TET 編集部 記事一覧

TEXT:福田 雅敏、ABT werke
GMC、「ハマー EV」のラインナップ拡充と航続距離を公表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.24]

上級グレード「3X」をピックアップとSUVに追加 最大航続距離は570km(WPA)のロングレンジ 【THE 視点】GMCは4月21日、電動SUVの「ハマー EV」に新バリエーションが加わると発表した。2023年モデルの「ハマー EV SUV」と、2024年モデルの「ハマー EV ピックアップ」に、それぞれ「エディション1」と「3X」というグレードを設定する。 「ハマー EV SUV」は、「エディション1」と「3X」それぞれにオンロード志向とオフロード志向が用意され、計4つのモデルが展開される。そのうち「3X SUV 22インチホイール装着車」は、3モーターのAWD(前1基/後2基)で、最高出力620kW(842ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)を発生。最大航続距離は約500km(WPA)となる。 「ハマー EV ピックアップ」は、SUVと同様に「エディション1」と「3X」が用意されるが、「エディション1」はオンのみで、「3X」には両志向を設定。計3つのモデルが展開される。 そのうち「3X ピックアップ 22インチホイール装着車」は、SUV同様の3モーターAWDながら、最高出力745kW(1,014ps)/最大トルク1万5,594Nm(1,587kgm)に出力が高められている。最大航続距離も570km(WPA)とSUVよりも長い。ちなみに2021年にピックアップの限定車が発売された際には、10分で完売した人気ぶりだ。 今回はピックアップとSUV双方に上級モデル追加の発表となった。AWDで1,000ps超えという言わばスーパーピックアップ(GMCでは、スーパートラックと呼んでいる)の価格は、10万ドル程度(約1,300万円)となりそうだが、やはり即完売となるのではないだろうか。 日本においてはサイズが大きすぎて取り回しに苦戦するだろうが、購入希望者はいるだろう。国内導入はどうなるだろうか。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★CJPT、FCEVの小型トラックを東京都で展開……物流企業や東京都と連携を強化 ★★EVの2次・3次利用の可能性を探る実証実験が開始……大阪府能勢町/同豊能町/能勢・豊能まちづくり/イー・コンザル/住友三井オートサービスが官民で連携、リユースEVの公用車化など[詳細はこちら<click>] ★★クプラ、SUVの新型EV「タバスカン」を世界初公開……フォルクスワーゲンのプラットフォーム「MEB」を使用、ツインモーター式で最高出力210kW(286ps)と250kW(340ps)の2タイプを用意[詳細はこちら<click>] ★フォード、EVのピックアップトラック「F-150 ライトニング」をノルウェーで発売……グローバル販売の第一弾[詳細はこちら<click>] ★フォルクスワーゲン、第1四半期のBEVの納入が前年同時期比42%増加……14万1,000台を納入、欧州では68%増の9万8,000台 ★テスラ専門のレンタカーサービスが開始……ライトマークスが運営、「モデル3」が5台・「モデルY」が1台の計6台が稼働 ★テラモーターズ、沖縄にEV充電インフラを整備へ……沖縄県内の各施設などに導入決定、代理店も募集 ★テスラ、全国8カ所に最高出力250kWの急速充電器「スーパーチャージャー」を設置……東京・八重洲など[詳細はこちら<click>] ★テスラ、試乗キャンペーン「オートパイロット体験」を期間延長……5月31日(水)まで、東名川崎/心斎橋/福岡の3店舗で実施 ★BYDオート横浜中央(横浜市中区)が2月22日(土)にオープン……双日オートグループジャパンが運営、横浜市営地下鉄・伊勢佐木長者町駅から徒歩約5分 ★BYDオート静岡、4月28日から試乗商談開始……Cool The Earthが運営、事前予約制で「ATTO 3」に試乗可能 ★電動トゥクトゥクのエモビ、4月28日から大型連休割引を開始……レンタルステーション「えもび鎌倉」が鎌倉市民向けに提供、連休中の混雑回避手段として提案 ★フォーミュラE第7戦ベルリン、ミッチ・エバンス選手(ジャガーTCSレーシング)が優勝……9番手スタートから虎視眈々と追い上げ、40周のレースを制す

