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TEXT:高橋 優
ファーウェイ&シャオミのEVは価格も性能も戦略も強烈!! スマホ系電気自動車メーカーの勢いがヤバい!

シャオミEVが中国メーカー勢の中心に躍り出た 中国で開催された北京モーターショーにおいて、さまざまな新型EV、および最新EVテクノロジーが発表されました。とくに中国メーカー勢のなかでも、シャオミがその人気の中心となりながら、さらにファーウェイについても、新たなEVブランドであるSTELATOの立ち上げを発表し、ハイエンドセダンS9を発表するなど、中国スマホメーカーという第三勢力の最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、中国国内で4月末から5月上旬にかけて開催された北京モーターショーです。この中国最大のオートショーについては、上海と北京において隔年で開催されており、昨年の上海モーターショーについては「上海ショック」と題して、多くの日本メディアが、その中国製EVの完成度の高さを報じていました。 そして、今回とくに取り上げていきたいのが、2024年の中国EV市場で台風の目となっているスマホメーカー勢という第三勢力の存在です。まず初めに取り上げていきたいのが、シャオミの存在です。 すでにシャオミについては、4月初頭から初の量産EVであるSU7の納車をスタートしており、順調に生産体制を拡張中です。そして、正式発売がスタートしてから28日が経過した段階で、詳細な注文動向であったり、初のOTAアップデートのタイムライン内容や2024年シーズンにおける納車台数目標、および自動運転のアップデートに至るまでの最新動向が公表されました。 まず初めに、4月24日時点における5000元(約10.8万円)の予約金の返金が不可となる、いわゆるロックインオーダー数が7万5723台に到達している状況です。とくに直近の4日間で5000台以上のロックインオーダーが追加されており、初期注文だけではなく、継続的に確定注文台数が増加していることが示唆されています。 そして、シャオミに対する大きな懸念点でもあったその納車体制について、正式発売をスタートしてから28日間の間に5781台を納車することに成功。とくにEVの量産に関しては、テスラがモデル3において生産地獄に直面し、倒産寸前にまで追い込まれていたという背景が存在したことで、大量の需要を獲得したとしても、それを満足に捌けないのではないかといわれていました。しかし、蓋を開けてみると、納車をスタートしてからものの20日間程度の間に6000台近い車両を納車することに成功したわけです。 その上、当初予定していた生産スピードを引き上げて、6月度においては1万台の納車台数を達成すると主張。2024年シーズンについては、合計10万台の納車台数を実現するという目標も設定してきました。 さらに、すでに納車されたユーザーの内訳について、女性の割合がすでに28%を実現しており、今後その女性率は40%から50%に到達するとも予測されています。その女性率の高さについて理由を調べてみると、エクステリアデザインのよさ、日焼け対策、そして収納の多さという理由が占められています。まさにSU7の強みを、女性ユーザーが高く評価していることが見て取れるわけです。 さらに、ドイツ御三家BBAのオーナーが29%を占めているという点も極めて注目に値します。つまり、ドイツブランドからSU7に流れている様子が見てとれ、これはアメリカでモデル3の爆発的人気とともに、3シリーズやA4、Cクラスの販売台数が低下した流れとまったく同様に感じます。 さらに、アップルユーザーが51.9%と過半数を占めており、やはりこれはCarPlayにも対応しているHyper OSという独自OSを採用しているシャオミの懐の深さが功を奏しているわけです。これによって、SU7を購入したアップルユーザーが、次のスマホの買い替えの際に、シャオミ製のスマホに乗り換えたり、シャオミ製家電を購入する動機づけにもなることから、シャオミのビジネス全体にも好影響を与えるポテンシャルを秘めているわけです。 そして、販売ネットワークについても、2024年末までに46都市、219店舗をカバーする予定です。また、サービスネットワークに関しても、2024年末までに82都市、139店舗をカバー予定。より多くのユーザーにSU7を触れてもらえるような販売ネットワークの拡充とともに、SU7を購入したあとのアフターサービスに関しても、急ピッチで拡充しようとしています。 さらにOTAアップデートについて、ついに初めてのOTAアップデートを5月初旬に配布予定であり、ここではワイヤレスカープレイであったり、エンドトゥーエンドのバレーパーキング、およびそれ以外のスマートな運転体験を配布予定です。 それに続いて、2回目のOTAアップデートについても5月末に実施予定であり、その際にはいよいよ高速道路だけではなく、市街地における自動運転「市街地NOA」をリリース予定です。まずは主要10都市において解放、その後2024年末にかけて、順次、中国全土でのリリースを予定しています。 その上、SU7については、浙江省のトラックレースにおいて1分42秒163という好タイムを記録しています。これはポルシェ・タイカンターボS、およびテスラ・モデルSプラッドを上まわるタイムです。これより上となると、アウディRS e-tron GT、ロータスEletre R+、Zeekr 001 FR、そしてトップのロータスEmeya R+くらいしか存在しないという、EVのなかでもトップクラスのタイムを記録しています。 さらにその上、このラップタイムはあくまでもピレリP ZERO 5という、SU7 Maxに装着される純正タイヤであり、さらに高性能なレーシングタイヤであるミシュランパイロットスポーツCUP2 Rを装着すると、そのタイムは1分38秒043にまで短縮。何といっても、SU7 Maxは29.99万元と明らかに安いわけであり、パフォーマンス性能に対するコスト競争力が抜群に高いことが見て取れます。 そして最後に、この北京オートショーにおける発表会で、シャオミオートへの参画を改めて募集したところ、なんと48時間以内に5000件以上ものレジュメが送られてきているそうです。 いずれにしてもシャオミについては、今後15年以上をかけて世界の自動車メーカートップ5の一角を構成するという野心的な目標を掲げており、採用を強化して、SU7以降のEV開発に繋げていこうとしているわけです。

