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「大阪・関西万博」にて岩谷産業が運行するFC船(photo=岩谷産業)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
水素燃料電池は船舶をも動かす……岩谷産業が「大阪・関西万博」で日本初のFC船を運行へ[2023.07.25]

中之島ゲートから大阪・関西万博の会場となる夢洲をつなぐ航路に日本初就航 におい・騒音・振動などがない快適な旅客船が誕生へ 【THE 視点】岩谷産業は7月20日、2025年に開催される「大阪・関西万博」にて、水素燃料電池船(FC船)を運行すると発表した。中之島ゲートから大阪・関西万博の会場となる夢洲をつなぐ航路にて、国内初となるFC船による旅客運航を行う。運航は京阪グループの大阪水上バスに委託する方向で進めているという。 今回のFC船は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として採択されている。 船の概要は、全長30m×全幅8m。定員は150名で船速 は10ノット(およそ20km/h)。運行時にCO2や環境負荷物質を排出しない高い環境性能を有するだけでなく、におい・騒音・振動のない快適性も備えている。 デザインは、カーデザイナーの山本 卓身氏が手掛けた。「水素の先進性を訴求すべく、未来を感じられる斬新なデザイン」を意識したようだ。本船は海上の「動くパビリオン」と位置付け、「大阪・関西万博」会場までの移動を特別な体験に変えることで水素エネルギーの魅力を世界に発信することを目指すという。ちなみに山本氏は、プジョー・シトロエンの市販車やコンセプトカーなどのデザインを担当している。 岩谷産業は、1941年に水素の取り扱いを開始して以来、製造から輸送・貯蔵・供給・保安まで一貫した全国ネットワークを築いている。FCEVに乗る筆者としては非常に身近な企業で、先の週末も2回ほど岩谷産業の水素ステーションを利用した。 岩谷は、水素事業におよそ1,800億円を投資すると発表している。今回のFC船は無関係ではないだろう。 昨今は、港湾や船舶の脱炭素化も求められるようになっている。商用FCEVと同様に、FC船は水素充填時間がバッテリー式よりも少なくて済むと思われる。その分、港に長時間停泊する必要や停泊場所の限定がないため、港湾内の交通整理も楽になるだろう。旅客だけではなく、タンカーなどへの応用も期待したい。 今回の発表は岩谷の水素事業への意気込みを強く感じ取れた。筆者もFC船に乗ってみたいと思う。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★KGモーターズ、超小型EV「ミニマムモビリティ」をMaaSに活用……1人乗りの自動運転EV事業を検討 ※MaaS:地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス(政府広報より) ★★ステランティス、サムスンと合弁でアメリカに2ヵ所目のバッテリー工場を建設へ……2027年初頭に生産開始を計画、34GWh/年の初期生産能力 ★★スカイドライブ、ベトナムの無人航空機事業のCTグループと「空飛ぶクルマ」導入に関する覚書を締結……最大100機の大規模プレオーダー ★新電元工業、最高出力150kWのEV用急速充電器「SDQC2F150シリーズ」が充電器の国際通信規格「OCPP」に対応……事業者が独自に料金や決済方法を設定可能になる規格、「eモビリティ・パワー」が対応済み ★スカイドライブ、大阪における空飛ぶクルマの航路実現性を調査……「大阪・関西万博」での実装を見据え、離着陸ポートや航路を検証 ★つちうらMaaS、JR常磐線神立駅<茨城県土浦市>にてグリーンスローモビリティの実証実験を開始……神立駅西口地区循環として導入(乗車無料)、2023年7月18日〜2024年2月29日まで ★テラモーターズ、道の駅「伊勢本街道御杖」<奈良県御杖村>にEV用充電器を導入……50kWタイプの急速充電器を導入予定 ★自然電力、エネルギー管理システム「シゼン・コネクト」が東京ガスのEV導入支援サービスに採用……再エネ発電や蓄電池・EVなどのエネルギーリソースを集合的に制御可能なシステム デイリーEVヘッドライン[2023.07.25]

TAG: #THE視点 #その他モビリティ #燃料電池(FC)
ヘッドマッサージのイメージ(photo=ゴールデンフィオールド)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
EVと人を“同時充電”……日産が「悟空のきもち」とコラボ、EVオーナー専用スパを高速SAに開設[2023.07.24]

EVの充電20分間でドライバーも回復させる専用マッサージコースを開発 充電を“待つ”時間から“活用”するサービスの契機となる予感 【THE 視点】頭のもみほぐしサービス「悟空のきもち」を運営するゴールデンフィールドは7月20日、東名高速足柄サービスエリアにおいて、EVオーナー向けのマッサージサロンを期間限定でオープンすると発表した。本取り組みは、日産自動車発のEVオーナー優遇サービス「グリーン・パス」にの一環として実現した。 EVを充電する間、ドライバーも同時に回復させるEVオーナー専用スパ「FULL-CHARGE SALON(フルチャージ・サロン)」を、東名足柄サービスエリア上り<静岡県御殿場市>にて2023年7月21日(金)より、新名神宝塚北SA上下集約<兵庫県宝塚市>にて8月24日(木)より期間限定でオープンする。利用対象者はEV充電の全利用者となる。 サロンの運営は「悟空のきもち」が担当する。日産・新潟大学と共同でEVの運転疲労と回復について試行錯誤・実証実験を経て、運転疲労に特化した「ドライバー専用リラクゼーション」を作り上げた。EVの充電時間を20分と設定し、マッサージもそれに合わせたコースとなるようだ。 ほぼ全ての人を10分で眠らせるという「悟空のきもち」の得意分野を活かし、施術後の眠気を残さない専用技法を開発したという。新潟大学との実証実験では、短い施術時間でも疲労の緩和と減少が見られたとのこと。 ちなみにサロンの施設には、環境に配慮するため廃棄物由来の素材を混合した再生素材「SOLID」を使用しているという。再生素材の活用は、EVにおいても世界的に導入の流れがある。 施設には、同乗者も利用可能な休憩ラウンジも用意。レストランガイドブック「ゴ・エ・ミヨ 2022」でベストパティシエ賞を受賞した加藤 峰子氏監修のもと、廃棄果物やオーガニック素材を有効活用した“身体をチャージする”スペシャルドリンクも提供するという。 EVの急速充電時間は平均的に30分。その間、EVもドライバーも同時に“充電”するという発想は素晴らしい着眼点だ。しかも「悟空のきもち」は国内の5店舗全てが向こう3ヵ月待ちの予約という状況で、キャンセル待ちが71万人もいるという超人気サービスである。今回の施策もかなりの人気が出るのではないだろうか。 人気サービスを利用できるという面白さもあるが、マッサージを受けることにより事故を未然に防ぐことにもつながるだろう。今後徐々に増えてくるだろう大型のEV用充電施設にも設置して良いと思う。 こういったサービスが増えれば、EVの充電時間がただ“待つ”時間から“活用”する時間へと変化する。新たなビジネスが生まれる予感がする。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ステランティス、充電制御機器とインバーターを統合した新型バッテリー「IBIS」のプロトタイプを発表……車体スペースをさらに効率化、10年以内に実用化へ ★★トヨタ、月面探査機「ルナクルーザー」に再生型の燃料電池を採用……2029年の打ち上げに向けて2024年中から開発 ★★自動車用のノイズキャンセリング技術が日本で体感可能に……イスラエルのSilentiumが名古屋オフィス<JPタワー21階/中村区>に体感シートを用意、EV化で目立つようになったロードノイズを除去 ★BMW、中国上海にR&Dセンターを開設……次世代のEV「ノイエ・クラッセ」開発の重要拠点に ★ZMP、自動運転EVバス「RoboCar Mini EV Bus」の最新型の受注を開始……独自の自動運転OS「アイザック」を搭載、OSのOEM供給も開始[詳細はこちら<click>] ★岩谷産業、「大阪・関西万博」にて世界初のFC船を運行へ……中之島ゲートから万博会場の夢洲のルートに就航、カーデザイナーの山本 卓身氏がデザインを担当 ★ニデック(旧日本電産)、2024年4月〜6月期の売上高が601億5,200万円……四半期ベースで過去最高、「イー・アクスル」事業も黒字化 ★東京都、江東区新砂地区の水素ステーションの運営業者を公募……FCEVバス・トラックに対応した大型のステーション、7月20日〜8月18日まで ★三菱重工、「船舶向けゼロエミチャージャー普及推進協議会」を設立……EV船舶用充電インフラの規格化を目指す ★空飛ぶクルマのASKA、米国連邦航空局(FAA)に型式証明申請……陸上走行も可能な「A5」を申請、レンジエクステンダー方式のEV ★テスラ、橋本スーパーチャージャー<神奈川県相模原市>にて特別試乗会を実施……7月29日(土)開催、「モデル 3」「モデル Y」を用意 ★岩谷産業、「液化水素貯槽の大型化に関する研究開発」がNEDOの助成対象に……トーヨーカネツとの共同研究事業、2030年ごろに本格稼働する水素発電事業に液化水素の貯蔵が有用 デイリーEVヘッドライン[2023.07.24]

