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TEXT:TET 編集部
テスラの電動ピックアップ「サイバートラック」がアメリカで納車を開始

ポルシェより速いピックアップトラック爆誕! 日本時間の2023年12月1日、テスラ本社のあるギガファクトリー・テキサスにて、イーロン・マスクCEOはサイバートラックのファーストデリバリーを行った。 サイバートラックはステンレス鋼の外骨格ボディ、アーマーガラス、オールテレインタイヤを採用し、耐久性と同時にあらゆる路面状況に適応。約4990kgの牽引力はアフリカ象を引っ張れるほどの力だという。 0-100km/h加速はわずか2.7秒で、最高速度は209km/h。加速性能はポルシェ911を上まわっている。また、新たに採用したステアバイワイヤーとリヤステアリングによって、スポーツカーのようなハンドリングを実現した。 テスラの車両設計における最優先事項は安全性だが、サイバートラックも同様。新しい合金を作り上げ、サブマシンガンによる耐久試験にも無事成功し、車体には1発の銃弾も貫通しなかったそうだ。 アーマーガラスは112km/hの野球ボールやクラス4の雹(直径2.5cm~5cmの雹)の衝撃にも耐えることができ、超低重心は車体の横転リスクの低減にも寄与している。 RWD(後輪駆動モデル)、AWD(全輪駆動モデル)、そして最上位モデル「サイバービースト」の現在の価格は、それぞれ6万990ドル、7万9990ドル、9万9990ドル。

TAG: #サイバートラック #ピックアップトラック
TEXT:TET 編集部
トヨタが燃料電池車MIRAIを一部改良! 安全装備・先進機能を充実

最新の「トヨタセーフティセンス」を搭載 トヨタが燃料電池車(FCEV)MIRAIを一部改良し、2023年12月18日(月)に発売。 今回の改良では、先行車やカーブに対しての減速支援とステアリングの支援を行うプロアクティブドライビングアシストをはじめとする最新の「トヨタセーフティセンス」を搭載する。 また、トヨタチームメイト[アドバンストドライブ(渋滞時支援)]、[アドバンストパーク(リモート付)]を設定し、高速道路渋滞時一定条件下での運転負荷軽減や、安全安心な駐車支援を実現。 室内には12.3インチTFTカラーメーターの採用を拡大し視認性を向上させるとともに、全64色の室内イルミネーションを採用する。 さらにドライブレコーダー、専用のスマートフォンアプリでスマートフォンを携帯していれば画面操作なしでドアのロック、アンロック、エンジンスタートができるデジタルキーをオプション設定。 価格は税込み726万1000~861万円。

TAG: #FCEV #MIRAI
TEXT:TET 編集部
レクサスRZが一部改良! FWDモデルの「RZ300e」も追加

低外気温下における急速充電時間を短縮 2023年11月30日、レクサスのBEV「RZ」を一部を改良、またラインアップにRZ300eを追加して発売。 RZは2023年3月に登場したレクサス初のBEV専用モデルだ。搭乗時はAWDのRZ450eのみだったが、今回新たに追加導入するRZ300eはFWD。RZ300eにおいてもRXの走りのコンセプト「The Natural」を継承しているという。 RZ300eはRZ450e同様、BEV専用プラットフォーム、e-TNGAを採用。バッテリーやモーターの最適配置による理想的な慣性諸元、軽量かつ高剛性なボディ素性を実現した。 リヤサスペンションメンバーはFWD向けに新たに開発。ノイズや不快な振動を抑制することで、乗り心地の向上に寄与する。コイルスプリング、スタビライザー、ショックアブソーバーは設定をFWD専用に最適化。RZ450eと比べて約100kg軽い車両重量を活かし、軽快でリニアな車両挙動を実現した。 フロントモータを駆動させるインバーターには、電力ロスの少ないSiC素子(シリコンカーバイド)を採用。航続可能距離は599kmだ。 一部改良では、「電池急速昇温システム」を採用した。空調用ヒーターの発熱を車両フロア下に搭載するバッテリーへ伝達する経路を改良し、熱損失を最小限にすることで、冷間時のバッテリーの温度を速やかに上げ、充電速度を向上。低外気温下における急速充電時間を短縮させた。 価格はRZ300eが税込み820万円、RZ450eが880万円。 また、今回BEVとともに過ごす時間をより豊かにするためのサービスプログラム「LEXUS Electrified Program」に、予約可能なレクサス充電ステーションを追加設置するほか、共創パートナーとともに新たなサービスや体験を提供することで、プログラムをさらに拡充。 さらに、中南米を含む9つの国と地域にRZを追加導入。レクサスはRZ300eをRZのラインアップに追加することで、BEVを軸とするブランドへの変革をさらに加速させるとともに、顧客の多様なニーズに応えていく。

