#セダン
TEXT:TET 編集部
宿敵テスラ・モデル3よりも3万3000円安で発売開始! BYDの新型EVセダン「シール」がいよいよ上陸

後輪駆動とAWDのふたつシールで強豪に挑む BYDが2023年1月に日本市場へ参入したときから販売が予告されていた新型EVセダン「SEAL(シール)」が、いよいよ2024年6月25日から全国55拠点のBYD AUTO正規ディーラーにて販売開始。 BYDシールのボディサイズは全長4800mm、全幅1875mm、全高1460mmとなり、直接的なライバルのテスラ「モデル3」と3方向すべてにおいて数センチ程度しかサイズが変わらない。それは価格においても同様で、エントリーグレードのテスラ・モデル3 RWDの531万3000円に対し、BYDシールは528万円(ともに税込み)と両車がっぷりよつの価格にBYDは設定してきたのだ。 BYDが公言しなくても、外野である我々はライバルを意識しまくりの戦略的価格設定にヤンヤと騒ぎ立てたくなるし、500万円台DセグメントEVセダンの戦国時代が開幕したと勝手にワクワクしてしまう。 日本に導入されたBYDシールは、ベースモデルで後輪駆動の「BYD SEAL」と、四輪駆動の「BYD SEAL AWD」の2グレード展開。駆動方式の違いによりモーター出力も異なり、後輪駆動モデルが230kWなのに対し、AWDモデルはリヤ230kWに加えフロントに160kWのモーターを装備する。これにより0-100km/h加速は「BYD SEAL」の5.9秒に対し、「BYD SEAL AWD」は3.8秒と、2秒以上も上まわる。当然クルマの味付けとしては、AWDモデルがよりスポーティさを強調したグレードに仕上がっているはずだ。 シールが搭載する駆動用バッテリーは、バッテリーのトップカバーがボディフロアとしての役割を果たし、バッテリーそのものが車体構造の一部となるように設計されたCTB(Cell To Body)テクノロジーが採用されている。これにより衝突安全性が向上し、CTB非搭載車に比べてボディ変形量が正面衝突で50%、側面衝突では45%減少するのだという。同時にボディのねじり剛性が高まり、ハンドリング性能が向上。また、効率的な空間設計が可能となり、特に高さ方向で車内空間の拡大に貢献している。 バッテリー容量は両グレードともに82.56kWhだが、システム合計出力の差により一充電走行距離は後輪駆動モデルが640kmなのに対し、AWDモデルは動力性能と引き換えに575kmと65kmばかり走行距離が短くなる。 税込の全国メーカー希望小売価格は、後輪駆動の「BYD SEAL」が528万円、四輪駆動の「BYD SEAL AWD」が605万円で、納車開始時期は前者が7月末ごろ、後者は8月末ごろからを予定しているとのこと。 なお、ボディカラーは両グレード共通で全5色。内装色はブラックの1色だ。 BYDシールが参入する輸入セダン市場は、Dセグメントに分類されるミッドサイズクラスのセダンが全体セールスの50%を占める主力セグメントだ。BYDは参入にあたって次のようにコメントしている。 「BYDはこの市場でBYD本来の強みである『先進的なバッテリー技術』『最新のEVプラットフォーム』『最新の安全・快適装備』を満載したBYD シールを通じて、このセグメントで“e-スポーツセダン”という確固としたポジションの確立を目指すとともに、広く国内のセダン市場でもその存在感を明確に示していきます」 つまり、シールには日本市場においてBYDのイメージリーダーであり、フラッグシップモデルとして、ブランドの認知向上が期待されているのだ。当THE EV TIMESでは、昨年中国で行われたBYD SEAL AWDの試乗会でシールAWDモデルのハイパフォーマンスぶりをレポートしている。そのときから熟成が重ねられていると思われるシールが、日本でどのような走りを魅せてくれるのか、いまから期待せずにはいられない。

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TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツ唯一の3ボックスセダンEV「EQE」に特別仕様車! 「EQE 350プラス エレクトリックアート」は日本限定30台