TAG: #THE視点 #充電インフラ #国内ビジネス
TEXT:TET 編集部
小さいながらも猛毒! BEV時代のホットハッチ。0-100km/h=7秒「アバルト 500e」が日本初公開

ステランティスジャパンは7月20日、アバルトブランド初のバッテリー電気自動車(BEV)「ABARTH 500e(アバルト チンクエチェント イー)」の国内販売開始に先駆けて、7月22日(土)および23日(日)に、新宿の東急歌舞伎町タワー前のステージ上で、実車を国内初披露すると発表した。 モーター出力は155ps、0-100km/h加速は7秒 コンパクトカーに高出力パワートレインを搭載し、足回りのポテンシャルも引き上げられた、“ホットハッチ”。BEV初のホットハッチとして昨年世界初公開されたのが、アバルト 500eだ。 パワートレインは、既に国内でもリース販売が開始されているフィアットのコンパクトEV「500e」をベースに、モーター出力は3割以上も引き上げられ(118ps→155ps)、0-100km/h加速7秒と、小さいながらも猛毒を持つサソリを思わせる。 さらに、ベースモデルよりフロントが30mm延長されたことでルックスの迫力が増すとともに空力性能が向上し、ロワーグリルの突起などサソリの脚をモチーフにしたディテールが各所に盛り込まれたことも相まって、アバルト 500eは電動時代のホットハッチにふさわしいデザインとなっている。 今回、本年秋と目される国内販売開始に先立って、新宿で公開されるのはコミュニケーションカラーでもあるアシッドグリーンにペイントされたアバルト 500e。オーシャングリーンのベースモデル500eと並べて展示され、ステランティスの電動車を国内のファンにアピールする。なお、今回の展示概要は下記のとおり。公開日は2日間限定で、アバルトファンならずとも要注目だ。 2023年7月22日(土)~23日(日) 10:00~18:00 東急歌舞伎町タワー内「KABUKICHO TOWER STAGE」(東京都新宿区歌舞伎町1丁⽬29番1) さらに、ステランティスジャパンでは公開されたばかりの新作映画「ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE」とコラボしたキャンペーンを展開中。新宿での実車展示に併せ、7月22日(土)の12:00~18:00まで新宿歌舞伎町タワービジョンにて、アバルト 500eとミッション:インポッシブルとのコラボレーションにより実現した、スペシャル動画が放映されるほか、7月21日(金)~8月4日(金)には全国24ヵ所の劇場でも、同映画の上映前にスペシャル動画が放映されるとのことだ。 >>>次ページ “これまで以上にアバルトらしい” 

TAG: #スポーツカー #ホットハッチ #発売前モデル
TEXT:TET 編集部
EVになってもマニュアル車は残る! トヨタの次世代EV「BEVになっても運転は楽しい」をアピール

一時はバッテリー電気自動車(BEV)の普及に及び腰とも評されていたトヨタ自動車。だがここにきて、そうした批判派もアッと驚くようなEV戦略を打ち出してきた。今回は、トヨタが公開した次世代BEVに関するこだわりの一端を紹介したい。   「ココロ揺さぶるBEV」をコンセプトに 自動車ファンならご存じの通り、トヨタがBEVに対して積極的になったといっても、それは欧州メーカーのようにBEV一辺倒を意味するのではない。トヨタは地域の実情に応じてプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCEV)、そして通常のハイブリッド車(HEV)等、複数の技術を適材適所に採用し、カーボンニュートラルを目指して行く方針だ。 その上で、BEVに関しては今年5月に専任組織であるBEVファクトリーを立ち上げ、車両に関する技術開発はもちろん、新たな生産体制の構築から業務改革まで一体として取り組んでいく。なかでも注目は車両に関する技術開発で、2026年には現行の「bZ4X」等とはまったく別の次世代BEVを市場投入する予定だ。 トヨタはこの次世代BEVの特徴として、次世代電池の採用、航続距離1000kmの達成、電費世界トップ等々、登場まで3年とは思えない高い目標を打ち出しているが、クルマ好きとして期待大なのは「クルマ屋がつくるココロ揺さぶるBEV」というコンセプトを掲げている点だ。また、自社メディアでは「トヨタのBEVはコモディティにしない」とアピールしており、ともすれば味気ないフィーリングとなってしまう現状のBEVに強烈なアンチテーゼを放っている。 では、運転して楽しいBEVを実現するため、トヨタではどのような技術を開発しているのだろうか。まず、クルマを運転している感覚を高めてくれるのが「マニュアルBEV」。トランスミッションを持たないBEVでありながら、モーターの制御を工夫することで内燃機関(ICE)のマニュアル車と同じようにシフトレバーやクラッチペダル操作を再現しているのだ。しかも、ギアの選択次第で加速力が変化することに加え、上手に変速しないとショックが大きく出る機構まで備えている。もちろん、スイッチ一つで通常のATも選択可能とのことだから、ファミリーカーとしても躊躇なく購入できそうだ。 一方、BEVならではのシステムと唸らされるのが、その日の気分で自由に「乗り換えられる」クルマ。つまり、ソフトウェア次第で乗り味を大きく変えられるBEVの特性を活かし、TPOに応じてファミリーカーからスーパーカーまで走行特性を設定できるシステムを開発しているのだ。 トヨタでは実際に1台のBEVで小型ハッチバックの「パッソ」から、和製スーパーカーのレクサス「LFA」までを再現したプロトタイプを公開しており、複数台所有というクルマ好き庶民の夢が、EV化により実現できる可能性を示唆している。 >>>次ページ 操縦桿タイプのステアリングを拡大展開

TAG: #クルマ屋がつくるEV #新技術 #発売前モデル
「第5回 建設・測量生産性向上展」にてコマツが展示していたEVパワーショベル(photo=福田 雅敏)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
建機からエンジン音が消える……コマツ、EVのパワーショベルを欧州と日本に導入[2023.07.21]