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TEXT:TET 編集部
ジャガー、EVの4ドアGTモデルを2023年後半に発表。さらなる新型車の予定も

ジャガー・ランドローバーグループ(JLR)は電動化の加速を中心とした経営変革プランを発表。そのなかで、ジャガー・ブランドのニューモデルとしてフル電動(BEV)の4ドアGTを、2024年から一部市場で発売すると明らかにした。 ジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を実現 往年のジャガーと言えば「XJ」に代表される流麗な大型4ドアサルーンがイメージリーダーだったが、そのXJも既に生産は終了し、今や売れ線は「F-PACE」、「E-PACE」などのSUV勢となっている。ではなぜ、XJの新世代モデルが登場していないかというと、それは電動化を進めるためとみられる。ジャガーの次期フラッグシップはBEVになることが既定路線というわけだ。 そうしたなか、今回の発表で明らかにされたのが、新たな電動4ドアGTの登場。ジャガーがあえて「4ドアサルーン」ではなく「4ドアGT」というフレーズを使っていることからも、新型車がコンベンショナルなセダンではなく、クーペライクなルーフラインを持つ流麗なデザインのモデルになると想像される。 そして、現行のジャガー4ドアモデルが「XE」、「XF」というミドルサイズのみであることから、新型4ドアGTは比較的大型のモデルになりそうだ。このモデルが新たなジャガーのフラッグシップになる可能性も否定できない。 JLRによると、新型4ドアGTはジャガー史上最高の出力と最大700kmの航続距離を備え、10万ポンド(約1670万円)を上回る価格設定になる予定。これまで、ジャガーはスーパーチャージドV8から600馬力を絞り出す「XE SV Project 8」といった超高性能モデルを送り出した経緯もあることから、新たなフラッグシップはそれを上回る出力を引っさげて登場する可能性もありそうだ。 >>>次ページ 他にも新型EVが2モデル登場予定

TAG: #XJ #セダン
TEXT:TET 編集部
エアサスを超える次世代シャシー技術が登場か。BYDが「DiSusシステム」を発表

中国の自動車メーカーBYDは、深圳の本社で行われたテクノロジーイベントで、新開発のボディコントロールシステム「DiSusシステム」を発表した。この新しいシャシー制御システムにより、クルマの安全性や快適性、運動性能が大幅に進化する可能性がありそうだ。 横/縦/垂直方向の動きを協調制御 中国のEVマーケットで最大のシェアを持つBYDは、今やグローバルなバッテリーEV販売でテスラに次ぐ位置に付けており、近々首位に立つことも見込まれている。日本国内でも電動SUV「ATTO3」(アット3)が440万円という超戦略的価格で発売し、いま乗りに乗っている新興自動車メーカーだ。 そんなBYDが今回発表したDiSusシステムは、これまでのエアサスペンションを超えた動きを可能にする車体制御技術で、既存の部品メーカーなどに頼らず、BYDが完全自社開発したというもの。 DiSusシステムは、ダンピングボディコントロール(DiSus-C)、エアボディコントロール(DiSus-A)、油圧ボディコントロール(DiSus-P)の3つから成り、横方向、縦方向、垂直方向の動きを協調制御することでドライバビリティを大幅に向上させられるのが自慢のポイント。 また、オートパイロットなどの先進運転支援システム(ADAS)とも相性が良く、車両の開発段階からADASと共通の基盤を用いることで、より精緻な自動運転が可能になるというメリットも持つ。 つまり、DiSusシステムとは空気圧や油圧を使った高度なアクティブサスペンションといえるが、その動きたるやこれまでの自動車の概念を覆すもので、同時に公開された動画には、DiSusシステムを搭載したBYDの電動スーパーカー「U9」が、ボディを前後左右に揺らして「踊る」様子が収められている。 上海ショーでお披露目されたU9は市販化前のモデルであり、搭載するのはDiSus-Xというさらに先進的なシステムだ。それゆえDiSusシステムを採用する量産車がすべてこのような動きをするわけではないと思うが、驚かされるのは4輪すべてを地面から離してのジャンプや、前片輪を外しての3輪走行も可能なこと。 >>>次ページ  横転リスクの低減や車体の安定化に寄与

