コラム
share:

だったらエンジン車とかHVに乗ったほうがマシ! 充電しない「PHEV」は「燃費の悪いハイブリッド車」という無意味な存在だった


TEXT:琴條孝詩 PHOTO:TET編集部
TAG:

PHEVは電気で走らせることに意味がある

<充電しないPHEVは「重いガソリン車」である>

PHEVをきちんと充電せずに使用するとどうなるか。バッテリーを搭載したぶんだけ車両重量が増加しており、充電しない状態ではその重量がそのまま燃費の悪化要因となる。一般的なPHEVはガソリン車の同等モデルと比べて200〜300kg程度重くなるため、バッテリーが空の状態で走ると、通常のガソリン車よりも燃費が悪化する場面すら生じる。PHEVのメリットを享受するためには、バッテリーを充電して使うことが大前提であり、それを怠ると「重いだけのガソリン車」になってしまうのである。

メルセデスAMG C63 E Performance

では、どれくらいの頻度で充電するのが適切か。PHEVの設計思想は、日常の短距離移動をEVモードでこなし、長距離移動時にエンジンを使うというものである。国土交通省の調査によれば、日本における乗用車の1日あたりの平均走行距離はおよそ20〜30km程度とされており、多くのPHEVがもつEV航続距離(50〜100km程度)はこれをカバーできる。つまり、毎日自宅や職場で充電する習慣さえあれば、日常使いのほぼすべてをEV走行で賄えるのである。

<PHEVの実力を引き出す「基礎充電」の習慣>

毎日の基礎充電は普通充電(AC200V)で十分だ。一般的なPHEVのバッテリー容量は10〜20kWh程度で、夜間の就寝中に充電する習慣をつければ、毎朝バッテリーが満ちた状態で出発できる。多くのPHEVはEVモードで40〜80km程度走行できるため、通勤や買い物といった日常使いはほぼ電気だけで賄える計算になる。

急速充電については、多くのPHEVでは非対応だが、対応車でも外出先での補充や緊急時に活用する以外、日常的に多用するのは避けたほうが賢明だ。急速充電は高出力でバッテリーへの熱的ストレスが大きく、リチウムイオンバッテリーの劣化要因となる可能性がある。

急速充電をするPHEVのイメージ

PHEVは「充電さえすれば」、環境負荷を抑えながら日常使いができる合理的な選択肢である。逆にいえば、充電しないPHEVは単なる重量増のガソリン車にすぎない。欧州では、このデータを受けて制度見直しが進められている。

日本では自宅に普通充電設備を設置する費用は工事込みで10〜20万円程度が相場だが、補助金制度も整備されており、実質的な負担はさらに軽くなる。毎日の充電でガソリン代の大半を電気代で賄えることを考えれば、設備投資のもとは数年で取れる計算になる場合も多い。

家庭用普通充電用の充電器

また、PHEVにはバッテリーを温存する「チャージモード」や、EV走行を優先する「EVモード」を切り替える機能が備わっている車種が多い。高速道路ではエンジン効率が高いためエンジン走行を活用し、渋滞が予想される市街地に入る前にバッテリーを温存しておくといった走行戦略が有効である。

こうしたモード切替を意識することで、燃費をさらに改善できる。PHEVの価値は「EV走行率」によって大きく左右される。日常の走行のどれだけを電動走行で賄えるかが、環境性能を決定づける。

PHEVは正しく使えば、BEVへの完全移行が難しいユーザーにとって現実的かつ有効な選択肢になる。しかしそれは、日常的な充電という行動が伴ってはじめて成立する。欧州の規制強化はその「あたりまえ」が守られていなかった現実への警鐘であり、日本のPHEVオーナーにとっても無縁の話ではない。

TAG:

PHOTO GALLERY

NEWS TOPICS

EVヘッドライン
BMWの新型EV「iX3」の驚くべき競争力! ライバル比較で死角なし!!
中国BYDが超売れ筋の「スライドドア×スーパーハイト」軽自動車にEVで殴り込み! その名も「ラッコ」ってどんなクルマ?
3列シートEV市場へレクサスが投入するTZ! ライバルモデルとの比較でわかった競争力とは
more
ニュース
日産リーフに似ているぞと思ったらOEM! 三菱が「エクリプススポーツバック」を北米で発売
EVもHEVと同じ790万円から買える! 8代目新型ESが「レクサス次世代電動車」の先陣を切る
1万100Nmの暴力的パワーと260万針の贅沢! ロールス・ロイス最高峰EVの「スペクター」が「シリーズII」に進化した
more
コラム
エンジン車よりもEVに乗っているほうが災害時の備えになる……は本当か? ただEVを買うだけではダメで自宅の環境整備との組み合わせが重要だった
EVの主力市場「中国」と「アメリカ」を除いてもEVは着実に売れている! いま世界の新車販売の6台に1台がBEVだった
「EVの電力は結局火力発電じゃん」は木を見て森を見ず! EV化がもたらす本当の環境への優しさとは
more
インタビュー
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 設置とサポートを行う「パルコミュニケーションズ」に魅力を聞いた【後編】
ゲーミングPCでお馴染みの「MSI」がEV用充電器に参入ってナゼ? 狙いと魅力を直撃取材した【前編】
「BMWの核はセダン」。「i5」での表現は、BEV世代のセダンの在り方を示している。
more
試乗
【試乗】速さはスーパースポーツ並! AWD技術も完成の域! アウディS6スポーツバックe-tronに望むのは「感性に訴えかける走り」のみ
【試乗】いい意味で「EVを強調しない」乗り味! 本格4WDモデルも用意される期待のニューモデル「スズキeビターラ」に最速試乗
マイチェンで名前まで変わった「アウディQ8 e-tron」ってどんな車? [Q8 e-tron試乗記]
more
イベント
東京湾岸に140台超のEVが集結で大盛り上がり! 「NEW YEAR EV MEET 2026」の勢いがスゴすぎた
日本生まれの英国EVスポーツクーペや全幅1m切りの小型モビリティなどEVも元気! 会場で見つけた気になるEV一気見せ【東京オートサロン2026】
新型レクサスESがモデリスタ仕様で登場! ヒョンデはMIYAVIコラボで対照的なEV披露【東京オートサロン2026】
more

PIC UP CONTENTS

デイリーランキング

過去記事一覧

月を選択