充電器だけでなくEVの性能も向上させる必要がある
ただし、ChaoJi が普及したとしても、いまのEVがその急速充電能力を享受できるとは考えづらい。国内で販売されているEVであっても、CHAdeMO急速充電の上限が50kWであったり、90kWであったりするモデルは珍しくない。
残念ながら、急速充電器とEVの性能それぞれが高いレベルになければ、トータルでの充電速度は十分に速くなることはない。
また、ChaoJi の規格においても、500kWを超えるような超・急速充電は、長距離トラックのような巨大バッテリーを搭載するモビリティを想定している。急速充電の出力が上がるほど、さまざまなコストが高くなってしまう。
前述したように、液冷ケーブル仕様の急速充電器や、急速充電に耐えられるバッテリー(こちらも冷却性能が求められる)を搭載することは、容易に想像できるコストアップ要因だ。急速充電を利用する料金もかなり高額になることも確実だろう。
もちろん、車両側のコスト増を十分に受け入れられる富裕層が購入するような高価格帯のハイパフォーマンスEVであれば、ChaoJi 規格の性能を引き出すハードウェアを与えることができるだろう。オーナーの財力的にも、フルスペックに近いChaoJi の利用料金を払うことに躊躇しないだろう。
逆に、一般ユーザーが使うような価格帯の乗用EVでは、そこまでの急速充電に対応するニーズは生まれないと考えるのも妥当といえそうだ。
結論としては、フォーミュラEのピットブースト同等もしくはそれ以上の急速充電規格は『ChaoJi 』として存在している。すぐさま一般ユーザーが500kW級の急速充電インフラを利用する時代になるとは考えづらいが、次世代規格が明確になっているということは、それがカタチになることもほぼ確実といえる。大いに期待したい。
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