限定30台でふたつの異なる仕様を用意 メルセデス・ベンツ日本は、同社で唯一の3ボックスセダンタイプで電気自動車(EV)の「EQE」に、日本で限定30台のみの特別仕様車「EQE 350プラス エレクトリックアート」をラインアップ。2024年5月29日から予約注文の受付を開始したことを発表した。 EQEは専用プラットフォームを採用しているだけでなく、EVならではのパッケージの有用性を活かした空力に優れた「キャブフォワードデザイン」のエクステリアを持ち、面構成や継ぎ目の少なさなどを徹底した結果、量産乗用車では最高レベルの低い空気抵抗値を達成している。EVならではの低重心さがもたらす操縦性の高い走りも魅力のひとつだ。 リヤアクスルに電動パワートレイン(eATS)を搭載し、最高出力292馬力(215kW)を発生。リチウムイオンバッテリーのエネルギー容量は90.6kWh、WLTCモードの一充電走行距離は617kmを誇る。また、車両を蓄電池として利用し、充放電器を介して車外へ電力を供給する給電機能「V2H(Vehicle to home)」と「V2L(Vehicle to Load)」にも対応している。 そのため、自宅に駐車しているときに充電し、夜間はEQEから家庭に電気を送るといった使い方ができる。これにより、電気代の節約やCO2の削減に寄与することができる。むろんバッテリー容量が90.6kWhもあるので、非常時の電源としても有効だ。 さて、特別仕様車のEQE 350プラス エレクトリックアートだが、日本限定30台とはいうものの、標準車のEQE 350プラスをベースに、仕様とカラーの違いで台数が細かに設定されているので注意が必要だ。 まずは仕様の違い。ひとつ目の仕様は、キャブフォワードデザインを取り入れた伸びやかでクーペのようなエクステリアデザインに、「エレクトリックアートライン」と新デザインの19インチアルミホイールを採用。こちらは15台の販売を予定している。 ふたつ目の仕様は、「AMGラインエクステリア」やパノラミックスライディングルーフを採用したAMGラインパッケージこちらも15台の限定モデルとなる。 そしてボディカラーの違いによる台数の内訳だが、エレクトリックアートライン仕様の15台のうち、ポーラーホワイトが5台、オブシディアンブラックが10台となる。メーカー希望小売価格は両カラーともに消費税込み1040万円。 一方のAMGラインパッケージ仕様は、オブシディアンブラックが5台で1156万5000円。オパリスホワイトとアルペングレーが各5台で1169万9000円だ。このため、仕様とカラーの組み合わせによっては、かなり希少性のある個体が誕生することになる。 両仕様とも、高電圧バッテリーから発生する廃熱を車内の暖房に利用することで、車内を温める際の消費電力を大幅に削減するヒートポンプを標準装備している。ほかにもiPhoneでクルマの始動やロック操作が可能になるデジタルキーや、SpotifyやAmazon Musicなどの音楽ストリーミングサービスに加え、Youtubeなどのビデオストリーミングをテザリング無しで操作することができる「MBUXエンターテインメントパッケージプラス」を標準採用する。 また、新車購入から5年間または10万kmのいずれか早い方まで保証する「EQケア」や、高電圧バッテリーを10年または25万kmまで保証するプログラムが特別仕様車には付帯される。クリーンエネルギー自動車導入促進補助金は52万円が適用されるため、エレクトリックアートライン仕様であれば実質的な車両本体価格はアンダー1000万円となる。 EQE 350プラス エレクトリックアートは、保証を含めてかなりお得感のある特別仕様車になっている。気になる方はメルセデス・ベンツ正規販売店に急行してほしい。

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TEXT:高橋 優
固体電池を早くも実用化! 中国のEVセダンは競争激化で「価格も航続距離も性能も」驚異的な世界に突入していた

