BYD 記事一覧

TEXT:生方 聡
BYDの世界戦略モデル「アット3」(ATTO 3)がついに日本上陸 [BYD アット3試乗記:その1]

2022年のEV/PHEV/FCVの販売台数世界一を誇るBYDが、日本市場向け第1弾として投入したミドルサイズSUVタイプのEV「アット3(ATTO 3)」に試乗。BYDが世界戦略モデルと位置づけるアット3とは? 2023年の台風の目に 日本のEV市場において、2022年のビッグニュースとして真っ先に頭に浮かぶのが、韓国のヒョンデがEVの「アイオニック5(IONIQ 5)」とFCVの「ネッソ(NEXO)」を引っ提げて日本再上陸を果たしたことだ。黒船来航とも言われたヒョンデ・アイオニック5だが、2023年、それを上回るインパクトとなりそうなのが、中国のBYDが日本の乗用車市場に参入したこと。ミドルサイズSUVタイプのアット3を440万円という低価格で発売したのが、間違いなく台風の目になるだろう。 日本ではまだ馴染みが薄いBYDだが、2022年のEV/PHEV/FCVの販売台数では、アメリカのテスラを抑えて世界ナンバーワンの座に輝くグローバルカーメーカー。もともとバッテリーメーカーとして創業したという背景もあり、EVの核となるバッテリーをはじめ、モーターやコントローラーといった主要部品を自社で開発・製造できる強みを持ち、EVバスやEVフォークリフトの分野ではひとあし先に日本への上陸を果たしている。そのBYDが、日本の乗用車市場向け第1弾として投入したのが、このアット3である。 アット3が参入するのは、内外のメーカーが鎬を削るミドルサイズSUVセグメント。「トヨタbZ4X」、「スバル・ソルテラ」、「日産アリア」といった日本勢に加えて、「ボルボC40/XC40リチャージ」、「メルセデス・ベンツEQB」、「アウディQ4 e-tron」、「フォルクスワーゲンID.4」、ヒョンデ・アイオニック5などの輸入車勢と、手強いライバルがひしめいているが、そのなかでアット3に注目するのには理由がある。

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TEXT:烏山 大輔
BYDの乗用車は六価クロム不使用と公表

BYDジャパン株式会社は2月27日、BYDの乗用車に六価クロムを使用していないと発表した。 BYDの乗用車は、欧州議会と欧州委員会のEU ELV指令に準拠している。この指令は、自動車からの廃棄物発生抑制と廃車時の環境負荷の低減を目的に定められたもの。附則 II(※1)に記載する事例ならびに定められた条件に適合する場合を除き、六価クロムを含む4物質を含有しないことを定めている。日本自動車輸入組合は、国内に輸入される加盟各社の自動車が当指令に適合(※2)していることを確認している。 2023年1月より日本で販売している「BYD ATTO 3」をはじめ、今後販売を予定している「DOLPHIN」 ならびに「SEAL」など BYD の乗用車も、この指令に準拠しているため、お客様の安全や地球環境に影響を及ぼすことはないとした。 BYDジャパン株式会社は2月23日にBYD製のバスに六価クロムが使用されていたと発表した。その際に乗用車にも六価クロムが使用されているかどうかを調査するとしており、今回の発表はその結果となった。 (※1)EU ELV 指令は、乗員9名以上の車両と、車両総重量3.5トン以上の物流車両は対象外。附則IIについては、以下の資料内『ANNEX II』を参照のこと。 https://byd.co.jp/uploads/CELEX_02000L0053-20200306_EN_TXT-ELV(2).pdf (※2)日本自動車輸入組合:2022年11月7日:『輸入車の重金属4物質等の削減・使用廃止に関する対応状況について』 https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/haikibutsu_recycle/jidosha_wg/pdf/057_s03_04.pdf

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TEXT:烏山 大輔
BYDのEVバスの部品が製造段階で六価クロムを使用、人体への影響はないと発表