TAG: #RZ #RZ300e #RZ450e
TEXT:TET 編集部
BYD「シール」&「ドルフィン」がEuro NCAP安全性能テストで5つ星を獲得

最高評価の5つ星を獲得! BYDのシールとドルフィンが欧州の独立安全評価プログラム、Euro NCAPの安全性評価で5つ星を獲得した。2023年は成人乗員保護性能、子供乗員保護性能、安全支援性能、歩行者および自転車保護性能の4項目でテストを行った。 ハイエンドセダンのシールは全過程で非常に高い水準を達成し、卓越したアクティブおよびパッシブセーフティ性能と、BYDのCTB(Cell to Body)技術の構造的な利点を実証。 BYDのコンパクトEVであるドルフィンは、成人と子どもの乗員保護性能で高得点を獲得し、優れた品質を証明した。 いずれのモデルも成人乗員保護性能で89%、子ども乗員保護性能で87%を達成。BYDのEV専用プラットフォーム、「e-Platform 3.0」の安全性の高さがうかがえる結果となった。 BYDヨーロッパ・マネージングディレクターのMichael Shuは「ヨーロッパの厳しい安全テスト条件下で、BYDの全モデルが卓越した性能を発揮したことをうれしく思います。『BYDシール』と『BYDドルフィン』は、『BYD ATTO 3』とともに、安全性テストの最高評価を獲得しました。これは誇るべきことです。これは、BYDが環境に優しい技術開発の分野で、いかにたゆまぬ努力を続けているかを示すものです。お客さまには、BYDの技術革新の最前線には常に安全があるという安心感をお届けします」とコメントしている。

TAG: #シール #ドルフィン
TEXT:TET 編集部
メルセデス・ベンツがPHEV「GLC 350e 4MATIC Sports Edition Star」を発売

EVの利便性と内燃機関の安心感を兼ね備えたモデル 2023年11 月29日、メルセデス・ベンツ日本は、「新型 GLC」にプラグインハイブリッドモデル「GLC 350e 4MATIC Sports Edition Star」を追加し、販売を開始した。 GLCは2015年にデビューし、全世界での累計販売台数260万台を記録するメルセデスのプレミアムミドルサイズSUV。 新型GLCは、伸びやかで美しいシルエットのなかにスポーティかつ洗練された要素を取り入れたエクステリアと、リアルウッドトリムを採用した質感の高いインテリアを併せ持つSUVとなった。ダイナミックなドライビング特性、サポートの精度を高めた安全運転支援システム、縦型の大型メディアディスプレイなども採用している。 今回追加されたGLC 350eは、最高出力204馬力(150kW)、最大トルク320 N・mを発生する2リッター直列4気筒ターボエンジンに、容量が31.2kWhのリチウムイオンバッテリーと出力136馬力(100kW)、トルク440N・mの電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドモデル。 システム総合の最高出力は313馬力(230kW)、最大トルクが550N・mのパワーユニットを備え、電気モーターのみで140km/hまで走行することができる。走行可能な航続距離は118km。 急速充電器(CHAdeMO)、6.0kW(30A)の交流普通充電の双方に対応している。 「インテリジェントアクセルペダル」の「プレッシャポイント機能」では、EV走行モードの際、これ以上アクセルを踏むとエンジンも使用しなければならないというモーター走行の限界点でアクセルペダルの抵抗を増してドライバーに知らせ、無駄なエネルギーの消費を抑制。 「GLC 350e 4MATIC Sports Edition Star」の価格は税込み998万円。

