヒアリングしたが、当時のバッテリーの性能や価格面でのハードルが高く断念してしまった。 ベルエナジーは100基の受注数を突破したとのことだが、実際にロードサービス会社への納入事例が多く、コンパクトな上に家庭用電源で充電できる手軽さが拡販につながった要因だろう。 ちなみに個人でも、長距離旅行などの“携行缶”にと思いつく人もいるかもしれないが、正直導入は困難だ。今回は価格の発表が無かったが、電池の容量から推測するに、1基あたり数十万円から100万円台の価格になると思われる。頻繁に電欠するほど公共充電器が不足しているわけではない。万が一の事態の際は“電欠の救急車”を頼んだ方が良さそうだ。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYDジャパン、東京都に初の店舗を開設……「BYD AUTO 池袋」が8月26日(土)にオープン、運営は中古車大手のネクステージ ★★テラモーターズ、法人向けのEV導入支援サービス「テラチャージ法人向けプラン」を開始……EV用の駐車場が自社敷地外でも充電器の設置交渉を代行 ★サポートマーケティングサービス、EVの三輪バイク「エネバイ」を「危機管理産業展2023」に出展……車体後部を荷台化し災害物資や救助機器を可搬 ★ヴィーズマン、スポーツEV「プロジェクト・サンダーボール」の初年度生産分(2024年デリバリー)が完売……2025年デリバリー分で予約受付中 ★エネチェンジ、秋田県湯沢市にEV用充電器を設置……市内の公共施設に最高出力6kWタイプを順次 ★三菱重工、水素の大量輸送を見据えてアンモニア分解システムを日本触媒を共同開発へ……アンモニア(NH3)は水素の安全なキャリアとして有用 ★パワーエックス、三井E&Sにコンテナ型の定置型蓄電池「メガパワー」を設置……蓄電池工場「パワーベース」と同市内(岡山県玉野市)にある造船工場 ★ENNE、EVバイク(特定原付)の「T250」がベトナムへ輸出・販売決定……ペダルで発電・モーターで進む人力シリーズハイブリッドのEV デイリーEVヘッドライン[2023.08.22]

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実証に導入するAmpleのバッテリー交換ステーションと三菱ふそう・eキャンター(photo=三菱ふそうトラック・バス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
商用EV充電対策の切り札か……三菱ふそう、バッテリー交換式EVトラックの実証実験を国内で[2023.08.01]

プラグ式の充電では不可能な、たった5分での満充電状態回復 急速充電の必要がないためバッテリーにも優しい 【THE 視点】三菱ふそうトラック・バスは7月26日、日本国内でバッテリー交換式EVトラックの実証実験を行うと発表した。アメリカのAmpleと、バッテリー交換技術の共同実証に関する契約を締結。三菱ふそうのEVトラック「eキャンター」をベース車両とし、今冬から実証を開始する。 2023年3月に発売された「eキャンター」は、航続距離が99km〜324km。今回の実証を通じて、より長距離に対応できるかといった車両面の開発はもちろん、バッテリー交換システムの日本でのビジネスの可能性も探るという。 バッテリーの交換は自動で行われる。Ampleのモジュールを搭載した「eキャンター」が交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動で作業を開始する。交換に要する時間は5分を目指す。 2010年に筆者もバッテリー交換式のEVタクシーの実証実験を経験した。それゆえに、バッテリー交換式のメリットは理解している。ちなみに中国ではバッテリー交換式が増えており、2022年の時点で2,000ヵ所程度のステーションが設置されていると思われる。 バッテリー交換式は、特にバッテリー容量が大きく充電時間もかかる商用車に向く。プラグ式の充電では不可能な、5分程度の時間で満充電状態に回復できるのがメリットだ。 また交換式はバッテリー自体にも優しい。バッテリーの熱を覚ましてから充電ができるからだ。常温状態のバッテリーを普通充電で回復させれば寿命も長くなる。 それに急速充電は、実際は「バッテリー容量の約80%までの充電が速い」というシステム。それ以上の容量を充電することは、空気を圧縮して入れるようなイメージとなる。ゆえに満充電に至るには、急速を利用しても相当の時間がかかるのだ。 バッテリー交換式は一般車にもメリットがある。EVの中古車の価値はバッテリーの劣化具合で変わる。もしそれが交換式バッテリーだった場合、価値を大きく左右する要因がバッテリーから車両そのものになると言えるのだ。ちなみに劣化したバッテリーは、「電力系統用蓄電池」などとして再利用に回すことができる。それから交換ステーション自体も電源としての活用が可能で、非常時に有用だ。 ここまでメリットを書いたが、もちろんデメリットもある。それはコストの問題だ。ステーションの導入と同時に、交換用として多数のバッテリーを抱える必要があり、初期費用がかなりかかる。今回の実証を通じて、コスト面の改善やサポートの施策ができることを願う。行政にも交換式のメリットが伝われば、補助金の対象ともなりえよう。 ともあれ、筆者が10年以上前に経験した交換式バッテリーEVが日本でも注目されるようになってきたのは嬉しい。最新の技術をぜひとも見学したいものだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★トヨタ、EVの研究開発組織を中国に設立……従来の現地法人を「トヨタ知能電動車研究開発センター(中国)有限会社」に改称、EV・FCEVなどを現地にて開発 ★★スバル、パナソニックエナジーとバッテリー供給について協議開始……EV用円筒型リチウムイオン・バッテリーの採用(2020年代後半から)を視野に[関連記事はこちら<click>] ★BYD、正規ディーラー「BYD AUTO 山梨」<山梨県甲府市>が8月4日(金)にオープン……中央道甲府昭和ICから5分、成約特典も用意 ★東陽テクニカ、東京都江東区に「R&Dセンター」を開設……屋内にてEV実車による充電評価が可能 ★JAF、EV向けのロードサービス「EV充電サービス」の試験運用を開始……電欠停止の現場に“電気の救急車”が駆けつけ ★ホンダ、開発中の空飛ぶクルマ「Honda eVTOL」が「レッド・ドット・デザイン賞」に選出……同賞の「デザインコンセプト部門」を受賞 ★フォーミュラEシーズン9が全戦終了、チームランキングは電費の良さが際立ったジャガー・パワートレインがワン・ツー……1位:エンヴィジョン、2位:ジャガーTSC デイリーEVヘッドライン[2023.08.01]