BYDジャパン株式会社は2月23日、日本で販売しているBYD製EVバスのボルトやナット類の防錆剤として、六価クロムが含まれた溶剤を一部使用していることを明らかにした。 BYDジャパンはバスの運行中などにおける乗員・ 乗客の人体への影響はないとしている。またバス廃車時においては、BYDジャパン指定のリサイクル事業者によって六価クロムの無害化処理を行い処分しているので、環境への影響もないとしている。 2023年末に日本国内で発売を予定している新型EVバスには、六価クロムを使用せずに製造した車両を販売する。 六価クロムは、金属元素であるクロムの化合物のうち、酸化数が +6 の Cr(VI) を含むものの総称である。従来、部品の錆を防ぐ用途などで自動車部品製造に用いられてきたが、毒性が強く人体や自然環境などへ有害な影響があるとされている。2008年から日本自動車工業会が業界の自主規制として使用を禁止しており、同年以降の新型車では原則的に使用されていない。 欧州連合(EU)でも原則、乗用車への使用を禁止している。日本に輸入する欧米や韓国メーカーの車両には六価クロムが使用されていないことを日本自動車輸入組合が確認済みだ。 BYDオートジャパンが1月から販売しているBYD製の乗用車については、六価クロムが使用されているかどうか、BYD本社が現在調査中である。

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TEXT:TET 編集部
西東京バス、東京で大型EVバスを導入……デイリーEVヘッドライン[2023.02.22]

BEVの大型バスは都内初導入、車両はBYDの「K8」 【THE 視点】京王グループの西東京バス株式会社は、大型EV路線バスを3台導入し3月より運行すると発表した。東京都内における乗合路線バスでは初の大型EVバスになるという。 導入される車両はBYDの「K8」で、電気供給機能を有していることから、バス自体が大型の蓄電池とみることができ災害時への電源車としても期待される。 東京電力ホールディングス株式会社と連携し、バス営業所へEV用の各設備を導入するとともに地域の防災・BCP(災害等危機的状況下での事業継続計画)拠点として活用することも検討するという。EVバスの充電にも再生可能エネルギーを活用するとのこと。 運行されるエリアは、あきる野市/檜原村/日の出町/青梅市/八王子市/福生市/羽村市/昭島市等。羽村市ではこれまで「日野製のポンチョEV」が走っていた。この地域は日野自動車の工場があるエリアでもある。今回この地域にもBYD製の大型EVバスが走ることになる。 これまで東京都内で走るEVバスは「日野ポンチョEV」や「BYD J6」といった小型が主流だった(一部試験的に中型はあった)。燃料電池車(FCEV)の大型バス「SORA(ソラ)」は都内に数十台走っているが、BEVの大型バスが都心部ではなく多摩地区から走ることになるとは思わなかった。 しかも一気に3台の同時導入である。世界的にみても日本は大都市でEVバスの稼働が少なく、ある意味日本のEV遅れを表している。これを機に東京都内にもEVバスの導入が促進されることを期待したい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★フォルクスワーゲン、本国でパルスインバーターと熱管理システムの開発を発表……最高出力500kW(680ps)級のスポーツモデルにも対応可能 ★日産、EV推進施策「ブルー・スイッチ」が第18回エコツーリズム賞(環境大臣賞)を受賞……特別賞として受賞、自動車産業の受賞は今回が初 ★アサヒ衛陶、EVスタンド機器事業を推進……テンフィールズファクトリーと提携し従量課金型充電システムの開発へ ★変圧器事業のダイヘン、配送用EV向け自動充電システム「ぴたっとCharge(チャージ)」を開発……関電エネルギーソリューションと提携、EVへの充電を最適化し電気料金を低減 ★空飛ぶクルマのSkyDrive(スカイドライブ)、「大阪万博」における空飛ぶクルマの運行事業者に選定……「未来社会ショーケース事業出展」内「スマートモビリティ万博」における運航事業者に ★ウーバー、インドでの配送車両にEV2万5,000台を導入……タタと提携 ★英EVトラックのTevva(テッヴァ)、走行実験で航続距離563kmを達成……リチウムイオン・バッテリーと燃料電池両方を搭載したEVトラック ★独WIESMANN(ヴィースマン)、EVスポーツカー「プロジェクト・サンダーボール」の初年度(2024年)予約分が完売……2025年以降予約は可能 ★エネチェンジ、「相模湖カントリークラブ」(神奈川県相模原市)と「富士カントリークラブ」(静岡県御殿場市)にEV用充電器を設置……最高出力6kWの普通充電器を計7基 ★テラモーターズ、ラグジュアリーホテル「富岳群青」(静岡県伊豆市)含む7施設にEV用充電インフラ導入を決定 ★ワイヤレス給電技術のパワーウェーブ、アイシンのパーソナルモビリティ「ILY-Ai(アイリーエーアイ)」に無線給電の実証実験を開始……中部国際空港にて2月28日まで