TAG: #シャオミ #ファーウェイ #中国 #北京モーターショー
TEXT:高橋 優
中国市場はまだまだEV化の流れが止まらなかった! 内燃機関からPHEVを介してEVシフトするシナリオの中身

BYDの支配力が極大化している中国市場 中国市場における最直近の3月度における電気自動車の販売動向が判明し、歴史上最高の電動化率を更新するという快挙を達成しながら、BYDとテスラの支配が続いている様子も判明。そして、BYDの在庫切れ、ファーウェイとシャオミの台頭というキーワードから、4月以降の展望について解説します。 中国市場に関しては、2月中は春節が丸々かぶってしまっていたために、自動車市場全体が停滞していました。その煽りを受けてとくに値下げ競争や新型車攻勢の強いEVに対しては様子見ムードが広がってしまい、EVの販売比率が低下してしまっていたという背景が存在します。そして、春節が明けてから各社の販売体制が本格化したことを受けて、2024年初めてといってもいいい、本格的な1カ月において、どれほどのEV販売台数を実現しているのかに大きな注目が集まっていたわけです。 まず、中国市場におけるバッテリーEVとPHEVの合計を示した新エネルギー車の販売台数に関しては70.9万台と、前年同月に記録していた54.6万台という販売台数と比較しても、なんと30%もの販売台数の増加を記録しました。 そして、その新車販売全体に占める新エネルギー車の販売比率は、黄色のラインで示されているとおり42.03%と、歴史上最高の電動化率を更新。さらに、2021年以降の3月単体での電動化率は、それぞれ10.6%、28.1%、34.3%、そして今年である2024年の42%と、着実に成長している様子が見て取れるわけです。 とくに2024年シーズンについては、前年同月比で電動化率が7.7%も上昇。2023年シーズンは前年同月比で6.2%の上昇であったことから、むしろ電動化率の上昇度合いが加速しているレベルです。 いずれにしても、春節が明けてからは一気に新エネルギー車への需要が増大している様子が見て取れます。 一方で注目するべきは、その新エネルギー車のなかでも、ピンクで示されたバッテリーEVと、水色で示されたPHEVの販売割合です。 黄色のラインで示されているのが、新エネルギー車全体に占めるバッテリーEVの販売比率です。このとおり数年前というのは9割近い割合がバッテリーEVでした。つまり、新エネルギー車=バッテリーEVであったものの、最直近である2024年3月単体では60.37%と、そのシェア率が大きく減少しています。 現在は、新エネルギー車のうち6割がバッテリーEVであり、残りの4割がPHEVという、水色のPHEVの販売シェアが急速に増加している様子が見て取れます。 実際に、バッテリーEVに絞った月間販売台数の変遷を見てみると、このとおり最直近である2024年3月単体では25.37%を達成。2021年から、9%、22.7%、24.3%、そして今回の25.4%という流れをみると、そのバッテリーEVシェア率の伸びが鈍化してしまっている様子が見て取れます。 販売状況が安定化する3月単体を見ても、やはり中国市場に関しては、新エネルギー車全体のボリュームは着実に上昇し、むしろそのペースが増加傾向にすらあるものの、バッテリーEVという観点では微増に留まっており、この1年ほどはシェア率25%以上の壁を大きく突破することができていないわけです。 つまり中国市場において、なぜPHEVの販売シェア率が急上昇を見せているのかを考察する必要があるわけです。 また、この新エネルギー車の販売シェア率の好調ぶりとともに懸念するべきは、内燃機関車の販売動向です。じつは内燃機関車の販売台数については、前年同月比で6.4%もの落ち込みを記録。新エネルギー車が30%もの増加を記録していることを踏まえると、明確に販売シェアを奪われている様子を確認可能です。 そして、それ以上に気になるのは、週間保険登録台数の数値との比較という観点です。このグラフは2024年シーズンに突入してからの、新エネルギー車の販売比率を週間ベースで示したものです。この通り、とくに3月に突入している第9週以降、歴史上最高の48.38%を最高点として、40%中盤というシェア率をキープしています。 その第9週から第13週通しでの新エネルギー車の販売比率は45.5%と、すでに新車全体の半数近くが新エネルギー車に置き換わってしまっている状況です。 また、3月の月間販売比率を見てみると、そのシェア率は42%であったことから、週間保険登録台数の数値の方が、新エネルギー車の販売比率が高いことが見て取れます。これは何を意味するのかというと、内燃機関車の保険登録台数が、小売台数よりもかなり下まわっていることを示しています。 要するに、とりあえず3月の販売台数を最大化するために出荷してはいるものの、在庫車両として内燃機関車がより多くディーラーなどに溜まってしまっている可能性があるということです。それを総合すると、じつは42%という数値以上に、新エネルギー車のほうに勢いがある、もしくは内燃機関車の売れ行きが想像以上に悪いことを示唆している可能性があるわけです。 それでは、この中国市場においてどのようなEVが人気となっているのかを確認しましょう。まず3月単体のNEV販売でトップに君臨したのが、BYDの大衆セダンQin Plusです。春節が明けた2月中旬に、2024年モデルであるHonor Editionを発売し、このQin Plusの兄弟車であるDestroyer 05とともに、爆発的な販売台数を達成中です。 在庫車は完売で納期が伸びてしまっている状況ですが、すでにBYDは問題解決へと乗り出しており、4月以降の生産能力をアップすることで、さらに販売台数が伸びる見込みです。 また、テスラモデルYが第2位にランクインし、世界でもっとも人気の自動車としての存在感を示すなか、第3位以降については、Song Plus、Seagull、Song Pro、Yuan Plus、Han、そしてDestroyer 05と、すべてBYDのEVが支配している状況です。トップ10のうち、BYDのEVが7車種という、これまでにも増してBYDの支配力が極大化している状況なわけです。 実際にこのグラフは、中国国内における主要な大衆車ブランドの四半期別の販売台数の変遷を比較したものです。黄色で示されたBYDが、2022年第四四半期以降、一貫してトップの座に位置。直近の2024年第一四半期に関しても例外ではなく、前年同四半期と比較しても6万台以上販売台数を伸ばすことにも成功。2位につけるフォルクスワーゲンとの差をさらに広げている状況です。 他方で、この主要メーカーのなかで気になるのがトヨタとホンダの存在です。まず水色で示されているホンダについては、四半期で23.4万台と販売規模が明確に縮小し、トヨタにも大きな差をつけられてしまっている状況です。 そしてそれ以上に、緑で示されたトヨタについては、この主要メーカーのなかで唯一、前四半期と比較して販売台数を落としている状況です。2023年シーズンは、既存メーカーのなかで唯一といってもいいほど販売規模をなんとか維持することができていたことから、いよいよトヨタをもってしても、販売規模を維持することが難しくなり始めているのではないかと推測できるでしょう。 このグラフは、1月から3月までの、販売の伸びが鈍化しているバッテリーEVの累計販売台数を示したものです。3カ月間で10万台というモデルYの盤石ぶりが見て取れるものの、その後については、Seagull、Yuan Plus、Hong Guang Mini EVを挟んで、ドルフィン、Qin Plus EVと、やはりBYDが圧倒的な存在感を示している状況です。 また、個人的に注目したのは、中国ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekr の存在です。第18位にシューティングブレークのZeekr 001、第20位にはミッドサイズセダンのZeekr 007がランクイン。どちらも極めて競争力が高いことから、競争の激しい中国市場においても、しっかりと販売台数を伸ばしている様子が見て取れます。

