BYD 記事一覧

TEXT:高橋 優
販売台数と収益性でテスラを凌駕! 決算に見るBYDの強さとこれから先の戦略

販売台数は前年同期比で40.2%成長 中国・BYDが2024年第2四半期の決算を発表しました。収益性を大幅に改善させることに成功し、テスラよりも多くの自動車を販売しながら、テスラよりも稼ぐ力をつけている動向も判明しました。 現在、BYDはバッテリーEVとPHEVのみをラインアップするというメーカーであり、中国国内だけでなく、日本市場をはじめに海外展開を加速させています。他方で、BYDに対する逆風が、2023年冒頭にテスラが始めた、中国国内のEV値下げ戦争です。しかも、2023年初頭までは、バッテリーの原材料であるリチウムのコストが暴騰していたことで、値下げ圧力と原材料コストの高騰というダブルパンチを受けてしまっていたわけです。いずれにしても、BYDがどれほど販売台数と収益性を両立させることができるのか。とくにEV減速と世間でいわれながら、EVだけで利益を出すことも難しいといわれるなかにおいて、世界最大のEVメーカーがどれほどの決算を実現できるのかに注目が集まっていました。 そして、今回判明した2024年第2四半期における決算内容について、まず初めにBYDの月間販売台数の変遷を見てみると、とくに最新の8月は37.3万台超という月間ベースでの史上最高台数を更新し、2024年は2月を除いて毎月販売台数を増やしています。 次に、その売り上げは1761.8億元、日本円でおよそ3兆5500億円と、前年同四半期比で25.9%もの成長を実現しています。他方で、販売台数は前年同期比で40.2%もの成長を実現していることから、BYDの値下げ戦略が一定程度売り上げに影響しているものと推測可能です。 その一方で、BYDの底力が見て取れるのが収益性です。とくに注目するべきは、粗利益について、前年同期比で25.6%もの粗利益の増加を実現しながら、売り上げに占める粗利益率18.69%と、この値下げ戦争下、しかも主力車種がシーガルやQin Plus、Qin Lなどといった、100万円台から200万円台の大衆セグメントであるという点を踏まえると、優れた収益性を確保していると言えます。 さらに、販管費や研究開発費などを差し引いた営業利益という観点も改善を見せてきています。実際に第二四半期の営業利益率は7.24%と、2024年第1四半期に記録した4.64%と比較しても大幅に改善し、史上最高水準に到達しています。 この史上最高水準の営業利益率について、EV製造のさらなるコストダウンに成功しているのではないかと推測できます。 とくに、バッテリーの主要原材料であるリチウムの原材料コストが、2022年に突入して以降、高騰を見せていたことは記憶に新しいものの、直近の価格動向をみると、すでに2021年初頭の水準にまで急落済みです。結局のところ、リチウムの原材料コストの急騰というのは一過性の動きであり、ロシアウクライナ戦争などの政情の不安定さが落ち着きを取り戻すと、EVシフトが加速するなかにおいても、数年前のコストと同様の水準に落ち着いてしまっているわけです。 よって、とくにバッテリーを製造するだけでなく、リチウムの鉱山を所有するなどという垂直統合を進めるBYDは、そのリチウム価格急落の恩恵を受けているものとも推測可能なわけです。

TAG: #決算 #第2四半期
TEXT:TET 編集部
BYD全国33番目のディーラーが輸入車激戦区に誕生! 「BYD AUTO港北ニュータウン」10月11日オープン