リチウムイオン・バッテリーにより稼働時間を20%延長し小型化も実現 排ガス・熱・機械騒音がなくなるなどメリット多数の次世代建機 【THE 視点】コマツは7月18日、EVミニショベル「PC30E-5」をフルモデルチェンジし、欧州市場に導入すると発表した。2023年度を「電動建機の市場導入元年」と位置付けており、今回の発表はその第一弾となる。欧州市場からの導入となるが、国内市場への導入も予定している。 「PC30E-5」は、2020年にレンタル機として日本国内に導入したモデルのフルモデルチェンジ版で、従来の鉛のバッテリーに代わり、大容量のリチウムイオン・バッテリー(LIB)を搭載している。 従来型に比べ、連続稼働時間を約20%延長し、重量は約25%軽減、後端旋回半径は約30%短縮した。稼働時間の延長と車体のコンパクト化を両立することで、より幅広い現場での稼働を実現するという。これら全ての効果はLIBの採用によるところが大きい。 3トンクラスは小型なため、都市土木や屋内の現場に使用されることが多い。排ガスの無煙化や低騒音の建機を要望するユーザーの声を反映した「PC30E-5」をきっかけに、小型クラスの電動化と市場形成を目指していくという。 コマツの電動ショベルは、「第5回 建設・測量生産性向上展」のレポート[詳細はこちら<click>]でもお伝えした「PC30エレクトリック」の製品版と思われる。会場では機械質量3,570kgで、最高出力18.7kW(25ps)のモーターで駆動すると発表していた。 その建機展にてコマツの担当者から聞いた話では、「特に欧州の建機に対する環境問題は深刻で待ったなしの状態で、国内よりも欧州が優先」とのことだった。またコマツは、バッテリー駆動以外にも、燃料電池のショベル(コンセプトモデル)も発表しており、他の建機メーカーに比べて、カーボンニュートラル化では先行しているように感じる。 さらに同会場にて、建機レンタルの業者から聞いた話では、EV建機のレンタル市場への導入の要望も出ているという。小型のパワーショベルは、日本全国で活躍していない場所はない。それらがEVになれば、環境負荷の低減は自動車以上かもしれない。 特に機械騒音が減ることは、運転手へのストレスが低減でき、住民からのクレームの低減といった計り知れない効果があるだろう。日本への早期導入を熱望する。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★新型スポーツEV「アバルト500e」が今秋に日本導入……新宿歌舞伎町タワー前にて国内初展示<7月22日(土)・23日(日)>[詳細はこちら<click>] ★★日産、「アリア」が北米にてテスラの急速充電インフラ「スーパーチャージャー」に対応、今後のEVモデルにも北米の規格「NACS」を導入、2024年以降に関連インフラ利用が可能に ★★アウディ、「ダカール・ラリー2024」に出場するEVラリーマシン「RS Q e-tron」を公開……7月11日より7日間、イベリア半島にてテスト ★テスラ、総生産台数が右肩上がり……2023年4月〜6月期の総生産台数が47万9,700台、1月〜3月期の44万808台から増進 ★東名足柄SA(上り)にてEVオーナー専用スパ「フルチャージ・サロン」が7月21日(金)よりオープン……頭のマッサージ専門店「悟空のきもち」と日産がコラボ、20分のEV充電とともにドライバーも“充電” ★ボグゾール、新型EV「コルサ・エレクトリック」の価格を決定……3万2,445ポンド(約585万円)〜、計4グレードを用意 ★アウディ、電子廃棄物からレアアースを回収する技術に投資……フライベルク工科大学と共同研究、「eモビリティの発展に不可欠な技術」 ★BMW、レーゲンスブルク工場の「X1」の生産が100万台を達成……100万台目のマイルストーンはEVの「iX1」 ★ヤネカラ、後付けの遠隔式EV用充電コントローラー「ヤネキューブ」について東京センチュリーと協業……「ヤネキューブ」の拡販を目指す ★スカイドライブ、アメリカで空飛ぶクルマを5機受注……チャーター機の運行企業「オースティンアビエーション」とプレオーダーを合意 ★NTTアノードエナジーとパナソニック、「大阪万博」にて水素のサプライチェーンを実装……NTT側が水素を生成・供給し、パナ側が燃料電池を用いて発電 デイリーEVヘッドライン[2023.07.21]

TAG: #EV建機 #THE視点 #海外ビジネス
「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」のイメージ(photo=グリーンコープ共同体)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
福岡の生協がEVの移動販売を強化……フォロフライの商用EVと丸紅の充電管理システムを導入[2023.07.20]

グリーン電力を使用しエコと効率的なEV運用を両立 移動販売車とEVの組み合わせは相性が良い 【THE 視点】「グリーンコープ生活協同組合ふくおか」(※)は7月18日、フォロフライの商用EVを移動販売車として導入したと発表した。合わせて、丸紅オートモーティブが展開する充電マネジメントシステム「GOVAN(ゴバン)」も導入した。このマネジメントシステムの導入は日本初という。 (※)西日本を中心に16の生協で構成されている「グリーンコープ共同体」所属の団体 グリーンコープふくおかは、配送用を中心に約550台の車両を運用中で、今後すべての車両をEV化していくことも発表した。また、バイオマス・太陽光・小水力・地熱などの再生可能エネルギー由来の電力をEVの運用に用いるという。 フォロフライは、丸紅オートモーティブと資本業務提携を結んでおり、丸紅側が販売代理店として、フォロフライ製EVの販売と充電インフラの提供、およびアフターサービスを展開している。 その丸紅が提供する「ゴバン」は、EV用充電システムの導入支援から、日々の運用までのEV業務をトータルにサポートするサービスである。 商用EVの充電は、乗用EVのように自由なタイミングで行うわけにはいかず、車両ごとの運行スケジュールや電気使用量に合わせて綿密に充電計画を策定する必要がある。 「ゴバン」のシステムは、充電器側が車両を自動で認識するため、駐車場のどの充電器に接続しても車両に合わせた充電スケジュールが自動適用となり、効率的なEV運用が可能となる。ドライバーもいちいち対応する充電器を探す必要がなくなり、EVを管理する側も運転する側も労力の削減ができる。 ちなみに今回の発表にて公開された写真を見る限り、グリーンコープふくおかは「日野デュトロ ZEV」をすでに相当数保有しているようだ。「デュトロ ZEV」の充電も「ゴバン」に対応させるとすると、メリットは相当大きい。 「たかが一台の車両の充電」と思うかもしれないが、車両が常に数十台単位で稼働している場合、充電は相当面倒になる。例えば、充電ギリギリの状態の車両が10台帰社すれば相当の充電待機を強いられる。10台目の当日中の再稼働は無理だろう。 手動のような状態で、いちいち対応する充電器に合わせるのも手間だし、そのために構内にて無駄に車両を動かせば、バック事故などの確率も上がる。たとえ10mでも、無駄な車両移動をなくせるメリットは大きい。 また筆者は、2012年にEVによる移動販売車を開発し実証試験をした経験を持つ。移動販売車は、地方のスーパーの撤退などの影響を受けた過疎地域などでは、買い物弱者対策の切り札とも言える存在だ。 ネットスーパーを利用するのも良いが、生鮮食品などは鮮度を見極める必要があるため、オンラインでの買い物は難しい。そして何より、現物を手に取って選ぶというのは、楽しみの一つになるということを実証を通して実感している。 移動販売車は、営業中は基本的にエンジンをかけたままになる。静かな山中にて、民家の軒先を借りて販売を行う場合、ディーゼルの音は意外と周囲に響くため騒音になるのだ。 それを防げるEVは、実は移動販売車にうってつけの存在である。稼働時間や航続距離等の問題もあろうが、移動販売EVは今後ますます普及してほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ヤネカラ、EV充電コントローラー「ヤネキューブ」を発売……1基あたり2,900円で充電を遠隔操作化、銀座郵便局に93台を納入 ★★ABB、ボルボのEV専用ショールーム「Volvo Studio Tokyo」にEV用充電器を導入……「Terra 184急速充電器」と「Terra AC Wallbox普通充電器」を設置 ★★三菱商事エネルギー、ガソリンスタンド(SS)をEVサービスの拠点として検証……テスラの急速充電設備「スーパーチャージャー」が設置済みのSS(石川県/富山県)にて「モデル3」の試乗会を実施 ★★フォロフライ、商用EV「F1」シリーズが補助金の対象に……「商用車の電動化促進事業」の車両に認定され最大182万1,000円の補助、品質向上を目指し自社内での出荷前検査も開始 ★日産、電気モーターの生産数が拡大……エンジンを生産する横浜工場の2022年度の生産台数の約4割がモーター、2024年までに全固体電池の技術開発用ラインを設置予定 ★コマツ、新型電動ミニショベルを欧州で販売へ……リチウムイオン・バッテリーを搭載した3トンクラス ★オンセミ、パワー半導体「EliteSiC 1200V」と「同750V」をボルグワーナーの「VIPERパワーモジュール」に統合……EVの性能を向上させる「トラクション・インバーター」向けのデバイス、両社の協業を拡大 ★ステランティス、半導体供給・開発網を強化……EV向け新プラットフォーム「STLA」のローンチに向け複数の半導体企業と協業を強化、独自の半導体の開発も目指す ★ビー・アンド・プラス、電動無人搬送機(AGV)向けのワイヤレス充電システムのショールームをオープン……埼玉本社<埼玉県比企郡>と名古屋営業所<名古屋市中村区>にて7月18日に開設、おすすめ製品を月毎に入れ替え ★双日、ターコイズ水素の製造技術を開発するフィンランドの新興「ハイカマイト」へ出資……天然ガスなどの主成分「メタン」から「水素」と「固体炭素」を製造、「固体炭素」からは「カーボンナノチューブ」を製造可能 ★不動産事業のマーチャント・バンカーズ、EV充電事業に参画……保有するマンションやホテルへ充電器を設置・拡大 デイリーEVヘッドライン[2023.07.20]