TAG: #中国 #新車販売
TEXT:高橋 優
やっぱり日本でEVは需要薄か!? 国産で好調なのは軽EVだけという現実

サクラ以外のEVがぜんぜん売れていない日本 日本国内の最直近3月度の電気自動車の販売台数、および人気のEVの詳細が判明しました。とくに、EV販売台数が前年比で低下するという兆候が止まらないという厳しい流れのなか、テスラに対する厳しい見通し、中国BYDが販売台数を大きく伸ばすという最新動向も含めて解説します。 まず、最直近である2024年3月度のバッテリーEVとPHEVの販売台数の合計1万2793台と、2024年に突入してから最高の販売台数を更新しました。ところが前年同月と比較するとマイナス15.6%という販売台数の減少を記録しています。 通常のマーケットであれば、年末にかけて販売台数が最大化し、1月以降は販売台数が落ち込むものの、この日本に関しては、そのほかのマーケットとは異なり、年度末が3月に該当するということから、この3月こそ自動車販売が最大化するわけであり、残念ながら前年を超えることができなかったという点で、4月以降も幸先の悪い見通しとなる予感です。 次にこのグラフは、バッテリーEVとPHEVの合計が、自動車販売全体と比較してどれほどの割合を占めているのかの変遷を示した電動化率を示したものです。黄色のラインで示されているとおり、最直近の3月については3.33%と、歴史上最高の電動化率を達成したものの、2022年12月と比較しても後退している様子を確認可能です。 他方で、前年同月である2023年3月の電動化率は3.17%であったことから、EVの販売割合自体は若干の上昇トレンドです。いずれにしても、この4月以降、電動化率上昇のトレンドが続くのか、いつになったら歴史上最高の4.12%のバリアを突破することができるのかに注目です。 次に、そのEVのなかでも、とくにバッテリーEVの販売動向についてを詳細に確認していきたいと思います。 まずこのグラフは、バッテリーEVの販売台数を、乗用車と軽自動車それぞれで比較したものです。 注目すべきは、黄色で示されているバッテリーEVの販売比率であり、1.94%と、いまだに2%を突破することができていない状況です。 その一方で、前年同月に関しては2.01%であったことから、確かにPHEVも含めると販売比率は上昇しているかに見えていたものの、バッテリーEV単体で行くと、販売比率でも前年割れです。やはり明確に、日本国内のEVシフトが停滞、というよりもむしろ後退し始めている様子が見て取れるわけです。 他方で、日産サクラなどの軽EVを除いた、乗用車セグメントのEV単体の販売台数を示したピンクのラインを追ってみると、3月は4000台弱と、前年はおろか2年前と販売台数が変わっていません。つまり、2年前よりもバッテリーEVの販売台数が増えている理由というのは、シンプルに「日産サクラにより軽EVが売れただけ」であり、乗用車のバッテリーEVの販売台数は、2年前からまったく変化していないのです。 この2年前に関しては、環境省が主導して最大80万円という電気自動車購入に対する補助金が倍増された年であり、その後も経産省が主導する形で、同程度の補助金額が維持されていたものの、2024年3月末までは、基本的に同様の補助金額が維持されていたわけです。 つまり、何がいえるのかといえば、この2〜3年ほどのEV販売台数を追っていくと、日産サクラに対する55万円もの軽EV補助金というのは、そのサクラの販売台数を見る限り、かなりの効果を発揮している可能性があるものの、乗用車EVに対しては、少なくとも販売台数を増やすという有効な施策にはなり得ていないのではないか、ということなのです。 さらにこのグラフは、その乗用車セグメントのEVのなかでも、さらに日本車と輸入車でわけたものです。この通り白で示された輸入車のEVに関しては、前年同月を大きく上まわる販売台数を実現し、歴史上最高の販売規模にまで到達しています。 よって、より厳密にいえば、乗用車セグメントのEVの販売が伸びていないのではなく、「日本車のEVの販売がまったく伸びていない」というよりも、ピンクの販売台数の変遷を見る限り、むしろ販売台数が減少してしまっているという点こそ、この日本車天国である日本市場で、なぜEVが普及していかないのかの最大の理由であるということが見て取れるわけです。 いずれにしても、この日本メーカーのEVの販売台数が増えていかないことには、日本のEV普及が伸びていくことは絶対にあり得ないわけです。 ちなみに、この日本市場におけるEV、とくにバッテリーEVの普及率が、世界と比較してどれほどなのかを比較します。このグラフは、欧米中という主要先進国、およびタイという新興国、そして世界全体平均を日本と比較したものです。 このとおり、緑で示された日本については、世界と比較してもEV普及率で大きな差がついてしまっている様子を確認できます。まだ最新のデータが公開されていないものの、基本的にEV普及率がもっとも停滞する1月の、世界全体のシェア率が10%であったことを踏まえると、やはり日本が根本的にEV普及で遅れてしまっているという状況です。 