ハマー 記事一覧

「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」(photo=GMC)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
Born to be WILDER……無給電で1週間過ごせる「ハマーEV」のキャンパー登場[2023.08.28]

車両とは別電源で稼働する後付けキャンパーユニット 広大な大地が育てた本物のサバイバル仕様 【THE 視点】GMCは8月25日、「ハマーEVピックアップ」のキャンパー「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」を発表した。「ハマーEVピックアップ」 の車体に後付けしてキャンパー化することができるキットで、2024年に同車のユーザー向けにアースクルーザーを通じて販売するとのこと。 アースクルーザーは、アメリカ・オレゴン州にあるキャンパーのメーカー。「フォードF-350」のほか、「三菱ふそう・キャンター」「いすゞ・エルフ」などをベースに、オフロード走行も対応できるキャンパーを製作している。 この「ハマーEVピックアップ」向けキットの主な特徴は以下のとおり。 ・「ハマーEVピックアップ」向けに専用設計された軽量高剛性のカーボンファイバーボディ ・発電出力605Wの太陽光パネルと電力量6kWh/最大容量460Ah/電圧12Vのリチウムイオン・バッテリーを搭載。冷蔵庫などの家電製品を約1週間稼働可能 ・3層構造の断熱材を使用しあらゆる季節に対応可能なポップアップ・ルーフ ・機能性と部屋としてのデザインを追求したインテリア ・ダブルベッド/屋内外対応のシャワー/トイレといったアメニティの充実 ・使いやすさを追求した7インチの対角タッチスクリーン式コントロール・パネル ・1500Wのインバーターを装備 日本でも車中泊のブームが続いているが、世界でもトレンドのようで各社続々とEVのキャンパーを発表している。 フォルクスワーゲンは「ID.Buzz」のキャンパーを公開したし、メルセデス・ベンツは、「Vクラス」のEV「EQV」にキャンパーモデルの「マルコポーロ」の追加を匂わせている。日本ではHWエレクトロが「エレモ-L」のキャンパーを発表した。 今回、GMCが発表したのは「ハマーEVピックアップ」の後付けキャンパーキットだった。ハマーが持つ悪路の走破性を生かして、人里離れた自然の中で1週間も人道的な車中泊が楽しめるのは、このEVならではの特徴であろう。しかも走行距離に影響がない独立の電源なので、ユニットの電力が底をついても自走での帰還が可能だ。 日本に置き換えて考えれば、軽トラックに後付けの架装を施したキャンパーと同じジャンルに分類できる。ピックアップ・トラックは、アメリカの軽トラックと言える身近な存在だ。しかし国土面積や使用環境が違うと、こうも作り込みが変わるのか。趣味のキャンパーというよりも狩猟に使用するような“サバイバル仕様”である。キャンパーは、その国の大地が育てるのかもしれない。 日本にも豪華絢爛な富裕層向けのキャンパーは輸入・販売されているが、「ハマーEVアースクルーザー・アップフィット」には、それらとは一線を画すワイルドさがある。こんなキャンパーを相棒に、ぜひアメリカにて冒険をしてみたいものである。 (福田 雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★メルセデス・ベンツ、SUVの新型EV「EQE SUV」の予約を日本で開始……高性能版「AMG EQE 53 4MATIC+ SUV ローンチエディション」は10月下旬以降 ★★フォルクスワーゲン、セダンの新型EV「ID.7」の注文が本国で可能に……航続距離621kmのグレード「プロ」から受注開始 ★★メルセデス・ベンツ、新型「Vクラス」のキャンパー「マルコポーロ」を発表……EVの「EQV」にも「マルコポーロ」の追加を匂わせる ★ポールスター、モービルアイと自動運転開発で協力……世界1億5,000万台以上がモービルアイの運転支援技術を採用 ★ボルボ、小型SUVの新型EV「EX30」をカナダで発売…… RWDモデルとデュアルモーターAWDモデルを導入 ★ポルシェ、Xboxとパートナーシップを締結……レースゲーム「フォルツァ・ホライズン」にて、75周年記念カラーの「タイカン4S」のダウンロードが可能に ★BMW、ドイツ・ライプツィヒ工場に高電圧バッテリーに対応した倉庫を新設……2024年半ばに完成予定 ★全企業のEV事業参入は1割……帝国データバンクが調査を公開、「EV普及によるプラスの影響」を有りと答えたのが全体の11.1%で「マイナスの影響」は13.6% ★BYDジャパン、1ヶ月間の試乗施策「eモビリティパートナープログラム」の車両受け取りエリアを拡大……横浜・名古屋・大阪・福岡に拡大、9月29日(金)まで募集中 ★エネチェンジとテラモーターズ、神奈川県小田原市の観光集客に協力……「小田原EV宿場町コンソーシアム」に参画、市内のEV用充電器の設置を推進しEVユーザーの集客を狙う ★テラモーターズ、青森県五戸町と連携協定……町役場や五戸総合病院など公共施設7ヵ所にEV用充電器を先行導入 ★ブレイズ、「中古車販売特別キャンペーン」を実施…… 10万円分のクーポンを用意、10月31日(火)まで ★埼玉県、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル実証を開始……家庭用のバッテリーのレアメタルの含有量や回収コストなどを検証 デイリーEVヘッドライン[2023.08.28]