中国EVセダンはゼロヒャク2秒台が当たり前の時代に突入 今回取り上げていきたいのが、中国のEV専門ブランドであるIMモーターの存在です。このIMモーターについては、中国の大手国有企業であるSAICのプレミアムEV専門ブランドとして、同じく中国のテック企業であるアリババなどと共同出資することで設立しました。 2022年の7月中にも、ブランド初のEVとなる中大型セダンのL7の納車をスタートさせながら、2023年の3月中にも、そのL7のSUVタイプとなるLS7の納車をスタートしました。 他方で、IMモーターに関しては、SAICの傘下に属しながらも、その知名度の点で苦戦。よって販売台数も不振が続いていたわけです。 ところが、2023年の9月にワールドプレミアが開催された、3車種目のEVとなるミッドサイズSUVのLS6に関しては、最大電圧875Vという、市販EVでもトップレベルの高電圧プラットフォームを備えることによって、100kWhバッテリー搭載グレードに関しては最大396kWという超急速充電に対応。 また、LS6の発売とともに、高速道路だけではなく市街地における自動運転支援「IM AD」の提供をスタートし、すでに上海などの一部大都市圏において、市街地ADASをリリース済みです。しかも2024年中に、中国全土での市街地ADASをリリース予定でもあります。 さらに、内外装の質感や装備内容に関しても極めて競争力が高く、それでいて、現在LS6は日本円に換算して462万円から発売されていることで、多くの新型EVにとってのベンチマーク的な存在となっています。 そして、このLS6の納車がスタートして以来、IMモーター全体の販売台数も急拡大し、12月については初めて月間1万台の壁を突破するという快挙も達成しました。 さらに、LS6の販売によって勢いづいているIMモーターが、2月末に欧州において開催されたジュネーブモーターショーで初お披露目を行ったのが、ミッドサイズセダンであるL6の存在です。 L6については、全長4931mm、全幅1960mm、ホイールベースが2950mmという、すでにラインアップしていたL7よりもひとまわり小さい、LS6のセダンタイプとなります。いよいよ来月開催される北京オートショーにおいて、中国市場でもお披露目される予定です。 そして、このL6に関するスペックについて、いくつか特筆するべき内容が公開されてます。まずは、0-100km/h加速が2秒台に達するということです。じつはこのミッドサイズセダンセグメントについては、すでに0-100km/h加速のベンチマークが3秒前半から2秒台へと移行している状況です。 もともとのベンチマークはテスラモデル3パフォーマンズが実現していた3.3秒であったものの、それこそ2023年末から納車がスタートしている、ファーウェイのLuxeed S7の最上級グレードRSについても、同じく3.3秒を実現。 そして、2024年元旦から納車がスタートしている、ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekrのミッドサイズセダン007についても、0-100km/h加速は2.84秒と、いよいよ2秒台に突入しています。 また、モデル3に関しても、おそらく第二四半期中にもパフォーマンスグレードのモデルチェンジが行われる見込みであり、それによって、0-100km/h加速も2秒台に突入する見通しです。 よって、この2024年に発売されるプレミアムEVセダンについては、ゼロヒャク2秒台というスペックがベンチマークとなっていくわけであり、今回のL6もそのトレンドに追随してきた格好なわけです。

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TEXT:小川フミオ
「BMWの核はセダン」。「i5」での表現は、BEV世代のセダンの在り方を示している。