それでは、この日本国内においてどのような電気自動車が人気となっているのかについてを確認しましょう。まずこのグラフは、主要な自動車メーカー別のバッテリーEVの販売台数の変遷を示したものです。 このとおり日産に関しては、月間で4000台を超えるバッテリーEVを発売することに成功しており、日本国内で売れたバッテリーEV全体のうちマジョリティを日産が占めているとイメージしてみると、それこそアメリカ国内における、テスラと同じようなポジションにいることが見て取れます。 また、その圧倒的シェアを誇る日産を除いてみると、やはり日産サクラの兄弟車であるekクロスEVであったり、ミニキャブミーブをラインアップしている三菱が第2位にランクイン。そしてそのあとを追うのがテスラの存在です。 ちなみに三菱に関しては、商用軽配送EVであるミニキャブEVがいまだに月間で400台近く売れているという点は重要です。つまり、古いEVであったとしても、いまだに一定数が売れ続けているということは、この商用軽EVセグメントの需要が大きいことを示しているわけです。よって、このセグメントに新型EVを投入するホンダのN-VAN e:に関しては、かなりの需要があるのではないかと期待することができるでしょう。

TAG: #BYD #テスラ #新車販売
TEXT:高橋 優
数字だけ高スペックでも実際の充電は遅い! EVの進化についていけない急速充電器の現状

200kW級でも実際はその半分の90kWでしか充電できないという問題 日本の急速充電サービスプロバイダー最大手のイーモビリティパワーが、最大150kW新型急速充電器を発表しました。日本全土に広がっていく新型急速充電器の詳細内容、そして今後の急速充電器設置に必要となるポイントも含めて解説します。 まず今回取り上げていきたいのが、日本最大の充電サービスプロバイダーであるイーモビリティパワー、通称「eMP」の存在です。このeMPは、EV普及黎明期から充電サービスを展開していた日本充電サービスから事業を受け継ぐ形で設立された会社であることから、国内のほとんどの急速充電器を管理するという急速充電プロバイダー最大手です。 実際に、現在eMPが管理・提携する急速充電ネットワークは、2023年度末の段階で9103口と、2022年度と比較して1223口も増加しています。これまでの設置数から考えても、この1年間で急速に充電器のストール数が増加している様子が見て取れるでしょう。 そして、このeMPの設置している200kW級急速充電器に関しては、世間でいわれているほど高スペックな充電器ではないという点を、私自身、繰り返し批判してきました。 ・確かに200kW級とはいわれているものの、実際に1台あたりの出力については最大でも90kWに制限されてしまう ・その90kWが、そのEVの充電性能の許す限り持続するのではなく、最高でも15分しか持続することができずに、その後は最大50kW程度に強制的に制限されてしまう ・6口合計した最高出力が200kWであることによって、仮に3台目のEVが充電をスタートすると、場合によっては1台目の充電出力が50kWに制限されてしまう ・4台目のEVがきてしまえば、なんと1台目のEVは25kWしか許容することができなくなる可能性もある つまり、6台同時に充電可能な200kW級急速充電器の実態というのは、最大90kWが15分しか持続しない、かつ複数台のEVが充電している場合、その90kWすら発揮することができないということなのです。 ちなみに、駿河湾沼津と浜松、および湾岸長島SAについては、最大150kW級を発揮可能な最新型の急速充電器が設置されたものの、そのスペックに関してもまったく同様に、 ・150kWという出力については最大でも15分しか持続させることができない ・2台同時充電ができる仕様であるものの、2台目のEVが充電をスタートすると、最低70-80kW程度という充電出力に制限 また、その200kW急速充電器のスペックの低さを知っていて、かつ充電性能の高いEVを所有するユーザーは、150kW級の急速充電器を優先して使用するはずであり、すると多くの場合において2台同時充電の機会が多くなり、実質的に150kW級という充電出力を発揮することはできないわけです。   そして、2024年現時点において発売されている新型EVのスペックを見ると、たとえば日産アリアについては最大130kW、トヨタbZ4Xやスバルソルテラについても最大150kW、メルセデス・ベンツEQAやEQBについても100kW、EQE、EQSであれば150kW、アウディQ4 e-tronやフォルクスワーゲンID.4についても94kW、Q8 e -tronやe-tron GTについては150kW、BMW i4やiX、i5は150kW、iX1についても130kW、ポルシェ・タイカンも150kW、ボルボEX30も150kWなど、すでに現時点においても、150kW級の充電性能を有するEVが数多く存在しています。   また、これらの充電器の耐用年数は8年から10年程度であるということを踏まえれば、日本のEVユーザーは、2030年になってもこの200kW急速充電器を使用することが求められます。