TAG: #THE視点 #バッテリー #商用EV
TEXT:烏山 大輔
通勤車を電気自動車に変えて、職場で充電!Hakobuneによる新しいEVの活用法

株式会社Hakobune(東京都千代田区、代表取締役社長: 高橋 雅典)は、個人が所有管理するクルマを会社から貸与するEVに変えて、職場で再エネにより充電する「EV通勤 × 再エネ職場充電」の「Hakobune」というサービスを提供している。サービスの詳細とどんなメリットがあるのかをみていく。 通勤を脱炭素化できる! コロナ渦を経て、リモートでも仕事できるという方が増えた反面、業務内容によっては以前と変わらず、出社がマストな方も当然おられる。また、都市圏では電車通勤も多いと思われるが、郊外や地方においては車通勤がメインの地域もあるだろう。 筆者自身も以前に5年間ほど愛知県で車通勤をしていた時期があった。特に愛知県のような「車社会」がメインの社会では、各家庭に住んでいる人数と同じ台数のクルマがあり、そのうち数台は通勤がメインという状況も珍しくない。 「Hakobune」は、まず個人が所有管理するクルマを、会社が貸与するEVに変えることから始まる。社員は通勤に使えるし、プライベートでの利用もできる。もちろんガソリン代はかからなくなる。会社では社屋の屋根や駐車場などに設置した太陽光発電により、CO2フリーの電気でEVを充電する。自宅に充電器がなくても満充電のEVで自宅に帰ることができる。 社員に貸与されるEVは、会社とHakobuneがレンタル契約する。車両代に加え、保険とメンテナンスも含んだ月額料金を、会社と社員がシェアする。通勤分は会社が負担、プライベート分は個人が負担するという考え方なので、社員の車所有コストは下がる可能性が高い。会社側も通勤手当や交通費よりも少額になるかもしれない。 会社が駐車場などに設置する太陽光発電は、Hakobuneが費用を負担するPPA(Power Purchase Agreement)方式のため会社側の負担はない。 EVはこれまで、自宅での基礎充電、もしくは外出先では高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、ショッピングモール、ディーラーなどでの急速充電が主流だったように思える。そこに数時間は確実に停めたままになる職場での基礎充電を加えるという視点が新しい。

TAG: #バッテリー #充電 #充電インフラ
TEXT:烏山 大輔
蓄電池としてコスパに優れる電気自動車はどれ?一番は国産車ではなく輸入車だった!

BEV(バッテリー電気自動車)が搭載している大容量のバッテリーは、クルマを走らせるだけではなく、V2H(Vehicle to Home)を活用すると、BEVから家に給電もできる。ではBEVを蓄電池として考えるとコスパが良いのはどのモデルになのだろうか。家庭用蓄電池も合わせて考察してみる。 家庭用蓄電池は割高!? 家庭用蓄電池は、ウェブで調べてみるとバッテリー容量が4〜16kWhで100〜250万円ほどが相場のようだ。設置工事費込みの価格のため、蓄電池単体の価格は不明だが、工事費は30〜50万円ほどのようなので、蓄電池は1kWhあたり12.5〜17.5万円と試算できる。 また、アメリカのBEVメーカー「テスラ」もパワーウォールという蓄電池を販売している。バッテリー容量は13.5kWhで価格は110万円※と思われる。1kWhあたり8.15万円だ。パワーウォールは最大10台まで拡張して設置が可能という特徴もある。 ※以前はホームページに価格を掲載していたと記憶しているが、現在はなくなっており、テスラの認定販売施工会社への問い合わせフォームからしか価格を知る術はなさそうだ。 どれくらいの蓄電池容量があれば良いのか 一般的に4人家族が1日で消費する電力は10〜12kWhとされている。実際のご自身の使用量は、夏か冬の冷暖房を使用する時期が一番多いと思われるので、明細書やウェブで確認すると良いだろう。 自宅に蓄電池を設置すると、太陽光発電の電力を溜められることに加えて、災害による停電時に電気を使えることも大きいと思う。 日本での停電で思い出されるのは、2019年9月、千葉県に大きな被害をもたらした台風15号によるものだ。93万戸が停電し、その完全復旧には16日間もかかった。 さすがに16日は長すぎるとしても、例えば5日分の電力50kWhをパワーウォールで賄おうとすると、パワーウォールを4台設置する必要があり、それだけで少なくとも440万円、さらに工事費もかかる。 自宅に設置するだけの蓄電池に数百万円を使うのであれば、「動く蓄電池」であるBEVを買って、普段の生活の足にも使えた方が良いのでは。そうであればコスパとしてどのクルマが一番良いのだろうか。