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ランドローバー、EVの「レンジローバー」が2023年後半に予約開始……デイリーEVヘッドライン[2023.04.21]

ラグジュアリーSUVにも電動化の波 グループのジャガーもEVを投入へ 【THE 視点】ジャガーランドローバー(JLR)は4月19日、ラグジュアリーSUV「レンジローバー」に初のEVモデルを設定し、今年後半に予約受注を開始すると発表した。 「次世代のミッドサイズ・モダンラグジュアリーSUV」をうたうブランド初のEVモデルとなり、2025年に発売予定だという。マージーサイドのヘイルウッド工場で生産。「エレクトリファイド・モジュラー・アーキテクチャー(EMA)」を初採用する。 またJLRは、モダンラグジュアリーEVモデルの展開を推進するために、今後5年間で150億ポンド(約2兆4,900億円)を投資する。その一環として、英国マージーサイドのヘイルウッド工場を、EV専用工場に改装し、JLRが掲げる目標(2039年までに排出ガス量実質ゼロ)の達成を目指す。 ランドローバーと合わせて、グループのジャガーもラインナップを見直し、モダンラグジュアリー系のEVを3車種投入する。その初のモデルは4ドアのGTで、航続距離は最大700km。価格は10万ポンドを超える見込みだという。 高級SUVの代名詞でもある「レンジローバー」もこうしてEV化された。先日もメルセデス・ベンツが「メルセデス・マイバッハ EQS SUV」を発表しており[詳細はこちら]、高級SUV市場にもEVの波が押し寄せている。「レンジローバーEV」の性能もさることながら、価格の面でも驚かされそうだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ジャガー、EVの4ドアGTモデルを2023年後半に発表……専用アーキテクチャー「JEA」を使用、2024年に販売開始[詳細はこちら<click>] ★★出光、種子島空港でEVの充電実証実験を開始……太陽光発電で空港への電力供給とEVへの充電を実施、充電器は6kWの普通充電器3基[詳細はこちら<click>] ★出光、廃棄物由来のクリーン水素製造の事業化を検討……一般ごみなどから製造、燃料電池車などさまざまな需要を想定 ★日産、八王子市とEVを活用した地域づくりで連携……EV推進施策「ブルー・スイッチ」の一環、災害時にEVを電源として活用するなど ★ブレイズ、グルメ・フードフェス「アッシュフェス」(ナゴヤ セントラルガーデン ポケットパーク:名古屋市千種区/4月23日(日))に出展……「ブレイズ スマートEV」など5車種を展示 ★フォーミュラE第7・8戦ベルリン、今週末の4月22日(土)〜23日(日)に連戦で開催……現在のランキングトップはパスカル・ウェーレイン選手(タグホイヤー・ポルシェ)

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TEXT:TET 編集部
680馬力のファーストクラスEV。メルセデス・マイバッハが「EQS SUV」を発表