TAG: #チャージ #充電器 #急速充電
TEXT:高橋 優
テスラ・モデルYに600km走れるRWD登場も日本導入はナシの予想! 日本は「ジュニパー」の登場に期待

航続距離600kmを実現するロングレンジRWDが欧州に登場 テスラが売れ筋のモデルYに対して、最長航続距離を実現するロングレンジRWDグレードを欧州で設定。販売台数のさらなるテコ入れを目指しながら、さらに2024年末導入が噂されているモデルチェンジバージョンの「ジュニパー」について、現在までに判明している情報をまとめます。 まず、モデルYの日本仕様における最新動向について、いくつか紹介していきたいと思います。4月から19インチのジェミニホイールがブラックに変更されていたり、エクステリアデザインに新色のクイックシルバーが採用されていたりと、いわゆるマイナーチェンジを行っています。 その一方で、航続距離や充電性能などのEV性能のアップグレードであったり、さらには生産国である中国市場で適用されているインテリアのアンビエントライトなどの採用が見送られてしまっているために、これら点については残念な部分であると思います。   また、テスラジャパンが追加で行ってきた販売促進戦略というのが、モデルYの全グレードに対して、注文から2カ月以内に納車を完了させることを条件として、追加で20万円分の一律値引きを実施するというものです。 やはり2023年シーズンについては、新型モデルS/モデルXの初期需要、および新型モデル3の初期需要がすべて重なった年であるにもかかわらず、なんと前年割れという厳しい販売台数に留まってしまっていたわけです。 そして、この2024年シーズンについては、その新型モデル3の初期需要の残りくらいしか、現時点で販売台数をプッシュするような材料がなく、果たして2024年シーズン、テスラジャパンがどれほど販売台数を死守することができるのかに大きな注目が集まってます。 そして今回、欧州市場において新たに判明したのが、モデルYに新たなグレードとしてロングレンジRWDグレードを追加したことです。じつはこのロングレンジRWDグレードについては、モデルYが正式発表された2019年当初の計画ではラインアップされていたものの、結局その正式発売後に、RWD、ロングレンジAWD、そしてパフォーマンスAWDという3グレード展開に制限。その後、RWDがラインアップから削除され、中国国内で生産がスタートした段階でRWDグレードが再度復活。そして今回、ドイツ・ベルリン工場で生産されるモデルYに対して、ロングレンジRWDグレードが追加設定されたことになったという経緯です。   それでは、今回のロングレンジRWDグレードについて、どのようなEV性能を実現しているのかを、現在ラインアップされているそのほかのグレード、日本市場でラインアップされているグレードとの違いも含めて簡単に比較しましょう。 まず初めに、モデルYのスペックを詳細に理解したい方が抑えるべきは、製造する工場や販売マーケットにおいて、同じグレードでもスペックが異なるということです。具体的にわかりやすいのがRWDグレードです。 この表で示されているのが、日本やカナダ、オーストラリアなどの東南アジア・オセアニア地域向けの中国製RWD。中国製であり中国市場限定のRWD。そしてベルリン工場製の欧州向けのRWDの3種類です。 まず大きい違いが、中国製については中国CATL製のLFPが採用されているものの、ドイツ製についてはBYD製のLFPが採用されているという点です。バッテリー容量が若干異なることによって、航続距離という点では、20インチホイールを装着する場合、欧州市場で採用されているWLTCモードクラス3において25kmほど違ってきます。それとは対照的に、充電性能についてはBYD製のLFPのほうが大きくリードしています。 また現在、中国製のRWDのなかでも、中国向けとそうでない場合でスペックが異なっている状況です。こちらはバッテリーは同じであるものの、搭載モーターが異なっています。中国市場向けには220kW、440Nmを発揮するモーターが搭載されていることで、その加速性能が大幅に向上。よって日本向けはゼロヒャク加速が6.9秒であるものの、中国向けは5.9秒と、動力性能が大幅に改善されているわけです。   そして、本題のロングレンジRWDグレードに関しては、WLTCモードクラス3において、最大600kmという航続距離を実現しています。この航続距離の長さを、すでに本国内でもラインアップされているロングレンジAWDグレードと比較してみると、35km分の航続距離延長ということになります。 やはり、同じLG製バッテリーを搭載しているものの、前輪側モーターが存在しないことで、その分だけ車両重量の軽量化に成功しており、具体的には欧州市場において20kg分の軽量化に成功していることから、電費性能が向上しているわけです。