TAG: #GLC #PHEV #プラグインハイブリッド
TEXT:TET 編集部
日産が欧州におけるEV化を加速! 主力モデル3台がEVに

コンセプトカーにインスパイアされたEVが登場予定 2023年11月24日、日産自動車株式会社は英国の工場で生産される3つのモデルすべてが将来的にEVになることを発表した。 同日よりサンダーランドの「EV36Zero」は、3つのEV、3つのギガファクトリーと最大30億ポンドの投資で構成されることになり、日産の英国従業員7000名と、英国のサプライチェーンを支える3万名の人々の生活に貢献していく。 3つのモデルとは、日産の主力クロスオーバーである「キャシュカイ」と「ジューク」のEVモデル、そして自動車産業の電動化の火付け役となった「リーフ」の次期型だ。 これらは次世代EVコンセプトモデル「ニッサン ハイパーアーバン」、「ニッサン ハイパーパンク」、「NISSAN CHILL-OUT」からインスピレーションを得ているという。モデルの名称、仕様、発売日などの詳細については後日発表予定。 車両とバッテリーの生産は、「EV36Zero」のマイクログリッドによって電力が賄われる。このグリッドは、日産の風力発電と太陽光発電の設備を融合し、日産と近隣のサプライヤーに100%再生可能な電力を供給する能力を有する予定だ。 日産の社長兼CEOの内田 誠さんは、サンダーランド工場の従業員に向けてこの計画を発表し、 「エキサイティングなEVは、カーボンニュートラル達成を目指す当社の計画の中核をなすものです。欧州の主力モデルがEVになることは、日産、産業界、そしてお客さまにとって新たな時代への加速を意味します。『EV36Zero』プロジェクトでは、英国最大の自動車工場であるサンダーランド工場を、当社の将来ビジョンの中心に据えています。したがって、当社の英国チームは将来のクルマのデザイン、設計、生産を行い、欧州における日産の完全EV化を牽引していくことになります」とコメント。 英国のリシ・スナク首相は、「日産の投資は、英国の自動車産業に対する大きな信頼を示すものであり、すでに年間710億ポンドという巨額の経済効果をもたらしています。この投資により、サンダーランドは間違いなく、将来EVの技術革新と生産における英国版シリコンバレーとしての地位を確保することになるでしょう。私たちは、英国を最高のビジネス拠点にすることを、経済計画の中心に据えています。私たちは、日産のような企業が英国で事業を拡大し、根を張って成長できるよう、そして明るい未来のために正しい長期的な決断を下せるよう、あらゆる面で支援していきます」と話した。

TAG: #キャシュカイ #ジューク #リーフ
TEXT:TET 編集部
ヒョンデIONIQ 5のロボットタクシーが新イノベーションセンターで生産開始

ヒョンデとMotionalが全電気式ロボタクシーを共同開発 2023年11月21日、Hyundai Motor Groupと世界的な自律走行技術のリーダーであるMotionalは、Hyundai Motor Groupイノベーションセンターシンガポール(HMGICS)の開所を祝うとともに、ヒョンデとMotionalが共同開発した全電気式ロボットタクシー「IONIQ 5(アイオニック ファイブ)」が新センターで生産されることを発表した。 IONIQ 5は2024年から米国で、Motionalの商業サービスの一環として配備される予定だ。 また両社は、IONIQ 5が米国連邦自動車安全基準(FMVSS)の認定を受けた最初のSAEレベル4自律走行車(AV)のひとつであることを明らかにした。Motionalの社長兼最高経営責任者カール・アイアグネマは「今回の認証取得は、同車の極めて徹底した開発・試験プログラム、安全性と信頼性、そして高度な自律走行技術を証明するものです」とコメントした。 さらに、「HMGICSは輸送革新のビジョン」と述べ、「この施設でIONIQ 5が生産されることを大変誇りに思うと同時に、史上初のFMVSS認定自律走行車を世界に紹介できることを楽しみにしています。厳しい連邦安全基準を満たし、大量商業化の準備が整った業界をリードするロボタクシーを開発できたのは、ヒョンデとの協力関係の賜物です」と強調。 IONIQ 5の開発から生産までを実現したHMGICSの役割について、同センターの最高経営責任者 Hong Bum Jung(ジョン・ホンボム)は「HMGICSは、Hyundai Motor Group初のグローバル・イノベーション・ハブであり、未来のモビリティのための世界的な実証試験施設です。当センターの使命は、先進的で多様な形態の未来型モビリティ・ソリューションを開発・生産することで、モビリティ・バリューチェーンを変革することです。Motionalとの協業によるIONIQ 5の生産を開始することで、モビリティの未来におけるパラダイムシフトの最前線に立つことを志し、継続的なイノベーションの旅に乗り出す所存です」と話した。 IONIQ 5は商業生産に入り、初期モデルはすでにMotionalの米国施設に納車された。これらのEV車は2024年の商業サービス開始に向けて、Motionalの厳格な試験および安全性検証過程を経ている。