神奈川の輸入車激戦区にBYDいざ出陣! 全国で33店舗目、神奈川県内では3店舗目となるショールームを備えたBYDの正規ディーラー店舗「BYD AUTO港北ニュータウン」が、2024年10月11日(金)にオープンする。 「BYD AUTO港北ニュータウン」は、ショールームを備えているだけでなく、専用のサービス工場を併設し、購入後も万全のアフターサービスでBYDのある生活をサポートしてくれる。 同店のショールームには、現在発売中のミドルサイズSUV「アット3」、コンパクトEVの「ドルフィン」、8月に輸入EV車でトップのセールスを記録したe-スポーツセダン「シール」が展示される。 白を基調にした清潔感とゆとりを感じさせる心地よいショールームには、BYDに関する幅広い専門知識を持ち、EVライフへの疑問に的確に対応可能なセールス・スタッフが常時待機し、商談や試乗の受付等を担当するという。 整備担当のサービス・スタッフは、「BYD Academy」というBYDのEVに関する高度なトレーニングを受けたプロフェッショナルなサービス・スタッフが配置され、店舗全体で顧客の快適なe-Lifeを力強くサポートしていく姿勢だ。 神奈川県内でもとくに輸入車を保有する家庭が多く、大通り沿いには輸入新車ディーラーや輸入車を中心に取り扱う中古車店がひしめく「輸入車激戦区」の横浜市都筑区エリア。1日に数軒のEV取り扱いディーラーを巡ることだって可能なほど密集しているエリアだけに、そこにオープンするBYD AUTO港北ニュータウンの存在は、EVの購入検討者にとってはありがたい。 激戦区でBYDが存在感を示すことができるのか、真価が問われそうだ。 ■BYD AUTO港北ニュータウン 概要 所在地  〒224-0001 神奈川県横浜市都筑区中川8-1-4 オープン 2024年10月11日(金) 営業時間 10:00~19:00 定休日  毎週火曜日・水曜日 電話番号 045-755-7351 メール  bydauto.kohokunewtown@accel-co.jp 運営会社 (株)アクセル  

TAG: #BYD #BYD AUTO #ディーラー
TEXT:TET 編集部
8月の輸入車BEV登録台数のトップをBYD「SEAL」が奪取! BYDの月間登録台数も過去2番目の好成績

シールの累計受注台数は430台! 今年6月に発売し、各メディアでその走りのポテンシャルが高く評価されているBYDのフラッグシップモデル「SEAL(シール)」。JAIA(日本自動車輸入組合)調べによる8月の月間登録台数では、シールが現在販売されているすべての輸入BEVのなかで、1番多く登録されたクルマになった。 これが後押しとなり、BYD全体の8月の乗用車総登録台数は298台となり、2024年3月に記録した353台に次ぐ2番目の成績を残した。そのうちシールが占める割合は66%と高い。シールは後輪駆動モデルと四輪駆動(AWD)モデルの2タイプをラインアップしているが、BYDによると、8月は前者の登録が62%、後者が38%という内訳になり、後輪駆動モデルの人気が高いという。 「シール」好調の要因とは? シールは6月25日の発売以来、累計受注台数は430台に達したとBYDは発表している。1000台をひとつの販売目標としてキャンペーンを実施し、新型車効果と併せて輸入BEVでのシェア獲得に奔走するBYDおよびシールではあるが、発売2か月で目標台数の40%を超えてきたのは上々の滑り出しといえるだろう。 BYDはこの好調さを次のように分析している。 「お客さまの期待を超えるクルマとしての出来に加え、長澤まさみさんによる『ありかも、BYD!』全国TVCM効果と、BYD SEALシリーズに特化した「PERFECT or NOT ? 答えは試乗で」と題したTVCMおよびマーケティング活動が大きく貢献しています。」 「既販モデルのBYD DOLPHIN(ドルフィン)やBYD ATTO 3(アット3)同様、BYD SEALの受注に至ったお客さまからは、以下のような、すべてのBYD乗用車に共通する「期待を超えた」3つの購入理由が挙がっています。」 ここで挙げられた3つとは以下のことである。 1.期待を超える「価格」 2.期待を超える「装備」 3.期待を超える「走り」 価格や装備はある程度WEBで情報収集ができるため、購入を検討するライバル車との比較も容易だが、こと「走り」に関しては、我々メディアの情報やインフルエンサーによる動画レビューだけでは判断つきかねるものだ。それでも「走り」が評価されているというのだから、実際に試乗して購入に踏み切ったオーナーがそれだけ多いということを意味しているのだろう。 ゆえに、百聞は一見に如かずと今後予定されている試乗イベント「Hello! BYD Caravan」に足を運び、実際に試乗してフィーリングを確かめてみるのがいいかもしれない。 今年3月以降、全国18カ所で行われてきた試乗イベントだが、9月中は以下の場所で開催が予定されている。なぜBYDは好調なのか、実際に乗ってチェックしてみよう。 ■「Hello! BYD Caravan」開催日程/場所 9/20(金)~22(日)北海道札幌(さっぽろ創世スクエア HTBエントランスホール) 9/21(土)~22(日)大分JR大分駅前広場(北口)