TAG: #BEV #バッテリー #蓄電池
TEXT:御堀 直嗣
EVの価格が下がり続ける理由は、バッテリーにあり!:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第12回

電気自動車(EV)の技術について、いまさら聞きにくい基本的なことから詳しく丁寧に説明していく本コラム。今回は高いと言われるEVの新車価格について、その理由を解説する。 半分になった軽自動車EVの新車価格 電気自動車(EV)の新車価格は、エンジン車に比べれば、なお高い傾向にある。それでも、次第に下がりはじめているのも事実だ。 2009年に量産市販EVとして初めて売り出された三菱「i-MiEV」は、消費税5%込みで当時459.9万円だった。昨年発売された三菱「eKクロスEV」は、消費税10%込みで239.8~293.26万円である。消費税額をそれぞれ引いた車両本体価格で比較すると約46%の値下がりで、13年で軽EVの値段が半額近くになったことになる。 2010年に発売された初代日産「リーフ」は、当時376.425~406.035万円だった。現在の2代目リーフは408.1~444.84万円で、ニスモやオーテックの仕様になるとさらに高額になる。初代リーフ時代の消費税は5%で、現在は10%なので、消費税額を引いた車両本体価格で比較すると、廉価車種のX同士で28万円ほど現行リーフが割高な計算になる。 ただし、初代リーフの前期型は、リチウムイオン・バッテリー(以下、LiB)搭載容量が24kWhであるのに対し、現行リーフは40kWhなので1.6倍になり、これによって一充電走行距離が初代リーフ時代のJC08モード比較で2倍に伸びている。車載バッテリー容量の増加だけでなく、LiB自体も、正極(+)材料が、初代はマンガン酸リチウムであったが、現行車は三元系と呼ばれる、コバルト/ニッケル/マンガンの元素を組み合わせた高性能仕様となっている。このことが車載バッテリーの容量増大だけでなく、一充電走行距離を2倍に伸ばした背景になる。 バッテリーの進化については、三菱の「i-MiEV」と「eKクロスEV」の例でも同様で、バッテリーの正極材料がいまは新しくなっている。 リチウムイオン・バッテリーをいかに安く入手するか EVの新車価格は、製造原価の多くを占めるLiBに左右されるといわれている。車両原価の約20%がバッテリー代だとの話もあり、駆動用のバッテリーをいかに安く調達できるかによって、EV価格は左右される傾向が強い。 まず思い浮かぶのは、安い材料を電極に使うバッテリー材料の開拓だ。そのひとつが、三元系と呼ばれるバッテリー素材の燐酸鉄への切り替えや、ほかにナトリウムイオン・バッテリーの模索という将来構想もある。 もうひとつは、eKクロスEVがi-MiEVより大幅に安くなった背景に、三元系のLiBを使いながら、リーフと同じバッテリーを流用しているので、日産「サクラ」を含めた大量生産の効果も効いてくることがある。世界的に“ギガファクトリー”と呼ばれ、LiBを大量生産する工場建設が進んでいるのも、原価が高いとされるLiBをいかに安く手に入れるかという戦略における投資だ。LiB自体の原価も、高価な材料を使いながら量産効果などもあって、2010年からの6年間で一気に1/4に下がったとの報告も出ている。 加えて、生産工場が世界的に広がることにより、製造されたバッテリーの輸送費を抑えられるようになったことも理由のひとつといえるのではないか。 2021年に、米国テスラが「モデル3」の価格を廉価車種で約82万円安くし、500万円を切る429万円になって、日本での販売台数を急速に増やしたことがある。値下げの理由は、中国の上海にギガファクトリーが完成し、そこから日本へ完成車両を輸出したため、米国からの輸出に比べ輸送費が大幅に減ったと説明している。逆に、中国から遠い米国に出荷されたモデル3は、値上がりになったという話だ。

TAG: #EV知識・基礎の基礎 #バッテリー #御堀 直嗣

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