TAG: #EVキャンパー #THE視点 #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
GMC、「ハマー EV」のラインナップ拡充と航続距離を公表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.24]

上級グレード「3X」をピックアップとSUVに追加 最大航続距離は570km(WPA)のロングレンジ 【THE 視点】GMCは4月21日、電動SUVの「ハマー EV」に新バリエーションが加わると発表した。2023年モデルの「ハマー EV SUV」と、2024年モデルの「ハマー EV ピックアップ」に、それぞれ「エディション1」と「3X」というグレードを設定する。 「ハマー EV SUV」は、「エディション1」と「3X」それぞれにオンロード志向とオフロード志向が用意され、計4つのモデルが展開される。そのうち「3X SUV 22インチホイール装着車」は、3モーターのAWD(前1基/後2基)で、最高出力620kW(842ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)を発生。最大航続距離は約500km(WPA)となる。 「ハマー EV ピックアップ」は、SUVと同様に「エディション1」と「3X」が用意されるが、「エディション1」はオンのみで、「3X」には両志向を設定。計3つのモデルが展開される。 そのうち「3X ピックアップ 22インチホイール装着車」は、SUV同様の3モーターAWDながら、最高出力745kW(1,014ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)に出力が高められている。最大航続距離も570km(WPA)とSUVよりも長い。ちなみに2021年にピックアップの限定車が発売された際には、10分で完売した人気ぶりだ。 今回はピックアップとSUV双方に上級モデル追加の発表となった。AWDで1,000ps超えという言わばスーパーピックアップ(GMCでは、スーパートラックと呼んでいる)の価格は、10万ドル程度(約1,300万円)となりそうだが、やはり即完売となるのではないだろうか。 日本においてはサイズが大きすぎて取り回しに苦戦するだろうが、購入希望者はいるだろう。国内導入はどうなるだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★CJPT、FCEVの小型トラックを東京都で展開……物流企業や東京都と連携を強化 ★★EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始……大阪府能勢町/同豊能町/能勢・豊能まちづくり/イー・コンザル/住友三井オートサービスが官民で連携、リユースEVの公用車化など[詳細はこちら<click>] ★★クプラ、SUVの新型EV「タバスカン」を世界初公開……フォルクスワーゲンのプラットフォーム「MEB」を使用、ツインモーター式で最高出力210kW(286ps)と250kW(340ps)の2タイプを用意[詳細はこちら<click>] ★フォード、EVのピックアップトラック「F-150 ライトニング」をノルウェーで発売……グローバル販売の第一弾[詳細はこちら<click>] ★フォルクスワーゲン、第1四半期のBEVの納入が前年同時期比42%増加……14万1,000台を納入、欧州では68%増の9万8,000台 ★テスラ専門のレンタカーサービスが開始……ライトマークスが運営、「モデル3」が5台・「モデルY」が1台の計6台が稼働 ★テラモーターズ、沖縄にEV充電インフラを整備へ……沖縄県内の各施設などに導入決定、代理店も募集 ★テスラ、全国8カ所に最高出力250kWの急速充電器「スーパーチャージャー」を設置……東京・八重洲など[詳細はこちら<click>] ★テスラ、試乗キャンペーン「オートパイロット体験」を期間延長……5月31日(水)まで、東名川崎/心斎橋/福岡の3店舗で実施 ★BYDオート横浜中央(横浜市中区)が2月22日(土)にオープン……双日オートグループジャパンが運営、横浜市営地下鉄・伊勢佐木長者町駅から徒歩約5分 ★BYDオート静岡、4月28日から試乗商談開始……Cool The Earthが運営、事前予約制で「ATTO 3」に試乗可能 ★電動トゥクトゥクのエモビ、4月28日から大型連休割引を開始……レンタルステーション「えもび鎌倉」が鎌倉市民向けに提供、連休中の混雑回避手段として提案 ★フォーミュラE第7戦ベルリン、ミッチ・エバンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……9番手スタートから虎視眈々と追い上げ、40周のレースを制す

TAG: #SUV #THE視点 #ニューモデル #ハマー
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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コラム
販売台数と収益性でテスラを凌駕! 決算に見るBYDの強さとこれから先の戦略
日本のEV販売は全体に減速気味! 日産&三菱とテスラが売れるなかBYDも存在感を増す販売動向
アウディのEVを堪能しつつ未来を考えるツアーに参加! 北海道の大地を巡り改めて「カーボンニュートラル」の大切さが身にしみた
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インタビュー
電動化でもジーリー傘下でも「ロータスらしさ」は消えない? アジア太平洋地区CEOが語るロータスの現在と未来
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
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試乗
【試乗】二度見必至の存在感は普通のコナとはまるで別モノ! イメージを大きく変えたヒョンデ・コナ「N Line」に乗って感じたマルとバツ
ボルボEX30で11時間超えの1000km走行チャレンジ! 課題は90kWまでしか受け入れない充電性能
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
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イベント
「ルパン一味がフィアットと手を組んだだと? ルパ〜ン逮捕だ」 フィアット600e発売を記念した「ルパン三世」とのコラボキャンペーン実施
目のつけどころが「シャープ」なEVコンセプト発表! 「LDK+」を「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で公開
1万km走行相当の利用券が10名に当たる! テスラがスーパーチャージャー10周年を記念したキャンペーンを実施
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