SUV(BMWいわくSAV)を多くの人が選ばれる中で、セダンへの思いを込めるBMW。i5にあるデザイン手法の奥深さに、小川フミオはセダンの可能性を知るのだった。 セダンほど、エレガントな車型はない −−昨今は多くのひとが、セダンやステーションワゴンでなく、SUV……BMWの言うところではSAVを選ぶ傾向があります。そんな時代にセダンをあえてデザインするのは、けっこう苦労がありましたか。 「いやいや、そんなことはまったくなかったです。たいへん楽しい仕事でした。セダンほどエレガントな車型はないし。そもそも、BMWの核といえばセダンです。3シリーズも7シリーズも、BMWにとってたいへん重要なモデルであり続けています」 −−そのうえで、時代に合わせてコンセプトをいじっていくわけですね。 「ですね。たとえば、今回のi5だと、ルーフの表面を見てください。Cピラーへと続くところの面の作り込みは、かなりよく出来たと自負しています。ここが強く目立ちます。それで、キャビンの安定感をぐっと出すことに成功しています。ここはかなり自信ある造型です。それと細く見えるCピラー。これでエレガンスも表現しています」 −−他のメーカーだと、反対のことを言ったりもしています。Cピラーこそ力強さや安定感を表現するための重要な部分で、太くしたり、造型的な処理で、ある種のテンション、つまり緊張感というか力強さを盛り込むことが大事だとしていますね。 「意見としては分かりますが、私たちはその道(デザイン手法)を選びませんでした。ルーフラインは流麗に、キャビンは軽くふわっとボディに載っているように見せ、いっぽうで、車体側面にキャラクターラインと面取りを同時に入れて、ここでテンションを生み出しています。たった2本のキャラクターラインですが、力強さはかなり強く感じていただけるのではないでしょうか」 新世代を強調したキドニーグリル −−変わったといえば、フロントマスクのコンセプトも、従来とは一線を画していますね。i5と、エンジン搭載の他の5シリーズとは差別化をはかりましたか。 「いや、5シリーズは、i5を含めて基本的に共通のフロントマスクです。違うのはスポーツパックを採用したモデルです。5シリーズは、たしかに上下幅の狭いヘッドランプですが、初代から伝統的な4灯式のモチーフは継承していますし、キドニーグリルもむしろ大きく見せています。ただし、i5 M60 xDriveのようなパフォーマンスモデルだと、キドニーグリル内には縦バーは入れず、いっぽうでグリル周辺のブラックの部分を大きくして、私たちが考える新世代のスポーツ性を強調したフロントマスクとしています」 −−i5はセダンだけれどBEVです。ここがBMWデザインにとって、ある種のターニングポイントでしょうか。 「そうですねえ。言えることは、未来は明るいと私は思っています。BMWには、過去の名車というヘリティッジがあります。それを活かすことも出来るし、逆にへたをすると、それが足かせになることだってありえます。でも、スタジオには、新しいものを創造するための自由がたっぷりあります。それはもう圧倒的だと思います。なので、BEVの時代を間近に迎えながら、私はデザイナーという仕事を楽しんでいるんです」 <了>

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TEXT:小川 フミオ
EV版「M5」も開発中!「i5 M60 xDrive」のロケット級の速さにも驚き!

5シリーズの電気自動車「i5」の試乗記。前回までは後輪駆動の「i5 eDrive 40」をお届けした。今回はいよいよ全輪駆動で601psの出力を誇る「i5 M60 xDrive」に乗る。 ジェット機とロケットほどの違い 「i5」には、「i5 eDrive 40」と並行して、全輪駆動で、かつパワフルなモーターを搭載した「i5 M60 xDrive」が発売された。 i5 eDrive 40が最高出力250kW、最大トルク430Nmをもつのに対して、「i5 M60 xDrive」はモーターを1基ずつ前後に搭載。フロントは192 kW、リアは250kW。システムトータルの出力は442kW、最大トルクは820Nmにもなる。 静止から時速100キロまでを3.8秒で加速する駿足ぶりを示すとともに、”電費”は100km走るのに20.6kWhから18.2kWh。満充電だと、455kmから516kmのあいだという走行距離を誇る。 フロントグリルは縦バーをもたず、BMW伝統のキドニーグリルの輪郭だけが残された個性的なデザイン。周辺がグロスブラックというアグレッシブな仕様が試乗車だった。 そのアグレッシブな印象をまったく裏切らない、驚くようなトルク感の加速と、クイックなステアリングフィールが、このクルマの身上なのだろう。 高速道路では、i5 eDrive 40も速かったが、あちらがジェット機なら、こちらはロケットだ。軽くアクセルペダルを踏み込んだだけで、周囲のクルマがあっというまに後景にしりぞくほど。 ステアリングの安定感はすばらしく、路面が多少荒れていようと、直進性がしっかり保たれるので、いっさい不安感がない。よく出来たスポーツセダンと感心させられた。 しかも、BMWとスポーツモデル開発を担当するM社は、この先「M5」に相当するモデルを準備中というのだから、どんなクルマになるのだろう。トルクたっぷりの加速感が大好きなドライバーにはたまらないだろう。 i5 M60 xDriveには、アダプティブサスペンションがおごられている。かつ、Mモデルなのでステアリングホイールコラムに「スポーツブースト」という瞬間的な加速をもたらすレバーまでついている。これは路上では使えません(笑)。