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公正取引委員会による調査報告書(公正取引委員会)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
高速道路上のEV充電インフラは1社独占状態……公取委がNEXCO各社などに実態調査[2023.07.19]

eモビリティ・パワーの充電インフラが98.7%のシェアで他社が参入しづらい現状が浮き彫り 今後は「独占禁止法」の適用も視野に厳正な対処を検討すると表明 【THE 視点】公正取引委員会(公取委)は7月13日、高速道路におけるEV充電サービスに関する実態調査報告書を公表した。現状、eモビリティ・パワー(eMP)の独占状態で、他社が参入しづらい状況になっていると結論づけた。 一般道はもとより、高速道路上でも充電インフラの整備は公正かつ自由な市場競争がなければならない。特に高速道路においては、長距離走行時の電欠トラブルを防ぐ目的から急速充電器の整備が一般道以上に求められると公取委は考え、NEXCO東日本/同中日本/同西日本/首都高/阪神高速/JB本四高速の高速道路事業各社に実態調査を行い、結果を公表した。 現在の、高速道路のSA・PAにおけるEV用充電器の設置状況は445基で、EV用充電器設置者の内訳はeMPが439基で98.7%、高速道路会社が6基で1.3%という状況になっている。 NEXCO各社は、eMPと連携して、2025年度までに約1,100口の急速充電器の整備を予定している旨を発表し、当媒体でも取り上げた[詳細はこちら<click>]。 現状、高速道路のSA・PAに現在設置されているEV用充電器の約98.7%は、eMP(前身のNCS・JCN含む)によって設置され、その後の入替えも、NEXCO3社との共同事業として、eMPによって行われている。eMP以外の事業者が、高速道路のSA・PAにEV用充電器を設置することが想定されているとは言い難い状況というのが、公取委の見解となった。 EVの充電サービスの市場が活性化するためには、設置事業者などの新規参入を促すことが望ましい。複数の事業者の中から設置者を選定することで、サービスの競争も活発化すると言える。また、NEXCO各社は今後、料金据え置きで高速道路から一時退出を許可し、EV充電を行えるようにする仕組みを導入する。これにあたっても、充電事業者を特定しないことが言わずもがな望ましい。 公取委は、報告書の結果を経済産業省と国土交通省に申し入れるという。これにより具体的な対応策などが練られ、施行または改善されることを期待する。 さらに今後は、高速道路におけるEV充電サービス及び関連するサービスの市場の動向を注視し、場合によっては独占禁止法の適用も視野に入れた厳正かつ的確な対処をしていくという。 EVの充電サービスも、メーカーが自社のユーザー向けに展開しているもの(例えばテスラのスーパーチャージャーやポルシェのターボチャージャーなど)や、従量課金制の料金を採用する充電インフラがあったりする。それらのサービスをEVユーザーが自由に選べるようにし、サービス提供側も自由に価格などを設定できるように促すのが、本来の自由競争の姿だろう。 「高速道路は閉鎖された特殊な環境で、対応できる事業者も限られ……」というのは言い訳にならない。公取委も示したように、高速道路上でのEV充電サービスの活性化というビジネスチャンスを潰していることにもなる。これは今後導入が進むであろう高速道路上の水素ステーションにも当てはまるだろう。 いずれにせよ、高速道路上の充電インフラ・水素充填インフラは足りていないのが現状である。自由な競争の上に、EV充電サービスの普及と拡充を図ってほしい。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★リマック、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて「ネヴェーラ」がEVの最高記録を樹立……49.32秒を記録、出場車両全体でもトップタイム ★★中央電力、マンションのユーザー向けに月額3,000円定額制EV充電サービスを提供……「マンション防災サービス」導入のマンション向けに展開[詳細はこちら<click>] ★★生協連合のグリーンコープ共同体、移動販売車にEVを導入……丸紅オートモーティブ経由でフォロフライ製のEVと充電マネジメントシステム「GOVAN」を導入 ★ポールスター、「ポールスター3」と「ポールスター5」のプロトタイプが「グッドウッド」に登場……両車ともにヒルクライムを実走 ★スーパー・スポーツカーの合弁会社ブガッティ・リマック、「BMW iシリーズ」のシニア・バイス・プレジデントを務めたロバート・アーリンガー氏を幹部に迎えることが決定……10月1日に入社、ブガッティとリマックの次世代のアーキテクチャーを担当 ★セアト、スペイン・マルトレルにバッテリー・セルの組み立て工場を建設……「クプラ・ラヴァル」への供給のほか、親会社のVWグループの工場としても機能 ★パイオニア、研究開発拠点をインドに新設……EV向けのインフォテインメント・システムの研究開発など推進 ★エネコートテクノロジーズ、「車載用ペロブスカイト太陽電池」をトヨタと共同開発へ……20%以上高い発電効率に加えて薄いため曲げられるのが特徴 ★国産ドローンのエアロセンス、「世界ドローンコンペ」で優勝……神戸大学とのジョイントチーム、VTOL(垂直離陸)型のドローン「ラロボウイング」が緊急物資輸送を模した競技で最高得点 ★EU、ウルグアイとグリーン水素に関する協力を強化……欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と、ウルグアイ東方共和国のルイス・ラカレ・ポウ大統領が覚書を締結 ▶︎不具合情報◀︎「ジャガー I-ペイス」とニチコン製の急速充電器「NQM-UCY04」の接続時に150kWおよび90kWの出力での充電ができないおそれ……eモビリティ・パワーが7月12日時点で確認 デイリーEVヘッドライン[2023.07.19]

TAG: #NEXCO #THE視点 #充電インフラ
TEXT:TET 編集部
ポルシェ、オープンスポーツのコンセプトEV、ビジョン357スピードスターを発表。356にオマージュ

独ポルシェは7月13日、イギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにおいて、新しい電動スポーツカーのコンセプトモデル「ビジョン357スピードスター」をお披露目した。 ビジョン357クーペに対してパワートレーンをEV化 今回ポルシェが製作したビジョン357スピードスターは、その名が示すとおり、今年1月に公開されたコンセプトカー「ビジョン357」(クーペ)のオープントップバージョンだ。ビジョン357はポルシェ初のスポーツカーとして1948年に登場した「356」にオマージュを捧げる2ドアクーペコンセプトで、現行ポルシェの中でも特別スパルタンな「718ケイマンGT4 RS」をベースとしていた。 ポルシェでは、ビジョン357をオープントップ化するあたり、パワートレーンも大胆に換装。ミッドシップレイアウトされた500psを発生する4.0リッター直6ガソリンエンジンは、モーターとバッテリーに置き換えられ、ビジョン357スピードスターは完全なバッテリー電気自動車(BEV)となっている。 詳しいスペックは公開されていないが、モーターとバッテリーのテクノロジーは2021年に公開された電動レーシングカーコンセプト「ミッションR」に、シャシーは「718 GT4クラブスポーツ」に、それぞれ由来するという。参考までミッションRはツインモーターで全輪を駆動し、そのパワーは最大で1,088psに達するモンスターマシンだったから、ビジョン357スピードスターもほぼ同等のスペックを備えている可能性がある。 そして、ポルシェ伝統のスピードスタースタイルを採用したことも、このコンセプトカーの大きなトピック。というのも、低いウインドウシールドに簡素な幌を持つスピードスターは、ポルシェの元祖たる356にも設定されたスポーツカーならではのボディスタイルで、ブランドのルーツを表現するビジョン357としてこれほどふさわしいバリエーションはないからだ。 >>>次ページ ケイマン/ボクスターのEV版を示唆か

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AEM水電解装置の導入と同時に設置された水素貯蔵システム(東京ガス)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
グリーン水素を23区内にて“製造直売”……東京ガス、「千住水素ステーション」にて国内初の実施[2023.07.18]