独メルセデス・ベンツは4月17日(現地時間)、最高級ブランド「メルセデス・マイバッハ」初の完全電動モデル「メルセデス・マイバッハEQS SUV」を発表した。マイバッハ・ブランドに相応しく超豪華に仕上げられたe-SUVの内容を紹介したい。 最大トルク950Nm 、最高速は210km/h達成 メルセデスのEVサブブランド「EQ」が、フラッグシップSUV「EQS SUV」を発表したのが昨年4月。それからちょうど1年で、専用の内外装を奢り、パワートレインをさらに強化したマイバッハ・バージョンが登場した。 メルセデスのEQS SUVが「EQS 450+ SUV」、「EQS 450 4MATIC SUV」、「EQS 580 4MATIC SUV」という3グレード構成なのに対し、マイバッハ版は「EQS 680 SUV」のモノグレード。数字が示すように、ツインモーターパワートレインはEQS 580 4MATIC SUVよりおよそ114ps/90Nm増となる658ps(484kW)/950Nmにまで強化され、0ー100km/h加速は4.4秒、最高速度は210km/hに達する。 バッテリーに関しては最大200kWの急速充電に対応し、15分で220km(WLTPモード)分の充電が可能。ただし、航続距離は最大600kmと発表されており、豪華装備の代償としてメルセデス版より若干短くなっているようだ。 足回りは、連続減衰力調整機能付きAIRMATICエアサスペンションが標準装備され、最低地上高を最大35mm引き上げることができる。EQS 680 SUVで悪路に踏み込むオーナーがいるのかわからないが、走破性は相当高い水準が期待できそうだ。そして、最大10度のステアリング角を持つリアアクスルステアリングも標準装備され、全長5125mm×全幅2034mm×全高1721mmという巨体にも関わらず、最大回転直径はコンパクトカー並みの11mを達成している。 エクステリアでは、EQSシリーズの特徴であるブラックグリルに、クロームメッキを施した縦長のストリップを追加。クロームはエアインテーク、ロワーバンパー、さらにはサイドピラーなどにも加えられ、ボディ全体からリッチな雰囲気を放つマイバッハらしいデザインに変更されている。 また、足元にも21インチまたは22インチの専用鍛造アロイホイールが奢られ、ホイールキャップには「MAYBACH」のレタリングが施される。リアコンビネーションライトは2つの部分からなる螺旋状の連続した形状とされ、ラグジュアリーなキャラクターを強調。さらに、このライトは全幅に渡ってアニメーション化されている。ボディカラーにマイバッハだけの2トーンカラーが5つ設定されているのも大きな魅力だ。 >>> 次ページ セレブリティをもてなす超豪華な後席

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
MG、オープンスポーツEV「サイバースター」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.20]

日本でも人気のあった「MGF」の実質後継 2024年夏に欧州発売を明言 【THE 視点】MGは、「上海モーターショー」にてEVのスポーツカー「Cyberster(サイバースター)」を発表した。2024年の夏に英国とヨーロッパで発売される予定。MGの新たな時代の幕開けとなる重要モデルだ。 「サイバースター」は、2シーターのオープンカーで、強力なパワートレインと最先端のテクノロジーを備えている。上方に開くシザーズドアを備えているのも特徴。スポーツカーブランドとして名を馳せたMGブランドのイメージを再定義するモデルになる。 MGは1924年創業と歴史が古いイギリスのスポーツカーメーカー。日本においても古くから知名度の高いメーカーであったが、2005年に当時のMGローバー社が経営破綻し、その後中国メーカーの資本となり再建した。 今回発表された「サイバースター」は、MGでも後期に販売され日本でも人気を得ていた「MGF」のEV版ともいえる。 今回の発表では、英国を含むヨーロッパで発売とだけ発表されたが、日本にもMGファンは多い。「サイバースター」の日本導入を望む声も多いはずだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★日本自動車車体補修協会とナルネットコミュニケーションズ、協働で「EV整備ネットワーク」の構築へ……新興EVメーカーをフォロー、EV特化型のメンテナンスパックも開発[詳細はこちら<click>] ★★兵庫県加古川市、EV用充電ステーションの設置費用を助成……急速充電器1基あたり最大200万円 ★★フォード、プロトタイプEVの「マスタング・スーパー・コブラジェット1800」を開発……1800馬力の電動パワートレインを積みアメリカのドラッグレース「NHRA」に挑む[詳細はこちら<click>] ★兵庫県加古川市、公共施設「かこてらす」にEV用急速充電器を設置……e-モビリティ・パワーのシステムを使用 ★テラモーターズ、マイステイズ・ホテル・グループにEV充電器を設置……「亀の井ホテル」はじめグループ内の90施設に計156基[詳細はこちら<click>] ★テラモーターズ、アコーディア・ゴルフにEV充電器を導入……2023年度中全国151ヵ所に[詳細はこちら<click>] ★BMW、中国での雇用が過去3年で3倍に……EVエンジニア等3,200人以上が地元のテクノロジー企業などと協力 ★フォルクスワーゲン、中国での事業を加速……中国合肥に10億ユーロを投資して開発センターを設立、新会社「100%TechCo」(プロジェクト名)にて開発時間を30%短縮 ★BYD、新エネルギー車(NEV)向けのアクティブサスペンションを開発……油圧や空気圧を利用し瞬時に車体の姿勢を制御[詳細はこちら<click>] ★中国吉利ホールディングス、 新型SUV「ジーカー X」を「上海モーターショー2023」に出展……「ポールスター4」などと共通のプラットフォーム「SEAアーキテクチャ」を使用 ★ジェネシス、アメリカで「ジェネシスホーム」を展開……V2H機能や太陽光発電をパッケージ化 ★ボルボ、コカ・コーラ・カナダにEVのトラクターヘッド「VNR エレクトリック」を納入……カナダの飲料メーカーとしては初 ★ランチア、「ピューラHPE」を「ミラノ・デザイン・ウィーク2023」に出展……4月23日(日)まで実車を展示 ★シトロエン、新コンセプトの小型電動自律移動モビリティを発表……板状の電動シャシーにカプセルやベンチなどを搭載可能な都市型モビリティ ★EVモーターズジャパン、「第4回 関西物流展」(インテックス大阪:4月12日〜14日 ※終了)に出展……2023年の本格的な市場導入を見すえ1トン・2トンのEVトラックを展示 ★ボグゾール、商用車のCO2排出量について独自調査を発表……「英国内の商用バンをEVに置き換えると年間1,950万トン以上のCO2を削減可能」 ⚫︎リコール、「アウディRS e-tron GT」……エアスプリングがストラットから分離のおそれ ⚫︎リコール、「シトロエン e-C4エレクトリック」……バッテリーマネジメントユニットの不具合で電源遮断・走行不能になるおそれ