TAG: #テスラ #マイナーチェンジ #モデルチェンジ
TEXT:高橋 優
爆速充電と超豪華な内装を引っ提げたミニバン「MEGA」が爆誕! 驚きの中身とひしめくライバルとの比較

EVの常識を変えかねないLi AutoのMEGA 中国のLi Autoが初のバッテリーEVとなるミニバンのMEGAを正式発売しました。最大充電出力520kW、充電時間12分という地球上最速級の充電スピードを実現しながら、ミニバンの究極の利便性を追求することによって、中国市場に新たなEVブームを引き起こす可能性を秘めた、2024年にもっとも注目に値する新型EVの最新動向についてを解説します。 今回取り上げていきたいのが、2014年に立ち上がった中国のEVスタートアップであるLi Autoです。すでに4種種ものEVを発売することによって、2023年12月単体における中国国内の販売台数は5万台オーバーを実現しました。 そして、2024年シーズンについては、年間で80万台という販売台数目標を掲げてきており、この販売台数は、日本のマツダやスバルなどに近づく規模感であり、まさに現在、中国EVスタートアップとしてはもっとも成長著しい自動車メーカーとなります。 他方で、このLi Autoについてはこれまで、レンジエクステンダーEVのみをラインアップ。あくまでも、Li Autoの販売の中心であるファミリーの富裕層に対しては、現状のバッテリーEVの性能では、航続距離や充電時間という観点で、まだ満足させることができないとして、バッテリーEVの販売をあえて遅らせていたという背景が存在します。 そして、そのLi Autoがついに満を持して正式発売をスタートさせてきたのが、初のバッテリーEVであるMEGAです。 MEGAは、全長5350mm、全幅1965mm、全高1850mm、ホイールベースが3300mmという巨大なミニバンです。 これまで中国市場においては、ミニバンはそこまで大きなセグメントではなかったものの、Zeekr 009やDenza D9など、ミニバンEVがスマッシュヒットを記録。現在、電気自動車によって、ミニバンセグメントが盛り上がりを見せ始めている状況です。 そしてLi Autoのメインターゲット層である裕福なファミリー層に対して、このMEGAであれば、バッテリーEVならではの静粛性や振動のなさによる快適な移動空間という、新たなライフスタイルを提案することができるわけであり、初のバッテリーEVについては、高級ミニバンセグメントで勝負を挑んできた格好です。 それでは、今回正式発売がスタートしたMEGAについて、とくに気になるEV性能を、競合のバッテリーEVのミニバンである、Xpeng X9、Denza D9、Zeekr 009、さらに現在Li Autoの最大のライバルとなっているファーウェイAITOのフラグシップSUVであるM9とをそれぞれ比較していきましょう。 まず初めに、MEGAはAWDのMaxグレードのみという、すべての装備内容をコミコミにしたワングレード設定です。そして、102.7kWhの中国CATL製のQilin Batteryを搭載することによって、その満充電あたりの航続距離は710kmと、空力性能で不利となるミニバンとしては、かなり長い航続距離を確保することに成功しています。 この航続距離の長さを実現している要因というのが、空力性能のよさを示すCd値で、それは0.215とミニバンとしてはありえないレベルの空力を達成しています。それこそポルシェタイカンのCd値が0.22であることから、あのスポーツセダンであるタイカンよりも空力性能が高いとイメージしてみれば、その凄さが見て取れると思います。 さらに、もうひとつ重要な充電性能という観点についても、そのQilin Batteryによる高性能な熱マネージメントのおかげによって、最大充電出力は520kWに到達しています。よって、充電残量10%から80%まで充電するのにかかる時間も12分間と、現在地球上で発売されているほとんどすべてのEVのなかで最速の充電時間を実現しています。 充電残量が80%の段階でも、まだ300kW程度の充電出力を流すことができるという信じられないほどのフラットな充電カーブも相まって、12分間の充電時間でミニバンEVの500km分の航続距離を回復可能となったわけです。 そして、Li Autoについては、その最大520kWという充電出力を発揮可能な超急速充電ステーションの建設を急ピッチで進め、2024年末の段階でその設置数を2000ステーションと大幅拡充する方針を表明しています。

TAG: #ミニバン #中国
TEXT:高橋 優
テスラが日本で全車30万円一律値下げ! 補助金が制限されるもお買い得度ではモデルYが圧倒!!