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TEXT:烏山 大輔
西武バス、国内初EV路線バスとオンサイトPPAを導入

西武バス株式会社は関西電力株式会社の支援を得て、2月27日(月)から西武バス新座営業所(埼玉県新座市)にて「100%電気で走る大型路線バス」の運行を開始する。 再生可能エネルギーで走るバス この運行に合わせて新座営業所施設の屋根に太陽光パネルを設置し、発電される電気をこの営業所施設に供給して自家消費する「オンサイトPPA」を導入する。路線バスなどの事業を行う、一般乗合旅客自動車運送事業者が EVバスとオンサイト PPA をあわせて導入する取り組みは、 国内で初めての事例となる。 西武バスが運行するEVバスは、BYDジャパンが販売する「K8(ケーエイト)」である。営業所敷地内に急速充電器を設置し、動力となる電気をここから充電する。 またオンサイトPPAの導入により、日中はバスの運行管理システムの運用から空調・ 照明まで、営業所内で使用する電気の一部を再生可能エネルギーでまかなうことが可能となる。 また非化石証付電力供給の実現を目指し、実質再生可能エネルギー由来の電力のみを使用することで、100%カーボンニュートラルな営業所運営を実現する。 さらに災害時に停電した場合でも、設置した太陽光パネルから発電される電気により、営業所の運行管理機能が維持されることでバス運行が継続でき流。そして充電されたEVバスを一時避難施設などに派遣して電力供給を行い、地域住民のライフライン確保だけでなく、地域レジリエンス(地域が災害等の危機的状況を乗り越える能力)強化にも大きく貢献することも可能である。 以前から西武バスは、より安全・安心を第一として、環境や社会情勢が抱える課題解決に向けた取り組みを推進している。エクドライブの実施や、ハイブリッドバスや燃料電池バス、バイオディーゼル燃料、 リニューアルディーゼル燃料の導入などが評価され、「令和4年度 彩の国埼玉環境大賞 1 優秀賞」を受賞している。このEVバスとオンサイトPPAの導入により、これからも脱炭素社会の実現に貢献するために、環境にやさしく、地域と調和する公共交通機関を目指していくとしている。 ■運行概要 運行営業所:西武バス新座営業所
運行台数:一般乗合バス(大型路線バス)2台 運行時期(予定):2023 年2月 27 日(月)から 主な運行系統(予定): [清63] 清瀬駅北口~けやき通り~旭が丘団地 ■EVバスについて 大型EVバス:BYD K8 乗車定員:最大81人 車長:10,500mm、車幅:2,500mm、車高:3,360mm、ホイールベース:5,500mm バッテリー容量:287kWh(リン酸鉄リチウムイオンバッテリー) 航続距離:220km(乗車率 65%、エアコンなしの場合) 充電時間:約6時間 充電方式;CHAdeMO ■EV バスからの給電、災害時の対応について EVバスから電気を取り出す外部給電器を導入する。EVバスから外部給電器を介して電気を取り出し、様々な用途で電気を使用することが可能である。EVバス1台から取り出せる電気量の目安は287kWhとなる。これはスマートフォン約26,747台の充電分に相当する。 ■太陽光発電オンサイトPPA について オンサイトPPAとは、PPA事業者が所有する太陽光発電設備を、電気を使用する企業の敷地や施設に設置。その企業が PPA事業者から発電した電気を購入して自家消費する契約形態である。今回西武バスが導入する関西電力の「太陽光発電オンサイトサービス」では、関西電力が PPA事業者となり、太陽光発電設備の設置から運用・メンテナンスまでワンストップで提供している。

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TEXT:TET編集部
大阪オートメッセ2023では「EVゾーン」に注目!