TAG: #BYD #SEAL #シール
TEXT:高橋 優
電費は抜群! 充電性能も文句なし! BYDシールの実走行テストでわかったEVとしての高い能力

BYDシールの航続距離や充電性能をテスト BYDの最新EVであるシール RWDで恒例の航続距離テストと充電性能テストを行いました。BYDのフラッグシップEVがどれほどのEV性能を実現することができたのか。リアルワールドにおける航続距離や充電スピードをリポートします。 *航続距離テスト まず、航続距離テストの前提条件は以下の通りです。 ・GPSスピードの平均車速が時速100kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・充電残量100%までサービスエリア下り線で充電したあと、途中のインターで折り返して、同じサービスエリア上り線まで戻ってくる。充電残量は10%程度以下まで減らし切る ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールRWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも2.2%短く表示) 結果:駿河湾沼津SA下り→甲賀土山IC→清水PA上り ・走行距離:518.8km ・消費電力量:100%→10% ・平均電費:7.12km/kWh(140Wh/km) ・外気温:25〜32℃ ※シールは当該トリップの電費情報が表示されません。他方で直近50kmの区間電費が表示されるので、50km毎に電費をメモ。すべてを平均して電費を算出しています。 よって、航続距離テストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、588kmを走破可能であることが確認できました。 *ハイスピードテスト 次に、ハイスピードテストの前提条件は以下のとおりです。 ・GPSスピードの平均車速が時速120kmになるように調整 ・途中ノンストップ ・車内の空調システムは基本的に21℃オート。一部車種で温度調整あり ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールRWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも2.2%短く表示) 結果:駿河湾沼津SA下り→新静岡IC→駿河湾沼津SA上り ・走行距離:94.8km ・消費電力量:90%→69% ・平均電費:5.21km/kWh(192Wh/km) ・外気温:26〜27℃ よって、ハイスピードテストの結果から、充電残量100%状態から空になるまで、461kmを走破可能であることが確認できました。 *充電性能テスト ・使用充電器:ABB製150kW急速充電器(eMP/空冷ケーブル) ・SOC10%〜80%充電時間:40.5分 ・最大充電出力(SOC):105kW(64%) ・30分回復航続距離(航続距離テストベース):305km