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TEXT:小川 フミオ
さすがはBMW!5シリーズの電気自動車「i5」もまごうかたなきスポーティセダン!

前回までは、BMW5シリーズに加わった電気自動車「i5」のデザインについて小川フミオ氏に語ってもらった。いよいよリスボンの街を走り出す。走りでも5シリーズの良さを失っていないのだろうか。 エンジン車と電気自動車のいいとこどり BMWの新型5シリーズのラインナップに加わった「i5」はBEV(バッテリー電気自動車)のセダンだ。5,060mmの全長に2,995mmのロングホイールベース。余裕あるサイズだが、操縦性は、スポーティセダンで鳴らしたBMWならでは!と言いたくなる。 リスボンで乗った1台は、i5 eDrive 40 Mスポーツ。81.2kWhのリチウムイオンバッテリーを床下に搭載し、最高出力は250kW、最大トルクは430Nmだ。 ひとことで言って、BMWならではの味がある。同社のスポーティセダンの延長線上に違和感なく位置づけられる。 電気モーターだからという特別性はほとんどなく、ナチュラルな運動性能と感じられるのだ。 現代のBEVとしても違和感なく、かつ、ステアリングフィールなどに、やはりBMWっぽい味つけがちゃんと感じられる。よく出来ていると思った。 高速道路では、どこまで速度が上がっていくの?というリミットが感じられない加速感に驚かされた。でも、アクセルペダルの味つけなのか、すこし抵抗感があって、そこで右足にすこし力をこめると、ぐんっと前に出る。そんなエンジン車のような印象も受けた。 BMWっぽいのは、ハンドルを切ったときの車体の反応だ。内側のノーズがすーっと内側に入っていく(車体のロールは少ないのだけれど)。 バッテリーを床下に積んでいるので、重心高が低いのも、気持ちよく車体が動くハンドリングという、いいバランスになっている。 車重は2.1トンあるのだけれど、モーターの大きなトルクによって、重さはほとんど感じない。 足まわりの設定は、とくにリアがやや硬め。そもそも4つのドライブトレイン前提で開発されたシャシーなので、サスペンションのアーム長とか、理想的な設計はちょっとむずかしかったのだろうか。 後席の床には小さめとはいえ、BEVとしては意外なセンタートンネルがある。ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド各モデルでは、排気管やドライブシャフトが通るはず。これもしようがない部分だ。 もちろん、ドライバーは、かなり楽しい思いが出来る。太めのグリップのステアリングホイールを通して、路面からの情報が手のひらにしっかり伝わってくるし、クルマの動きは繊細。 運転している自分との一体感がしっかりあるのが、i5の魅力だ。車内はかなり静かで、エンジン音はもちろん聞こえない。そこがBMWのセダンとして、妙な気分だ。

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TEXT:小川 フミオ
BMW「5シリーズ」の電気自動車は、新時代に入った「セダンデザイン」を体現している