補助金額が減っても攻める姿勢を絶やさないテスラ テスラが日本国内において、モデル3とモデルYを中心に、全モデルの全グレード一律で30万円の大幅値下げを断行しました。 そもそも、この日本国内におけるテスラに関しては、2022年の9月からモデルYの正式納車をスタートしながら、さらに2023年8月中にもモデルSとモデルXのパラディウム世代の納車をスタート。そして、2023年12月中に、モデル3のモデルチェンジバージョンである、通称ハイランドの納車をスタートすることで、全4車種、最新の状態にアップグレードされ、一気に販売台数を伸ばそうとしてきていたわけです。 他方で、2024年シーズンに突入してからというもの、その販売台数は伸び悩んでいる状況であり、とくに第一四半期の販売台数を比較していくと、じつは2024年シーズンというのは、2年連続で販売台数がマイナス成長という厳しい状況であることが見て取れます。 いずれにしても、テスラが日本国内においてモデルチェンジを行なったとしても、販売台数で大きく苦戦しているわけです。 そして、そのテスラが日本国内において、需要喚起のためにさらなる値下げ措置に踏み切ってきたということで、具体的には、モデル3 RWDグレードが531.3万円、ロングレンジが621.9万円、モデルYのRWDグレードが533.7万円、ロングレンジが622.6万円、そしてパフォーマンスが697.9万円。 その上、モデルSとモデルXについても同様に値下げされ、テスラの全モデル、全グレード、一律で30万円もの値下げに踏み切った格好です。 他方で、テスラジャパンについては、4月からモデル3ロングレンジ以外のグレードに対して20万円もの購入サポートプログラムを展開していました。これは、モデル3ロングレンジグレードのみが85万円の補助金額上限の対象となったものの、それ以外のグレードが65万円という補助金額に制限されてしまったことを受けての対応だったことから、モデル3ロングレンジ以外については、4月以降と比較すると実質10万円という値下げ幅になります。 また、今回の値下げには関係ないものの、現在モデル3とモデルYの価格設定については、極めて接近している状況です。モデル3のRWDグレードについては、補助金を含めて466.3万円から購入可能なものの、モデルYのRWDグレードについても、補助金を含めて468.7万円から購入可能であり、その値段差はたったの2.4万円と極めて接近していることから、テスラ車をなるべく安く購入したいというような方については、もうこれは躊躇なくモデル3ではなくモデルY RWDグレードを購入するべきだと感じます。

TAG: #TESLA #モデルY #値下げ
TEXT:高橋 優
イケイケだったテスラに何があった? イーロンマスクが1.5万人規模のリストラを発表!

2024年のテスラの販売低迷は確定的か? テスラがグローバル全体で、10%以上の人員をカットするという決定が正式に通達されました。テスラが直面する足もとの販売台数の減少、2024年以降の厳しい見通しや懸念点についてを解説します。 じつはテスラは2024年第一四半期における自動車販売台数において、まさかの前年同四半期と比較してマイナス成長となってしまいました。 このグラフは、テスラとBYDのBEV販売台数を四半期ごとに比較したものです。直近の2024年Q1については、BYDからBEV王者の称号を奪還することに成功したものの、前年同四半期の2023年Q1と比較して、まさかのマイナス成長を記録しています。 そして、個人的に注目しているのが、EV最大マーケットである中国市場の動向です。 このグラフは、中国国内における週間保険登録台数の累計を四半期ごとに比較したものです。2024年Q1については、前年同四半期である2023年Q1よりも販売台数がマイナスとなっています。しかも、Q2以降については、シャオミやファーウェイがテスラのガチンコの競合EVを次々と発売してきていることで、その競争激化によって、Q1以上に厳しい戦いを強いられるのではないかと危惧されているわけです。 そして、なんといっても、欧州市場も含めて、すでに主力車種であるモデル3とモデルYの販売台数はピークに達してしまっていることから、2024年は販売台数の大きな増加に期待することはできず、そのなかにおいて、テスラはサイバートラックしか新型車が存在していないことによって、その成長速度が大きく鈍化するのではないかと懸念されている状況なわけです。よって、その成長速度が大きく鈍化することで、テスラの稼働する工場の生産ラインの稼働率が低下し、収益性にも大きな悪影響が出るのではないかと懸念されていたわけであり、その工場の従業員であったり、営業スタッフなどの余剰人員をリストラするのではないかという懸念も上がっていたわけです。

TAG: #TESLA #リストラ
TEXT:高橋 優
固体電池を早くも実用化! 中国のEVセダンは競争激化で「価格も航続距離も性能も」驚異的な世界に突入していた

中国EVセダンはゼロヒャク2秒台が当たり前の時代に突入 今回取り上げていきたいのが、中国のEV専門ブランドであるIMモーターの存在です。このIMモーターについては、中国の大手国有企業であるSAICのプレミアムEV専門ブランドとして、同じく中国のテック企業であるアリババなどと共同出資することで設立しました。 2022年の7月中にも、ブランド初のEVとなる中大型セダンのL7の納車をスタートさせながら、2023年の3月中にも、そのL7のSUVタイプとなるLS7の納車をスタートしました。 他方で、IMモーターに関しては、SAICの傘下に属しながらも、その知名度の点で苦戦。よって販売台数も不振が続いていたわけです。 ところが、2023年の9月にワールドプレミアが開催された、3車種目のEVとなるミッドサイズSUVのLS6に関しては、最大電圧875Vという、市販EVでもトップレベルの高電圧プラットフォームを備えることによって、100kWhバッテリー搭載グレードに関しては最大396kWという超急速充電に対応。 また、LS6の発売とともに、高速道路だけではなく市街地における自動運転支援「IM AD」の提供をスタートし、すでに上海などの一部大都市圏において、市街地ADASをリリース済みです。しかも2024年中に、中国全土での市街地ADASをリリース予定でもあります。 さらに、内外装の質感や装備内容に関しても極めて競争力が高く、それでいて、現在LS6は日本円に換算して462万円から発売されていることで、多くの新型EVにとってのベンチマーク的な存在となっています。 そして、このLS6の納車がスタートして以来、IMモーター全体の販売台数も急拡大し、12月については初めて月間1万台の壁を突破するという快挙も達成しました。 さらに、LS6の販売によって勢いづいているIMモーターが、2月末に欧州において開催されたジュネーブモーターショーで初お披露目を行ったのが、ミッドサイズセダンであるL6の存在です。 L6については、全長4931mm、全幅1960mm、ホイールベースが2950mmという、すでにラインアップしていたL7よりもひとまわり小さい、LS6のセダンタイプとなります。いよいよ来月開催される北京オートショーにおいて、中国市場でもお披露目される予定です。 そして、このL6に関するスペックについて、いくつか特筆するべき内容が公開されてます。まずは、0-100km/h加速が2秒台に達するということです。じつはこのミッドサイズセダンセグメントについては、すでに0-100km/h加速のベンチマークが3秒前半から2秒台へと移行している状況です。 もともとのベンチマークはテスラモデル3パフォーマンズが実現していた3.3秒であったものの、それこそ2023年末から納車がスタートしている、ファーウェイのLuxeed S7の最上級グレードRSについても、同じく3.3秒を実現。 そして、2024年元旦から納車がスタートしている、ジーリーのプレミアムEV専門ブランドであるZeekrのミッドサイズセダン007についても、0-100km/h加速は2.84秒と、いよいよ2秒台に突入しています。 また、モデル3に関しても、おそらく第二四半期中にもパフォーマンスグレードのモデルチェンジが行われる見込みであり、それによって、0-100km/h加速も2秒台に突入する見通しです。 よって、この2024年に発売されるプレミアムEVセダンについては、ゼロヒャク2秒台というスペックがベンチマークとなっていくわけであり、今回のL6もそのトレンドに追随してきた格好なわけです。