既存のステーションを乗用FCEV30台/日の生産能力を有する簡易型のグリーン水素製造・直売所に刷新 輸送コストを削減でき水素価格の低下に効果的か 【THE 視点】東京ガスは7月13日、「千住水素ステーション」において、「AEM水電解装置」を使用した水素の製造・販売を国内で初めて開始したと発表した。 本ステーションは、2016年の営業開始から敷地内にて都市ガスから製造した水素を販売してきた。しかし昨年度の夏に、実質再生可能エネルギー100%(非化石証書付与済み)の電力へ切り替えたことから、「AEM水電解装置」(※)を導入し、CO2フリーの水素の製造・販売が可能となった。 ※AEM:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略 「AEM水電解装置」は、比較的新技術のため採用の実例は少ないのだが、以下の特徴を持つ。 「シンプルな構造」 「小型のモジュールを組み合わせ水素の製造量を柔軟に調整可能」 「限られたスペースを有効可能」 「セルの部材に使用できる材料の選択肢が広い」 「セルスタックの低コスト化が可能」 ちなみに今回導入した「AEM水電解装置」は、30モジュールを組み合わせ、水素製造量15Nm3/h規模の設備となっている。モジュール単位での操作が可能で、障害が発生した際も設備全体の運転を継続可能。水素製造装置の稼働率を上げるために夜間も水素製造を行い、今回同時に設置した水素タンクに1MPa未満で貯蔵するという。 東京ガスは、「AEM水電解装置」の適切なシステム構成や運転管理等のノウハウの獲得を進め、工場や水素ステーション等それぞれの現場に最適化した「AEM水電解装置」の導入支援や、水素供給ビジネスの展開を狙うとしている。 燃料電池車(FCEV)は走行時のCO2排出はゼロだが、肝心な水素の製造には電気が必要。今回の設備は、FCEVのカーボンフリーの度合いを高めるのに効果的であろう。 ステーション内にて水素を製造する「オンサイト方式」をとったことも注目点である。輸送の必要がないため、CO2の削減に効果的と言える。 15Nm3/hの水素製造能力は、1日に換算すると360Nm3となる。乗用タイプのFCEVの水素充填量を5kgとすると、30台分に相当する量だ。 東京ガスの水素ステーションでの価格は、正直なところ比較的高額である。しかしこの設備の導入が進めば水素価格の低減を期待できるし、カーボンフリーに貢献できるとなれば、今後積極的に利用を考えたい。是非ともこの現場を見学したいものだ。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★ポルシェ、新型コンセプトEV「ポルシェ・ビジョン357・スピードスター」を発表……オープンボディのスポーツモデル、「718 GT4 eパフォーマンス」の技術を活用[詳細はこちら<click>] ★★フォード、「マスタング・マッハ-E・ラリー」を公開……ラリーテイストを盛り込んだデザインを採用、ヨーロッパとアメリカに導入予定 ★★パワーエックス、蓄電池型の超急速充電器「ハイパーチャージャー」が「チャデモ」に対応……今夏よりパワーエックスのチャージングステーションに設置予定[詳細はこちら<click>] ★★フォーミュラE第14戦ローマ、日産のノーマン・ナトーが2位表彰台……優勝はジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ)で、ランキングのトップに ★ヒョンデ、「アイオニック5 N」を発表……ヒョンデの高性能車「N」初のモデル、2モーター式のAWDで最高出力650ps(478kW)[詳細はこちら<click>] ★GM、「ハマー EV 3X ピックアップ」の航続距離が拡大……新グレード「エクストリーム・オフロード・パッケージ」を追加、航続距離は613km ★イギリスの新興バッテリーメーカー「nyobolt」、6分で充電を完了できるバッテリー技術を開発……航続距離250km以内なら完全充電、既存の充電インフラをそのまま使用可能 ★アウディ、「Böllinger Höfe」工場にて最新のファクトリー・オートメーションが7月から本格稼働……「e-tron GT クワトロ」「RS e-tron GT」の生産に活用 ★テスラ、「1Day試乗キャンペーン」を実施……7月31日(月)まで、「モデル3」「モデルY」を用意 ★プラゴ、神奈川県内のミニストップ3店舗にEV用充電器を設置……綾瀬大上店/都筑荏田南4丁目店/中原下新城3丁目店にて、最高出力50kWタイプの急速充電器「プラゴ・ラピッド」を1基ずつ ★テラモーターズ、沖縄県のホテル「むら咲むら」<中頭郡読谷村>にEV用充電器を導入 ★JAF、電動キックボードの衝突実験結果を公開……ヘルメットなしの危険性を訴求 ★日産、東京東村山市とEVの活用施策で連携……「リーフ」6台を公用車に導入、電源車としての活用も視野 ★フォーミュラE第13ローマ、ミッチ・エヴァンス(ジャガーTCS)がポール・トゥ・ウィン……レースは大クラッシュが発生する荒れた展開に デイリーEVヘッドライン[2023.07.18]

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ヤマハ発動機のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」(photo=ヤマハ発動機)
TEXT:福田 雅敏、ABT werke
蘇る、40年前の興奮……ヤマハ、新型EVトライアルバイク「TY-E 2.2」を実戦投入[2023.07.14]

パワーユニットなどを一新し今後も継続的に参戦と開発 筆者が40年前に開発を経験したマシンと似た構造 【THE 視点】ヤマハ発動機は7月13日、「全日本トライアル選手権第5戦・北海道・和寒大会(わっさむサーキット)」(7月16日開催)に、新型のEVトライアルバイク「TY-E 2.2」を投入することを発表した。「ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム」の黒山健一選手とともに出場する。「TY-E 2.2」は、全日本選手権の参戦を通じて開発を行ってきた電動トライアルバイク「TY-E 2.1」の改良新型となる。 「TY-E 2.2」の開発コンセプトは「FUN×EV」。軽量化と高強度化に加えて熱対策の熟成を目指した積層材モノコック・フレームや、出力密度を高めた新設計モーター、小型・高効率・高機能化したモーター・コントローラーなどの新コンポーネントを投入。実戦とともに車両の検証・データ収集・技術開発を続け、後半戦も随時アップデートを続ける予定だという。 「TY-E」は2018・2019年のFIMトライアル選手権のEV専用クラス「TrialE Cup」への出場を皮切りに、2022年には「TY-E 2.0」として同選手権の「Trial2」クラスにスポット参戦。2023年には「TY-E 2.1」を開発し、黒山選手とともに史上初となる全日本選手権へのフル参戦を開始した。 筆者は実は、現在所属する会社が1984年に電動トライアルを開発したことを雑誌記事で知り入社を決めた過去がある。そこからEVに興味を抱いたのだ。 およそ40年前のことだが、当時開発していたマシンの構造は「TY-E 2.2」に近いものだった。当時としては最先端のフルカーボン・モノコックボディに、インホイール・モーターが採用されていた。 一番の違いは、インホイール・モーターであったことに加えて、何よりもバッテリーが鉛だったことだろう。液式の大変重いものだった記憶がある。当時は、現在のように「EV用」などというバッテリーはない時代だった。それがリチウムイオン・バッテリーとなり、バッテリーの性能と軽さのおかげで「TY-E 2.2」は相当の性能を持ち、扱いやすさも備えていることだろう。 試作車の試験のたびに重たい鉛のバッテリーを交換したことを思い出す。もしリチウムイオン・バッテリーであったなら、ほとんど交換せずに試験走行もできたのではないだろうか。企業は違えど、かつて筆者も開発を経験したものに類似したマシンなだけに、「TY-E 2.2」には非常に親しみを覚える。実戦での勇姿を是非見てみたいものである。 (福田雅敏-EV開発エンジニア、THE EV TIMES エグゼクティブ・アドバイザー) ★★BYD、「アット3」が自動車導入促進補助金(CEV)対象車に新決定……型式指定認証を取得し、85万円の補助[詳細はこちら<click>] ★★ルノー、新型EV「セニック E-Tech エレクトリック」のプロトタイプを発表……CセグメントのSUV ★★BMW、新型「5シリーズ」のEVモデル「i5」を日本で発売……表参道のイベントスペース「OMOTESANDO CROSSING PARK」<港区南青山>内「ポップアップ・エキシビション」にて「i7」と共に展示<7月14日(金)〜9月17日(日)>[詳細はこちら<click>] ★★エネチェンジ、「ISP・池袋東口公共地下駐車場」<池袋駅直結>にEV用充電器を設置……最高出力6kWタイプを5基 ★★東京ガス、「千住水素ステーション」<東京都荒川区>にて水素を現場製造……エナプター社の「AEM水電解装置」を使用しCO2フリーの水素を製造、販売を開始 ※AIM:Anion Exchange Membrane(陰イオン交換膜)の略 ★ポールスター、SUV型のEV「ポールスター5」のプロトタイプが実走を披露……イギリス「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて公開 ★ワイトリシティ、EV用ワイヤレス充電器のOEMを推進……OEM導入・採用をスピードアップする「ファストトラック・インテグレーション・プログラム」を開始 ★ボッシュ、FCモジュールの量産を開始……2030年までに水素技術で50ユーロ(約7,700億円)の売り上げを目指す ★ジゴワッツ、日本最小の充電器「Ella」を極東開発グループ本社ビル<大阪市中央区>の立体駐車場に設置……極東開発が展開する充電サービス専用品の共同開発も検討 ★ルノー、EV向けの効果音を開発……対歩行者向けの近接接近音と車内向けのウェルカム・サウンドの2種類、音楽家のJean-Michel Jarreと協力 ★パーク24、カーシェアリング・サービス「タイムズカー」会員向けに「EV体験キャンペーン」を実施……大阪府の会員限定、「日産リーフ」「トヨタbZ4X」を用意 ★ISレンタリース、「レクサスRZ450eファースト・エディション」のレンタカーを導入……7月19日よりレンタル開始、料金5万9,950円〜 ★二輪用品店のナップス、EVモトクロッサー「SUN-RON」の販売を開始……横浜店/埼玉店/浜松店/春日井店/京都八幡店/ららぽーと立川立飛店の計6店舗にて ★テラモーターズ、沖縄の不動産系企業のマルユウグループと提携……マルユウグループ所有の物件52ヵ所に先行導入 ★凸版印刷、リチウムイオン・バッテリー用の消火フィルム「FSfilm」について国際団体が効果を認証……アメリカの試験・検査認証のUL社から「UL検証マーク」のお墨付き、EV用への展開も期待 ★ローム、ソーラーフロンティアの旧国富工場の資産を取得へ……EV向けSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の生産を拡大 ★テスラ、「テスラ サービスセンター大宮」<さいたま市中央区>にて特別試乗会を開催……7月22日(土)、「モデル Y」「モデル 3」を用意 ★ブレイズ、「オートプラザラビット稲沢店」<愛知県稲沢市>のイベントにて展示・即売会を開催……7月15日(土)・17日(日)の2日間、「ブレイズ スマートEV」など出展 ★フォーミュラE第13・14戦ローマ、今週末に開催……両日ともに予選と決勝を開催、現在のポイントリーダーはジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ) […]