2023年2月10(金)〜12(日)にかけてインテックス大阪(大阪府)で実施される「大阪オートメッセ2023」には、昨今のトレンドであるEVの展示を集めた「EVゾーン」が設置される。開幕直後の風景をさっそくお届けしよう。 日系メーカー、海外メーカー、チューニングパーツメーカー、超小型EVメーカーと幅広いバラエティ 日系自動車メーカーでは三菱、マツダ、ニッサン。海外自動車メーカーではVW、BMW、BYD、ヒョンデがそれぞれ市販モデルを展示。BYDはEVゾーンに隣接して東京オートサロンに続き独自ブースを出展、新しいブランドの価値観を来場者に伝えるよう努めている。 総合チューニングパーツメーカーであるブリッツは「アリア」、車高調整式サスペンションを主に手がける自動車パーツブランドであるクスコおよび、テスラ車のメンテナンスに注力しオリジナル・パーツも提供するA PIT東雲は「テスラ・モデル3」を持ち込んだ。 独自の超小型EVを持ち込んだのは「KGモータース」と「EVランド」の2社。KGモータースの「ミニマムモビリティコンセプト」は東京オートサロンとは異なるイエローで、丸目仕様のヘッドライトが採用されていた。EVランドの「ジンマ」「ジンマプロ」は、中国生産ながらオリジナルの製品を開発。250cc以下の軽二輪という規格ながら3輪ということで、前者では3人、輸送用のトランクを備える後者では1人乗車となる。 開催概要はhttps://ev-times.com/2023/02/09/2752に詳しいが、日曜18時まで絶賛開催中なので関西地区のカーファン、とくにEVに注目する方々はぜひチェックしてほしい。 最新情報は公式ウェブサイト、SNS公式アカウントから 公式ウェブサイト https://www.automesse.jp/ [Facebook] https://www.facebook.com/OsakaAutomesse/ [Twitter] https://twitter.com/osakaautomesse [YouTube] https://www.youtube.com/user/AutomesseAssociation [Instagram]  https://www.instagram.com/osaka_automesse/

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TEXT:TET編集部
大阪オートメッセ2023に「EVゾーン」開設 「BYD ATTO3(アット3)試乗体験」ほか各国の主要EVが勢揃い

「クルマのワクワク」をEVにも 2023年2月10日(金)から12日(日)までの3日間、大阪市住之江区のインテックス大阪において「第26回 大阪オートメッセ2023」が開催される。クルマとカスタマイズの楽しさを題材にした「エンターテインメント・モーターショー」だ。1997年から毎年、開催されているこのショーは、500台以上の車両が展示され約25万人が集まる巨大イベントに成長した。 今年の注目は「EVゾーン」の設置と、つい先日発売されたばかりの「BYD ATTO3(アット3)」の試乗体験イベントだ。「EVゾーン」には国内外の主要EVメーカーの市販モデルに加えて、ブリッツやクスコといった著名ブランドによりカスタマイズされたEVや、新しいモビリティとして注目されるコンパクトEVが展示される。 関西地域で初めてBYDアット3の日本仕様に試乗できる 「BYD アット3」の試乗イベントは会場内の特設コースで実施される。関西地域では初めて試乗が可能になるイベントで、用意される車両も日本仕様であるところが注目点だ。 試乗イベントの参加には大阪オートメッセ2023の入場券が必要。下記URLから事前予約できるが、当日の受付も可能なので会場にて状況をチェックしたい。 https://byd.co.jp/e-life/event/ EVゾーン展示車両 ・三菱自動車  ekクロス EV ・マツダ    MX-30 EV ・日産自動車  サクラ、アリア ・フォルクスワーゲン ID.4 ・BMW     i7、i4 ・BYD      アット3 ・ヒョンデ    アイオニック5 ・ブリッツ    ブリッツ アリア ・クスコ     テスラ ・KGモータース ミニマムモビリティコンセプト ・A PIT     A PIT東雲オリジナルテスラモデル3 ・EVランド   ジンマ、ジンマプロ   CARトップ&EV TIMESブース ・ブレイズ   ネクストクルーザーEV、スマートEV、EVスクーター ・マセラティ  ギブリ ・マクラーレン アルトゥーラ ・マツダ    CX60 XD-HYBRID Premium Modern、CX60 BIO FUEL ・三菱自動車  エクリプスクロスPHEV ・ヒョンデ   i20 N WRC  Rally 1 大阪オートメッセは関西地域の自動車文化のパワーを集め、「クルマのワクワク」を満喫できるイベントとなっている。「水曜日のカンパネラ」「ナオト・インティライミ」ほか著名アーティストが集うライブイベントや、SUPER GTドライバーによるトークイベントなど催しも充実し、フードパークには全国の味覚が一同に会するなど、家族で楽しめる構成が組まれている。中学生以下入場無料、U-22特別優待チケットも若いカーファンにとって嬉しい設定だ。 前売チケットの販売は本日2月9日までだが、会期中も当日券を入手できる。詳細は下記を参照されたい。 開催概要 展示会名称 […]

