2026年春の発売を前に開発中のスペックから読み解く新型車像
トヨタはカーボンニュートラル社会の実現に向け、独自の「マルチパスウェイ」という考え方に基づき、世界中の異なるマーケットごとに最適なパワートレイン、燃料、ボディ形状を組み合わせて新型車を投入している。
今回、その動きのなかで、北米でバッテリーEV(BEV)のラインアップ拡充を図ることが発表された。その先陣を切る新型車というのが「bZ Woodland(ビージー・ウッドランド)」で、2026年春ごろから「bZ4X Touring(ビージーフォーエックス・ツーリング)」の名で、日本でも発売を予定しているのだという。
トヨタは、米国市場での自動車販売はBEVを中心に堅調な成長が想定されると推測している。さらに、BEVは米国メーカーのシェアが高く、一層の商品力強化が必要だと説明。そのなかでトヨタは「マルチパスウェイ」の取り組みを一層加速すべく、日本市場のbZ4Xにあたる「bZ」ならびに「C-HR」とともに、北米市場で主要となるSUVをカバーできるBEVラインアップとして、この新型車「bZ Woodland」を投入し商品力強化を図る。
bZ Woodlandの主な開発目標値と概要は次の通りだ。バッテリーは改良版のbZ4Xと同じく総電力量74.7kWhのリチウムイオンバッテリーを採用する。また、AWDモデルのEPAモード走行距離は260マイル(約416km)を確保するよう、現在開発が進められているという。
改良版のbZ4Xでも採用された急速充電前にバッテリー本体の温度を調整する機能「バッテリープレコンデショニング」を搭載し、冷間時での急速充電時間が約30分になるよう開発中だ。もちろん北米向けであるbZ Woodlandは現地の急速充電規格であるNACSを採用している。
AWD仕様は前後に高出力タイプのeアクスルを搭載し、進化した制御システムの採用により前後駆動力配分の自由度を拡大。アウトドアシーンでも優れた走行性能を実現するという。
また、荷室空間の広さもアピールポイントであるとしている。それゆえにボディサイズは日本仕様のbZ4Xに比べると全長が140mm伸びている。一方で全高は30mm低く、全幅とホイールベースは両車同一の1860mmと2850mmだ。つまり、大雑把に言ってしまえば、bZ Woodland(日本名:bZ4X Touring)は改良版のbZ4Xをストレッチし、本格的なアウトドア需要にも耐えうる価値で仕上げたe-SUVということができそうだ。
室内については画像が1枚だけ公開されたのみで詳しい情報は公式にもまったくアナウンスされていないので推測の域を出ないが、改良版bZ4Xに倣ったインパネデザインを中心に、こちらもアウトドア色を強めた仕立てが随所にちりばめられるのではと想像する。
まだまだベールに包まれた部分が多いbZ Woodlandではあるが、北米向けの発表と同時に日本向けの投入時期が明かされたこともあり、トヨタ製の新型EVに期待する向きには魅力ある待望の1台と言えるのではないだろうか。すでにトヨタ自動車のホームページ内には改良版bZ4Xと、このbZ4X Touringに関するティザーサイトがオープンしているので、ぜひチェックしてみてほしい。