TAG: #THE視点 #サイバースター #スポーツカー #ニューモデル
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
BMW、新型EVセダン「i7 M70 xDrive」を発表……デイリーEVヘッドライン[2023.04.19]

BMWの新世代のフラッグシップ登場 従来のV12エンジンに代わりEVが頂点に 【THE 視点】BMWは4月17日、「i7 M70 xDrive」を発表した。BMWで最もパワフルなEVモデルで、中国で開催される「上海モーターショー2023」(4月18日~27日)でデビューした。 「i7 M70 xDrive」はフロントとリアの両方にモーターを搭載する全輪駆動で、システムの最高出力は 485kW(659ps)、最大トルクは1,100Nm(112.2kgm)。0ー100km/h加速は3.7秒で、BMWの全電動モデルの中で最速だという(最高速度は250km/hでリミット作動)。M専用のシャシーを備え、ラグジュアリーセグメントならではのドライビング体験や、BMWらしい電動モビリティとパフォーマンスの完璧な組み合わせを実現したとのこと。 これまで、「7シリーズ」すなわちBMWのフラッグシップモデルと言えば、ガソリンエンジンでV型12気筒を積んだ「760i」だった。この新型ではV型12気筒エンジンはモデルから外れている。しかし今回、それに代わるフラッグシップモデルとして、「M」を冠した「M70 xDrive」が登場した。これは、BMWのフラッグシップモデルがEVに代わったことになる。 今回の上海モーターショーでは、世界最大のEV大国である中国での開催だけに、他社からもEVモデルの発表が相次いでいる。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ボルボ、首都圏でEVカーシェアリングを開始……DeNAソンポ・モビリティ運営の「エニカ」にて「C40リチャージ」「XC40リチャージ」を導入 ★★ヒョンデ、「アイオニック5」ベースのサービスカーを導入……出張サービス専用車両「Hyundai Qちゃん」が稼働開始、整備工具一式を車載[詳細はこちら<click>] ★★「上海モーターショー2023」開幕、新型EV発表ラッシュ……欧州勢は中国市場向けの高級路線、日本勢はコンセプトカー多数 ※以下発表の新型車  ・メルセデス・マイバッハ、「EQS 680 SUV」を発表……最上級のショーファー・ドリブンEV、最高出力484kW(658ps)[詳細はこちら<click>]  ・トヨタ、2台のSUV型EV「bZスポーツ・クロスオーバー・コンセプト」「bZフレックス・スペース・コンセプト」を発表……2024年に中国に導入[詳細はこちら<click>]  ・フォルクスワーゲン、「ID.7」を発表……マッサージシートなどを備えた快適志向のEVセダン  ・ボルボ、「EX90エクセレンス」を発表……リクライニングシートや冷蔵庫等を備えたショーファードリブン志向のSUV型EV  ・ポールスター、「ポールスター4」を発表……SUVクーペスタイルのEV、吉利ホールディング開発のプラットフォームがベース  ・日産、EVコンセプトカー「アリゾン」を公開……CMF-EVプラットフォームによる低重心化や自動調光のサンルーフなどが特徴、「マックス・アウト」も中国初公開  ・ホンダ、「e:N」シリーズの新コンセプトカーを公開……「e:NP2 Prototype・e:NS2 Prototype」と「e:N SUV 序」[詳細はこちら<click>]  ・レクサス、「RZ450e」ベースの「RZアウトドア・コンセプト」を「上海モーターショー2023」に出展……EVハイパーカーのコンセプト「レクサス・エレクトリファイド・スポーツ」も展示 ★富士急行、EVバスを導入……EVモーターズ・ジャパン製の大型4台・小型2台の計6台、富士急グループ5社の路線バスにて稼働 ★「G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合」が開催、ZEVなどに対する共同声明を発表……「2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、関連するインフラ及び持続可能なバイオ燃料や合成燃料を含む持続可能なカーボンニュートラル燃料を促進すること(※)」などを強調 ※声明文より一部抜粋

