どのメーカーも電池パックの頑丈さには気を使っている
万が一、クルマがぶつかったときに、またはぶつからないように事前に乗員を守ること。前者を衝突安全、後者を予防安全と呼ぶ。
こうしたクルマの衝突安全と予防安全の評価については、第三者機関が行う自動車アセスメントが用いられる。日本では独立行政法人 自動車事故対策機構が行うJNCAP(ジャパン・ニュー・カー・アセスメント・プログラム)において、試験結果が一般にも公開されているところだ。
自動車メーカー各社は、こうした評価を引き上げるために衝突安全性について研究・開発を進めている。その上で、EVの衝突安全性能はどのようなものなのか。また、ガソリン車やハイブリッド車と比べてEVの衝突安全性能には違いがあるのだろうか。
衝突安全について、クルマのパワートレインの違いによって大きな違いはなく、同じ土俵の上で評価される。具体的には、乗員保護性能では、フルラップ前面衝突、新オフセット前面衝突、側面衝突、後面衝突頸部保護の4つの試験。歩行者保護性能では、頭部保護と脚部保護。そして、シートベルト着用警報が試験の対象となる。
一般的に考えて、EVは同じカテゴリーのハイブリッド車やガソリン車と比べて重量が重くなることから衝撃時のエネルギーは大きくなることが、イメージとしてつかめるだろう。そのために、車体構造のあり方について、自動車メーカー各社のノウハウがある。
当然、そうしたノウハウの詳細について自動車メーカーは外部に情報を開示しないが、これまで各社のEV開発担当者らと意見交換したなかでよく出てくるのが、電池パックの頑丈さに対する配慮と、それに伴うクルマ全体の設計方法だ。
EVの衝突時、高い安全性能が求められるのは電池パック。ほとんどのEVは車両の中央の床面に設置されている。そのため、前後からの衝突で電池パックに直接衝撃が加わるケースはあまり多くないと考えられる一方で、側面衝突では電池パックへ大きなインパクトが予想されるため、メーカー各社独自に側面衝突への対応策を打っている。
その上で、側面衝突のみならず、前後からの衝突でも、車体構造が破壊されるような大事故になった場合、電池パックから出火することはあり得ると回答するメーカーが少なくない。こうした火災の危険性は、ガソリン車でも同じだという解釈だ。
また、JNCAPでは、「電気自動車の衝突時における感電保護性能試験」を行っており、それに伴う評価方法も確立されている。具体的には、直接接触保護と間接接触保護、絶縁抵抗測定、残存電圧測定、残存エネルギー測定や、高電圧バッテリーの電解液の漏れや固定状況などについてだ。
今後、EV本格普及期に入ると、衝突安全性能についてさらに踏み込んだ議論が行われることが考えられる。