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TEXT:曽宮 岳大
BYDオートジャパン、日本第一弾のe-SUV「ATTO3」(アット3)を発売。価格は440万円

バッテリーEVに新顔が登場した。その名は「BYD ATTO3」(アット3)。中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳を拠点に、バッテリー・メーカーとして産声をあげ、現在はグローバルにEVを展開しているBYD。その日本向け第一弾がクロスオーバーSUVの「アット3」だ。どんなクルマなのかさっそくチェックしていこう。 日産リーフに比べて80万円以上安価な価格設定 BYDオートジャパンは1月31日、日本向け第一弾となる電気自動車「BYDアット3」の販売を開始した。全長4455mm×全幅1875mm×全高1615mmの「アット3」は、人気の高いCセグメントに属するSUVで、サイズ的には「日産リーフ」(全長4480mm)に近い。クロスオーバーカテゴリーでは、「日産アリア」(全長4590mm)や「テスラ・モデルY」(全長4751mm)よりもややコンパクトなサイズ感だ。 そしてアット3の強みとなるのは、リーズナブルな価格設定だ。バッテリー容量58.56kWh、航続距離485kmを誇る一方、車両価格は440万円と、このクラスのバッテリーEVとしてはちょっとライバルが見当たらない。航続距離が近い日産リーフの60kWh仕様(航続距離450km/価格525万3600円〜)に比べると、85万円も安価な設定だ。なお、アット3は2022年2月に中国で発売されて以降、オーストラリアやタイでも販売されており、グローバルで累計20万台以上を販売するなど、人気を伸ばしている。 それではクルマの特徴を細かく見ていこう。まずBYDについてだが、同社は中国・深圳を拠点とするメーカー。1995年にバッテリー・メーカーとして創業し、現在は自動車のほかエネルギー関連やモノレール事業などを展開。その自動車分野の日本法人として設立されたのがBYDオートジャパンだ。 アット3は、BYDが独自開発したブレードバッテリー(リン酸鉄リチウムイオン・バッテリー)を搭載したEV専用のe-プラットフォームを採用する。同社はブレードバッテリーの特徴として、優れた航続距離や強度、長寿命を挙げている。公表された航続距離(WLTCモード)は、前述のように日産リーフを凌ぐ。ちなみに車重はアット3が1750kg、リーフ(60kWh)は1670kgである。 モーター出力は150kW(204ps)、最大トルクは310Nmで、リーフ60kWh(最高出力160kW[218ps]、最大トルク340Nm)をやや下回る。なお駆動方式は前輪駆動のみ。 充実した標準装備、給電機能も完備 なお、アット3は給電機能に対応している。駆動用バッテリーから電気を取り出して利用できる「V2L」や、自宅など建物に給電を行える「V2H」に対応しており、災害時やキャンプなどで活躍する。なおV2Lアダプター(AC充電口)はオプション扱い。 アット3の主な標準装備は、LEDヘッドライトをはじめ、ハイビームアシスト、車両の周囲の障害物の有無などをモニター上で確認できるBYDアラウンドビュー、テールゲート電動オープン/クローズ機能、12.8インチタッチスクリーン(GPSナビゲーション、Apple CarPlay、Android Auto対応)、シートヒーターなど、このクラスとしては充実している。 先進安全機能についても、自動緊急ブレーキはもちろん、アダプティブクルーズコントロール、車線中央の走行をサポートするレーンセンタリングコントロール、死角の安全確認に寄与するブラインドスポットインフォメーション、リアクロストラフィックアラートなど、欲しいものは揃っている。 店舗販売で展開、2025年末までに100店舗目指す このほかBYDオートジャパンの販売面における特徴として、国内における販売ネットワークを拡充させる計画を進めている。アット3の発売日の1月31日に合わせて全国20拠点に商談や試乗が可能な開業準備室の営業を開始し、今後はショールームも拡充させていく。2月2日には日本1号店となる「BYDオート東名横浜」が、2月23日には「BYDート堺」がオープンし、2月以降さらに全国12拠点に開業準備室をオープン予定という。2025年末までには100を超えるショールーム付きの店舗を作ることを目標に掲げるなど野心的だ。BYDオートジャパンはあくまで対面販売を中心に展開する予定で、このあたりはインターネットを通じて販売するテスラと戦略が大きく異なるところである。各店舗には50kW級の急速充電器を設置する予定で、急速充電はCHAdeMO対応だ。 中国の近代都市、深圳生まれのBYD。今後人気が上昇するであろうコンパクトSUVを第一弾にひっさげ、そのスペックと価格は既存のEVを脅かす内容だ。なお、BYDオートジャパンでは今後の展開として、2023年中頃にEVコンパクトカーの「DOLPHIN(ドルフィン)」を、2023年下半期に電動セダンの「SEAL」の日本での展開を予定している。今後の展開も楽しみだ。