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TEXT:福田 雅敏、ABT werke
ジープ初のEV「アベンジャー」が欧州でデビュー……デイリーEVヘッドライン[2023.04.18]

パワーユニットはニデック(旧日本電産)との共同開発 日本発売も予定だが納期は最大1年の見通し 【THE 視点】ステランティス傘下のジープは4月17日、ブランド初のEV「アベンジャー」をヨーロッパで公開した。 「アベンジャー」の外見はコンパクトだが、室内空間はできる限り広く仕上げ、乗員はもちろん様々なものを積み込めるようにスペースを確保し、ダイナミックさと扱いやすさを持つSUVに仕上げられているという。 大きなトピックのひとつは、ニデック(旧社名:日本電産)とステランティスとの合弁会社である 「eMotors」が開発したパワーユニットが初搭載されていることだろう。最高出力115kW (156ps)/最大トルク260Nm(26.5kgm)を発生する。 搭載されるリチウムイオン・バッテリーは、ニッケル/マンガン/コバルトが主成分の正極材(NMC)を採用したもので、最大容量は54kWh(使用可能容量51kWh)。400Vの電動パワートレインと組み合わされ、最大航続距離はWLTP値で400km、市街地走行で最大550kmだという。 「アベンジャー」は、2023年の「欧州カー・オブ・ザ・イヤー」とともに、同年の「ウィメンズ・ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー(WWCOTY)」の「カー・オブ・ザ・イヤー2023」および「ベスト・ファミリーSUV」を受賞した期待のEVである。 全長4m程度のコンパクトなSUV型EV「アベンジャー」は欧州での発売は既にアナウンスされ、日本でも今年の2月にメディア向けに公開されている。発売は来年になるようだが、半導体問題などがあり納車は半年〜1年ほどの見通しだ。購入希望者はディーラーへの問い合わせを急ぐことをお勧めしたい。そうすれば無駄な遅延がなく「アベンジャー」に乗ることができるだろう。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★EVモーターズジャパン、シダックスグループの大新東に大型EV路線バスを納車……金沢文庫駅〜大規模分譲マンション「レイディアントシティ横濱ル・グランブルー」間にて4月19日(水)より運行 ★★フォルクスワーゲン・グループのElli、欧州での充電ポイントが50万ヵ所に……直近4ヵ月で10万ヵ所を追加[詳細はこちら<click>] ★フィアット、「500e」をパリのカーシェアリングに提供……「Free2move」のサービスで利用可能 ★エマルションフローテクノロジーズと大平洋金属、リチウムイオン・バッテリーのリサイクル技術を共同開発へ……レアメタル回収技術の確立を目指す ★EVバイクシェアリングサービスのシェアロ、ステーション設置数が500ヵ所……4月30日(日)に東京プリンスホテル屋外駐車場(東京都港区)にて安全講習会を開催(参加費無料) ★フォード、「マスタング・マッハE」をオーストラリアと台湾でも発売……世界39ヵ国での販売車種に、生産台数が2年で15万台目前 ★BYD、試乗企画「eモビリティ パートナープログラム」体験者による「アット3」の感想を公開……「運転がしやすい」との声多数