TAG: #充電 #長距離
TEXT:TET編集部
沖縄県のレンタカー店「BYD ドルフィン」を大量導入! じつは浅からぬ関係の沖縄とBYD

130台もの大量導入に至った背景とは? 「ありかも、BYD」のキャッチフレーズで乗用EVの積極的な展開を進めるBYDが、D&Dホールディングスの100%子会社で、事業者向けレンタカー業務を行うバンクレンタカーに、コンパクトEVの「ドルフィン・ロングレンジ」を計130台導入した。 実際に車両を運用するのは、D&Dホールディングスの関連子会社であるエバーグリーンモビリティと、D&Dマネージメントの2社だ。いずれも沖縄県内の店舗で8月29日からレンタカーとして運用を開始している。 エバーグリーンモビリティが運営する「エイビスバジェット・レンタカー 那覇空港店」では、2024年3月から試験的に10台のドルフィン・ロングレンジをレンタカーとして導入していた。今回はそれに次ぐ導入にあたり、90台を加えて計100台体制での本格運用に入る。なお、先行導入した10台は豊見城市と災害時の緊急電源として、避難所などに提供する協定を結んでおり、追加の90台についても同様に提供していく予定だという。 D&Dマネージメントは、2023年7月からBYD正規ディーラーである「BYD AUTO 沖縄」を運営しているが、今回のレンタカーに関しては「バジェット・レンタカー 石垣空港店」と「バジェット・レンタカー 宮古空港店」などで運用されるという。 BYDのEVが大量投入されることになった理由は、沖縄の自然環境保護にほかならない。しかし、排気ガスが出ず環境負荷が小さいからといって、電費を気にしながら沖縄県内を走りまわっていたら、レンタカー利用者は気疲れしてしまうが、そこは心配無用だ。 一般社団法人沖縄しまたて協会がまとめた「レンタカープローブデータを用いた観光交通特性調査」では、沖縄県内のレンタカーの平均走行距離は287.7kmという結果が報告されている。実際ドルフィン・ロングレンジを本格導入する前におこなった試験運用では、多くの利用者は経路充電を利用していないのだという。すなわち、クルマを返却するための充電を除けば、クルマを借りてから返すまでの間に、充電を気にする必要がないということだ。これにより、ドルフィン・ロングレンジは沖縄県内での運用に十分な航続能力が備わっていることが実証され、今回の大量導入につながった。 数字が示す沖縄でのBYD人気 じつはBYD、沖縄県とは浅からぬ関係にある。2017年に大型EV観光バス「K8」を10台導入したのを皮切りに、日本市場専用に開発されたコミューターサイズの小型EVバス「J6」は、これまでに沖縄県の自治体が計19台採用している。絶対数でいえばまだまだ数が少ないEVバスだが、これまで300台余りを導入し国内シェア8割を獲得したBYDの実績から考えれば、沖縄県の導入台数はその約1割にあたり、全国でもEVバスの導入に積極的な自治体が多いことがわかる。 一方の個人向け乗用EVは、2023年3月に「BYD AUTO 沖縄」がオープンして以来、2024年8月までに県内で236台の登録があったという。これも2023年1月から始まったBYDの乗用EV販売開始以来、2024年8月までに全国で2700台ほどの登録があったことを考えると、全国47都道府県のなかでも、沖縄でBYDが人気なことがうかがい知れる。 なお、BYDとしては、今回のEVレンタカー130台の導入により、県内外の多くの人にEVを体験してもらい、良い印象をもって今後のEV選びでBYD製を選択してもらえることが目標だとしている。また、レンタカー利用が終了したあとの車両は、今年から始まった認定中古車制度の基準に照らし合わせて、手ごろに乗れるEVとして全国の正規ディーラーで中古車販売がなされる予定だという。 BYDは公共交通の一端を担うEVバスと、個人利用が主となる乗用EVの双方で、沖縄の自然環境保全に対して地道に貢献してきている。その貢献に対し、ひとりでも多くの利用者が「ありかも、BYD」と思ってもらえたら、感慨もひとしおだろう。

TAG: #BYD #EVバス #ドルフィン #レンタカー #沖縄県
TEXT:高橋 優
BYDシールで1000km走って「充電性能の安定性」に衝撃! リアルワールドでも「コスパ最強」が証明された