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連載企画 一覧
VOL.15
本当に日本はEVで「立ち遅れた」のか:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第15回

ジャパン・モビリティ・ショー開催でにわかに沸き立つ日本のEVマーケット。しかし現実の販売状況は日本において大きく立ち遅れている。技術では先導してきたはずの日本メーカーは、なぜEVで世界をリードできていないのか。この分野のベテランジャーナリストである御堀 直嗣が解説する。 日本の低いEV市場占有率 日本は、世界に先駆けて電気自動車(EV)の市販に踏み切った。2009年に三菱自動車工業が、軽自動車EVの「i-MiEV」を法人向けにリース販売しはじめ、翌10年には一般消費者向けへの販売も開始した。同年には、日産自動車も小型EVの「リーフ」を発売した。この2社によって、EVの量産市販が実現し、ことにリーフは海外への販売も行われ、「i-MiEV」はフランスの当時PSA社にOEM供給された。リーフの販売は世界で累計65万台に達し、その他EVを含めると、日産は世界で100万台のEV販売の実績を持つ。そのうち、日本国内は累計23万台である。 ちなみに、米国テスラは2022年では年間で約130万台、中国のBYDは同年に約90万台規模へ成長している。 同時にまた、世界共通の充電規格であるCHAdeMO(チャデモ)も準備され、リーフが販売される世界の各地域にCHAdeMO充電器の設置が動き出した。 それらを背景に、経済産業省は2012年度補正予算で1,005億円の補助金を計上し、全国に約10万基の充電器を整備するとした。この補助金は全額支給でないため、トヨタ/日産/ホンダ/三菱自の4社が資金を拠出し、補助金で賄いきれない残額を補填することに合意した。 しかし、現在の充電器の数は、急速充電と普通充電を合わせて約2万基である。 国内の新車販売において、EVが占める割合は1%以下という状況が長く続いた。昨2022年、「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」が発売となり、1年で5万台以上を販売することで2%ほどの占有率になろうかという状況にある。 一方、世界全体では、EVの市場占有率が13%になる。米国は5.8%、欧州は12%、中国は21%となっており、日本がいかに低水準であるかがみえてくる。 日本でEV普及が進まなかった理由 EVの先駆者であった日本が、なぜ欧米や中国の後塵を拝するようになったのか。 最大の要因は、せっかく1,005億円という充電基盤整備に対する経済産業省の支援があったにもかかわらず、急速充電器の整備にばかり世間の目が行き、EV利用の基本である基礎充電、すなわち自宅での普通充電(200V)の重要性が広がらなかったからである。ことに、マンションなど集合住宅の駐車場と、月極駐車場への普通充電設置がほぼできなかったことが原因であった。 EVの充電は、普通充電で8~10時間、あるいはそれ以上かかるとされ、これが単純にガソリンスタンドでの給油時間と比較されて、使い勝手が悪いとさまざまな媒体を通じて流布された。いまでもそうした論調が消えていない。しかし、自宅で普通充電できれば、寝ている間に満充電になるので、翌朝出かけるときは満充電で出発できる。 戸建て住宅に住む人はそれができた。ところが、戸建て住宅でも自宅に車庫がなく月極駐車場を利用する人は、近隣の急速充電器を利用しなければならなくなった。 集合住宅に住む人は、敷地内に駐車場が併設されていても、管理組合の同意が得られず普通充電ができない状態に陥った。無知がもたらした悲劇だ。EVを買う意思があっても、手に入れにくい状況があった。 集合住宅の管理組合で賛同が得られない最大の理由は、幹事がEV時代を予測できず、また自分には関係ないとして無視され続けたことにある。設置の経費は、ことに当初は補助金と自動車メーカー4社による補填があったので、ほぼゼロであった。現在でも、施工業者が残金を負担するなどのやりくりで、集合住宅側の負担が軽く済む仕組みが出てきている。それでもなお、管理組合で合意を得るのが難しい状況は払拭できていない。 基礎充電の普及を目指す業者の間でも、さらに難しいとされるのが月極駐車場への普通充電の設置だ。月極駐車場を管理する不動産業者の理解を得にくいという。

VOL.1
リッター200円にもう限界……給油の“枷”をぶっちぎれ!【モデルサードインパクト vol.1】

ガソリン高い、燃費も悪い、限界だ! かつてないほどの猛暑に喘いだであろう今夏。「もういいよ」「もう下がってくれ」と、気温に対して誰もが感じていたと思うが、自動車ユーザーはガソリン価格に対しても同じことを思っていたのではないだろうか。 リッターあたり170円、180円、190円、そして200円の大台を突破……給油をするたびに、誰もが憂鬱な気分になったはずだ。小生はドイツの某オープンスポーツカーに乗っているのだが、リッターあたり平均10kmでハイオク仕様。愛車にガソリンを入れるたび、顔が青ざめていた。 「高額給油という枷から解放されたい……」 EVの購入を決意した所感である。クルマを走らせることは、本来喜びのはず。給油のたびに落ち込むのは本望ではない。 小生は、THE EV TIMES(TET)の編集スタッフを務めています。この9月、「テスラ・モデル3・パフォーマンス」を購入しました。新たな愛車と共に進むEVライフを「モデル・サードインパクト」と銘打ち、連載で紹介していこうと思います。 EVは便利だと実感した「日産リーフ」 小生が初めて体験したEVは「日産リーフ」(2代目)である。遡ること2017年、「リーフ」が2代目になった頃、日産が全国で試乗キャラバンを開催し、小生はその試乗アテンダントを担当していた。そこで「リーフ」を存分に運転することができたのだ。 それゆえ、EVの利便性の高さを実感することになった。スポーツモデル顔負けの力強くスムーズな加速にまず驚いたのだが、給油という枷から外れて自由に走り回れることが大変な魅力に感じた。アイドリング状態でエアコンを入れっぱなしでもガソリン代を気にせずに済む。車内でPCを開けば、そのままオフィスになる。車の用途が無限大に広がると感じた。 充電時間も特別長いとは感じなかった。充電残量が50%くらいになったら、急速充電を使用してあっという間に80%まで回復できる。ちなみに100%まで充電した場合、280kmを走れる表示が出ていたと記憶している(当時は寒い季節で暖房を使用した)。ちょっとした遠出も十分に対応可能。「EVなんて不便」という印象は全く抱かなかった。そこで薄々と「将来はEVもアリだな」と思ったのだ。

