TEXT:福田 雅敏/ABT werke
世界ではEVは爆売れ中だが日本は……8月の世界EV販売台数は100万台超えで市場が成長中[2023.10.03]
「BYD・ドルフィン」などの廉価なEVを用意する中国勢が圧倒的強さを見せる 日本勢は「ジャパン・モビリティ・ショー」で実車のEVを発表し実力を示せ 【THE 視点】調査会社のマークラインズは9月25日、EVの世界販売の約90%をカバーする主要14カ国を対象に、グローバル市場におけるEVの台数情報及び販売動向を分析した2023年8月の「電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売月報」(商用車を除く、推計値を含む)を公表した。8月のEV世界販売台数は108.8万台となった。 対象国は、中国/米国/日本/インド/ドイツ/フランス/ブラジル/英国/韓国/カナダ/イタリア/ノルウェー/スウェーデン/フィンランドの計14か国。 108.8万台という数値は、前年同月比36.5%増、前月比10.7%増といずれも二桁増という結果を表している。14カ国合計の販売台数に大きな変化はなかったが、EVの販売台数が10万台強増加したことで、シェアは前月比2.0ポイント上昇の21.5%。急激に台数が伸びた昨年末と比較すると、差は1.0ポイントにまで縮まり、EVの割合が着実に高まっていると言える。 また、1月~8月の累計は706.0万台となった。前年同期比32.7%増という結果で、累計値でも前年より増加傾向が続いていることが見てとれる。 主要メーカーのEV販売台数推移では、首位BYD、2位テスラ、3位フォルクスワーゲングループという結果になった。 なかでもBYDの販売台数は右肩上がりの増加を見せている。複数の電気自動車ブランドを持つ中国ジーリーや、同国内で強力な販売力を持つ広汽集団も2023年年初から順調に台数を伸ばしている。 中国メーカーは、2022年後半からEVを中心に輸出や海外進出を急速に拡大している。中国全体での自動車の輸出台数は、2020年が年間で約76万台であったのに対し、2023年1月~8月時点でその3倍以上となる約245万台となっている。 一方でHVの台数は、8月単月が前年同月比29.0%増の31.1万台となったが、前月比では10.6%減という結果となった。しかし1月~8月累計は前年同期比25.3%増となり、電気自動車と同様にHVも増加傾向にある。原油高を背景にガソリン価格が高騰したことでEVやHVの購入が増える傾向も見られるが、依然として内燃機関車の割合は7割強を占めている。 フォルクスワーゲンなどが一部減産の報道も伝えられる中での今回の発表は、中国勢を筆頭にEVの販売が伸びていることを浮き彫りにした。 日本でも、BYDやヒョンデなどから手ごろな小型車の発表が相次いでいる。来月には、「ジャパン・モビリティ・ショー」も開催され、既に展示車両などが一部公表されている。その多くがEVであり、日本にもいよいよEV化の時代が到来しようとしている。 ただ、「モーターショー」と聞けば、今年4月に中国で開催された「上海モーターショー」の衝撃が忘れられない。世界各国の大手自動車メーカーが高級EVを発表した中で、日本勢は高級車はおろか商品としてのEVをほとんど発表できず浮いてしまっていた。 今回のマークラインズの発表によれば、内燃エンジン車は依然として7割強のシェアを持っているということで安心とも思えるが、それよりもEV販売台数の増加を直視しなければならない。成長する市場に食い込めなければ、シェアは下がる一方だ。 日本ではEVが売れないという文面が至る所で見られるが、そもそも売るためのEVが作られていない。10月末に開催する「ジャパン・モビリティ・ショー」は日本勢が主導するイベントだ。数々の和製EVが出展され変革を示すことは素直に嬉しい。しかし、商品があってこその市場だという現実を忘れてはならない。夢を語るだけの「ジャパン・“モックアップ”・ショー」とならないことを切に願うばかりである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★全国20ヵ所の観光道路でEV割引を実施 ……(一社)日本観光自動車道協会に所属する自動車道事業者が、10月1日からEV利用者に対する道路料金の割引や関連施設での割引を実施する。対象道路は「アネスト岩田 ターンパイク箱根」など。また、同協会は日産と連携協定を締結し、日産がキャンペーンの周知やイベントへの協力を行なうという。 ★★HWエレクトロ、新型商用EVを初公開予定 ……「ジャパン・モビリティ・ショー」に出展し、会場で新型の軽商用EVのプロトタイプをワールドプレミアするという。同社はすでに軽トラックタイプの「エレモ-K」、バンの「エレモ-L」をラインアップしている。新型がどのようなカテゴリのEVとなるか期待だ。 ★★BYD、新規店舗「BYD AUTO 東京品川」をオープン ……10月2日(月)に新規オープンした。SUVの「アット3」と発売されたばかりのコンパクトモデル「ドルフィン」を常設展示する。運営は老舗の明治モータース[詳細はこちら<click>]。 ★移動式ソーラー充電器が「ネッツテラス三木」に限定展示 ……E3モビリティは、ソーラー型の充電器「E3チャージャー」のプロトタイプを、ネッツトヨタ神戸の店舗「ネッツテラス三木」<兵庫県三木市>に展示する。期間は10月12日〜16日。同製品は、キャスターがついた移動可能なソーラーパネルから直接EVに充電する仕組みをとっている。 ★ダイワハウス、「ソーラーカーポート」を発売 ……太陽光発電設備を搭載可能な「ディーエー・ソーラーカー・ポート」を発売した。折板式の屋根にユニットを乗せる方式で、発電量の要望に対応可能だという。 ★自動車部品リサイクル2社がEVバッテリーの資源循環で協業 ……EVを含むリチウムイオン・バッテリーのリサイクルを手がけるリーテックと、自動車パーツのリユース・リビルドを手がけるグローバル-パーツが協業を発表した。EVのバッテリーからレアメタルを取り出し再資源化する事業を構築するという。 ★テラモーターズ、マンションへのインフラ整備を加速 ……不動産の工藤建設と業務提携を結んだ。同社が所有する賃貸物件に充電インフラ「テラチャージ」の導入を進めるという。 ★10月1日発売の新型商用EVバイク「I-カーゴ」に整備ネットワークを構築 ……「I-カーゴ」を販売(10月1日発売)するベクトリクス・ジャパンとナルネットコミュニケーションズが業務提携し、同車両の整備メンテナンスネットワークを構築する。約1万1,700ヵ所の整備工場が利用できるようになるという。 ★アウディ、タイヤパンク保証を設定 ……正規ディーラーでの新車購入者を対象とした「Audi タイヤパンク補償プレミアム」を10月1日より開始した。納車または購入したタイヤを引き渡し後15日目から3年間、パンクの発生時期に応じて最大4本のタイヤ交換・修理ができるという。 ★CJPTに日野が復帰 ……商用EVトラックの開発・普及につとめる団体「コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ」(CJPT)に日野自動車の復帰が発表された。トヨタがCJPTに出資している株式(70%)のうちの10%を日野に譲渡するという。またCJPTは、タイに「CJPTアジア」を設立した。アジアのカーボンニュートラル化も推進するとのこと。 デイリーEVヘッドライン[2023.10.03]
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