BYDの最新セダン「シール」のEV性能をチェック! BYDの最新セダンであるシールRWDで恒例の1000kmチャレンジを行いました。BYDのフラグシップEVがどれほどのEV性能を実現することができたのか。途中の電費や充電の様子を詳細リポートします。 まず、1000kmチャレンジの前提条件は以下のとおりです。 *走行ルート 海老名SA下り(神奈川県) ↓ 加古川北IC(兵庫県) ↓ 海老名SA上り(神奈川県) *走行条件 ・途中充電のための停車以外はノンストップで海老名SA上りを目指す ・車内の空調システムはつねにONにして快適な状態をキープ ・追い越しなど含めて、制限速度+10%までは許容 ・渋滞や充電エラー、充電渋滞など、車両の問題以外についてはトータルのタイムから除外 ・車種それぞれのオドメーターとGPS上の距離を補正(今回のシールRWD・19インチ純正タイヤ装着の場合はGPS距離よりも2.2%短く表示されているため、オドメーター上で978kmの段階でゴール) ※シールは当該トリップの電費情報が表示されません。他方で直近50kmの区間電費が表示されるので、50km毎に電費をメモ。すべてを平均して電費を算出しています。 1)海老名SA下り→湾岸長島PA下り(150kW級急速充電器) ・走行距離:298.2km ・消費電力量:100%→43% ・平均電費:約6.52km/kWh(152Wh/km) ・外気温:29℃→29℃ ・充電セッション:43%→85%(27分) まず、この区間で驚くべきは、300km先の目的地に充電残量43%で到着しているという点です。確かに120km/h制限区間の流れが悪かったため、空いている場合と比較すると電費がよく出てしまっているものの、それでもSOC60%弱で海老名〜名古屋を走破。これだけでもシールに搭載されている82.56kWhの大容量さを実感できるでしょう。 また、充電について、SOC85%まで充電を入れられた理由は、シールの充電性能の高い安定性です。というのも、シールはSOC60%前半まで105kWを発揮しながら、SOC80%前半まで80kW前半を維持することができます。この後、湾岸長島PA上り線までは150kW級急速充電器がないため、90kW級で発揮できる80kW前半を入れ切ってしまっています。なぜなら、途中の90kW級を使用する際に先客がいたり途中でEVが充電を始めると、充電出力を分け合ってしまい、規定どおりの出力を発揮できない可能性があるからです。 いずれにしても、このフラットな充電カーブは、テスラのような高い充電出力が一瞬しか発揮されず、断続的に充電出力を絞るという挙動よりも、一般ユーザーにとってわかりやすい仕様だと感じます。 2)湾岸長島PA下り→加古川北IC(折り返し)→草津PA上り(90kW級急速充電器) ・走行距離:325.1km ・消費電力量:85%→14% ・平均電費:約5.94km/kWh(168Wh/km) ・外気温:29℃→27℃ ・充電セッション:14%→31%(15分) すでに折り返し地点を超えました。1000kmチャレンジの最長区間での平均電費は約168Wh/kmと、120km/h制限区間を含む1回目よりも電費が悪化する結果に。120km/h制限区間の流れが少し悪かったことを考慮に入れても、160Wh/kmは切るだろうと推測していたので、やや残念な結果に。 そして、草津PAに設置されているのは90kWであることから、すぐ先の湾岸長島PAの150kWを使用したほうが充電時間を短縮できるので、ここでは湾岸長島PAに辿り着けるぶんだけの充電に留めています。

TAG: #充電 #長距離
TEXT:TET 編集部
全国32番目のショールームが愛知県に登場! EV購入を力強くEV生活をサポートしてくれるBYD正規ディーラー「BYD AUTO 名古屋東」をオープン