VOL.20
VW「ID.4」オーナーはアウトバーンを時速何キロで走る? [ID.4をチャージせよ!:その20]

9月上旬、スイスで開催された「ID.TREFFEN」(ID.ミーティング)を取材した際に、参加していた「ID.4」オーナーに、そのクルマを選んだ理由などを聞きました。 フォルクスワーゲン一筋 鮮やかな“キングズレッドメタリック”のID.4で登場したのは、ドイツのハノーファーからはるばるスイスに駆けつけたデュブラック・マルクスさん。「フォルクスワーゲンT3」のTシャツを着ているくらいですから、かなりのフォルクスワーゲン好きと見ましたが、予想は的中! 「18歳で免許を取ってからこれまで30年間、フォルクスワーゲンしか買ったことがないんですよ」という、まさにフォルクスワーゲン一筋の御仁でした。 彼の愛車はID.4のなかでももっともハイパフォーマンスな「ID.4 GTX」。日本未導入のこのグレードは、2モーターの4WD仕様で、最高出力220kW(299PS)を発揮するというスポーツモデル。こんなクルマに乗れるなんて、なんともうらやましいかぎりです。 そんなマルクスさんにID.4 GTXを購入した理由を尋ねると、「これからはEVの時代だと思ったので!」と明確な答えが返ってきました。とはいえ、ID.ファミリーのトップバッターである「ID.3」が登場した時点ではすぐに動き出すことはありませんでした。「1年半くらい前にID.4 GTXを試乗する機会があって、踏んだ瞬間から力強くダッシュするID.4 GTXのパンチ力にすっかり惚れ込んでしまい、即決でしたよ(笑)」。

VOL.14
欧州メーカーはなぜ電気自動車に走ったのか?:知って役立つEV知識・基礎の基礎/御堀 直嗣 第14回

EVの知識を、最新情報から「いまさらこんなこと聞いていいの?」というベーシックな疑問まで、ベテラン・ジャーナリストが答えていく連載。今回は欧州メーカーの特集です。 日本市場参入が遅かった欧州製EV 日本市場では、欧州からの電気自動車(EV)攻勢が活発に見える。ドイツの「BMW i3」が発売されたのは2013年秋で、日本市場へは2014年春に導入された。 日本の自動車メーカーがEVを市販したのは、2009年の「三菱i-MiEV」の法人向けリースが最初で、翌2010年には「i-MiEV」も一般消費者への販売を開始し、同年に「日産リーフ」が発売された。「i3」の発売は、それより数年後になってからのことだ。 ほかに、フォルクスワーゲン(VW)は、「up!」と「ゴルフ」のエンジン車をEVに改造した「e-up!」と「e-ゴルフ」を2015年から日本で発売すると2014年に発表した。だが、急速充電システムのCHAdeMOとの整合性をとることができず、断念している。その後、VWは「e-ゴルフ」を2017年秋に販売を開始した。EV専用車種となる「ID.4」を日本に導入したのは、2022年のことだ。フランスのプジョーが、「e-208」を日本で発売したのは2020年である。 以上のように、欧州全体としては、EVへの関心が高まってきたのは比較的最近のことといえる。 くじかれたディーゼル重視路線 欧州は、クルマの環境対策として、自動車メーカーごとの二酸化炭素(CO2)排出量規制を中心に動いてきた。そして2021年から、1km走行当たりの排出量を企業平均で95gとする対処方法を考えてきた。EU規制は、販売する車種ごとのCO2排出量を問うのではなく、販売するすべての車種の平均値で95gを下回らなければならないという厳しさだ。 対策の基本となったのは、ディーゼルターボ・エンジンを使った排気量の削減と、出力の低下を補う過給器との組み合わせを主体としつつ、ハイブリッドによるさらなる燃費の向上である。 既存のディーゼルターボ・エンジンをできるだけ活用しようとする考えは、欧州メーカーが補機用バッテリーの電圧を世界的な12ボルトから、36ボルトや48ボルトに変更することによるマイルドハイブリッド化に注目してきた様子からもうかがえる。 ところが、2015年にVWが米国市場でディーゼル車の排出ガス規制を偽装していたことが明らかにされた。公的機関での測定では規制値を満たすものの、実走行で急加速などした際に基準を上回る有害物質が排出され、それによって力強い加速を得られるようにした制御が発覚したのである。その影響は、VW車だけでなく、アウディなどVWグループ内に広く影響を及ぼした。

VOL.3
ボルボは新型EVの「EX30」でインテリアに新たな価値を与え、空間を最大限、利用する!

ボルボはEX30の室内で多くの新たなチャレンジを行なっていると謳う。その詳細を小川フミオ氏が訊いていく。連載1回目はこちら、2回目はこちら。 冷たさの排除し素材を“素直”に使う EX30のインテリアが、他車と決定的に違うのは、金属的な表面処理がほとんど見当たらないこと。それは意図的にそうしたのだと、インテリアデザインを統括するリサ・リーブス氏は言う。 「心したのは、冷たさの排除です。使う素材はオネスト、つまり木に見えるものは木であり、また同時に、リサイクル素材を人間にやさしいかたちで使用しました」 インテリアは「ブリーズ」(やさしい風)をはじめ「ミスト」(もや)、「パイン」(松)それに「インディゴ」と4種類(日本はそのうち「ブリーズ」と「ミスト」を導入)。 「ブリーズを例にとると、デザインインスピレーションはサマーデイズ。シート表皮の素材はピクセルニットとノルディコ、ダッシュボードの飾り材はパーティクル、そして空気吹き出し口のカラーはブルーです」 リーブス氏は説明してくれる。 「ピクセルニットはPETボトルをリサイクルしたもの。それを3Dニッティング(立体編み)プロセスでシート用素材にしています。組み合わせるノルディコは、PETボトルなどのリサイクル素材、北欧で計画的に伐採された木から採取された素材、リサイクルされたワインコルクなどで作られたテキスタイルです」 ダッシュボード用のパーティクルは、窓枠やシャッターを中心に工業廃棄物であるプラスチックを粉砕したものだし、フロアマットは漁網をリサイクルしたという。 「リサイクル材とともに、インテリアは雰囲気を統一したので、私たちは“ルーム”という名を与えています。インディゴの場合、デザインインスピレーションは”夜のはじまり”で、デニムをリサイクルしたときに余る糸を使った素材をシート表皮に使っています」 シートじたいは「スニーカーにインスパイアされた形状」(メイヤー氏)だそうだ。

VOL.2
ボルボの新型電気自動車「EX30」にはスターウォーズのデザインが取り入れられている!?

