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ジャパンモビリティショーにNERVのアウトランダーPHEVが登場
ジャパンモビリティショーの三菱ブースにはさまざまな電動車が並べられていた。そこには現行のプラグインハイブリッドモデル、アウトランダーPHEVの姿もあった。そのうちの1台が特務機関NERV災害対策車両だ。代表の石森氏曰く、災害対策車両としてプラグインハイブリッドは最適な選択だと語る。
特務機関NERVとは?
そもそも、特務機関NERVと災害対策車両の役割とは何なのか? もともとX(旧Twitter)アカウントで地震情報などを発信していた特務機関NERVだが、現在の活動はXでの情報発信に留まっていない。一般向けにリリースされている自社開発の防災アプリの運用や法人企業向けの災害情報の二次配信など、防災、災害に関する情報発信を行っている。さらにキキクル通知サービス協力事業者として認められていたり、政府の災害対策委員会などにも参入していたりする。その必要性は、一般人はもちろん行政も認めている存在なのだ。彼らは災害時に必要なライフラインと言える存在であろう。
そんな彼らがあらゆる状況下でも、多くの人にとってのライフラインである情報発信を確実に行うために用意された車両がこの災害対策車両なのだ。この災害対策車両は「防災情報配信サービスの継続」と「近隣自治体への支援」を目的とした車両。彼らは東京に本拠地を置くが、もしも関東大震災のような大きな災害が東京で起きた場合でも、安全な場所に移動して情報発信という彼らの社会的任務に務め続ける。そんな動く災害情報発信局がこの災害対策車両なのだ。
災害対策車両に適した三菱のプラグインハイブリッド
なぜ災害対策車両に導入したのがアウトランダーPHEVだったのだろうか? その最大の理由はプラグインハイブリッドにあったと石森氏は語る。
「当初は防災対策を施した建物に移転することなども考えたのですが、それだと予算的にもかなりハードルが高かったんです。そこで、移動しながら電源を確保できるプラグインハイブリッドに目を付けました。電気とガソリン、両方のエネルギーでライフラインが復旧する一定時間までの電源をプラグインハイブリッドならば確保できる。この点が大きかったですね。そして三菱自動車の四輪駆動車ということ、これは災害時に移動ルートが不安定な状況でも、高い悪路走破性を有しているのは心強いポイントです」。
アウトランダーPHEVには総電力20kWというバッテリーが備わっている。このバッテリーを活用すればガソリン満タンで一般家庭の最大約10日分(V2H機器を介さない場合)の電力の供給が可能だ。そこに高い悪路走破性が備わっている。災害時に電源と機動性を確保できる車両としてこれ以上の選択肢はないだろう。
2019年に先代アウトランダーPHEVを災害対策車両の初号機、弐号機として導入した。現在は車両が入れ替えられており参号機のエクリプスクロスPHEVと四号機の現行アウトランダーPHEVという2台体制になっている。
災害対策車両は動く災害情報発信局
ジャパンモビリティショーには四号機となるアウトランダーPHEVが展示されていた。参号機のエクリプスクロスPHEVが展示されてないのは会期中のもしもの災害に備えるためだ。大幅な改造は施していないが、ラゲッジスペースに搭載されている装備は災害時を考えたものばかりだ。
ラゲッジスペースには内閣府準天頂衛星システム戦略室から貸与された衛星安否確認サービス「Q-ANPI」や、スターリンク衛星を利用したインターネットシステムなどが搭載されている。これにより、地上で電源が失われ携帯電話の通信ができなくなるなどのオンライン環境が途絶えた状態などでも通信環境を確保することが可能となっていて、情報の受信と送信が出来るような備えがされているのだ。
また、情報発信業務を行う職員たちの食料なども用意されている。この災害対策車両は、あらゆる状況でも情報発信をし続けるような対策がハード面、ソフト面、両方で施されているのだ。
災害対策車両を参考にする団体も現在ではこの災害対策車両を参考にして、災害時にライフラインや機動力の確保する車両を導入する動きが道路公団や各地方自治体で始まっているという。
実際に自治体での防災訓練などにもこの災害対策車両は参加しているとのこと。アウトランダーPHEVは約600万円と決して安くはない価格だが、「特務機関NERVが導入しているならアウトランダーPHEVという選択は予算の無駄遣いではない」そんな理由で市民や組織の理解が得やすいといった例もあるようだ。それは特務機関NERVが世間的に認められている証拠の一つと言えるだろう。
高い悪路走破性、ライフラインが断絶しても長期間電源を確保できるプラグインハイブリッドシステム、災害に備える上で、これ以上に最適なクルマはない。自然災害は年々脅威となりつつあるが、万が一の場合に備えて、この災害対策車両を参考にするのは今後の防災のトレンドとなり得るかもしれない。