BYDが日本で展開するラインアップ全車を展示 BYDにとって全国で32店舗目、愛知県内では岡崎と名古屋北に続くショールームを備えた3番目の正規ディーラー店舗「BYD AUTO 名古屋東」が、2024年9月6日(金)にオープンする。 「BYD AUTO 名古屋東」は、名古屋インターチェンジから約5分の県道名古屋長久手線沿いに位置する。 同店のショールームには、現在発売中のスポーツセダン「シール」、ミドルサイズSUV「アット3」、コンパクトカー「ドルフィン」のEV3車種が展示される予定だ。白を基調としたショールームには、BYDに関する幅広い専門知識を持ち、EVのある暮らしに対しての疑問へ的確なアドバイスとサポートが可能なセールス・スタッフが常時し、商談や試乗の受付等を担当してくれる。 車両整備を担当するサービス・スタッフは、「BYDアカデミー」と呼ばれるBYDのEVに関する高度なトレーニングを受けたサービス・スタッフを配置。製品知識はもちろんのこと、EV購入時のコンサルティングやアフターサービスなど、技術面からも力強くEV生活をサポートしてくれる。 BYDは今後、2025年末までに全国でショールームを備えた店舗を100軒以上にすることを目標として掲げている。今回オープンするBYD AUTO 名古屋東はその32店舗目にあたる。まだまだ店舗数でいえば少ないと感じるかもしれないが、ショールームを備えていないものの、試乗や購入に関する相談およびアフターサービスの受付などが可能な「開業準備室」を含めると、全国で58拠点がすでにオープンしている。この開業準備室を含めた拠点一覧はBYDのホームページに掲載されているので、一度ご覧いただきたい。案外近くに拠点があるかもしれい。 日本に上陸して日は浅いが、着実に拠点を増やしているBYD。この地道な努力がBYDの顧客拡大、ひいてはEVの普及へとつながっていくのだと期待したい。

TAG: #BYD #ディーラー #愛知県
TEXT:高橋 優
日本で発売直後なのに中国では年次改良で新型登場! BYDの新型SEALの実力がヤバい

シールの弱点だった充電性能を改善 BYDが日本国内でも発売中のEVセダン、シールの2025年モデルの発売を中国国内でスタートしました。シャオミSU7やテスラ・モデル3に対抗するために驚異的なコスト競争力を実現。日本市場に導入される可能性や時期についても含めて解説します。 まず、シールについては、いよいよ日本国内でも納車がスタートしている最新セダンであり、私自身もすでに4000kmほど走らせて、EV性能や快適性を徹底的に検証済みです。結論としては、日本国内で発売されているEVセダンとして圧倒的にコストパフォーマンスが高い一台として、非常に完成度が高いと結論づけていました。 その一方で、中国本土でも、このシールの該当するプレミアムセダンセグメントは、もっとも競争の激しいセグメントであり、このカテゴリーでもっとも人気なモデルとして君臨しているのがシャオミSU7です。 SU7は21.59万元、日本円で445万円から発売中です。最長830kmものゆとりの航続距離、独自の自動運転システム、Hyper OSと名付けられた独自OSの採用、何といってもシャオミというブランド価値も相まって、テスラ・モデル3に代わる新たなベンチマークとなっています。 さらに、そのテスラ・モデル3、Zeekr 001、007、Galaxy E8、ファーウェイLuxeed S7、IMモーターL6など、極めて競争力の高いEVセダンが、おおむね20万元程度、日本円で410万円程度の価格帯にひしめき合っていることから、このプレミアムセダンセグメントで販売台数を稼ぐことは至難の業となってしまっています。 実際にシールも、2022年8月の発売当初は月間1.5万台級というセグメントトップクラスの販売台数だったものの、2024年に突入してからは月間1000台程度へと販売が低迷してしまっていたわけです。 いずれにしても、テスラを中心として、Zeekr、NIO、Li Auto、ファーウェイ、シャオミなどが群雄割拠するプレミアムセグメントにおいて、大衆車ブランドのBYDがどのように反転攻勢していくのかに大きな注目が集まっていたわけです。 そして、そのような背景において、BYDが2025年モデルとしてシールのモデルチェンジを実施してきました。シールは3月25日にもHonor Editionとして2024年モデルを発売していたことから、2024年は、2023年Champion Edition、2024年Honor Edition、そして最新の2025年モデルと、3種類を購入可能というモデルチェンジラッシュの状況です。 他方で2025年モデルでは、フルモデルチェンジとしてEV性能や装備内容を飛躍的に改善してきており、一気に注目度が高まっています。 今回の新型シールは全部で4グレード展開ですが2024年モデルと比較して、バッテリー容量がわずかに減量されており、その分航続距離も650kmと、50km短縮されています。 しかし、もっとも改善されているのが充電性能です。これまでのe-platform 3.0から、e-platform 3.0 evoへプラットフォームを刷新。炭化ケイ素インバーターを採用。毎分2.3万回転可能な新型モーターを採用し、最高速を時速240kmにまで引き上げることに成功しました。 その上、それらのインバーターやモーターなどを統合した12-in-1方式のパワートレインを採用することで、これまでの8-in1よりもさらに統合。SOC10%から80%まで25分間で充電可能であり、さらにSOC80%から100%まで18分間に短縮。また、冬場における充電性能も、自己加熱パルス充電システムを導入し、バッテリー温度の昇温スピードを230%向上させ、充電時間を40%短縮することに成功。いずれにしてもシールの弱点ともなっていた充電性能に大きなテコ入れがなされた格好です。