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TEXT:TET 編集部
BYD、SUV型のEV「ATTO3」(アット3)が国内販売開始……デイリーEVヘッドライン[2023.02.01]

BYD、SUV型のEV「アット3」(ATTO3)が国内販売開始……1月31日から 【THE 視点】BYDの日本法人であるBYDオート・ジャパンは、1月31日よりミドルサイズSUVのEV「アット3」を発売した。  同社は今後、正規ディーラーを全国に順次オープン。1月31日より商談や試乗の案内が可能な開業準備室を全国20店舗で営業を開始。2月以降はさらに全国12ヵ所の開業準備室をオープン予定で、2月2日にはショールームを備えた店舗の日本1号店となる「BYDオート東名横浜」をオープンするという。  筆者は先日の東京オートサロンで、「アット3」の実物を初めて見た。最大の特徴は最新の「e-プラットフォーム3.0」が採用されていること。BYD製のバッテリー(LFP)モジュールを板状に構成した「ブレードバッテリー」を核に、バッテリーパックをベースとしたEVプラットフォームを構築している。バッテリー容量は58.56kWhで航続距離は485km(WLTC)となっている。  デザインは好みもあるが、特に幅が広くなりがちの最近の車にしてはちょうど良いサイズと感じた。外装のクオリティも高かった。室内も十分な空間が確保されていて、ガラスサンルーフも標準装備なので開放的に思えた。  インストルメントパネル周りは円筒型をモチーフにしたのだろうか、丸形で構成されるエアコンのダクトやシフトレバー等が印象的だった。ユニークに思ったのはセンターディスプレイで、パネルの中のスイッチをタッチすると90度回転し横型にも縦型にもなる。こういった遊び心を兼ねた実用面が考慮されていることは好印象だった。  やはり驚きは税込440万円という販売価格。EVの値上げが伝えられている中、先日の発表通りの価格で発売された。実物も見て「アット3」がすべてにわたり価格を超えるパッケージを有していると感じている。早く試乗もしてみたいものである。[関連記事はこちら<click>] (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★「BYDオート東名横浜」(横浜市緑区)を2月2日にオープン……BYDのショールームを備えた日本1号店 ★フォード、米本国でEVの「マスタング・マッハ-E」を値下げ……生産も増強[詳細はこちら<click>] ・トヨタ、トルコで新型「C-HR PHEV」の生産を開始……PHEV用バッテリーの組み立てではヨーロッパ初 ・ネクステージ、BYDオート・ジャパンとディーラー契約を締結……2023年夏頃に、池袋エリア(東京都豊島区)にショールーム開設、2月1日より開業準備室を稼働 ・ABB E-モビリティ、EV用充電器の世界販売台数が100万台に……日本国内では2022年までに450台のDC充電器を導入、2023年度に倍増を目指す ・BBS、「東京オートサロン2023」でEV向け新型ホイールを発表……アルミ合金の新素材「フォルテガ(FORTEGA)」を使用[詳細はこちら<click>] ・テラモーターズ、不動産企業「プロパティエージェント」と業務提携……管理物件に充電インフラ「テラ・チャージ」を導入 ・日産、奈良県宇陀市と連携……EV普及に向けた啓発活動のほか、災害時に「リーフ」などから電源を供給 ・折りたたみ電動バイクシェアの「シェアロ」、シェアリング・ステーションにソーラーを設置……外部電源に頼らない運用をテスト ・日本EVクラブ、「電気カート組み立て教室」を2月4日に開催……東京国際交流館(東京都江東区)にて、小学4〜6年・中学生対象

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TEXT:福田 雅敏
日本市場で存在感を増す新興EVメーカー……EV開発エンジニアのオートサロン探訪[その2]

世界最大級のカスタムカーのイベント「東京オートサロン2023」が1月13日から15日まで幕張メッセで開催された。今回の「オートサロン」には、多数のEVも出展されると聞いた。そこでEV開発エンジニアであり本媒体のエグゼクティブアドバイザーである福田雅敏が現地に赴いた。その現場をレポートしたい。今回は「その2」をお送りする。 超合理的に作られた1人用超小型EV、KGモーターズ「ミニマム・モビリティ・コンセプト」 今回気になっていた展示車が、スタートアップ企業「KGモーターズ」(広島県)が開発した「ミニマム・モビリティ・コンセプト」だ。展示されていたブースは、テスラが認めたカスタマイズパーツを扱うアフターパーツメーカー集団「テスラ・アライアンス」の一角。車両は小さいながらも、異彩を放っていた。 今回実車が初公開された「ミニマム・モビリティ・コンセプト」は、既に発表済みの軍用車にも似たものとは異なり、愛着のわく可愛い原付4輪EVとなっていた。かなり特徴的なスタイリングだ。 ボディサイズは全長2,450×全幅1,090×全高1,500mmとなる非常にコンパクト。80年代のポラロイドカメラをモチーフにレトロ感を演出しながら、前後左右対称という近未来的なデザインとなっている。フロントから見ると、なんだかポーランド製の「フィアット126」を想起させる雰囲気があった。 このボディデザインには理由がある。この形とすることで、ひとつの整形型で左右のボディパネルが作れる。すなわち合理的にコストダウンができるのだ。ガラスもコストを抑えやすい平面ガラスを使用している。 走行性能は、定格出力0.59kW(0.8ps)、最高出力5kW(6.8ps)、航続距離は100kmと控えめだが、エアコンがついており、1人用のチョイ乗り下駄代わりとしては十分だ。展示された試作車は日本製の部品で組み上げたというが、今後中国製のバッテリー等も検討し100万円を切る価格での販売を目指すという。100万円で100km走れるEVというのは魅力的ではないだろうか。 現在はモニターを募集中で、月額1万円で2ヵ月100人を募集しているという。興味ある方はぜひKGモーターズに問い合わせてみてはいかがだろうか。

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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