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同じリチウムイオンでも「種類」によって「運用方法」を変えるべき! EVのバッテリーを劣化させない「充電方法」とは


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:TET 編集部
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2種類のリチウムイオン電池がEVに使われている

電気自動車(EV)の普及が進むなか、バッテリーの寿命がクルマの寿命に直結するという新たな課題が浮上している。EVを長く使い続けるためには、バッテリーの適切な管理が不可欠だ。本記事では、現在主流のEV駆動用バッテリータイプとEVバッテリーを長持ちさせるコツについて解説しよう。

<EVバッテリーの基本と種類>

EVに使用される主流のバッテリーはリチウムイオン電池である。高エネルギー密度と長いサイクル寿命をもつリチウムイオン電池は、スマートフォンや家電製品向けに幅広く使用され、EV用途には最適化されたものが使用されている。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池のなかでも、主に2種類のタイプがEVに採用されている。電極にニッケル・マンガン・コバルトなどを使った「三元系(NMC)」と呼ばれるリチウム電池とリン酸鉄リチウム(LFP)電池だ。

LFP電池は、コバルトを使用せず安価に製造できて安全性が高く、長寿命で熱安定性に優れているため、多くの低価格EVに広く使用されている。ただ、エネルギー密度が低く、低温時の性能低下が課題だ。BYDやテスラなどの企業が、エントリーモデルにLFP電池を採用している。

テスラ車のイメージ

“三元系”のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)電池は、高エネルギー密度を誇り、テスラ・モデルSなどの長距離走行EVに使用されている。エネルギー密度、寿命、コストのバランスが取れているため、乗用車向けに人気が高い。

<バッテリー寿命を延ばす充電のコツ>

EVのバッテリー寿命を延ばすためには、適切な充電習慣が重要だ。まず、継ぎ足し充電を心がけることが大切。とくに「三元系(NMC)」電池の場合、充電レベルを20%から80%の間に保つことが理想的とされている。EVオーナーとしては、いざというときのために毎晩フル充電したい気分になるが、これはバッテリーにとって好ましくない。80%以上の充電や20%以下の放電を繰り返すと、容量が少しずつ減少していく。そのため、たとえば25%まで使用したら75%まで充電するというサイクルを心がけるといいだろう。

充電のイメージ

LFP電池に関しては、低電圧による劣化が少なく、正確な充電残量把握のための満充電メリットがデメリットを上まわるともいわれている。テスラのマニュアルでは当初、搭載されているLFPについて次のように説明していた。

「LFPバッテリー搭載車両の場合、通常走行であっても充電制限を100%に維持し、少なくとも週1回はフル充電して100%にしておくことを、Teslaでは推奨しています」

急速充電の頻繁な使用も避けるべきだとされている。急速充電は通常の充電に比べて充電速度が速いためバッテリー内での化学反応が急速に進行し、これがバッテリーの熱を増加させて劣化を早める要因となる。また、長距離ドライブ後、すぐに充電するのではなく、バッテリーを少し冷ましてから充電を開始するのが望ましい。これもバッテリーの温度管理が寿命に大きく影響するためだ。

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