TAG: #フルモデルチェンジ #新型
TEXT:高橋 優
日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能

中国では2024年5月に発売 中国BYDの最新EV、Sea Lion 07が、日本国内でテスト走行する様子が目撃されました。2025年に投入されるのは、BYDの最新電動SUVである可能性が濃厚となったという最新動向について、日本国内で競合車種となり得る、テスラ・モデルYや日産アリアと比較して、どれほどの性能を実現しているのかを解説します。 今回取り上げていきたいのが、BYDが中国本国で正式発売をスタートさせた新型EV、Sea Lion 07です。2024年5月10日に中国本国で発売がスタートし、5月下旬から納車がスタートした、BYDの超最新モデルとなります。 その最新モデルが、すでに日本でもテスト走行を行っているということは、Sea Lion 07がかなり早いタイミングで、日本国内に導入されることを示唆しているわけです。BYDジャパンは、2025年以降も、毎年1車種ずつEVを投入すると表明していることから、おそらく、2025年シーズンに投入される新型EVというのは、このSea Lion 07の可能性が濃厚となったわけです。 それでは、2025年の早いタイミングで発売されるであろう、このBYDの最新EV、Sea Lion 07について、その注目すべきEV性能を一挙に確認しましょう。 はじめに、このSea Lion 07は、全長4830mm、全幅1925 mm、全高1620 mm、ホイールベースが2930 mmというサイズ感です。 そして、BYDの最新テクノロジーとして、これまでドルフィンやシールに採用されているe-platform3.0から、さらに改良を加えたe-platform3.0 Evoを初採用しました。これまでは8-1方式の一体型パワートレインを採用していたものの、Sea Lion 07では12-1方式のパワートレインを採用。さらに統合を進めてきた格好です。 しかも、搭載モーターの最高回転数は毎分2.3万回という、量産モーター史上、最高回転数を実現。また、より高効率な炭化ケイ素を採用するインバーターも搭載。そして、インテリジェント自己加熱モジュールと名付けられた、冬場における充電速度を早める機能を採用。よって低温状態におけるバッテリー温度の昇温スピードが230%アップし、充電速度が40%向上します。 また、充電性能の向上という点で、充電残量80%以降の充電速度を大幅に向上させ、充電残量80%から満充電状態まで18分間で充電を完了できます。低温状態時の充電スピード向上とともに、EVにおける充電性能を、さまざまな観点で向上させています。 それでは、この最新EVプラットフォームを採用したSea Lion 07が、日本で発売中のミッドサイズSUVであるテスラ・モデルY、日産アリア、ヒョンデIONIQ5、トヨタbZ4Xと比較して、どれほどの性能を実現できているのかについて、EV性能と標準装備内容の両面から考察していきたいと思います。