エンジンの回転の盛り上がりには、時に人間的な表現が用いられる。しかしBEV(バッテリー電気自動車)はエンジンもなく無音なため、より無機質な、機械的な印象が強くなる。ボルボはそんなBEVに人間的な要素を入れたと主張する。連載1回目はこちら。 どことなく楽しい感じの表情 ボルボEX30は、いってみれば、二面性のあるモデルだ。ひとつは、地球環境保全(サステナビリティ)を重視したコンセプト。もうひとつは、大トルクの電気モーターの特性を活かしたスポーツ性。 デザイナーは「いずれにしても、BEVと一目でわかってもらうデザインが重要と考えました」(エクステリアデザイン統括のTジョン・メイヤー氏)と言う。 「もちろん、昨今ではICE(エンジン車)かBEVか、デザインをするときあえて差別化をしないのが世界的な流れです。ただし、私たちとしては、スカンジナビアデザインの原則を守りつつデザインしました」 メイヤー氏の言葉を借りて、この場合のスカンジナビアデザインの肝要を説明すると「形態は機能に従う」となる。 「そこで、上部に開口部とグリルはもたせないようにしようと。ただし(インバーターなどのために)空気を採り入れる必要はあるので、下にインレットは設けています」 ボルボ車のデザインアイディンティティである「トール(神の)ハンマー」なる形状のヘッドランプも採用。ただし、カバーで覆った一体型でなく、四角いLEDのマトリックスが独立しているような形状があたらしい。 「そうやって出来上がったのがこのデザインです。顔になっていて、そこには眼があって、鼻があって、口があるんです。どことなく楽しいかんじで、これまで以上に人間的な表情を実現しました」 暴力的でもなければ、ロボット的でもない。メイヤー氏はそこを強調した。

VOL.1
ボルボの新型電気自動車「EX30」は、相反する2面性を合わせ持つ文武両道なクルマ

ボルボの新たなBEV(バッテリー電気自動車)として、ついに10月2日から「サブスク」モデルの申し込みが始まるEX30。この「ボルボ史上最小のBEV」はどのように開発されたのか。ミラノで行われたワールドプレミアに参加した小川フミオ氏が関係者の声とともに振り返る。 スカンディナビアン+デジタル 2023年6月に登場したEX30は、コアコンピューティングテクノロジーを大胆に採用する、ボルボの新世代BEV。 内容にとどまらず、同時に、デザイン面でもさまざまな大胆な試みがなされているのも特徴だ。 いってみれば、伝統的ともいえるスカンディナビアンテイストに、デジタライゼーションの融合。 「私たちのデザイン的価値のすべてを小さなフォーマットで具現」したモデルと、ボルボ・カーズはプレスリリース内で謳う。 「非常に電気自動車的なデザインで(中略)閉じられたシールド(フロントグリルの開口部のこと)とデジタル表現を用いたトールハンマーヘッドライト」がフロント部の特徴とされる。 さらに新世代BEVとしてボルボが狙ったものはなんだろう。ミラノでの発表会において出合った担当デザイナー(たち)に、デザインの見どころと背景にあるコンセプトを取材した。

VOL.5
「BMW iX xDrive50」の高速電費は我慢不要! ロングドライブにうってつけのEV

[THE EV TIMES流・電費ガチ計測] THE EV TIMES(TET)流電費計測の5回目を、8月に「BMW iX xDrive50」で実施した。車高の高いSUVにもかかわらず、高速巡航時に電費が低下しにくいのが特徴だ。その詳細をお伝えする。 ※計測方法などについてはこちら、試乗記はこちらをご覧ください。 100km/h巡航でどんどん行こう iX xDrive50のカタログに記載された「一充電走行距離」は650km(WLTC)で、電池容量は111.5kWhだ。650kmを実現するには、電費が5.83km/kWh(以後、目標電費)を上回る必要がある。 各区間の計測結果は下記表の通り。5.83km/kWhを上回った場合、赤字にしている。 これまでのTETによる電費計測で初めてA区間の往路と平均で目標電費を超えた。A区間のように標高差が少ない場所では同じ状況になり得る、つまり100km/h巡航で一充電走行距離の650km近くを走破できる可能性がある。   100km/h巡航でも600kmは走れそう 各巡航速度の平均電費は下表の通りだ。「航続可能距離」は電費にバッテリー総容量をかけたもの、「一充電走行距離との比率」は650kmに対して、どれほど良いのか、悪いかだ。 iXのエクステリアは、大きなキドニーグリルが特徴的だ。ざっくり言えば全長5m、全幅2m、全高1.7m、車重2.5トンの堂々としたボディだが、Cd値が0.25と優れている。 100km/h巡航におけるiXの電費は、5.71km/kWhであった。絶対的な数値としては決して高くないが、一充電走行距離との比率を計算すると98%と、これまでにTETが計測したデータの中で最高の結果を記録した。120km/h巡航でもこの数字は78%であった。 つまり、iXは高速巡航でも電費の低下が少ないEVだといえる。 ちなみに、過去に計測したメルセデス「EQE 350+」は、この100km/h巡航時の比率が90%だった。EQEはセダンボディで背が低く、Cd値0.22で、高速巡航には有利であることを考えても、iXの98%という数字の凄さが分かる。 この結果は、空力性能の良好さと高効率なパワートレインの賜物ではないかと思う。BMWが「テクノロジー・フラッグシップ」「次世代を見据え、長距離走行が可能な革新的な次世代電気自動車」と謳っているだけのことはある。これらの記録を塗り替えるクルマが現れるのか、今後の計測が楽しみだ。   各巡航速度ごとの比率は以下の通り。80km/hから100km/hに速度を上げると21%電費が悪くなる。120km/hから80km/hに下げると1.6倍の航続距離の伸長が期待できる。

VOL.19
ぐっとパワフルな2024年モデルのフォルクスワーゲン「ID.4」をミュンヘンで緊急試乗! [ID.4をチャージせよ!:その19]

コンパクトSUVタイプの電気自動車「ID.4」が2024年モデルにアップデート。この最新版をドイツ・ミュンヘンでさっそく試乗しました。 モーターのパワーは60kW増し 「ID.4」が2024年モデルにアップデートし、コックピットのデザインが様変わりしたことは、前回のコラムで述べました。さらに今回の仕様変更では、走りにかかわる部分にも手が加えられています。 一番の変更が、新開発のモーターが搭載されたこと。フォルクスワーゲンでは、ID.ファミリーのプレミアムセダンである「ID.7」に、新たに開発した「APP550」型の電気モーターを採用しました。最高出力は210kW(286PS)と実にパワフルです。これが2024年モデルの「ID.4プロ」にも搭載されることになりました。これまでの「ID.4プロ」の最高出力が150kWですので、出力は60kW、4割増しという計算。最大トルクも従来の310Nmから545Nmとなり、こちらは75%の大幅アップです。 バッテリー容量は77kWhで変更はありませんが、2024年モデルからはバッテリーの“プレコンディショニング機能”を搭載し、冬の寒い時期、充電前にバッテリー温度を高めておくことで充電量の低下を抑えることができます。これはうれしい! 他にも、可変ダンピングシステムのDCC(ダイナミックシャシーコントロール)の改良なども行われ、果たしてどんな走りを見せてくれるのか、興味津々です。 早く乗ってみたいなぁ……と思っていたら、なんとうれしいことに、発表されたばかりの2024年式ID.4 プロ・パフォーマンスを、ドイツ・ミュンヘンで試乗するチャンスに恵まれました。試乗時間は約20分と超ショートですが、わが愛車のID.4 プロ・ローンチエディションと比較するには十分な時間です。

VOL.18
ミュンヘンで「ID.4」の2024年モデルに遭遇! [ID.4をチャージせよ!:その18]

ミュンヘンモーターショー(IAA)のメイン会場近くで、フォルクスワーゲンがメディア向けイベントを開催。そこで、2024年モデルの「ID.4」に遭遇しました。 見た目は同じ イベントスペースのパーキングに待機していたのは、“コスタアズールメタリック”のボディが爽やかな「ID.4 プロ・パフォーマンス」。日本のラインアップにはないボディカラーに目を奪われますが、エクステリアデザインはこれまでと同じで、私の愛車の「ID.4 プロ・ローンチエディション」との違いは1インチアップの21インチホイールが装着されていることくらいです。 ところが運転席に座ると、コックピットの眺めに違和感が! マイナーチェンジでもないのに、コックピットのデザインが私のID.4 プロ・ローンチエディションと大きく変わっていました。 ご存じのとおり、フォルクスワーゲンなど多くの輸入ブランドでは“イヤーモデル制”を採用していて、毎年のように細かい仕様変更を実施。エクステリアデザインは一緒でもパワートレインや装備が変わるというのはよくあること。この2024年モデルでは、インテリアのデザインまで様変わりしていたのです。 真っ先に気づいたのが、ダッシュボード中央にあるタッチパネルがリニューアルされていること。2022年モデルのID.4 プロ・ローンチエディションでは12インチのタッチパネルが搭載されていますが、この2024年モデルでは12.9インチにサイズアップが図られたのに加えて、デザインも一新され、明らかに使い勝手が向上していました。

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