ポルトガルで5シリーズの初のBEV(バッテリー電気自動車)に乗った小川フミオ氏は、その内外装デザインを歴代5シリーズと重ね合わせる。共通点や時代とともに進化したポイントはあるのだろうか。Vol.1の記事はこちら。 「スポーティ・エレガンス」なプロポーション 2023年に登場した新型BMW5シリーズは、1972年の初代から数えて8世代目になる。 ドイツをはじめ、欧州で5シリーズのセールスはずっと好調に推移してきた。ひとつの理由は、カンパニーカーといって、要職にある社員に貸与される一種の社有車としてのニーズが高いこと。 もうひとつは、バランスのよさだろう。初代いらい、私はずっと5シリーズのファンだった。 これは私の個人的な感想だけれど、初代から4代目まではとくに、プロポーションがよく、絵に描いたような4ドアセダンというかんじだった。 同時に、4灯式ヘッドランプと、キドニーグリルが、個性になっていた。控えめといえば控えめだけれど、じつはドライブが好き、というドライバーのキャラクターをうまく表現していたと思う。 今回の5シリーズは、全長が5メートルを超え、5,060mmに。先代より97mm延びた。初代7シリーズですら軽く超えている。どうして、こんなにサイズアップしたんだろう。 「その理由は……」と、語ってくれたのは、8代目5シリーズのプロダクトマネージャーを務めたオリバー・ムンダー氏。 「ひとつは、クラッシュセイフティの要件で、フロント部分を伸ばす必要があったためです。そして、もうひとつ、理由があります」 ムンダー氏は付け加える。 「i5は床下にリチウムイオンのバッテリーパックを収めるため、車高が高めになりました。そこで、バランスをとるため、全長を伸ばして、美しいプロポーションを保つことを選びました」 全高は1,515mmで、先代より36mm高い。しかし、たしかにシルエットを見ても、ぼてっとしたかんじはいっさいない。 新型5シリーズのデザインをして「クリア」「削ぎ落とされた」「運動性能を感じさせるプロポーション」「スポーティ・エレガンス」「存在感」と、BMWでは言葉にしている。

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TEXT:小川 フミオ
“EVセダン”の決定版か!? 新型BMW「5シリーズ」セダンの電気自動車「i5」に試乗した

同じドイツのライバルであるメルセデスは、電気自動車の開発と生産において、専用ブランドとプラットフォームも用意している。それに対して、BMWはエンジンモデルと一緒のプラットフォームでEVを開発し、「i5」をデビューさせた。そんなi5はどんなクルマに仕上がっているのだろうか。ポルトガルでいち早く試乗した小川フミオ氏のレポートをお届けする。 BEVセダンのひとつの究極 BMWが2023年7月13日に発売した、新型5シリーズ。8代目には、最初から、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、そしてBEV(バッテリー電気自動車)の「i5」がラインナップされている。 日本には、まずi5が導入され、追って、ガソリンとディーゼルが入ってくる予定。プラグインハイブリッドの設定がないのは、「電動車はi5がメインになるため」(BMWジャパン広報部)と説明される。 そのi5に、23年9月下旬に、ポルトガル・リスボンで試乗することができた。期待いじょうによく走り、ナチュラルで、BEVセダンのひとつの究極と感心した。 i5には、大きくいって、後輪駆動の「i5 eDrive 40」と、全輪駆動の「i5 M60 xDrive」が用意されている。 前者には、「i5 eDrive 40 エクセレンス」と「i5 eDrive 40 Mスポーツ」の設定がある。乗ったのは後者。サブネームのとおり、スポーティな仕上げを特徴とする仕様だ。 まずリスボンを抜けて郊外へと足を延ばしたときドライブしたのは「i5 eDrive40 Mスポーツ」。後輪を駆動するモーターは、250kWの最高出力と430Nmの最大トルクを発生。 リチウムイオン電池の総エネルギー量は 81.2kWhだそうで、一充電での走行可能距離は装備によって、477キロから582キロの幅と発表されている。 i5 eDrive 40の”電費”は100キロ走るのに18.9kWhから15.9kWh(数字が少ないほうが長い距離走る)。充電速度は最大で205kW。10分で156km充電可能という。 もうひとつの装備は、「マックス・レンジ」と呼ぶもので、電費重視のセッティングが可能になる。これを使うと、パワーを25パーセント抑制し、より長距離の走行が目指せる。

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TEXT:田中誠司
ハンドリングはピュアスポーツ 乗り心地は高級サルーン[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