TAG: #EVロボスイーパー #SUV #ヒョンデ
TEXT:TET 編集部
ヒョンデとamazonが提携! サイト上でのクルマの購入が可能に

2025年には車内でAlexaのハンズフリー操作も 2023年11⽉16⽇、ロサンゼルス・オートショーにおいてHyundai Motor CompanyとAmazonは戦略的パートナーシップを結ぶことを発表した。 この日発表された具体的な内容は3つ。 まず、2024年に⽶国のAmazonストアで⾃動⾞ディーラーによるクルマの販売が可能になり、その取扱いブランド第1弾がヒョンデ⾃動⾞だということ。 Amazonのサイト上でクルマの⾞種、トリム、⾊、機能などを検索し、希望する⽀払い⽅法や⾃動⾞ローンを指定。購⼊⼿続きまでをサイト内で終えることができる。 購⼊後は都合の良い時間に近くの販売店に取りに⾏くか、または⾃宅まで納⾞してもらうかを選ぶことができる。 次に、ヒョンデはコンピュート、ストレージ、データベース、分析から⽣成AI、IoTに至るまでのデジタル・トランスフォーメーションを加速するため、優先クラウドプロバイダーにAWSを選択したとのこと。 新たな複数年契約の⼀環として、ヒョンデはクラウドファーストの技術戦略でよりデータ主導型の組織となり、研究、製品エンジニアリング、顧客エンゲージメントなどあらゆる分野をサポートする現在のオンプレミス・アプリケーションをAWSに移⾏する。 また、⽣産効率を上げてコストを削減するための製造⼯程やサプライチェーン、回復⼒を⾼めるセキュリティと災害復旧、世界中のドライバーに最新機能を提供すべく、コネクテッド・ビークル開発などのビジネスケースを優先。AWSとヒョンデは、ヒョンデのエンジニアに向けてクラウドスキルを教育するMaster Builder Trainingおよび認定プログラムを作成し、導⼊した。 そして最後に、2025年からヒョンデの次世代⾞種を購⼊した顧客は、これまで⾃宅で利⽤してきたAlexaのハンズフリー機能を⾞内でも使えるようになるという。 ドライバーはAlexaに話しかけるだけで、⾳楽、ポッドキャスト、オーディオブックの再⽣、リマインダーの設定、ToDoリストの更新、予定確認、また帰宅途中に家の暖房をつけたり、ドアの施錠を再確認したり、スマート照明やアレクサのルーティーンを管理するなど、外出先からスマートホームを操作することができる。 さらに、Alexaに最新の交通情報や天気予報を尋ねたり、⾞載メディアプレーヤーやナビゲーションシステムを⾳声で操作したりすることも可能になる。

TAG: #amazon #提携
TEXT:TET 編集部
スズキが「2023国際ロボット展」でロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介

電動車いすで培った足まわり技術を転用 スズキは、2023年11月29日(水)から12月2日(土)まで、東京ビッグサイトで開催される「2023国際ロボット展」にて、ロボットの足として活用できる電動モビリティベースユニットの使用事例を紹介することを発表した。 「国際ロボット展」は、第1回が1974年に開催され、世界最大級のロボットトレードショーで、2年に1度開催されている。前回の「2022国際ロボット展」には、615社・団体が参加しており、4日間で6万人を超える入場者数を集めた、注目のショーとなっている。 今回スズキが使用事例を紹介する電動モビリティベースユニットは、スズキがこれまで培ってきた電動車いすの技術を応用したものであり、電動車いすの足まわりベースユニットに自律走行システムを搭載することで、農業、配送、土木建設補助などさまざまな用途で活用できるロボットの足まわりとして展開することを想定している。 スズキはこれまでにも、農業分野や配送分野などで電動車いすの足まわりユニットの活用を検討してきた。そして今回の「2023国際ロボット展」への出展により、ロボット業界の足として、さらに広く受け入れられるのかニーズを調査するという。 将来的には、電動モビリティベースユニットをロボットの足として活用してもらうことで、より良い社会の実現を目指す。 今後もスズキは、これまでに数々の分野で培った技術力を活かした製品とサービスを提供していくという。

TAG: #SUZUKI #ロボットショー #電動モビリティ
TEXT:TET 編集部
日東工業とShizen ConnectがEVのリユースバッテリーを活用したVPP運用の実証を開始

新技術の採用によって電力の安定化に貢献 日東工業とVPPプラットフォームを提供するShizen Connectは、経済産業省が実施する「令和5年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業」において、日東工業製のEVリユースバッテリーシステムを活用した電力系統安定化に寄与するVPP構築の実証事業を行うことを発表した。 期間は2023年12月から2023年2月まで。 この事業は、日東工業の掛川工場に設置している日東工業製の環境配慮型「産業用太陽光自家消費蓄電池システムサファ Link -ONE-」を、Shizen ConnectがIoT技術と人工知能(AI)を利用し、独自開発するアグリゲート・エネルギー管理システム「Shizen Connect(シゼンコネクト)」を活用。充放電を遠隔制御することでDERアグリ実証事業の枠内でDR制御を行い、需給調整市場(三次調整力)の制御の技術性を明らかにするもの。 「サファLink -ONE-」とは、電気自動車の使用済みリユースバッテリーを活用した産業用太陽光自家消費蓄電池システムだ。 日東工業は新しい制御技術を採用することによって、電力の安定化に貢献していく。

TAG: #Shizen Connect #日東工業
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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