TAG: #Sea Lion 07 #テスト走行
TEXT:TET 編集部
宿敵テスラ・モデル3よりも3万3000円安で発売開始! BYDの新型EVセダン「シール」がいよいよ上陸

後輪駆動とAWDのふたつシールで強豪に挑む BYDが2023年1月に日本市場へ参入したときから販売が予告されていた新型EVセダン「SEAL(シール)」が、いよいよ2024年6月25日から全国55拠点のBYD AUTO正規ディーラーにて販売開始。 BYDシールのボディサイズは全長4800mm、全幅1875mm、全高1460mmとなり、直接的なライバルのテスラ「モデル3」と3方向すべてにおいて数センチ程度しかサイズが変わらない。それは価格においても同様で、エントリーグレードのテスラ・モデル3 RWDの531万3000円に対し、BYDシールは528万円(ともに税込み)と両車がっぷりよつの価格にBYDは設定してきたのだ。 BYDが公言しなくても、外野である我々はライバルを意識しまくりの戦略的価格設定にヤンヤと騒ぎ立てたくなるし、500万円台DセグメントEVセダンの戦国時代が開幕したと勝手にワクワクしてしまう。 日本に導入されたBYDシールは、ベースモデルで後輪駆動の「BYD SEAL」と、四輪駆動の「BYD SEAL AWD」の2グレード展開。駆動方式の違いによりモーター出力も異なり、後輪駆動モデルが230kWなのに対し、AWDモデルはリヤ230kWに加えフロントに160kWのモーターを装備する。これにより0-100km/h加速は「BYD SEAL」の5.9秒に対し、「BYD SEAL AWD」は3.8秒と、2秒以上も上まわる。当然クルマの味付けとしては、AWDモデルがよりスポーティさを強調したグレードに仕上がっているはずだ。 シールが搭載する駆動用バッテリーは、バッテリーのトップカバーがボディフロアとしての役割を果たし、バッテリーそのものが車体構造の一部となるように設計されたCTB(Cell To Body)テクノロジーが採用されている。これにより衝突安全性が向上し、CTB非搭載車に比べてボディ変形量が正面衝突で50%、側面衝突では45%減少するのだという。同時にボディのねじり剛性が高まり、ハンドリング性能が向上。また、効率的な空間設計が可能となり、特に高さ方向で車内空間の拡大に貢献している。 バッテリー容量は両グレードともに82.56kWhだが、システム合計出力の差により一充電走行距離は後輪駆動モデルが640kmなのに対し、AWDモデルは動力性能と引き換えに575kmと65kmばかり走行距離が短くなる。 税込の全国メーカー希望小売価格は、後輪駆動の「BYD SEAL」が528万円、四輪駆動の「BYD SEAL AWD」が605万円で、納車開始時期は前者が7月末ごろ、後者は8月末ごろからを予定しているとのこと。 なお、ボディカラーは両グレード共通で全5色。内装色はブラックの1色だ。 BYDシールが参入する輸入セダン市場は、Dセグメントに分類されるミッドサイズクラスのセダンが全体セールスの50%を占める主力セグメントだ。BYDは参入にあたって次のようにコメントしている。 「BYDはこの市場でBYD本来の強みである『先進的なバッテリー技術』『最新のEVプラットフォーム』『最新の安全・快適装備』を満載したBYD シールを通じて、このセグメントで“e-スポーツセダン”という確固としたポジションの確立を目指すとともに、広く国内のセダン市場でもその存在感を明確に示していきます」 つまり、シールには日本市場においてBYDのイメージリーダーであり、フラッグシップモデルとして、ブランドの認知向上が期待されているのだ。当THE EV TIMESでは、昨年中国で行われたBYD SEAL AWDの試乗会でシールAWDモデルのハイパフォーマンスぶりをレポートしている。そのときから熟成が重ねられていると思われるシールが、日本でどのような走りを魅せてくれるのか、いまから期待せずにはいられない。

TAG: #BYD #SEAL #シール #セダン #新型車情報
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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