素晴らしい乗り心地 パナメーラなどと同じく3チャンバー式エアスプリングと可変ダンパーを備えるタイカンの乗り心地は、素晴らしいの一言に尽きる。ただし、乗用車ではなくあくまでもスポーツカーの概念で設計されたシャシーであることを片時も忘れさせることはない。 どういうことかというと、例えばメルセデス・ベンツやBMWはがっしりした重いボディにしっかりしたラバーマウントを介してサスペンションの動きを返してくる。対してポルシェは同じボディサイズならより軽量で、快適性よりも軽さを優先しているから、路面の段差をサスペンションのコンプライアンスでごまかそうと言う意識が少なくなるのだろう。 できるだけサスペンションアームの長さを取って、理想的かつ精密に動くような形態とし、サスペンション自体の力で優れた乗り心地を見出そうとしていることがヒシヒシと感じられるのだ。 具体的には一つ一つの入力に対してボヨンとした反応が少なく、全てをびしっと受け止める。その上で精密に作られたコンプライアンスの少ないサスペンションピボットが限られた範囲だけ動く、という感じ。それゆえときに高級車らしくない衝撃を感じることもあるのだが、まぁそれは生まれ育ちの違いだと言うことで、ポルシェのオーナーになろうとする人ならば納得できる範囲であり、そういった一種のハードさをむしろオーナーの側が求めているのだと思える。まさにスポーツカー、あるいはレーシングカーの延長線上にあるのだと言うことをはっきり主張してくる乗り心地だ。 ワインディングロードにおいても、上記の印象は変わらない。走行モードを問わず、ステアリング操作に対して、あるいはブレーキの操作に対して非常に繊細なレスポンスを返してくれる。あらゆるシーンでドアが4枚付いた車だと言うことを忘れてしまうような鋭いレスポンスを発揮し、2380kgの重さを、少なくとも一般公道で走らせている限りは全く感じることがない。 使い勝手と電費 低く構えたサスペンションは、一部のスーパーカーのようにリフトさせることが可能になっている。前後のリップスポイラーがカーボンゆえコンビニの車止めにも気を使わせられるから、この機能は助かる。ただしホイールベースは2900mmと極端に長いので、山なりの路面では腹を擦らないように気をつける必要があるだろう。 クルーズコントロールの動作は、加減速や先行車をとらえた瞬間の動きなど十分にスムーズといえる。ドライバーの操作が途切れたときに自動操縦を中断してしまうまでの時間は、比較的短いようだ。 電費は、高速道路が8割、順調に流れている一般道が2割という比率で577.1kmを走り、平均で5.4km/kWhであった。平均速度は49km/hで、途中2度ほど継ぎ足し急速充電をしている。 結論 タイカン・ターボSは、ポルシェのスポーツカーとしての伝統を完璧に受け継ぎながら、4人の乗員と彼らのためのラゲッジを全て収容するパッケージングを持ち、充分すぎるほどの加速力も備える。世界的には911を上回る販売実績も納得の出来栄えであった。 そんな中であえて苦手分野をと問われれば、やはり航続距離だろう。自宅充電が可能な人であっても、出先での充電を避けたければ実質400km程度の旅が限界だろうし、大きなバッテリーは急速充電するにも時間がかかる。1時代前に比べればかなりいい線まで来ているとはいうものの、この点ばかりはポルシェにしても難しかったと捉えざるを得ない。充電拠点の少ない日本においてはなおさらである。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

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TEXT:田中誠司
ピュアスポーツの伝統を受け継ぐ4シーター[ポルシェ・タイカン・ターボS試乗記]