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TEXT:福田 雅敏
日本の新興ブランド「エイム」も新型スポーツEVを公開……写真で見るオートモビルカウンシルのEV時代[THE視点]

4月14日(金)〜16日(日)まで幕張メッセ(千葉県千葉市)にて開催された「オートモビルカウンシル2023」。ヘリテイジカーを中心に展示する本イベントだが、今回はEVの出展も目立っていた。 今回の目玉はマツダの「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」の日本初公開だが、それ以外にも多数のEVの出展が見られたので、写真とともにイベントの雰囲気をお伝えしたい。 元日産のエンジニアによるスポーツEV「エイム EV SPORTS 01 コンセプト」が初公開 「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」以外にもEVの出展が目立った。AIM(エイム)社が開発した「EV SPORTS 01 コンセプト」は本イベントが初公開の舞台となった。 車両デザインは、元日産のデザイナー中村史郎氏によるもの。自社製の駆動モーター「APM200」をリアに2基搭載する後輪駆動だ。このクルマはイベント後に英国に送られ、7月に開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で走らせるという。 BYDのブースには、1月に発売されたばかりの「ATTO3」(アット3)と今年の末頃発売予定の「SEAL」(シール)の2台が展示されていたほか、さらに試乗車として「ATTO3」が2台用意されていた。今回試乗車を用意していたのはBYDだけだった。オートモービルカウンシルで試乗が出来るのは、筆者が知る限りBYDが初めて。BYDの意気込みが感じられた。 開発に携わった三菱のパイクスピークマシンに再会 三菱自動車のブースには、EV・PHEV合わせて5台が展示されていた。中でも注目を集めていたのは、2014年にアメリカの「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム・レース」に参戦し電気自動車改造クラスで優勝した「ミーブ・エボリューションⅢ」だ。 この「ミーブ・エボリューションⅢ」は、実は筆者も開発に参加した。そのおかげで、実際にパイクスピークにも行くことが出来たのだ。筆者にとって久し振りのご対面だった。EVではこのほか、量産EVの「eKクロスEV」が展示されていた。 日産自動車のブースには、中央に桜色の「サクラ」が展示されており、その横には、昨年レストアで話題となった俳優伊藤かずえさん所有の「シーマ」が提示されていた。トークショーも賑わっていた。 新旧のクルマの展示会となったオートモービルカウンシル、今回も2台のEVの発表の場となっただけに、今後もEVの展示は増えるのではないだろうか。新旧のクルマと触れ合う場所として大変興味深いイベントに感じた。

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TEXT:福田 雅敏
「マツダ MX-30 e-SKYACTIV R-EV」日本初公開……現役EV開発エンジニアが「オートモビルカウンシル2023」で見た旧技術と新技術の行き先[THE視点]

「クルマを超えて、クルマを愉しむ」展示会、「AUTOMOBILE COUNCIL 2023(オートモビル カウンシル 2023)」 (主催:AUTOMOBILE COUNCIL 実行委員会)が4月14日~16日に幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された。 今回はその中でも、異色と思われるEVにフォーカスしレポートをお届けする。オートモービルカウンシルと言うと、ヘリテイジカーなどがメインのイベントに思えるが、今年は少し様子が異なっていた。EVの展示も多かったのだ。 旧世代技術の内燃機と新世代技術の電機を融合したロータリーエンジン車の未来型 その中でひときわ目立っていたのが、日本初公開となった新開発のロータリーエンジン搭載のマツダ「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」だ。展示車は、1月13日のブリュッセルモーターショー(ベルギー)で初公開された欧州仕様(左ハンドル)の特別限定車「MX-30 e-SKYACTIV R-EV Edition R」である。 先に発売されている「MX-30 EV」との違いについてマツダは、「MX-30の基本的な提供価値はそのままに、バッテリーEVとしての使い方を拡張した」と説明した。

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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