TAG: #セダン #中国
TEXT:高橋 優
日産が発表した中期経営戦略! 2026年に100万台の販売増加を打ち出した「The Arc」に立ちはだかるハードル

中国での20万台販売増と安いLFPバッテリー導入を目指す「The Arc」への懸念 日産が新たな中期経営戦略である「The Arc」を発表しました。2026年度までにグローバルで100万台の販売台数増加を目指しながら、安価なLFPバッテリーの導入、全固体電池によるEVテクノロジーの革新など、さらなるEVシフトの詳細を発表した一方で、この日産の経営戦略において指摘しなければならない、日産の大きな問題点について解説します。 それでは、今回の日産の中期経営戦略であるThe Arcの内容に関して、個人的に懸念せざるを得ないポイントをいくつか指摘していきたいと思います。 第一に、やはり販売台数を増加させるという点で、とくに中国市場の販売台数を20万台も増加させるのは不可能に近いという点です。 まずこのグラフは、グローバル全体の日産の販売台数を中国BYDの販売台数と比較したものです。日産の販売台数というのは、2020年シーズンの400万台という規模と比較しても、2023年シーズンは337万台とさらに落ち込んでしまっています。 もちろんこれは、短期的な収益性を確保するために、生産台数の損益分岐点を引き下げたことによるものという見方が可能であり、ここから販売台数を増加させていくという可能性は残されています。 他方で、中国市場における主要な自動車ブランドの年間販売台数の変遷を見てみると、紫で示された日産については、なんと2019年シーズンと比較して、2023年シーズンは50万台も販売台数を落としてしまっている状況です。 これを3年後に20万台も増やすというのは、さすがに中国市場における見通しが甘すぎやしないかということなのです。 中国市場の事実上の販売戦略となっているシルフィ一本足打法についても、BYDの大幅値下げ戦略によって大きな悪影響が出始めている可能性が高い状況です。 むしろ3年後に販売規模をキープできていれば、それはもう御の字であり、むしろ販売台数を大きく増やそうというのは無理筋なのではないかと感じます。いずれにしても、この中国市場における楽観的な見通しそのものが、中国市場の最新動向を、経営陣がどこまで把握できているのか首を傾げざるを得ないわけです。

TAG: #日産 #経営戦略
連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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ホンダCR-Vが帰ってきた! 新型燃料電池車「CR-V e:FCEV」が登場
「ノート オーラ NISMO」がマイナーチェンジ! 初の4WDモデル「NISMO tuned e-POWER 4WD」が登場
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コラム
電動化の失速どころかEV&PHEVがバカ売れ! テスラもドイツ御三家も押し出す中国メーカーの勢い
日本での走行テストを確認! 中国BYDの新たな刺客「Sea Lion 07」の驚異の性能
日本のEVシフトは2024年に入り低迷気味! 軽のサクラ&eKを除けば海外勢の健闘が目立つ
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インタビュー
「EX30」に組み込まれたBEVの動的性能とは。テクニカルリーダーが語る「ボルボらしさ」
「EX30」には、さまざまな可能性を。ボルボのテクニカルリーダーが話す、初の小型BEVにあるもの
災害に強いクルマは「PHEV+SUV+4WD」! 特務機関NERVがアウトランダーPHEVを選ぶ当然の理由
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試乗
EV専業の「テスラ」とEVに力を入れる従来の自動車メーカー「ヒョンデ」! モデルYとコナを乗り比べるとまったく違う「乗りもの」だった
誰もが感じる「ポルシェに乗っている」という感覚! ポルシェはBEVでもやっぱりスポーツカーだった
佐川急便とASFが共同開発した軽商用EV「ASF2.0」に乗った! 走りは要改善も将来性を感じる中身
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イベント
中国市場のニーズに合わせて開発! 日産が北京モーターショー2024で新エネルギー車のコンセプトカーを出展
レース前に特別に潜入! フォーミュラEに参戦する日産チームのテント内は驚きと発見が詰まっていた
日産がフォーミュラE「Tokyo E-Prix」開催前スペシャルイベントを開催! 六本木ヒルズアリーナに1夜限りのサーキットが出現
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