タイカン最新ラインナップの概要 ポルシェ初の量産BEVである「タイカン」は2019年にワールドプレミア、日本では2020年に発売された。スペック表の通りなかなかの大型セダンだが、乗車定員は4名と割り切っている。ただしオプションで5人乗りを選ぶこともできる。 パワートレーンは大きく2種類に分けられる。1モーター後輪駆動と2モーター4輪駆動だ。前者を用いるのは素の「タイカン」のみで、最大出力300kW/408ps。これがエントリーモデル的な扱いになっている。後者は最高出力の違いで390kW/530psの「4S」、440kW/598psの「GTS」、500kW/680psの「ターボ」、560kW/761psの「ターボS」の4機種を揃える。 今回乗ったのはパワーレベルの最も高い「ターボS」。ポルシェジャパンの駐車場で対面すると、ポルシェの市販車ラインナップ中で最も高価かつパワフルなものに与えられてきたグレード名だけあって、外観もとても引き締まって見える。素のタイカンのホイールは19インチだがターボSは21インチ。オプションのボディ同色リムから覗く巨大なブレーキディスクは、標準でPCCB(ポルシェ・セラミック・コンポジット・ブレーキ)となる。 インテリアは、タイプ997以降のポルシェの流儀に従って整然としたレイアウトだ。ダッシュボードの中央にはクロノグラフが備わり、助手席前のパネルにはタッチスクリーン(いずれもオプション)が配置されるなど、テクノロジーを前面に打ち出している。一方で、センターコンソールにはカップホルダーとして丸い2つの穴が開いており、そこだけがあまりにもアナログな光景でユーモラスであった。     スリムなシートはターボSの場合、標準で18way調節機構付きで、実はポルシェのシートが苦手な筆者でも、長時間のドライブでどこも痛くならなかった。リアシートは2名分と割り切っているおかげで、フロントシートに劣らないパーソナライズ感がある。 ラゲッジスペースは、位置は高いが床はフラットだ。ボディ形状からはあまり期待できそうもないと想像してしまうが、ヒンジの形状がよく考えられており、有効に使える体積は思ったより大きい。メジャーで計測してみると幅x奥行きx高さは90〜148x104x45cmだった。BEVだけにフロントにも“フランク”と呼ばれるラゲッジスペースがあり、こちらは55x30x36cmだった。 ターボSの車両本体価格は2468万円。これにボディ色アイスグレーメタリック39万6000円をはじめとする有償オプション28種544万4000円が加わり、試乗車は総額3012万4000円である。素のタイカン1286万円が破格にすら感じる。 強烈な加速 筆者は「タイカン4S」がデビューまもない頃に走らせたことがある。率直に言ってこの世のものとは思えないほど強烈な発進加速性能を持っていた。言い換えれば「これ以上もう何もいらない」という印象だったわけで、今回さらにハイパワーなターボSに乗っても、正直なところ公道上では加速性能に関してさほどの違いは感じられなかった。 カタログ上の0-100km/h加速は4Sの4秒フラットに対しターボSは2.8秒とかなり開きがあるが、いずれにしろ凄い領域なので胸のすくひまもない。テスラ・モデルSもそうだが0-100km/h加速2秒台というのは、もはやパワーユニットの性能というより路面の性能、つまり摩擦係数の問題になってくるのではないかと思える。 フィーリングとしては、かつて4Sを走らせた時に感じたような生々しい、電気自動車ならではのトルクの強烈さみたいなものを、むしろ最新モデルでは敢えて抑えているような印象を受けた。このことも、前述の格別な加速感を感じないことに一役買っているのかもしれない。 Porsche Taycan Turbo S 全長:4,963mm 全幅:1,966mm 全高:1,378mm ホイールベース:2,900mm 車両重量:2,380kg 前後重量配分:前1,170kg、後1,210kg 乗車定員:4名 交流電力量消費率:234-219Wh/km 一充電走行距離:454km 最高出力:560kW(761ps) 最大トルク:1050Nm(107.1kgm) バッテリー総電力量:93.4kWh モーター数:前1基、後1基 トランスミッション:2速 駆動方式:4WD フロントサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション リアサスペンション:3チャンバーアダプティブエアサスペンション フロントブレーキ:ディスク(PCCB) リアブレーキ:ディスク(PCCB) タイヤサイズ:前265/35R21、後305/30R21 最小回転半径:5.6m 荷室容量:後366L 前84L 車体本体価格:24,680,000円

TAG: #スポーツカー #セダン #ポルシェ

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